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クリーンマン3
作:七英雄


 俺様はキレイマン。
 昔はヨゴレマンとして市民を恐怖のどん底へ追いやっていた。
 ・・・気がする・・・よくわからない存在だった。
 そんな時クリーンマンと出会った。
 空前絶後の戦いの末、俺様は敗れたのだが、クリーンマンに助けてもらった。
 現在は、キレイマンとしてひっそりと暮らしている。
 詳しくは「1」を読め・・・・ってどこの声だ?!
 今ではすっかり銭湯が大好き人間だ。
 しかし。
 俺様は驚愕している。
 ヨゴレマン時代の俺様とは比べものにならない程の「汚い」奴を見つけたのだ。
 マズイ。
 このままではまた世界が恐怖時代になる。
 俺様はクリーンマンに知らせようと電話しようとしたが、実は番号を知らない。
 仕方ないから手紙だ。
 俺様はなぜか英語で手紙を送った。


 元ヨゴレマンだった奴から手紙がきた。
 今はキレイマンと名乗っているらしい。
 どっちでもいい。
 怪しいことには変わりない。
 それはいいとして。
 え〜と・・・読めん。
 英語なのだろうが・・・・理解できない文字が並んでいる。
 中国語なら読めるけどね・・と誰もいないのをいいことに嘘を言う俺。
 宛先も俺の名前じゃなくて「クリーンマン・もしくは緑怪人」で届くってどういうことだ?
 そこも英語で書けよ。
 なんで宛先だけ日本語だ?!
 読めない文字よりもそこに怒りが湧いた。
 ♪こんなに頑張ってるのに〜。♪
 それにしても読めないのはどうしようもない。
 そうだ。
 あの女記者に送って解読してもらおう。
 宮下裕子といった・・昔交流があった女だ。
 詳しくは「2」を読め・・ってどこの声だ?!
 俺は彼女の以前の記事を読んで好意を持っていた。
 名刺を貰っていたのでその手紙を郵送した。


 私、宮下裕子にクリーンマンから手紙が来た。
 読めないので訳して欲しいとのこと。
 彼からの手紙に一瞬ドキッとした私。
 そんな内容でなんか拍子抜けだわ。
 え?
 なに?
 あんな奴を意識してるの?
 ううん。
 大丈夫きっと私の頭がトチ狂っているだけだわ。
 きっと、手術が必要なくらい、イカレているんだわ・・・私が。
 訳したら内容はこうだ。
「俺様だ。キレイマンだ。すごい汚い奴を見つけた。ヤバイぞ!今回は本気でヤバイ。奴は10月1日になにかをやらかす気だ。気をつけろ!」
 ・・・・・てゆ〜か・・・・。
 手紙を普通郵便で何度も送ったからよ。
 今はもう5日だわ。
 過ぎてるわよ。


 結局、手紙を訳した内容が俺に届いたのは予告の日付から5日後の10月6日だった。
 調子に乗って、中国語が読めると書いてしまったために、わざわざ中国語で書かれてあった。
 本当は読めないということがバレるのは嫌だったので、辞書で頑張って訳した。
 そんなこんなで、最終的に内容を理解したのは、10月10日だった。
 10月1日の当日は何も事件はなかったようだが・・。
 キレイマンのいっている「汚い奴」とは誰のことなのか。
 俺はキレイマンに会いに行こうと思った。
 どこから現われたのかわからないが、宮下裕子がいつの間にか隣にいた。
「私も行く」と言って引く様子はない。
 訳してくれて、中国語で書き直してくれたお礼だ。
 断れるけど恐いので結局断れない。
 俺達はキレイマンがよく行くという銭湯へ向かった。
 そこは昔、俺があいつをキレイにしてやった銭湯だった。
 ここ数日間キレイマンの奴は来ていないという。
 おかしい。 
 あんなに銭湯好きだという奴が何日も身体を洗わないなんて。
 まさか昔のあの頃に戻るのか?
 嫌な予感が俺の脳裏を過ぎる。
 でも過ぎただけだ。
 俺はキレイマンの捜索をいとも簡単に諦めた。
 怒ったのは宮下裕子だ。
 特ダネでも狙っていたのか。
 なんて女だ。
 自分のことしか考えていない。
 こんな可愛くない女はもし告白されても願い下げだ。
 ・・・・美人だが。
 俺は不謹慎なことを考えた。
 不潔だ、俺は。
 そう思ったら、変身してしまった。

「は〜はっはっはっはっ」
 何処からともなく下品な笑い声が響いた。
 するとすぐ隣で、腕を組んで、大笑いしている男がいた。
 まさか・こいつが。
「私の名前は・・・外道マン!汚いだけで生きていた真の汚い男だ!」
 恥ずかし気もなく外道マンと名乗った男は胸を張って笑った。
「今だわっ!」
 宮下裕子はすかさずシャッターをきった。
 瞬間。
 外道マンはそのカメラをサッと奪い取り、グシャグシャと粉々に壊した。
「え〜、ひっど〜い!」
 彼女は叫んだ。
「違う!ひどくはない!汚いのだ!言い直せ!女!」
 外道マンは顔を真っ赤にして叫んだ。
「・・・・・・・・・・・汚い」
 10分後、なぜか彼女は言うとおりに言い直した。
「そうだろう、そうだろう」
 外道マンは嬉しそうに頷く。
「私は汚いのだ!さあクリーンマン!変身しろ!」
 既に変身している俺を指差して外道マンは言った。
「ど・どんな汚いことする気なのよ!」
 ワクワクした顔で宮下裕子は言った。
 彼女本人が攻撃される心配はないはずなのでそんな顔ができるからだ。
「ふん!かかってこい!」
 俺はかっこ良く言った。
 別に宮下裕子がいるからではない。
 本当にかっこ良いからだ。
「いくぞっ!ジャンケンだ!」
 外道マンは手を出した。
「・・・・はぁ?」
 俺と宮下裕子は口を揃えて言った。
「ジャンケンだよ!ジャンケン!これこそ正当なる勝負であろう!」
 外道マンはニヤニヤしている。
 何か作戦でもあるのだろうか。
「ま・まあいいけど」
 俺は同じように手を出した。
「いくぞ!ジャンケン・・・・ホイ!」
 俺はパー。
 外道マンはグーだった。
 俺の勝ちだ・・・これでいいのか?
「本当は3本勝負でした〜」
 いきなり外道マンは何事もなかったように言った。
「き・・汚いわ!」
 宮下裕子は叫んだ。
「はっはっはっ〜」
 外道マンは嬉しそうに踊りだした。
 どうやら「汚い」と言われたことに喜びを感じているようだ。
 俺は奴がいる限り、変身は解けないのだと確信した。
 「汚い」ことをすると変身してしまう俺は。
 この外道マンが「汚い」ことをする度に反応してしまう。
 ということはずっと変身し続けることになるのだ。
 それだけは避けなければならない。
「よしではいくぞ!いいな!3本勝負だぞ!」
 外道マンは不敵な笑みを出す。
「ねえ」
 宮下裕子が横から遮った。
「ところで10月1日に何が起こったの?」
 手紙の内容ことを聞いた。
「・・・・」
 外道マンは何も喋らない、いや無視している。
「まさか・・何も考えてなかったって・・」
「いや!違う!設定と展開が勝手にいきなり変わったんだ!」
 と奴は訳のわからないことを言った。
「私のせいではない!!」
「そう・・その場その場で設定が変わったのね。」
 宮下裕子はなぜか仕方ないと頷いていた。

「さあ、3本勝負の最後だ!」
 あれからジャンケンは進み、俺は連続負けして、2対1と外道マンがリーチになっている。
 大ピンチだ。
「ジャジャジャジャンケン!!ポイ!」
 勢いよく出した手は、俺がパーに対して、奴はチョキだった。
「はははは!勝った!私の勝ちだ!どうだ〜!」
 外道マンは大喜びだ。
 俺は冷静に、「本当は6本勝負でした〜」と言った。
「なっ・・!」
 奴は絶句した。
「き・汚いわ!」
 宮下裕子は再び叫んだ。
「最初に勝ったのはクリーンマンなのに、外道マンは3本勝負と言い換えた!」
 彼女は俺を指差した。
「今度は同じことを彼がやってのけたのよ〜!!!」
 誰でも理解できるのだが、わざわざ解説した・・誰に?!
「貴様!き・・き・・」
 外道マンは真っ赤になって悶えている。
 他人に自分の専売特許である「汚い」が言えないのだ。
「・・・・・汚いぞ」
 外道マンは小さく呟いた。
「ふふふ。さすがだな、クリーンマン。まさか逆にやるとはな」
 外道マンは笑顔で言った。
「さらばだ、また会おう」
 ・・・と奴は去っていった。
「・・・・手ごわい相手だった」
 ・・と俺は言った。
「どこが?」
 呆れたように宮下裕子が言った。
 それはそうと変身が解けない。
 どういうことがと思いを巡らせていたら。
「多分アンタ自身が汚いことしたからよ」
 宮下裕子は分析した。
 まさにそうだと俺は思った。
 でもそうしないと勝てなかったんだもん!
 ・・と開き直った。


 あれから3日間。
 変身が解けないので俺は自宅待機している。
 そこへ事情を知った親父がやってきた。
「治す方法はある。」
 唐突に親父が言った。
 なんだろう?
「お前が好きな女の接吻で元に戻るそうだ」
 なんとまあよく聞くおとぎ話のような展開に俺は頭を抱えた。
 好きな・・というか、お願いできる人間は一人しかいない。
 宮下裕子だ。
 俺は彼女に電話を入れた。
 状況が状況だ。
 なんとかしてくれるだろう。
「断る!」
 一言で宮下裕子は電話を切った。
 なんて女だ。
 いいではないか、一つや二つくらい。
 そうこうしていると宮下裕子がウェディングドレスで現われた。
 俺の目は点になった。
「してやってもいいけど」
 生意気に宮下裕子は言った。
「それなりの覚悟が必要よ」
 彼女は紙切れを俺に差し出した。
「・・・・婚姻届」
 俺の頭の中は真っ白になった。
 何考えてんだ?
 この女は。
「私にはそれだけ大事なことなのよ!」
 俺の呆けた顔を見て、気分を害したのか、はき捨てるように彼女は言った。
 そうか・宮下裕子はまだ未経験者なのだ。
 だからこんな大げさなことを。
 全く困ったもんだ。
 ・・という俺も未経験だった。
 これは大きなチャンスだ。
 まあこういう状況なら仕方ないと思い始めてた。
 だが「婚姻届」が脳裏に焼きつき、さすがそれは・・と俺は断った。
「なんでこんな絶世の美人の申し出を断るのよ!このクソ変態!」
 と驚きの目で宮下裕子は俺を睨んだ。
 その後、その台詞をそのまま言われたのだが。
 なんて女だ、そこまで言うことはないだろう。
「おいおい、それはないぞ」親父が横から口出した。
 ってかまだいたのか!?
「わ・わかったよ」俺は覚悟を決めた。
 婚姻届にサインをして。
 宮下裕子の前に立つ。
 彼女は俺の姿を確信して、そっと目を閉じた。
 俺もゆっくりと顔を近づけながら、目を閉じる。
 遂に俺も結婚か。
 こんな緑色でもいいって奴がいるんだな。
 なんか感動だな。
 俺、彼女のこと好きになってきたかもしれない。
 俺はこれから先の新婚生活のことを思い浮かべた。
「あ。なんか顔を思いっきり殴っても治るかもしれないな」
 親父のぶっちゃけ告白と同時に。
 宮下裕子の。
「おおおおりゃああ!!」
 という気合の入った声と。
 渾身の右ストレートが。
 俺の顔に。
 めり込んだ。
「ぐぶっ」
 俺の身体が光り、元の姿に戻った。
 宮下裕子はふんっとそのまま帰っていった。
 俺の返り血を浴びた真っ赤なウエディングドレスで。
 あれって・・・レンタルだよね・・・きっと・・・。
 一瞬、彼女の顔が残念そうに見えたのは俺だけだったのかもしれない。
 でも、婚姻届は破らずに彼女が持っていった。
 あの・・・何をする気ですか?
 それにしても、すごいパンチだ。
 俺の意識がなくなる寸前に思ったことは。
 ・・キレイマンってどこ行ったの?だった。


「クリーンマン3」 完



あとがき。

本当にいつも読んでくれてありがとさんです。
今回・・呆れたのではないでしょうか?
無茶苦茶な展開でしょう?
僕もそんなつもりはなかったんです。
勝手に彼らが動き始めて。
勝手にああいうオチを作り上げたのです。
僕の中では外道マンとの戦いで終わらせるつもりが・・。
あんな結婚話になろうとは。
「4」が書きにくいんですよね、あんな終わり方は。
まあ書きますけど。
次回作!
構想はありますが、書いてません。
少し小説はお休みして、その間に書いてストックして。
掲載します。
では皆さん、次回作でお会いしましょう。














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