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*第24話*

少し海ちゃんと雑談をしてから、ついでと言うことで明日の検査を

今日することになった。運のいい事に、今日は患者さんが少ないらしい。


「用意できたら臨夢のぞむに検査着もってかせるから

それ着て、点滴したまま2階のナースステーションな。んじゃ」

ひらひらと手をふって海ちゃんは病室を後にした。


30分ぐらい、玲と和と色々話しているとドアがノックされた

「はい」

「失礼します、美唯さん」

静かにドアを開けて入ってきたのは、海ちゃんの助手的な看護師、風間臨夢かざまのぞむ

「のー君!久しぶりだ~!」

はしゃいで臨夢に飛びつく和。臨夢は少し体制を崩したけど、和の目線までしゃがんで

「和羽君久しぶりですね。身長、伸びましたね?」

といつも見せている柔らかい笑顔をした。


臨夢は私の5歳年上の看護師。私と知り合いと言うのは、光の兄だから。

光同様、黒い髪をポニーテイルに結んでいて、光の顔立ちと似ている。

と言うか、光が臨夢に似ている・・・かな。

光と違うのは、眼鏡をかけていている所と性格。正気かなり真反対。

光はお笑いとかそっち系の奴だけど、臨夢はいつも誰にでも敬語で丁寧な口調で

いつも微笑みを絶やさない。・・・逆にそれが怖いという説もあるけどね・・・。

そして、臨夢は時々少しSになる・・・。


「美唯さん、検査着を持ってきました。用意もできているので、

すぐナースステーションに来ていただいて結構ですよ」

「うん、わかった。ありがとう」

「それでは、美唯さんの用意はゆっくりでいいですから、気をつけてくださいね」

そういって、また静かにドアを開けて病室から出て行った。

「それじゃあ、着替えるので・・・カーテンの外に出てね?」

玲だけカーテンの外に追い出して、シャッと全部とカーテンを閉めた。

「和羽はいいの?」

「弟だからね」

「俺は?」

「だーめ!」

「なんでよ?」

「・・・なんでも!早く着替えるから、少しだけ待ってて!」

「はいはい~。」


さっさと着替えて、玲に付き添ってもらいナースステーションに向かった。

「ここ5階だから、遠いね?不便じゃない?」

「うん、そうなの。けど、ね?・・・お母さんがね、入院してた病室が5階にあったから

私が海ちゃんに5階がいいって頼んだの。わがまま言ってね」

「そっか、だから微妙に5階と」

「うん、微妙なのかはわかんないけどね」

苦笑しながらも、エレベーターに乗って、2階に降りた。


ナースステーションに着くと、臨夢が受付の近くに立っていた。

「臨夢」

「美唯さん、検査着、きつかったりしませんか?」

「うん、大丈夫」

「よかったです、3ヶ月まえのと同じなのですが・・・やっぱりバストが成長してないのでしょうかね」

真顔でクールに、いつもの口調で言うものだから、私は物凄いショックを受ける。

・・・こういうところがSなのだ。と言うか、ドSな気がする。

「・・・貧乳ですよ・・・」

「嘘ですよ、3ヶ月前のよりももう一つ大きいサイズです。バストも成長してますよ」

「・・・嘘。これ160cm」

「・・・ばれました?」

「ばれます!!!」

「あはは、すみません。っと、もう行かないと海莉に怒られますね。」

「そうですね・・・それじゃあ、玲。検査終わったら、一回病室戻るから

それまで少し、和の相手してもらっていいかな?」

「うん、わかった。異常が無い事を祈るよ」

「ありがとう、それじゃあね」

「うん、また後で」


玲とわかれて、私は検査室に向かった。


いつもと同じような検査を受ける。

そして、その途中、どうしても気になっていた事を海ちゃんに聞いた。

「海ちゃん」

「なんだ」

「・・・私は、一部の記憶を落としたん・・・だよね?」

「・・・あぁ、そうだな」

「私自身、そのことも記憶にないから何をなくしたかわからないでしょ?

・・・けどね、和は、何故か私がああいう状況に陥ったとき、自分は私の記憶の一部を

知っているかのように、私を止めるの。・・・和は、私の記憶を知っているの、かな」

「・・・どうだろうな」

「海ちゃん!真面目に聞いてるの!」

「はぁ・・・実俺も知ってるんだけど・・・」

「知ってるの?!なら、なんで・・・!」

検査中だというのに、私は起き上がって、海ちゃんを揺さぶる。

海ちゃんは私の手をつかんで下ろすと、検査結果を待つソファに向かい腰をかけた。

優雅に足を組んで、どっしり構えた海ちゃんが口を開く。

「・・・実はな、俺は、美唯が記憶をなくした直後・・・なんだけどな。

俺ははっきりと、美唯の抜けた記憶の部分が分かっていた。和もすぐにわかったらしくてな。

美唯に教えようとした時、まだ小さい和が泣きながら「お姉ちゃんにはいわないで」って

口止めされてなぁ・・・。泣き顔に負けたのか、自分自身の意思なのか

了承して、美唯にはだまってたんだ。・・・ごめんな」

いつもより赤めの海ちゃんの髪の毛が私の目の前を通った。

そう思ったら、私よりはるか高い海ちゃんがぎゅっと私を抱きしめて

「・・・また、ゆっくり話すから。こんなときに話して、パニックになって

また記憶落とされてもたまんないしな。・・・」

海ちゃんはゆっくり私を離して

「検査続行、また連絡するから」

まれに見る、海ちゃんの優しい笑顔に安心して、検査を続けた。

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