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  平成幻想奇談掌編録 作者:春風夜風
連載のはじめは勢いが大事。という訳で二話目。咲夜さんと魔理沙のちょっとした小話です。
メイドの顔も三度まで
 
 霧の湖、紅魔湖。その向こうには、紅魔館という大きなお屋敷があります。それはそれは立派なお屋敷です。赤と白を基調とした派手な色合いながらも落ち着いた雰囲気を保つ、大変センスのいい素晴らしいお屋敷です。
 そこには沢山のヒトが住んでいました。妖怪、人間、魔女、妖精、メイド長に何やかんや。色んなヒトがそこには住んでいます。実はそのお屋敷には吸血鬼も住んでいたりするのですが、でも今回のお話には関係ないので端折りましょう。
 そして、そんな紅魔館の一室。そこで、偶然遊びに来ていた一人の魔法使いと、そのお屋敷で働く一人のメイドさんが、向かい合って何やら話し込んでいました。二人とも深刻な表情です。何の話をしているのでしょうか。少し覗いてみましょう。


「……ねえ、魔理沙さんや。これで何度目になるんだろうね?」
「ははは……。何度目だっけ?」
「……三度目、なんだよね。まあ、そういう問題じゃないんだけど。つーか見てよこれ。窓割れちゃってるよね? 何で割れてるかは……もちろん分かってるよね?」
「……あ、ある程度には」
「ある程度っていうか全部なんだけどね。でさあ、これって直さないといけないと思うんだよね。ほら、ウチって来客も多いし。このまま放置って訳にはいかないでしょ」
「……そう、ですよね」
「じゃあ、直すんだけど、でも直すとなると、それなりの費用が掛かる訳よ、やっぱり。つーか、いくら何でもそれくらいの事は知ってるよね? 自称普通の魔法使いの霧雨魔理沙ちゃんでも」
「……は、はい。存じております」
「だよね。となるとさ。我が紅魔館は、窓を割られる度に本来出さなくてもいい無駄な出費を強いられてるって事になるんだよね。これについては一体どう思ってるのかな。ねえ、そこの白黒魔法使いさん?」
「……大変、申し訳なく思っています」
「思ってるだけじゃ駄目なんだよね。そんなのいくら思っていても、こっちには全然伝わらないんだから。そこは行動を以て誠意を示すのが常識ってもんじゃないのかな。……ああ、言っとくけど、何も頭下げろってんじゃ無いよ? 下げた貴女の頭になんか一銭の価値も無いんだから。でも、じゃあどうすればいいのかな。ねえ、どうなのよ。そこら辺」
「……はっ。何かをしなければと思っております」
「……つーかさ。ぶっちゃけ何をすればいいかって分かってるよね。分かっててやらないだけだよね。でもそういう態度ってどうなんだろうね。ウチは別にいいんだよ? 出るとこ出てハッキリさせても」
「いえっ! それだけはご勘弁をっ!」
「それはこれからの貴女次第なんだよね。まあ、でもウチにも体裁ってのがあるから、事を荒げて大事にしたくないってのも確かなのよ。だから魔理沙ちゃんには、是非、大人の対応ってやつを見せてもらいたいんだけど。どう?」
「……」
「黙ってたら分かんないよね。ほら、何か言ってみなさいよ。ねえ、ほら、どうなの?」
「……ううっ……そんな、何もそこまで言わなくてもいいじゃんか! ……ああ、悪かったよ! 私が悪かった! ゴメンなさい、もうしません! だから、許してくれよぉお!!」
「……ったく、次は無いわよ? 今日はもう帰んなさい」
「ゴメンよぉォお!!」




 ……皆様も紅魔館に御用の際は、当館メイド長の逆鱗にだけは触れぬよう、十分気を付けてお越し下さいませ。


多分魔理沙は、正座くらいさせられていたと思います。


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