挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~ 作者:萩鵜アキ

2章 冒険家レベルが上がっても、影の薄さは治らない

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

35/72

レアを強化しよう!

 6階はそれまでと違い、通路の脇に雑草が生えていた。
 小さな変化だが、それまでぺんぺん草さえ生えていなかったので、大きな違いである。

 いまのところ、晴輝の目で罠は捕らえられない。
 この辺りにはまだ罠が設置されていないのだろう。

 それでも慎重に歩きながら、晴輝はゲートをアクティベートした。

「少しだけ様子を見ていくか?」
「そうですね。なにかあれば逃げれば良いですし、ホテルで対策を考えられますから」
「そうだな。じゃあ軽く進もう」

 6階層は晴輝らにとって最高到達階層だ。
 出てくる魔物はシルバーウルフ。
 魔物の討伐そのものは、問題ない。

 しかし初めての6階ということでかなり緊張する。

 心拍数が上がる。
 体が痺れ、熱を帯びる。

 大丈夫だろうか?
 自分の力はここでも通用するだろうか?

 しかし、現われたシルバーウルフと刃を交えると、強ばった晴輝の体から幾分緊張感が和らいだ。

「うん。車庫のダンジョンと同じレベルだな」

 もしこちらの方が強かったらどうしようかとも思ったが……。
 明確な違いが感じられず、晴輝はほっと息を吐き出した。

「このまま7階まで進むんですか?」
「…………」

 火蓮の問いに、晴輝は顎に手を当てて黙考した。

 出現する魔物は車庫のダンジョンでも戦っていたシルバーウルフだ。
 おそらく道中は、問題ないだろう。

「ボスがどうかだな。そこまでいって、ダメそうなら引き返す」
「判りました」

 晴輝は前日に6階と7階の情報をWIKIで参照し、地図やボスとの戦い方を予習していた。
 だが情報を眺めるのと、実際に歩き、戦うのは大きく違う。

 その証拠に、初めてのゲジゲジ戦では相手の素早さや堅さに、晴輝は翻弄されっぱなしだった。
 殺傷力皆無だったため致命的な事態には陥らなかったが、6階7階のボスは違う。

 ミイラ取りがミイラになってはいけない。
 万全に万全を期して臨むべきだ。

 階層をマッピングしながら、晴輝は隠された罠に気をつけながら進んでいく。

 薄暗い通路の中にぼんやりと罠の存在が確認出来た。
 探知1がなければ、晴輝でさえ気づかずに踏み抜いていたかもしれない。

「火蓮、この罠がわかるか?」
「はい。ぼんやりですけど」
「なら大丈夫そうだな」

 晴輝だけでなく火蓮も確認でいるようでなによりだ。

 試しに晴輝はわざと罠を踏んづけた。

「か、空星さん! 大丈夫ですか!?」
「うん。全然問題ない」

 直径1メートルほど変色した地面を踏むと、突如地面だと思っていた場所が消えて穴が出現した。

 出現した穴は、深さが1メートルほど。
 罠として感知した範囲より若干直径が広がっている。

「……空星さん、わざと落ちましたよね?」
「ああ」
「どうしてわざと落ちたんですか」
「先に実験しておかないと、穴がどう開くのかわからないだろ?」
「でも底が剣山になってたら、空星さん大けがしてたかもしれないんですよ?」
「あ……」

 火蓮がじとっとした目で晴輝を睨み付ける。
 確かに火蓮の言葉は最も。

 上層の罠は殺傷力がない。
 その情報を知っていたとはいえ、晴輝の行動はあまりに迂闊だった。

 しかし晴輝にも言い分はある。

 罠にかかることで、誤って落ちた時に早く対処が取れるようになる。
 また、WIKIに載ってない情報もあるかもしれない。

 実際、罠はかかる前の範囲よりも、落ちた後の範囲の方が50センチほど広くなっている。
 下手に密集していれば踏んづけた1人だけでなく、他の仲間も巻き添えを食らいかねない。

「落ちなきゃ判らないことがある!」

 晴輝は胸を張って言う。
 穴の中にいるので、どれほど胸を張ろうが情けない。

 そんな姿を見た火蓮が、わざとらしくため息を吐き出した。

「別に、わざわざ自分で落ちなくても……」
「ソ・レ・ダ!」
「……え?」

 困惑した表情を浮かべる火蓮を余所に、晴輝は爛々と目を輝かせるのだった。



 シルバーウルフが現われると、晴輝が即座に敵に背を向けた。

「走るぞ!」
「え、え?」

 晴輝の目的が判らず火蓮は目を丸くした。
 そうしているあいだにも晴輝が魔物を連れて近寄ってくる。

「ほら、走れ!」
「――!」

 晴輝に手を引かれ、火蓮は顔を熱くした。

 一体どうしたっていうのだろう?
 いままでの彼はこんな大胆な行動は取らなかったのに!

 男の人の手。
 自分とは全然違う。
 大きくて、ゴツゴツしている。

 初めて手に触れられたことで、火蓮は完全にパニックに陥ってしまった。
 魔物に追いかけられているというのに、魔物のことなど一切頭にない。

 逃避行――もとい逃走はすぐに終了する。
 10メートルほど後退したところで、急に晴輝が火蓮から手を離してくるり後ろを振り返った。

「…………」

 手が寒い。
 もう少し繋いでいてくれてもいいのに。

 火蓮は不服の目を向けるも晴輝には届かない。

 その彼はというと、

「――よいしょっ!」

 3体のシルバーウルフを、まるでサッカーボールのように蹴り上げた。

 シルバーウルフは綺麗な放物線を描き地面に落下――。

「――え!?」

 落下したシルバーウルフ3体の姿が、地面の向こう側に消えてしまった。

「……落とし穴?」

 そう。
 シルバーウルフらの落下地点が落とし穴だったのだ。

 穴の中から「ヒャイィン」と甲高く、もの悲しげな声が聞こえてきた。

「……まさか一度下がったのって、これを狙ってたからですか?」
「ああ」

 同じダンジョンから生み出されたからか、魔物は決して罠を踏まない。
 罠の位置が判るのか、誘導しても罠を避けてしまうのだ。

 とはいえ、魔物は絶対に罠にかからないわけではない。
 罠の場所を避けているのがその証拠だ。

 しかし誘導しても避ける魔物を、無理矢理罠に引っかけるなど労力の無駄。
 魔物を押しのける力があるなら、倒した方が早い。

「よくこんなことを考えましたね……」
「『わざわざ自分で落ちなくても魔物を罠に引っかければいい』って火蓮が言ったんじゃないか」
「えぇえ……」

 困惑する火蓮を余所に、晴輝は今度こそ堂々と胸を張る。

 ジャガイモの時といい今回といい、火蓮は面白い提案をする。
 晴輝はこういう、突飛もない彼女の指摘を買っていた。

「そんなつもりじゃなかったんですけど……はぁ。それで、なにか判りましたか?」
「魔物も罠にかかることはわかった!」
「その情報、役に立つんですか?」

 魔物を落とし穴に落としたいのであれば、蹴り飛ばせる魔物で、なおかつ直径一メートルの罠の範囲内に落下させなければいけない。

 そんな条件がぴたり重なるような都合の良いタイミングが、そうそう起こりえるだろうか?

「…………いつかは」

 火蓮の指摘に、晴輝は自信なさげに肩を落として答えたのだった。



 シルバーウルフに10度遭遇し、合計35匹を討伐した頃、晴輝は一際広い部屋を発見した。
 おそらくそこがボス部屋だろう。

 これまで戦闘中に罠を踏みつけるという愚は犯さなかった。だがボスが相手だと罠の位置を確認する余裕がないかもしれない。

 遠くから部屋を観察して、罠の位置をチェックする。

 縦横20メートルほどの部屋に、罠が5つ。
 いずれも踏めば腰上まで埋まる落とし穴だ。

 罠はバラバラに設置されている。
 晴輝のように回避しつつ攻撃するタイプには厄介な配置だ。

「こういう時に盾職がどしっと構えていてくれれば討伐が楽なんだけどな」

 この階層のボス、ビッグウルフ攻略法は盾で相手を固定する、スタンダードな戦法である。

 盾職がいるかどうかで難易度がかなり違う。
 実際に無理に突破しようとした盾職なしのチームは、ビッグウルフの攻撃を躱すあいだに罠に落ちて悲惨な目に遭ったと、とある冒険家のブログには書かれていた。

「……どうしますか?」

 無言の空気に堪えかねたのだろう。
 火蓮が恐る恐るというふうに晴輝に尋ねた。

「そうだなあ。回避しながら戦うと、万が一にも罠を踏みつけそうだし。かといって動きを小さくすれば攻撃が当たるかもしれない」

 むしろ攻撃が当たらないように頑張って回避してみるべきか?
 敏捷を1上げたら、それも可能かもしれない。

 頭を捻った晴輝の脳裏に、

「……あっ」

 ユニークな手段が瞬いた。

 よしそれで行こう!
 すぐに晴輝は鞄を下ろし、中から壺を取り出した。

 深呼吸をして、一拍。
 晴輝は瞼を固く閉じて、決意を固める。

「火蓮。これから俺がやることは、絶対に誰にも言わないと誓えるか?」
「…………はい」

 晴輝の緊張感に気圧されたのだろう。火蓮が喉を鳴らして頷いた。

 いつスキルボードについて伝えるか、晴輝はずっと考えていた。
 おそらくこのまま隠し続けていれば、スキルを振れば助かる場面での判断が鈍りかねない。

 であればもう、ここでボードについて火蓮に伝えておくべきだ。
 晴輝は決心して、スキルボードを取り出した。

「火蓮。マジックバックからレアを出して」
「はい……え、レアをですか?」
「ああ」

 指示を出しながら、晴輝はスキルボードのレアの欄を表示した。


 レア(1) 性別:女
 スキルポイント:8
 評価:葉魔

-生命力
 スタミナ0
 自然回復0

-筋力
 筋力0

-敏捷力
 瞬発力0
 器用さ0

-技術
 武具習熟
  投擲0

-直感
 探知0

-特殊
 宝物庫0


 相変わらず突っ込みどころが多い奴め。
 なんだよ宝物庫って。ただの土中じゃないか。

 突っ込みたい気持ちをぐっと堪え、晴輝はスキルポイント8つを一気に振り分けた。


 レア(1) 性別:女
 スキルポイント:8→0
 評価:葉魔→投擲魔

-生命力
 スタミナ0
 自然回復0

-筋力
 筋力0→2

-敏捷力
 瞬発力0→1
 器用さ0→1

-技術
 武具習熟
  投擲0→3

-直感
 探知0

-特殊
 宝物庫0→1


「レア。この壺から弾を補給できるか?」

 なによいきなり、というふうに体を捩るが、それでもレアはノズルを伸ばして瓶から次々とジャガイモ石を吸い取っていく。

 宝物庫に1つ振ったからか、思いのほか入るようだ。
 え? あれ? という僅かな動揺がレアから感じられる。

「じゃあレア。俺のかけ声と一緒にボスを攻撃するぞ?」

 よくわからないけど。
 こくん、とレアは頷いた。

「それじゃ、3、2、1、ゴー!!」

 合図と共に、晴輝とレアが一斉にジャガイモ石を発射した。

 晴輝は次々と瓶から石を補給し、レアはポポポポンと宝物庫から石を吸い上げる。

 ほぼ面で向かう弾丸が、一斉にビックウルフにぶつかった。

「――ャイィン!!」

 足が、顎が、体が次々とへこんでいく。

 晴輝の弾はボスの骨を折り、
 レアの弾はボスに深々と突き刺さる。

 ボスが沈黙するまでに、10秒とかからなかった。

 発射されたジャガイモ石の速度は、晴輝よりレアの方が段違いに速かった。
 筋力2に投擲3は伊達じゃない。
 きっといまのレアと戦えば、晴輝は為す術なく打ち抜かれてしまうだろう。

 これでゼロ歳児とは……。
 ぅゎょぅじょっょぃ。

「空星さん」

 火蓮が真剣な表情で杖を握りしめる。
 彼女の表情になにか得体の知れない不安を感じ、晴輝は身を引き締めた。

 彼女は初めてレアを目にしたとき、その瞳に憎悪を宿していた。

 まさかレアの弾の強さを目の当たりにして恐怖しているのか?

 また、殺せ引っこ抜けと言われるのだろうか?
 晴輝の背筋に冷たい汗が流れ落ちる。

「遠距離攻撃するんだったら、どうして私も混ぜてくれなかったんですか!?」
「……あ、そっちか」
「そっちってなんですか!? 私だって魔法が使えるんですよ!? レアなんかより、ずっと使えるんですから!!」

 どうやら彼女はいまだに、遠距離攻撃の出来るレアをライバル視していたらしい。

『なんか』と言われたレアはというと、格上の魔物を倒したためレベルアップ酔いに罹り、茎がクタっと倒れている。

 それでも葉っぱがピクピク反応しているあたり、反骨心は燃えているようだ。

「それで空星さん。一体どうしてレアは突然強くなったんですか? 少し前までは殺傷力がなかったハズですよね?」
「うん。それなんだけどな……」

 晴輝は自らが持つ魔導具について、現状判明していることを火蓮に伝えた。

 この魔導具がどれほど強力か、火蓮も想像が付いたのだろう。はじめはキラキラと輝いていた表情がだんだんと沈んでいく。

「……もし世間に知られたら、私の魔法なんて目じゃないくらい酷い目に遭いますね」
「ああ。だからこそ秘密にしてたんだ。今回秘密を打ち明けたのは火蓮だからだ」

 火蓮はチームメンバーだ。
 チームメンバーだと、晴輝は思っている。

 彼女を失いたくないし、失うような状況に陥りたくない。
 だからこそ晴輝は秘密を打ち明けた。

 もし危機的状況に陥った場合、気兼ねなくスキルを強化出来るように。

「……私、だから」

 そう呟いて、火蓮がへらっと笑う。
 なんとか表情を引き締めようとしているけれど、口元が彼女の意思を裏切っている。

 んんー?
 笑えるような話をしていたつもりはないんだがな……。

「まあ、そういうわけで俺は個人個人の潜在能力を底上げすることが出来るというわけだ」
「もしかして、私もスキルツリーもあるんですか?」
「あるぞ。見てみるか?」
「はい」

 ボードを出現させ、火蓮に画面を向けた。

「へえ。結構いろんなスキルがあるんですね」
「なにか伸ばしたいスキルはあるか?」
「魔法! いまあるポイント全部魔法に振ってください!」
「……あ、いや、全部はさすがに、ピンチに陥ったときに――」
「振ってください!!」

 火蓮にぐい、と詰め寄られて晴輝は思わずのけぞった。
 近い近い。

 まるで口づけするような距離だ。
 仮面があるので心配は無用だが……。

 仕方ない。

「……わかった」

 根負けした晴輝は、火蓮の魔力ツリーにポイントをつぎ込んだ。


 黒咲火蓮(18) 性別:女
 スキルポイント:3→0
 評価:精人→精霊師

-生命力
 スタミナ1
 自然回復0

-筋力
 筋力0

-魔力
 魔力1→3
 魔術適正1→2
 魔力操作2

-敏捷力
 瞬発力0
 器用さ0

-技術
 武具習熟
  鈍器0
  軽装0

-直感
 探知1

-特殊
 運1


 レアといい火蓮といい、かなりピーキーな性能だ。
 しかし問題はないだろう。
 足りない部分は晴輝が補えば良い。
 それがチームというものだ。

「次の階層は私がボスを倒しますね!」
「まあ焦るな。スキルを振ると感覚がだいぶ変化する。大幅に上昇した攻撃に慣れるまでは、しばらく雑魚狩りだ」
「でも――」
「でもじゃない。俺は高威力になった火蓮の魔法に巻き込まれたくない」

 魔力3になった魔法を食らえば、昏倒くらいじゃ済まないだろう。
 1振りの強化具合からいって、文字通り粉々になる可能性がある。

 背後から致命的な魔法を浴びるなんて、考えただけでも恐ろしい。


 ビックウルフのドロップ――巨大な牙を回収し、晴輝らは7階に降り立った。

 7階は6階に比べて、通路横に生えている雑草の背丈が高くなっていた。
 8階になると腰ほどの高さまで伸びるかもしれない。

 罠が雑草の影にあると、気づかずうっかり踏み抜いてしまいそうだ。
 移動にはさらに神経を使った方が良いだろう。

 ゲートをアクティベートして、火蓮の魔法の威力を確かめるために魔物を探す。

 丁度通路の向こう側からシルバーウルフ3頭がこちらに走り寄ってくる姿が見えた。

「火蓮。あれに魔法を」
「はい!」

 火蓮が杖を掲げて魔力を練る。
 その間に、晴輝は短剣を抜き身構えた。

 打ち漏らしがあっても対処出来るよう、前傾姿勢を取る。

 魔力を練る火蓮の杖に、それまで見たことがない反応が現われた。

 火蓮の魔法は無色透明だった。
 だが現在は、白い霧状のものが渦巻いているのだ。

 ……あれ、これやばくない?

「――えいっ!」

 チャージ時間はいつもと同じ。
 シルバーウルフを1撃で倒していたレベルだ。
 だが、

 瞬間。
 明滅。
 爆音。
 激しい光。

 白い閃光が瞬き、晴輝は思わず手をかざした。

 魔法を放った反動が杖を伝う。
 衝撃ににより跳ね返った杖が、ガツンと火蓮の額を撃った。

 ガリガリガリ。
 火蓮が放った巨大な魔法が床を削りながらシルバーウルフに迫る。
 それも1秒。

 瞼を開いた晴輝は、目の前の光景に息を飲んだ。
 それは火蓮も同じようだった。彼女は小さく悲鳴を漏らした。

 普段と同じチャージ時間。
 だが結果は全く異なっていた。

 先ほどまで晴輝らに襲いかかろうとしていたシルバーウルフ3頭が、すべて肉片に変っていた。

「…………な?」

 辛うじて晴輝はそれだけを口にする。

 一気に上昇させると危ないだろ? と。

「はぃ……うっぷ」

 スキル上昇の凄さと同時に、その変化が持つ恐ろしさにも気づいたのだろう。
 火蓮がへなへなと腰を抜かし、口に手を当てた。

「今のが全力?」
「もう少しいけそうな気がします」
「絶対やらないでね?」

 今のような魔法が放たれたら、前衛の晴輝は確実に死ぬ。
 前に晴輝がいるあいだは、絶対に撃ってはいけない。

「魔法の威力とサイズを小さくするように練習していこう」
「はい……」

 額を赤くした火蓮が、申し訳なさそうに頷いた。

 それと、筋力の増強も必要だろう。
 現時点で高威力の魔法を放つと、反動で火蓮の額がヤバイ。

「地上に戻ったら筋トレだな」
「え……あ、あの、もう7階ですから、私のポイント増えてますよね? 是非筋力に――」
「却下」

 晴輝は彼女の願いをぴしゃりと断る。
 あまりぽんぽんスキルを上げるのも危ないと、レアと火蓮の変化で理解出来た。

 突発的な危機を回避する以外では、ポイントはあまり用いない方が良い。
 でなければ、バランスが崩れることで逆に事故が起りかねない。

「火蓮の筋力は0だから、筋トレで1上げた方がいい」

 どれくらいの時間がかかるかわからないが、肉体能力は魔物の討伐で上がっているのだ。真面目に鍛えればすぐに上がるはずだ。

 筋トレが嫌いなのか、火蓮は眉尻を下げながら「ふにゅ」と鼻を鳴らすのだった。
ついにヒロインが覚醒!
ぅゎょぅι゛ょっょぃ。

次回更新は金曜日です。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ