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チートな俺と歌姫な俺と 作者:真幸

◆◇ 第二章 -幸運と不幸- ◇◆

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3-17 <Draw。だがそれは赤い【最強】>

 もっと大雑把でいいのはわかるんですが、細かく書いてしまう。
 しかもその細かいのも判りにくいっていう。

 ≪DRAW≫。

 俺とニブルの間にそうポップした。決闘の制限時間が"0"をカウントしたことにより勝敗を決したのだ。
 DRAW。引き分け。引き分けだ。
 誰も勝ってもいないし負けてもいない。
 ドローだ。

「く、くそ………」

 しかし、ガクリと項垂れるニブル。
 結果としては引き分けなのだが―――この歓声。観客達には勝者を決めていた。

『ユキ!!ユキ!!ユキ!!―――っ』

 防戦一方からの巻き返し。
 残りドットから超必を全ジャスガー決めてウルコンで返したような。いや、それより数倍劣る話だが、見ていた人達にはそれに似た物が見えた。
 正直な話。最後のは運が良くクリティカルヒットしただけであって、一発でも防がれたらあそこまで削れなかった。
 俺は戸惑いつつも冷静を装った。
 こればっかりはラファのおかげだ。ちょっと卑怯だけど。
 あの状況で自分のペースを取り戻すには、今の俺に手札はなく、カードが切れなかった。
 修行不足だと痛感させられた。
 それで肝心のラファはというと、隣にいたテルプと取っ組み合いになっていた。相も変わらず犬猿の仲のようだ。おい、クオリア止めろてあげなさい。
 クオリアと目が合ったが、あらあらまあまあ。と頬に手を置いて傍観を決めていた。
 俺は苦笑混じりに剣を背にしまい、後ろでギリギリと歯軋りするニブルを見下ろした。

「よくも………よくも俺の剣を」
「何度も言わせないでよ。あれは俺の剣だ」

 ヒラリと霧散した剣の欠片が手のひらに舞い降りた。
 あの大剣とは短い付き合いだった。
 感傷に浸り、その欠片を握り締めた。

 ………。

 あ。普通ならここであの大剣の思い出とか思い出すんだろうけど。手に入れるのに苦労も何もなかったから思い出の一コマもなかった。
 装備してから友達が増えたこととか?それってあの剣と関係あるのだろうか?
 小首を傾げているとニブルが困惑した顔で口を開いた。

「あの剣の価値を、お前は、知ってるのか………?」

 何を言ってるんだろうか?あんな量産できる剣、俺が作れたんだから誰でも作れるだろう。

「知らないね。欲しいなら作ればいい」
「っ―――この、チーターが………」

 そのまま握った手のひらを開けると、欠片は既に消えていた。
 ちょっと勿体無かったかな?いいさ。また作ればいい。もしかしたら今回のアップデートであれよりも強い剣が作れるようになったかもしれない

。それを作るのもいいのかも。
 手のひらから視線を逸らしニブルに視線を向ける。
 決着は引き分け。
 この男はその結末で良しする人間じゃない。きっとなにかしてくる。
 そう視線を動かし、注意深く周囲を警戒する。
 するとどうだろうか。直感が後ろから危険が来ると囁いた。

 すぐさま剣を抜き、大剣でなぞる様に線を描く。
 弓だ。弓矢が飛んできた。
 どうやら遠距離から俺を狙ってきたようだ。
 周囲を見渡しても、ざわつく観客達のおかげで誰なのかわからない。
 そんなときだ。

 さらに直感が後ろから。と囁く。
 この感じは間違いないッ!!
 今度は激しく金属がぶつかる音が周囲に反響した。

「まぐれでよぉ………まぐれで勝ったくらいで調子のんなよ"腰抜け"」
「お前―――」

 ニブルだ。
 既に決闘は終了している。にも関わらず俺に剣を向けている。
 これが意味するのは―――ニブルの名前が"赤"に変わったってことだ。

 通常、プレイヤー達の頭上にはHPバーと各々の名前が緑色で表示されている。NPCとPCを区別するためだとか。
 しかし、通常とは別に特殊な行動を取ることで表示された名前の色を変えることがある。
 その一つが、"赤"。他プレイヤーの直接攻撃、俗にいうPK(プレイヤーキル)である。

 "赤"、自らの意思でPK行為に及んだ瞬間名前の色が変わり、その者を"犯罪者"であると周囲のプレイヤーに知らせる色だ。
 犯罪者ということで主要施設が置いてある町や都へ入場を禁止され、入場したとなると、いつぞやのマックスダメージ『99999』をたたき出す門番型NPCが出現し、攻撃されて死亡してしまう。
 一度名前が赤くなってしまうと、ステータス欄にある【カルマ値】が蓄積され、値"1"に対して一時間ゲーム内時間を経過しないと"緑"に戻らないようになっている。
 その【カルマ値】も簡単に溜まってしまうのが難点である。
 一回攻撃するごとに"1"ポイント追加していき、一人でもキルするだけで自動的に"30"ポイント追加されてしまう。

 普通なら躊躇う。
 しかしニブルは躊躇せずに攻撃してきた。
 誰もそんなPKなんてしたくないはずだ。だって利点がほとんどない。PKしたところで得るものは【カルマ値】だけでなのである。
 なのでPKという行為をする場合、大半は酔狂と狩場の占拠でしか使われることはない。
 狩場が空かない。ならそいつをPKしてその場を占拠する。
 あとは腕試しや、本当に物好きくらいだ。
 ならばこのニブルもその酔狂の類に入るのだろうか?

「俺は、【絶氷】だ。誰にも譲らねーし、誰にも負けない。そうだ。俺は負けてない。負けてねーんだよ。なんだこの歓声?たまたまコンボつながっただけだろ?俺は負けてねんだよ。負けてねんだよ。負けてねんだよおおおおおッ!!!!!!」

 よりいっそう力強く剣を打ち付けてくる。どうやら第二ラウンドは避けられないようだ。
 すぐさま剣を弾き、距離を取って構えなおす。
 直後、また直感が後ろから来ると囁いた。
 ニブルが前方から突貫して飛び込んでくる。それと同時に後ろから風切り音が聞こえる。
 前方を防げば後ろは当たる。後方も同様に防げば前が当たる。
 どっちを防ぐ。
 どっちを………ッ!!

 突如。突風が吹き荒れた。
 いや、突風ではない赤い【最強】が荒れていた。
 初級双剣突撃技【ダブル・ディセクト】でニブルの攻撃を防いだあと、片手剣初級全範囲技【円月】でニブルを弾き、同時に後方からの狙撃を防いだ。

「予測はできるが、その後の対処に難あり―――そういったところか」
「アスキラさんっ!」

 スキル硬直を終えたあと。アスキラさんは俺に微笑みかけるようにそう言った。
 もしかして、今の俺への助言?
 確かに、今のも全方位技打っておけばいい場面だったと思う。多少の誤差があったとしても初級技二発、≪氷魔法剣≫と≪大剣≫スキル繋げれば凌げた場面だった。

「―――さすがです」

 さすが【最強】アスキラ。まだまだ背中が見えない。

「いや、そうでもない。お前が躊躇している姿がわかったからな。ただ一方からの攻撃なら俺の出る幕じゃない。だが悩む理由にはならない。俺は同時に他方向から攻撃が来る。その一点張りにレイズ(行動)しただけだ」

 感謝する。そう言いたげな表情でサムズアップを向けられた。
 いやいや、俺の表情を見て行動するなんてさすがですよ。

「来やがったなぁ!!アスキラぁ!!」

 アスキラさんの登場により、このニブル大喜びである。
 その愉悦にも似た笑みを浮かべ、俺はより一層憤りを感じる。

「ちまちま雑魚とやってもつまんねーよ。やるなら強い奴とだよなぁ!!だよなぁ!!」
「褒め言葉として受け取っておこう。だがな"雑魚"に負けたのはどこのどいつだ?」
「っは。見ただろ?さっきのは"引き分け"だ。それにもう少し時間があれば勝ってたのは俺なんだよぉ!!」
「PKまで及んでその言い訳か?寝言は寝て言うものだぞ?」
「っは。それが寝言かどうか試してみればいいだけだろ」

 気づくと、周りには名前を"赤"色に変えたプレイヤーに囲まれていた。
 いや、本当にさっきまで観客だった人まで"赤"になっていた。
 その中でも、不快な笑顔を浮かべる連中が俺とアスキラさんに敵意を向けていた。

「大口叩くんだ。なら本気を出させてみるんだな」
「言うじゃねーかっ!!お前等ぁ!!この【最強】様は俺の獲物だぁ!!そっちの"雑魚"を潰せぇ!!」
「ユキ」

 アスキラさんが俺の名前を呼んだ。
 【絶氷】ではなく、俺の名前を。
 単純に今の俺に通り名が無いから名前を呼ぶしかなった。
 ただそれだけ、なんだけど。

「コイツは俺が抑えておく。だから周りの雑魚は頼んだ」
「はい!」

 妙に胸にくる。
 あいもかわらず、文章書くのが下手すぎてやる気を無くす。
 もっと会話文だけでいいんだろうけど。
 ユキちゃんあんまり喋るキャラじゃないよなぁ。ってまた迷走してしまう。

 気を取り直して、2章終盤です。
 あと何話くらいで終わるのだろうか。んー。5話以内には終わるかな?

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