| タケナラシ(5/5) |
五節
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最期まで読んでくださって有り難う御座います。 竹薮に囲まれた地域に住んでいる僕は、竹や筍に親しんで育ちました。 竹薮の中で、あの乾いた「かこおん」という竹の音を聞く度、不思議な存在を想像せずにはいられませんでした。 僕の原点である「竹」を描いたこの物語は、初めて書き上げた作品としてふさわしいものであったと思っております。ご意見、ご感想など頂きたいと思っておりますので、宜しければお願いします。 さて、実はこの話には続きがあります。エピローグみたいなものです。 本編に含まれるとスッキリし過ぎるのではないかと、そんな気がしたので、後書きとして紹介させて頂きます。 ======================== また春が来た。 村も竹の子の季節を迎えた。 「村はずれのとこのロクが竹の子の妖怪に食われた。」という噂は、村じゅうに広まっていた。竹に花が咲くと、その年は凶作になると言われている。しかし、今年はどこのヤブも竹の子がよく出ているから、祟りだの何だのと言って村の者は気味悪がっていた。それでも質の良い竹の子がぽんぽんと出てくるものだから、いつの間にか皆「神さんの恵みや。」と言って喜んで掘るようになった。 少し時が経ち、竹の子の季節が終わる頃。子どもたちが妙なことを口にするようになった。 子供同士で喧嘩をしたり、ひとりの子を除け者にしたりしていると、「あかぁん、あかぁん。」と、奇妙な竹の音がどこからともなく聞こえて来た、と言ったり。仲間に入れてもらえずひとりで遊んでいると、顔と腰が歪んだ竹の子の妖怪が遊んでくれた、と言ったり。 無論、村の大人は誰も相手にしなかったが・・・。 村はずれのロクのお爺とお母は、そんな話をきく度、雪が降ったあの日に居なくなってしまったロクのことを思い出した。 出来損ないだと罵っていた小さな子どもは、本当は心の優しい良い子であったのだ。と、今になって思うようになっていた。ただ身体が不自由であっただけで、使い物にならないなどと思っていた自分を恥ずかしく思っていた。ロクの父親の代わりにしてやろうと思っていたことを情けなく思っていた。 「またロクやんに遊んでもろた。」と、村の子どもから聞かされたある日、ロクのお爺とお母は竹ヤブへ出かけた。 誰も手入れをしなくなったヤブで、お爺が叫んだ。 「おうい。ロクう。聞こえるかあ。」 繁ったヤブからは何の返事も返ってこない。 「ワシらが悪かった。戻って来おい。もういっぺん皆で暮らそうやあ。」 しばらくしいんとして、すぐそばで竹の音が鳴った。 あかぁん、あかぁん 涙混じりにお母が言った。「そうかあ、戻ってこんのかあ。」 こぉん、こぉん もう何を言おうが、それ以上竹の音は鳴らなかった。二人は泣く泣くヤブを下りた。 この村には妖怪が出る。 とても優しい、竹の子の妖怪。 何十年、何百年経っても、子どもたちから妖怪の話が絶えることは無かったそうな。 完 |
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