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僕の宝物
作:バックハイ



10僕等の定位置


「…でね、元子が竜揮くんと一緒に帰って来たらしいんだけど、竜揮君ったら家に着いたら急に[トイレに行きたい]って言ったみたいで…
元子は[じゃあ一緒にコンビニに行こう]ってコンビニまで連れていっちゃったらしいんだよね」

美咲を送る帰り道、二人で歩きながら合コンの後、一緒に帰った竜揮と元子の話をする美咲。

僕は竜揮のミエミエの手口と、さらりとかわした元子を考えながらクスクスと笑っていた。

 
てっきり竜揮達は上手くいったのかと思っていたので、余計に可笑しかった。

…でも、笑いながらも先程の美咲の言葉が頭から離れなくなっていた。


あの台詞は特別な意味から出た言葉では無いのは分かっている。
初めて美咲に会った時、僕が美咲に言った台詞。
きっとそれと同じように美咲も感じてくれている。
それが僕には凄く嬉しいものだった。
ただ一つ違うのは、僕は格好よくもないし[好き]という言葉を言われ慣れていないとゆう事だ…

しかもその台詞を言ったのは、あの美咲な訳で…
正直…竜揮や智博に自慢しまくりたい程に嬉しい…

しかし、そこで嬉しさを噛み締めてしまうと美咲を女性として意識してしまうかもしれない恐怖に駆られた。

美咲に恋心を抱いたところで相手にされないのは百も承知。 
傷付くと分かっているのに突っ走るよりも先程の台詞は無かった事にする方が何倍も賢いハズだ…

「マコちん、ここでいいよ今日は本当にありがとう。あと、この縫いぐるみも嬉しかったよ」

気が付くと美咲の家の近くまで来ていたらしく、美咲が先程の縫いぐるみを顔の横に並べている

「…いいよ。高い物でもないし、逆に縫いぐるみなんかでダサいけど…喜んでくれて凄い嬉しかった」 

僕の言葉に美咲が笑顔になる

「マコちん、私ねこの縫いぐるみに似てるって言ってくれたの嬉しかった。こんなに隙だらけの顔してるんだなって…」

美咲の言葉に僕も笑いが込み上げる。

「それに似てるって言われて喜ぶのは美咲位だよ!」

少し悪戯気に言った僕に釣られて美咲も笑い出す。


「やっぱりマコちんは安全パイだね。凄い居心地がいいもん」

笑顔で答えて[じゃあね]と手を振る美咲を見送り、僕は来た道へと踵を戻した。


…安全パイ…それが今の僕と美咲の適切な距離

きっと今まで男友達を作れなかった美咲にとっては、僕との出会いは貴重なものだと思ってくれているのかもしれない

僕は先程の胸の高鳴りに罪悪感を抱いていた

僕にとっても、大切だと感じる事の出来る美咲との出会い
僕はそれを大事にしたくて[安全パイ]を貫き通したいと思っていた
女としてと言うよりも人間として大切だと感じた美咲の存在。
僕にとっても、貴重なその体験をくだらない恋心なんかで無駄にさせたくはなかった


…ふと空を見上げる
空に輝く星を見つめながら初めて会った時の美咲を思い出していた
どこか隙など見せずに、しっとりと笑う美咲
…あの顔を見て縫いぐるみに似てるなんて言う奴はきっと何処にもいないだろうな…

そんな事を考えながら僕はクスクス笑って歩き出した。












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