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僕の宝物
作:バックハイ



46すれ違い


マコが由恵を探しに行ってから、私達は近くのベンチに腰を下ろしていた。

…本当バカだな…私。

…本当はマコに傍に居て欲しかったくせに…

…でも、あのまま由恵をほっとく事が出来なかった。

…多分、由恵が今傍に居て欲しい人もマコだから…


「美咲ちゃん?もう頬っぺた痛くない?」

不意にトモが私の顔を覗き込んで来た。

「大丈夫だよ。全然痛くないし!」

私はトモに笑顔で答える。それを見て少しほっとした様子のトモ。

「…ねえ智博君?私、一人で大丈夫だよ?…ってゆーか…むしろ一人になりたいかも…」

私が少し申し訳なさそうにトモに言うと、トモは解りやすい程にがっかりした表情を浮かべて私を見た。

「もー!美咲ちゃん俺の事警戒してるっしょ?」

少し怒った振りをしてそう答えると

「大丈夫だよ!さすがにマコの好きなコに付け入る真似はしないし!」

 

と笑顔で続けた。
私はその答えに少し笑いながら

「もう!私、振られる覚悟でいるのに変な期待持たせないでよ!」

と笑い飛ばした。
きっと、トモは私に気を使ってそう言ってくれたのだろう。
昨日の旅館での出来事を考えても、マコと由恵が上手く行っているのは判っていた。
…なのに…告白なんてしちゃって…

…本当に私はバカだ…

でも、後悔してる訳じゃない。
 
駄目でも伝えられた事で、凄くすっきりしたし。 


「…美咲ちゃんは本当にマコと似てるよね…他の事には鋭いくせに微妙に鈍いあたりが…」

トモが私の顔を見ながら言った。

…似てる…?

…私とマコが…?


「マコってさ、昔から何故かモテるんだよね。本人は気付いてないけど。…何でかな?絶対、俺とかタツの方がカッコイイのにさ!」


私はトモの話を聞きながら少し笑いが込み上げてきた。
私もマコが好きな立場だから何も言えないけど。

「でさぁ、そんだけ鈍いからはっきり言わないと、本当に気付かないんだよね。そしてあの性格でしょ?めちゃめちゃ押しに弱いから、変な女の子にひっかかる事もしばしばでさぁ…。」


トモが笑いながら話す。

「…変な女の子?」

私の問いにトモは笑いながら口を開く

「皆、マコに甘えちゃうんだよね。優しいから。わがまま言ったりとかさ。あれ買ってー、どこ連れてってーって。」

ふと、そんな女の子に振り回されるマコを想像して笑いが込み上げる。


「でさ、マコもそうゆうコ達に振り回されるのも疲れたんじゃないかな?…だから、美咲ちゃんに惹かれたんだろうなって思うよ。」


トモの言葉が凄く胸に染みた。
マコが私の事を異性として見て居なくても、初めて会った時に言っていた私を好きだと言ってくれた言葉がトモの言っていた理由ならば、こんなに嬉しい事はない。


「でもさ、マコは押さないと駄目だよ?言ったでしょ?マコと美咲ちゃんは似てるって。美咲ちゃんが前に出ないと本当に由恵に取られちゃうよ?」

トモの言葉を聞きながら、私は由恵を思い浮かべる。

由恵はいつでもマコの前で素直だ。私みたいに自分の気持ちを隠そうとしないし、いつもマコだけを見ている。
そんな由恵だから本当に可愛いと思うし、凄く羨ましい。

「…さてと、美咲ちゃん。そろそろマコ探しに行こうか?」

トモの言葉に私は頷く。
私もマコの前で素直になりたいし、可愛いくなりたい。

ちゃんと、もう一度マコに気持ちを伝えよう。
そう決心して腰を上げた。

それを見てトモも少し笑いながら席を立つ。

「あっちの方に行ったよね?」

そう言いながら歩き出したトモの後ろを私も着いて歩いた。

少し歩くと見えてきた、さっきマコと乗った滑り台。出口になるプールの縁に立ち、プールを眺めた。

…マコにちゃんと告白した場所。

…あの時の勇気をもう一度…。


…ドボンっ!

不意に、滑り台からカップルが滑って来た。

「…冷たいー!やっぱり恐かったよー!」

そう言いながら顔の水を手で拭っていたのは…。

楽しそうに笑っている由恵だった。
その後ろには…優しく笑っているマコ…。


…さっきまで、私とマコが居た場所に…

…私の勇気が詰まった場所に…


…今は由恵とマコが笑い合っていた…


…私はそのまま動けなくなる。


…気付けば目からは一筋の涙が零れていた。












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