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チートな俺と歌姫な俺と 作者:真幸

◆◇ 第二章 -幸運と不幸- ◇◆

42/54

3-10 <修行。だがそれは貫通>


 書いたり書かなかったりとすいません!!

「うぉ………」

 寸前で火炎ブレスを躱す。鼻先に火炎放射が通り過ぎる。
 そういえば竜の炎って、まともに吸うと肺が燃えるんだよなぁ―――などと考えているとこの避けた方は結果的にダメなのではないのか?と変な考えも後から出てきた。

「気を反らさない!!そうっ!常に冷静に。状態異常ばかり頼らないっ!!またブレス来ますよっ!!」
「っ………」

 クーリンから言わせてもらえば、俺の"ソレ"は戦闘ではなく"暴力"と呼んだ。
 常軌を逸脱したステータス、不自然なほど高確率の状態異常、さらには台本でもあるかのようなラッキーパンチにラッキー回避。
 それを万年不幸を語るクーリンに腐りながら吐かれたら愛想笑いを浮かべるしかなかった。
 だってそれが"ユキ"なんだから………。

 しかし―――。

 双眸に映るは銀翼の竜。
 放つストロボに視界を白く遮断される。目を細め、動きを止めることなく背に携えた剣に手をかける。
 発する光が弱まるを待ち、視界に対峙する輪郭がはっきりしたのを見計らい間合いを詰める。
 走りざまに剣を振り下ろし一撃打つために振りかぶろうとする―――が。

 残響。余音。余剰。余韻。

 なぜか慎重になってしまう。だってこの修行は慎重にならないといけない。
 そう思うだけで動きが鈍り、振り抜いた剣は華麗に空を斬る。

「だめだ………全然当てれない」
「当てれないんじゃないですよっ!!当てるんです!!」
「いやだって、下手に攻撃すればその隙を狙われるって!!」
「なら逆をすればいいじゃないですかっ!!」
「逆って―――っ!?」

 『逆って、隙を攻撃しろって言うんですか』と言おうとしたが、よそ見していた瞬間を狙われる。
 鏡竜――"ニトクリウス"――の鉤爪が頬をかすめる。

 そもそもなぜ、『60』キャップ時代に流行った過去のクエスト、【鏡の中の竜】をやってるかと言うと。
 少し前に遡る。

「まずは自分の力がどんなものか知ることが大切です」
「だからってこれは………今なら瞬殺できるよ?」
「低レベルだからって油断しないでくださいね。"一撃"でも貰えば即やり直しですからねっ!」
「へぇ?つまり………は?」
「まぁ、一種の縛りプレイですよ。セーブなし、残機ゼロのマ○オだと思ってください」
「ノーコンテニュー、ノーセーブ?」
「オンラインゲームにはリセットとセーブはないので安心ですね」
「まんまみーあ………」

 早い話、一撃も喰らわずに倒せ。
 例え頬をかすめても、髪の毛が切れても、足を挫いても、HPゲージがドットでも削れたら最初からやり直し。
 最後のは違うか―――え?最後のもダメなの?

 基本的に俺の動きは、回復薬をカブ飲みしながらダメージ喰らうの覚悟の特攻。
 避けるって行動を覚えたのは、即死級の攻撃が増えだした最近からだし……。
 このゲーム。こんなに難しかったっけ……?

 かぶりを振って、視界を戻す。
 双眸に顕現するは白銀の鏡竜。
 半年前の俺とクオリアにとってカモネギにしか見えなかった竜が、雄々しくその翼を広げその巨体で威嚇するものなら蛇に睨まれた蛙。もう体全体から冷や汗しか流れない。グリップが汗で滑る。
 そういえばクオリア無しでやるのは初めてか。

「どんなに小さな動きでも予備動作はあります!!その予備動作を先読みして避け、攻撃するんですッ!!!!」
「予備動作の先読みってなんだよっ!?」
「間違っても弾道予測線を予測してスナイパーライフルから発砲された弾丸を斬る。とかの話じゃないですよ?」
「何の話だよっ!?」
「フォースとか、目線での判断とかあれば便利なんですけどそんなものありませんから。それとは別に次の行動を予測しどんな予備動作がきてもすぐ動けるようにするんです」
「というと?―――ッあぶな!!」
「例えば、今の突進の後三パターン存在します。尻尾のなぎ払い、バックステップ同時にブレス、噛み付き。ですから何が来てもいいように姿勢を低くして横に避ける準備をするんです」
「なるほど」

 言われた通り突進の後、姿勢を低くして回避の準備をする。
 振り向きざまに鏡竜の首が伸びる。

 ―――噛み付きだッ!!

 ならばと、長く伸びた首の脇に移る。
 この位置なら弱点である頭に一撃を当てられる。
 小さく、細かく、隙の小さい技で攻撃して素早く離脱する。それを繰り返せばいずれ終わる。
 そう教えてもらったことを実行する。

 ―――氷魔法剣・初級二連撃【雪】

「「あ……」」

 気のせいか、クーリンからも同じ音が聞こえた気がする。
 無残にもそれをバックステップで避ける鏡竜。
 置き土産に、ブレスを置いていって―――無論、俺は避けられずもろに喰らってしまったわけだ。
 吹き飛ばされた体を転がりながら起こす。
 すかさずクーリンに抗議の視線を向けも、クーリンは口笛を吹きつつ知らん顔をきめた。
 こればかりはムスっと眉をひそめざるを得ない。

「あ、あはははは………じゃ、戻ってもっかい行きましょうか」
「………はぁ」

 今日で五回目の最初から………。
 クーリンとの修行もまだ一日目だからなんとも言えないけど………こんなんで強くなれるのだろうか心配だ。
 ついでだしアイツにクーリンの防具の事連絡しておこう。



 ◆◇◆◇



 ガウルの港。
 鍛冶屋ヴァルカン。

「こんなもん、か」

 数本の武器と防具をテーブルに並べ、なぜかニヤケた表情を必死に隠そうとしていた。
 鍛冶屋をやっていると、初めて見る装備に心躍る。
 見ろ、この美しいフォルム。美しすぎる。誘ってるのか?俺はレジェンド級の素材でも食っちゃう男だぜ?
 おっと、涎出てきた。

「しっかし、一番のデキがコイツって………」

 並べた武具の数々のうち、一番輝きを放つ武器があった。
 シュウが手にとったのは青白く光る大剣。
 流麗な刀身。差し込む陽を反射し仄かに極彩色を放つ。
 刃に浮かぶは青い竜と水色の竜の二頭。それが弧を描いている。
 鍔はなく、護拳もない。

 青白い大剣―――レジェンド級水氷ノ竜・穿凍すいひょうのりゅう・せんつう

「なんともアイツ向きの剣なことで………」

 覇竜の素材も使ったのもあり、レア度はレジェンド。
 付与されている属性は氷と水。うわ……複合属性って初じゃね?
 要求Str、能力ともに氷覇王竜より上。

「さすがは最新武器、強いな………あとはレアエンチャントだけど………」

 俺にそれを引けるなんてサラサラ思ってない。

「なによ」
「―――」

 テルプは昨日と同じ位置でお茶を飲んでいる。
 飲み干してくれた高級品ではなく、俺が飲む一番安いお茶を出したので少し機嫌が悪い。
 あれ?そういえばこのツンデレ弓使いさん、ユキと同じ激運持ちだったような。

「あの……テルプさん。こいつにエンチャント………していただけますか?」
「は?なんでよ」
「嫌なのはわかったっ!!だからその手に持ったお茶を構えるのはやめろぉっ!!」
「………ッフン。わかればいいのよ」

 嫌ならしょうがない。べべべべべ、別に火傷したくないとかじゃないからなっ!!
 ただ好奇心というか。アイツと同じ幸運持ちならコイツにすんげーの付けれるんじゃないかって、面白半分だったんだが。

「まぁ、ユキに渡したときに自分で付けてもらった方が早いしな」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!!」
「ん?」
「今なんて言ったのよ!?そもそもその剣ってもしかして―――」
「え?何慌てて―――」
「ゆ、ゆ――アイツの剣でしょっ!!」
「え?………あ」

 ひったくられた。

「渡すんだったらそう言いなさいよねぇ~~。しょ、しょうがないなぁ~~。べ、別にアイツのためだとかじゃないんだからねっ!!」
「おう、おう………一気にエンチャントつけて―――いてぇッ!!!」

 エンチャントを五つ付け終えるなり投げ返された。

「いってぇな………これで変なエンチャントにでもなってたらお前………」
「どんなもんよ」
「―――」
「なんか言いなさいよ」
「…………………チート乙」


 なんだよこのエンチャント。
 【全ステアップ】、【氷結確率上昇】、【氷属性ダメージ倍化】、【水属性ダメージ倍化】【貫通】。
 お、恐ろしい………武器単体に水属性と氷属性が付与されているから、この剣で殴れば通常の倍の倍。
 四倍だ………。

「………」
「っま。この私にかかればこんなもんよ」
「ところでさ………」
「ん?」
「この最後のエンチャント………【貫通】ってなんだ?」
「知るわけないでしょ」
「んー。ドラスレwikiも書いてないし………新しく実装されたエンチャント効果か?」
「効果内容は?」
「【全ての障害を貫通させる】としか書かれてないんだよ」
「不明瞭で不親切ね」
「試してみるのが一番早いのだが………要求Str高すぎて俺には扱えないんだよな」
「持つことはできるけど………大剣なんて扱ったことないからいい試しにならないと思うわよ」
「そりゃそうかい」

 まぁ。この【貫通】も【耐性貫通】が一緒くたにしたものと思っていいんだろう。
 まさか本当にどんなものでも"貫通"するわけじゃないもんな。そんなもん手に入れたらアイツ、本当に最強になるわ。

「おっとメールだ」

 差出人は―――ユキからだ。

「噂をすれば………」
「なにっ!!なになになになに!!!!ユキから!?ユキからぁっ!?」
「うるせぇな!!今読んでる途中なんだよ………」

 なになに………『素材余ってる?』

 ―――そんだけかよっ!?!?

 修行でプレイヤースキルを上げるユキ。
 友のために剣を打つシュウ。

 さて。新武器の時点でチート臭しますが………さてさて、チート主人公はどこまでチートになるのか。

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