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小走りホラー〜出涸らし編〜

作者: 弥招 栄

   †

「今日のカレー旨いじゃん」

「ねえ」

「なに?」

「カレー味のウ○コと、ウ○コ味のカレー、どっちがよかった?」

「え……」

   †



   †

「ねえ、あたしのためだったら死ねるって言ってくれたわよね」

「ああ、もちろんさ、ハニー」

「じゃあ、今死んでっ!」

   †



   †

おでんの季節だ。

玉子の代わりに、あなたの目玉とか、

白滝の代わりに、あなたの髪の毛とか、

巾着の代わりに、あなたのきピーッとか……

   †



   †

あなたが私にくれたもの。

この胸いっぱいの愛と。

このおなかに宿る新しい命と。

この子が生まれるまでの間の食料。

   †




   †

僕の腕に蚊が一匹止まった。

そのときの僕は、とても優しい気持ちだったので、微笑みながら言ったんだ。

さあ、好きなだけ飲んだらいいよ。


『○○さんが、死体で発見されました。不可解なことに、その体には一滴の血も残されておらず……』

   †



   †

眠れない……

明かりを消そうとすると蛍光灯が、


消さないで


って涙をこぼすから。

   †


 

   †

俺は町で拾った女と、霊園に来ていた。好都合なことに、誰もいない。

「ほんと、あなたしかいないものね」

――イキテイルニンゲンハ……

   †



   †

……み……みずを……

渇きのために朦朧とした俺の口に、ひんやりとしたものが注がれた。

ああ……

だがそれは、うねうねとくねり――

   †



   †

月食のとき、月は暗い赤に染まるんだ。

みんな、月を見上げているから気づかないけど、

人の影も赤くなるんだよ。

でもね、それを見たらいけない。

だって……見たら本当になっちゃうから。

影を染めるのが、あなたの血だって――

   †



   †

妻の遺書を見つけた。

僕を殺して自分も死ぬって書いてあった。

ちょっと見つけるのが遅かったなぁ……

   †



   †

「そういう趣向は前もって言ってくれないと……」

一週間前、長期出張の直前に届いた大きな箱の中身に向かって、僕はつぶやいた。


――誕生日おめでとー。プレゼントは、わ た し♪

   †



   †

「赤が好きーっ!」

そう叫びながら走り去って行く彼女の両手は、

僕の血で染まっていた。

   †





(おしまい?)















そう、おしまい……

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― 新着の感想 ―
[一言] お久しぶりです 味があって 弥招先生らしいゾクゾク感でした ありがとうございました
2007/11/08 20:47 宮薗 きりと
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