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冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~ 作者:萩鵜アキ

2章 冒険家レベルが上がっても、影の薄さは治らない

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戦況を立て直そう!

 全てのベロベロを倒し終えた晴輝は、その場に膝を突いた。

 喉が痛い。
 呼吸が熱い。
 気持ち悪い。
 咳をすると、血を吐きそうだ。

 カラカラの喉を、持参した水筒で潤す。
 その水を、たっぷり使ってレアのプランターを湿らせた。

 近くにはもう、生きている魔物の気配がない。
 先ほどまではあったヨシの気配もなくなっている。
 きっとモンパレ討伐の成功を確認してすぐに、カゲミツの応援に向かったのだろう。

 このまま倒れられたら、どれほど気持ち良いだろう?
 快楽に誘惑される。

 だが誘惑を断ち切り、晴輝は呼吸を整える。

 カゲミツから貰った回復薬を服用。
 体に付いた傷が、瞬く間に癒えていく。

 傷が癒えると同時に探知を拡大。
 カゲミツらの状況を空間から把握する。

「……まずいな」

 カゲミツらが戦っている場所はすぐに見当がついた。
 だがどうも、戦いは劣勢であるようだ。

 カゲミツがボスに推されてる。
 また離脱したまま動かないメンバーもいる。

 丁度その時、晴輝の傍にある大量のヌメヌメウナギが、ズププ……とダンジョンに取り込まれ始めた。

 討伐を始めてから約3時間。
 3時間ものあいだ1体の魔物と戦い続けて決着が付かないのは、戦闘時間としてあまりに異常だ。

 晴輝は急いで息を整え、隠密を展開。
 カゲミツらの居る場所まで、全力で走り出した。



 晴輝が駆けつけると、血だらけのカゲミツが一人でリザードマンを相手取っていた。

 ボスの攻撃でカゲミツは満身創痍だった。
 用意した傷薬を服用する暇もない。

 ヴァンは攻撃を食らって離脱している。
 回復するのを待っているのか、傷口を押さえたまま戦闘を睨み付けている。

 晴輝の戦闘を補助したヨシが、ベッキーと併せて遠くから何度も矢を射る。
 しかしその援護射撃も、尾と槍、それに鱗で完璧に防がれている。

 背後からどら猫が回り込み攻撃を仕掛けるが、尻尾が邪魔で深く踏み込めていない。

 24階を探索する冒険家が、手も足も出せてない。

 それはカゲミツらが弱いからじゃない。
 ボスがそれ以上に強いのだ。

 ボスはエアリアルを、たった1匹で圧倒している。

 これが、30階の魔物の実力。

 以前、30階を攻略した勇者マサツグは、これを軽々と倒していたらしい。
 さて一体彼は、どうやってこいつを倒したのだろう?

 打ち倒す様が、晴輝にはまったく想像出来なかった。

 考えているあいだにも、リザードマンの攻撃がカゲミツの肩口に突き刺さった。

「――っく!」

 カゲミツがよろめき、大きな隙が生まれた。
 ギラリ、ボスの目が殺意で光る。

 そのとき晴輝の脳裡に、四釜らが魔物に食われ絶命する光景が蘇った。
 背筋が、ゾワッと凍り付く。

「――ッ!!」

 黙って見てる場合か!!
 晴輝は即座にスキルボードを取り出し、スワイプした。


 ()()(みつる)(24) 性別:男
 スキルポイント:34
 評価:大剣王級
 加護:北風<???>

-生命力
 スタミナ6
 自然回復5

-筋力
 筋力8

-敏捷力
 瞬発力6
 器用さ5

-技術
 武具習熟
  大剣5
  重装4

-直感
 直感3
 探知2

-特殊
 存在感 3
 加護1


 存在感、だとっ!?

「畜生ッ!! なんて神スキルを――じゃない!」

 晴輝は頭を大きく振り、慌ててスキルをタップする。


 伊達充(24) 性別:男
 スキルポイント:34→24
 評価:大剣王級
 加護:北風<???>

-生命力
 スタミナ6→10
 自然回復5→10

-筋力
 筋力8

-敏捷力
 瞬発力6
 器用さ5

-技術
 武具習熟
  大剣5
  重装4→5

-直感
 直感3
 探知2

-特殊
 存在感 3
 加護1


 晴輝は以前、目の前で四釜らが死んで行った光景を如実に思い出した。
 あのとき迷わずスキルを振り分けていたら、彼らは生き延びたかもしれない。

 もう手の届く範囲の命は失いたくない。
 2度と同じ失敗を繰り返したくはなかった。

 だからこそ晴輝は迷うことなく、カゲミツのスキルを振り分けた。

 とはいえ現在はギリギリの戦闘中だ。
 身体能力が急激に向上すれば、逆に体感覚が崩れてピンチに陥ってしまう。

 なので晴輝はカゲミツの生存率を高めつつ、感覚をあまり乱さないスキルを振った。

「――とわっ!!」

 晴輝のスキルのおかげか、致命的な隙を突かれたカゲミツは声を上げながら体を動かした。
 ボスの槍の穂先が、カゲミツの体のギリギリを通り過ぎる。

 続く攻撃も、カゲミツは回避していく。
 彼の回避には先ほどのような危うさが感じられなくなった。

 これでしばらくは持ちこたえられるか。

 次に晴輝は自らのツリーを開く。


 空星晴輝(27) 性別:男
 スキルポイント:5
 評価:隠倣剣師
 加護:布者<????>

-生命力
 スタミナ3
 自然回復2

-筋力
 筋力3

-敏捷力
 瞬発力3
 器用さ3

-技術
 武具習熟
  片手剣3
  投擲2
  軽装3
 蹴術1
 隠密2→3
 模倣2

-直感
 探知2

-特殊
 成長加速 MAX
 テイム1
 加護:1


「ぎゃぁぁあ!!」

 隠密が上がったぁぁぁ!!

「なぜだ!!」

 晴輝はがくりと肩を落とす。
 だが落ち込んでいる暇はない。

 これだけの“事件”が起りながら落ち込む暇すらないとは。
 なんて……なんて厳しい戦場なんだっ!!

 血涙を流しながら、晴輝は死に物狂いで心を立て直す。

 とはいえカゲミツのスキルの値でも、ボスにはまったく通用しない。
 晴輝が自らの能力を、たった5ポイント上げたところで通用するとは思えない。

 しかし、

「………………可能性は、あるか?」

 ひとつだけ、カゲミツのスキルツリーで奇妙な部分に気づく。

 何故様々なスキルが育っているなかで、彼の加護だけは1のままなのか?

 マサツグはカンストしていた。
 レアも、カンストさせた。

 加護が現われた後、晴輝は身体能力の飛躍を感じた。
 カンストさせたレアの投擲も、恐ろしい威力になっていた。

 だからもしかするとこの加護というのは、晴輝が想像した以上の効果があるのではないか?

 どの神の、どんな効果なのか。
 それによって、結果が変るかもしれない。

 いまは1ポイントが生死を分ける。
 失敗は決して赦されない。

 だが、レアの例がある。
 試して損はないだろう。

 晴輝はまず1つ、加護にポイントを振る。


 スキルポイント:5→4

 加護:布者<????>→透明者<????>

 加護:1→2


「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 透明!
 透明になった!!

 ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!

 これはいけない。
 スキル振りを停止すべきか!?

 ……いや、このままだと逆にマズイか?
 振ればまた名前が変る可能性が。

「――くそっ!」

 悩む暇がない。

 カゲミツは現在、ボスを押さえ込んでいる。
 だがそれも時間の問題だ。

 後ろでボスを攻撃していたどら猫が、尾に吹き飛ばされて戦線を離脱した。

 カゲミツの顔に苦悶が浮かぶ。
 きっと撤退を考えているのだろう。

 だがそれも、誰かが殿を務めなければいけない。
 命を賭してボスを止めないと、逃げ切れない。

「もう、どうにでもなれ!!」

 晴輝は意を決してスキルを力一杯タップした。

 スキルポイント:4→3

 加護:2→MAX

「――っ!?」

 そうして神の名が判明した瞬間。
 スキルボードを消した晴輝は、

 ――仮面を外した。
布で透明な神……いったい誰なんだ!?(すっとぼけ

物語はいよいよクライマックス。
果たして晴輝くんの加護は何なのか!?
乞うご期待!!
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