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チートな俺と歌姫な俺と 作者:真幸

◆◇ 第二章 -幸運と不幸- ◇◆

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3-11 <開花する力。だがそれはチート>


 自分でも予期せぬ新キャラ登場。

 クーリンとの修行を開始して三日目を迎えた。
 ふと思っていたことを思い出す。

「ん~~~―――」
「どうかしました?」

 クエストへ向かう途中、なんとなくその辺のMobを殴ったときのこと。ストーンサラマンダーという土属性のモンスター、やたらHPが高く、硬いこと以外は普通のMobだ。
 そんなMobをほんの数秒で倒してユキは小首を傾げた。
 クーリンからしたら数秒で倒せるだけ十分じゃないか?と腐りたい気持ちを抑え、疑問を抱くユキに問いかけた。

「ちょっと前から気になってたんだけど。全然氷結しないんだよ」
「え?氷結?」
「あぁ、状態異常ね。個人的な体感なんだけど、いつもならほぼ一〇〇パー、いや九割方殴れば氷結するんだけど。凍らないなってー」

 それが疑問だった。
 気のせいなのだと思っていたが、クーリンと出会ってからMobが凍ったところを見たためしがない。
 それにクリア時のレア報酬の少なさ。いつものユキならありえない数。

 そんな疑問を前々から抱えていた事を話すと、クーリンは何か疑いの眼差しをユキに向けた。

「自慢ですか?チート使ってるんですか?」
「ち、違うよっ!!………よく言われるけど。で、でも誓って使ってない!!」
「それで素なら僕の運はいったい………」

 そこで両者、共に思うところが現れる。

 ―――そういえば、彼と会ってから運が悪く(良く)なった気がする。

 クーリンと出会ってから状態異常である氷結は起きなくなり、さらにはレアドロップ率が減った気がする。
 逆にユキと出会ってからクーリンはシステムのバグとでも言える誤作動でスキルミスや、他愛稀に見るリアルでの珍事件など起きず、いろんな意味で安心してドラスレで遊べている。あと言うならばレアドロップ率が上がった程度。といってもそれが一番実感できているので願ったり叶ったりだった。

 それでも"気がする"程度なので、まさか両者の運が相殺し"普通"になっているとは考え過ぎな気もした。
 とりあえず今日、クーリンと別れてから一人で行動してみようと人知れず一人頷いた。

「それで、今日も鏡竜狩るの?」
「そうですね。最終的な目標はソロで双竜クエスト無傷でクリアですけど。」
「………」
「大丈夫ですよ!!僕でも運が良ければできますので。それじゃ今日も頑張りましょっ!!」
「お、おぉ………」



 ◇◆◇◆



 それから二桁をカウントするとき、クーリンは用事があるとかで早々に落ちた。
 何とかコツというか。結局行動パターンを覚えていくゲームでもあるのであんまり自分が強くなっているのか疑問にも思う。

 とりあえずは先に疑問に感じたクーリンなしで鏡竜狩りに向かう。
 いつものようにおさらいと、迫り来る攻撃を躱していく。
 なぜだろうか。いつもより落ち着ている。

「お?」

 いつもより早いエリア移動に少し戸惑いすら覚える。
 移動先はというと―――マルチエリアだ。
 誰か人がいたら小っ恥ずかしいなと思いなが剣を収め、マルチエリアへと歩を進めた。



「ぅ」
「絶氷の………」

 一つのパーティーがその場に存在していた。見えるメンツの装備はこのクエストの推奨レベル帯『60』が五人、それと付き添いと思われるカンストの『99』が一人。
 やはり小っ恥ずかしいなぁと頬をかいていたが、上空からの暴風を受けた瞬間、そんなギャラリーからの視線なんて忘れて俺は剣に手を伸ばした。

 途端に鏡竜の動きを止める状態異常の氷結。
 それでも翼と首は動くのでブレス攻撃で動きを、翼から勢いよく発する風に体を持って行かれそうになる。
 というか。氷結するのが久しぶりというのもあり、氷結時の動きを知らないので攻撃の手を出しづらい。

 だがしかし、なんだろうか。この感覚。
 ―――ブレスかな?

 予想していた通り。頭を仰ぎ、ブレスの予備動作をする。
 すかさず鏡竜の脇に滑り込み、許す限りの時間で攻撃を叩き込む。

 ―――氷が溶けて空へ飛ぶ………かな?。

 これまた予想通りに氷が溶ける共に竜は二枚の翼でその体を宙に浮かせる。
 それを阻止しようと背に飛びついてはこの竜の一番硬い背中をバシバシと斬りつけ、行動を阻止しようとした。

 なぜだろうか。さっきからやたら凍る。
 そしてそれ以上に竜の行動が手に取るようにわかる。
 ついさっきまでは全然凍らないは、悪戦苦闘していたのだが。今となってはその行動すら手に取るようにわかる。
 もしかして………凍らせてからの動きに慣れすぎた?

 いや、どうやら違う。
 ならばと。氷魔法剣のスキル以外、大剣スキルのみで状態異常なしで戦ってみても予想していた行動を取ってくれる。
 まるで俺が得意な"ジャンケン"のそれに似ていた。
 得意といっても『あぁ相手チョキ出しそうだな』とか。
 なんとなく、それも直感的な物なんだけど。よくそれでシュウに業と負けたりしてご機嫌とっていたことも思い出す。
 その"ジャンケン"に感覚が似ていた。

 といってもジャンケンのように出す手が三パターンのみならわかるが、複雑な行動パターンを持つこのゲームでそんなことが可能なのだろうか?
 確かにここ数日のクーリンとの修行でコイツの行動パターンは熟知したつもりでいる。
 しかし………。

 運良く当たった攻撃で鏡竜の体を横に傾けた。
 チャンスとばかりに剣を腰に収め、単発最高威力である技を発動させる。

 ―――氷魔法剣最上級前範囲技【氷剣技・氷月天衝アイシクル・ヴァルムーン】。

 扇状に青白い半月が鏡竜を包み込む。
 ライトエフェクトが表面を覆う鏡に乱反射し、視界がチカチカと眩しく光る。絶対これは目に悪いと反射的に目をつぶってしまった。
 たぶんこれで終わりだ。

 鏡竜に背を向け、手にした大剣をしまう。
 HPをゼロにした鏡の竜はその巨体を横に崩し、激しいベース音を鳴らしたBGMもまた静かな森のBGMへと変わった。
 同時にまだ見ていたのであろう後ろから拍手が飛んできた。それに俺は顔を赤くしてまた頬をかいた。
 クエスト終了のウィンドウと共に、目の前にクエスト報酬である竜の素材が表示された。

 【鏡宝玉(きょうほうぎょく)★5】×3。

「………」

 うわ。
 なんだろ。自分がどんだけ凄いのか理解した。
 別に欲しくはないんだけど。てかこれってこんなに出るものだったかな?いつも一つとか二つとかはよく見るけど。とシュウの前で言うと怒られるので心の中でしか言わないが。

 とりあえず。結論としましては、クーリンがいると俺は普通の運になるってことなのかな?



 ◆◇◆◇



 ガウルの港。
 鍛冶屋ヴァルカン。

「これが頼んでた今のところ追加された素材とそのレート。発見された新しい武具のレシピだ」
「………確かに。んじゃ俺からはこの間作った新しい武具のレシピだ。ざっと見た感じ、何個か被ってたから被ってたの外しておいたわ」
「サンキュ。あ、お茶頂きます」

 用意したお茶の入ったカップを彼は掲げ、シュウはそれに笑顔で応えた。

「別にいいんだぜ?店じゃなくて中入っても。立ちっぱってきつくないか?」
「いやいや。やっぱ情報屋としてはこうやって店のカウンター越しで話してるほうがそれっぽいじゃん?」

 この情報屋と主張する彼は、ギルド『ブレスオブフレイム』に所属している"フェフェ"。結構名の知れた情報屋で通っている。
 常に拠点とする店に入り浸っていると最近の話題とかに疎くなりがちだ。そのため、彼のような腕のある鍛冶屋は高い金、または等価に情報を渡して情報を集めている。

「あとは最近の話題か~~……とある上位ギルドのギルド戦だったんだけど。なんでもある一人が三つの魔法剣を使ってたらしい」
「へぇ。属性魔法剣を三つか……変わった奴もいるんだな」
「話はこれからだ。ところがソイツ、どう考えてもスロット八つないと無理なスキル構成なんだよ」
「………スロット拡張のイベントか、新しく追加されたスキル―――」
「新たなユニークスキルか………」
「ふむ。ためになった」
「まいどぉ~~。それじゃ今回のお代は?」

 これは結構昔の、漫画からの受け売りだが『情報とは高価なものだ。秘匿性が高くなれば金で買えるとは限らない。また、一つの情報を得るため一生を費やし命を散らす者もいる。それほど情報とは高価なんだよ』

 俺が何を言いたいのかっていうと。

「そうだな………好物とかどうよ?」
「おぉ!!是非聞きたい!!」
「ゆ―――あ、アリスの好物は………オムライスだ」
「なるほど。いい情報だ」

 どこからか取り出したメモ帳に書き込むフェフェ。なんとも形を大事にする奴だ。そんなことしなくてもメニューウィンドからメモ書きみないなもの出すことができるというのに。
 しかし、我ながら美味い商売だぜ。なんていったって巷で話題になっている謎の美少女。銀髪の歌姫、アリスは俺の幼馴染なんだから。
 ゲヘヘヘヘ。誰が思うだろ。あいつの中身が男だなんてな。これだけで当分高い金払ってコイツから情報買わずに済むぜ。

 メモを終えたフェフェはパタンと音を鳴らしてメモ帳を閉じ、いい笑顔でフェフェは店を後にした。

「あ、そうそう。相方―――どうしてる?」
「え、あ、ゆ、ユキ?ユキがどうしたって!?」

 ちょうどユキのもう一つのキャラ、アリスの話をしていたもんだからバレてるんじゃないかと少し戸惑った。
 しかしその思惑は的外れであってくれたようで、フェフェはシュウが何を慌ててるのか分からず小首を傾げ、そのまま言葉を続けた。

「掲示板で面白いことになってるぞ」
「け、掲示板?」

 後ろ姿で手を振りフェフェは去っていく。
 掲示板っていうと………某匿名掲示板かな。ちょっと覗いてみるか。



 ◇◆◇◆



 フェフェは自分が拠点とするギルド『ブレスオブフレイム』のギルドハウスに戻るなり、急いでギルドマスターの元へ向かった。
 このことを早くマスターに伝えないと。

「どうした、フェフェ」
「マスターにこの事を早く伝えたいと思い、馳せ参じました」
「なるほど、あの鍛冶屋のところに趣いたそうではないか」
「はっ!!」
「して、手に入れた情報とやらは?」

 少しためを入れ、フェフェはカンペを見るようにメモ帳に書かれたものを読み上げた。

「アリス殿の好物は"オムライス"であります!!」
「お、おお………フェフェよ。下がれ」
「ま、マスター?どうかなさいましたか?」
「いいから下がれ!!」
「………っは」

 ギルドマスターの突然の異変に戸惑いすら覚えたが、フェフェは心配そうにギルドマスターを一瞥し、そそくさとその場を後にした。
 フェフェが、誰もいないことを確認したのち、ギルド『ブレスオブフレイム』のマスターは小刻みに震え出した。

「お、おおお………おおおおお―――オムライスとかかわいいだろおおおおおおっ!!!!!」

 ギルド『ブレスオブフレイム』のマスターこと、【絶炎】の炎真は一人で叫んだ。

「こーしちゃおれん!!今すぐオムライスの研究せねばっ!!卵料理は火加減が大事ィ―――っ!!!!!!!!!」
「………マスター」

 何やらフライパンと皿を持ち出して何かをやろうとしている炎真を影から見守るフェフェの姿があった。
・補足・
***【フェフェ】***

 神話の吟遊詩人、オルフェウスから。とりあえず安直にフェフェ。ギルド『ブレスオブフレイム』所属の情報屋。ドラスレの情報なら彼に知らないものはない。
 形や、自分の理想としている情報屋に憧れており、変なこだわりを持っていたりする。

***【ブレスオブフレイム】***

 【絶炎】の炎真がギルドマスターをするギルド。マスターはマスターでもマス(コット)ターである。いろんな意味でマスターはメンバーに愛されている。
 実力は上位ギルドに属しており、マスター以外のメンバーの実力はアスキラも太鼓判を押すほど。
 ギルド名は炎真が好きなゲームの名前。

*************************

 四月からさらに忙しくなりそうなので三月は頑張って書きます。

 そろそろクライマックスです。頑張ります。

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