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冒険家になろう! ~スキルボードでダンジョン攻略~ 作者:萩鵜アキ

1章 スキルツリーを駆使しても、影の薄さは治らない

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久しぶりのソロを満喫しよう!

【ガチ勢】ダンジョンを全力で踏破しろ! 132階目【御用達】

128 名前:最前線に挑む名無し
 ちかほ光ったか?

129 名前:最前線に挑む名無し
 なになに祭り?

130 名前:最前線に挑む名無し
 初回ボス討伐成功?

131 名前:最前線に挑む名無し
 たしかマサツグが遠征中じゃなかったっけ

132 名前:最前線に挑む名無し
 あーなる
 あいつ頭おかしいからな

133 名前:最前線に挑む名無し
 北海道にはボートで行ったんだっけ?

134 名前:最前線に挑む名無し
 ばっかちげぇよ足こぎスワンだ
 オールだとどんな素材でも折れちまうんだとよ

135 名前:最前線に挑む名無し
 へ変態だー!
 でマサツグがやったか!?

136 名前:最前線に挑む名無し
 >>135 フラグ禁止
 たぶんマサツグだろうな

137 名前:マサツグ★
 やあひさしぶり

138 名前:最前線に挑む名無し
 本人降臨きたー!

139 名前:最前線に挑む名無し
 初回ボス討伐マサツグさんなんけ?

140 名前:最前線に挑む名無し
 初回報酬なによ?

141 名前:最前線に挑む名無し
 ボスはどんなやつ?

142 名前:マサツグ★
 >>139 そう
 >>140 よくわからないステッキ鑑定中
 >>141 トカゲを大きくした感じの
 これからWIKI編集する
 タイミング見てブログもアップするから見てね

143 名前:最前線に挑む名無し
 素敵なステッキであることを願うwww

144 名前:最前線に挑む名無し
 >>143 モンパレ逝ってこい
 楽しみにしとるぞ!

145 名前:マサツグ★
 よろしく
 そうだ
 札幌で活動してる仮面の男知らない?

146 名前:最前線に挑む名無し
 なにそれ謎解き?

147 名前:最前線に挑む名無し
 仮面の男は見たことないな
 仮性の男ならここに

148 名前:最前線に挑む名無し
 >>147 モンパレGO

149 名前:最前線に挑む名無し
 そいつがどうしたん?

150 名前:マサツグ★
 名前が売れてる人なのかなと思ってね

151 名前:最前線に挑む名無し
 知らんな
 仮性の男の名前なら(略

152 名前:最前線に挑む名無し
 >>151 モンパレ

153 名前:最前線に挑む名無し
 見たことないけどそいつがどうしたの?

154 名前:マサツグ★
 相手の陣形を足捌きだけで攻略しようとしてるふうに見えたから
 気配の絶ち方も上手かった
 なんだか面白い人材だなと思ってね

155 名前:最前線に挑む名無し
 マサツグさんに面白いって言われるとは
 そいつ何者だよ・・・

          *

 翌日から晴輝は火蓮と示し合わせてダンジョンに潜った。

 1日にゲジゲジ100匹。それが終わると素材を販売しに行き、狩りが終わる。
 それを3日間繰り返した頃、火蓮はゲジゲジを2・3匹相手にしても遅れを取らないまでに成長した。

 成長加速3は、大体経験200%アップというところだろうか?

「……あれ?」

 久しぶりにスキルボードを開くと、ポイントが1つ加算されていた。
 最高到達階層を伸ばしたわけではないので、これまでにない増え方だ。

「……もしかして、希少種か?」

 考えられる可能性としてはそれしかない。
 希少種を刈り続ければ大量にポイントがゲット出来るのか?

 ただ同じ種類の希少種では二度ポイントが付与されない、などの縛りはありそうだ。

 また希少種だけあって遭遇率も低い。
 探して出会える魔物じゃない。

 希少種を狙ってポイントを大量ゲット! という方法は現実的ではないだろう。

 さらに変化はもう1つあった。

-技術
 武具習熟
  片手剣0→1

「片手剣が伸びてるな」

 晴輝は片手剣にポイントを振っていない。
 どうやら自然成長したらしい。

 おそらくは希少種との一戦。晴輝はそこで刃を滑らせるように短剣を振るう術を覚えた。
 あれがスキルが上昇したきっかけになったのだろう。

 これでスキルが自然成長することが確定した。
 おかげで取得すべきスキルの優劣が付いた。

「魔物との戦闘で成長しそうなスキルは後回しでもいいな」

 いずれ片手剣にも振ろうかとも思っていたが、しばらくは様子見。
 低い状態で振るよりも、成長が鈍化したときに振る方が効率が良いだろう。


「えい!」

 100匹目のゲジゲジの頭を、火蓮が魔法で軽々粉砕した。

 初日はかなり力んで魔法を使っていたが、いまじゃ自分の手足のように発動出来ているようだ。

 これもレベルアップのおかげか、あるいは頻繁に使用したことで体が慣れたか。

 彼女の魔法発動風景を眺めていても、それがどういう原理なのかさっぱり判らない。

 判ったのは彼女の魔法が無属性らしいことだけだ。
 炎や風、土や水などを具現化させることは出来ないらしい。

 ただ、火蓮のスキルはまだまだ低い。
 今後属性が付与出来る可能性は、なきにしもあらずだ。

「今日はここまでにしよう」
「はい」
「んで明日だけど、悪いが休みにする」
「なにか予定があるんですか?」
「いや。俺もレベリングがしたいからな」

 ここまで5日間。
 火蓮のサポートを行っていたため、晴輝はまともに狩りが出来ていない。

 5日で火蓮は1・2階の魔物をほとんど寄せ付けないレベルに成長した。
 なのでそろそろ、自分も成長しなくてはと晴輝は考えていた。

「それは……すみません私のせいで」
「謝らなくていい。その代わり、明日は休め」
「判りました。あ、でも先に進むなら私も居た方が――」
「休め。日曜日は神様だって休むんだぞ?」

 晴輝の強い口調に火蓮が不承不承頷いた。

 火蓮には申し訳ないが、明日は一人でダンジョンに入りたい。

 彼女の成長具合を見ていると、どうしても体が疼くのだ。
 負けてはいられないな、と。

 もちろんソロがしたいのも理由の1つだが、いま一番大切なのは彼女に休日を与えることだ。

 印刷会社で休みなし睡眠なしで働いた経験のある晴輝は、休養が人間らしく生きる上で必要なものだと思っている。

 冒険家は特に、体が資本だ。
 疲労が蓄積していては満足に戦えない。
 満足な戦闘が出来ないと、命に直結する。

 万一に備えてこそ万全。
 それも冒険家の仕事だ。


 火蓮に休むよう伝えた翌日。
 晴輝は装備をしっかり確認してからダンジョンに向かった。

 ここのダンジョンはまだ2階までしか到達していない。
『ちかほ』では4階まで到達しているので、是非ここも4階までは行きたいところだ。

 出来れば5階。
 さすがにそれは欲張りだろうか?

 1階はゲートですっ飛ばし2階。
 たまねぎの香りが目に染みるが、気にせずまっすぐ奥に進んでいく。

 2階にはまだ、ボスはいなかった。
 10匹のたまねぎが階段前の広間にたむろっていたが、晴輝の敵ではない。

 涙を流しながら蹴散らし3階に降り立った。

 そこも、2階までと同様の作り。
 実に代わり映えがしないな。

 抜けそうになる気を食い止め、引き締める。

 慎重に歩みを進めると、通路の向こう側からぬっと五十センチほどの生き物が姿を現した。

 黒に近い灰色の毛に、鋭い爪。
 ぱっちりとした目に、愛らしい鼻。

 3階の魔物は害獣と名高い、狸だった。

「たしかブラックラクーンだっけか」

 注意すべきは機動力と鋭い爪。
 晴輝は短剣を抜き、構えた。

「――っ!」

 狸の攻撃に反応。
 即座に躱して反撃。

 キルラビットで得たカウンター技術は、しかし狸に擦りもしなかった。

「早い!」

 機動力はキルラビットよりも上か。
 だが、捕らえられないというほどでもない。

 狸の素早さに驚いたが、冷静に分析すると身体能力は晴輝の方が上だと判った。

 もう少し深く踏み込んでカウンターを放てば、間違いなく仕留められるだろう。

 集中し、観察し、反応。
 ステップを踏み回避。
 反転。
 即座に短剣を振るい、
 狸の体に刃を滑らせる。

「よし当たった!」

 だが狸は生きている。
 刃がかすっただけだ。
 まだ命は刈り取れない。

 気を緩めることなく、2撃、3撃と積み重ねる。

 狸が息を引き取る頃には、晴輝はもう相手の動きに合せることが出来ていた。

 確かに、爪だけじゃなく機動力も注意すべき点だった。
 だが1匹であればどうということもない。

 それだけの余裕がまだ、晴輝にはあった。

 もう1階降りるべきか?
 しばし悩み、晴輝はもう少し狸狩りを続けることにした。

 今回は1人だ。
 危ない橋を渡らず、確実な方法を選ぼう。


 狸を100匹ほど討伐し、6度のレベルアップ酔いに罹った。
 狸の動きに慣れたためか、晴輝はほとんど苦労することなくブラックラクーンを倒せるようになった。

 そろそろ大丈夫だろうと、晴輝は4階を目指す。

 鞄は既に狸の肉で一杯だ。
 今日は狸汁にしよう。
 かのバガボンドでも登場した宝蔵院流槍術では、稽古始めに狸汁を食べていたらしいしね。

 宝蔵院流槍術を真似れば、少しは強くなれるかもしれない。
(メイン武器は短剣だけれど……)

 今から夕食が楽しみだ。

 そんなことを考えながら先へ進むと、地下に続くだろう階段の前。
 広間に、一際大きな狸が鎮座していた。

「出たな」

 あれは間違いなく、この階層のボスだ。
 晴輝は冒険家になって初めてボスを目の当たりにした。

 通常のブラックラクーンよりも2回りほどデカい。
 体長は1メートル20センチくらいか。小学生低学年ほどはある。

 だが小学生とは体積が段違いだ。
 体当たりを食らえば、かなり吹き飛びそうである。

「取り巻きはいないな」

 ボスを眺め、来るだろう攻撃を充分予想する。
 武具をチェックし、強く息を吐き出した。
 そこで、呼吸を止める。

 一気に接近。
 短剣を振り下ろす。
 だが狸が直前で反応。
 鋭い爪で受け止められた。

「いい。実にいいね!」

 通常のブラックラクーンであれば、いまので一撃だった。
 それを、止められた。

 ゾクゾクと背筋が震える。
 冷えた手の先からつま先まで、
 一気に熱を帯びる。

 斬っても斬っても、対応してくる。
 逆に反撃に転じられて回避。
 回り込んで背中から斬撃。
 浅い。
 勢いがうまく削がれた。

 楽しくて、楽しすぎて、つい笑ってしまった。

 相手の動き、力、速度。
 すべてが晴輝の目に焼き付いていく。

 どれも見たことがない。
 どれも感じたことがない。
 だからこそ、素晴らしい。

 だってこの体験は誰のものでもない。
 自分一人しか得られないものなんだから!

「は、ははっ!」

 酸素を取り込みながら、笑う。

 楽しみすぎて、少しだけ攻撃がかすってしまった。
 危ない危ない。
 気を引き締めないと。

 笑みを消して集中する。
 意識を集約して、収束させる。

 相手の筋肉の動き一つひとつを見極める。
 コンマ1秒で全てを観察し、考察する。

 相手はただの獣じゃない。
 意識があり、意思があり、狙いがあり、殺意がある。

 それらを全身で感じ取り、晴輝は未来の動きを予測する。

 良い動きだと思えば、即座に取り入れる。
 ああでもない、こうでもない。
 理屈っぽく、理論的に体を動かし模倣する。

 筋肉の動かし方たった1つで、強さの距離が縮まっていく。
 それも、急速に。

 もっと。
 もっと行ける!

 ボスの動きを取り入れた己の体が、面白いほど良くなっていく。
 それが楽しくて、楽しくて、晴輝はつい夢中になってしまう。

 10、20と短剣で爪に切り結ぶ。
 すると、徐々にボスの動きのパターンが見えてきた。
 ボスがこの後、どう動こうとしているのかも。

 晴輝はそれらを、少しだけズラした。
 キルラビットで学んだカウンターの要領だ。

 切り結ぶと見せかけて、半拍ずらす。
 すると爪はあっさり晴輝の横を素通りする。
 遅れた晴輝の短剣が、ボスの皮膚を深々と貫く。

「ギャァァァ!!」

 甲高いのか野太いのか。
 ボスの悲鳴が広間に響き渡る。

「こいつ、喋れたのか!」

 これまで喋れそうな奴らはいたけれど、一度も声は聞いていない。
 声帯の有無は、強さの証なのだろうか?

 はじめは爪で攻撃していた狸が、全身が切り刻まれると攻撃方法をタックルに変更した。
 晴輝は少し驚いたが、筋肉の動きを見れば十分予測出来る。

 タックルを避けると、ボスが壁に激突した。
 激しい音と衝撃。
 それまでの力とは一線を画している。
 なるほど、追い詰められると強くなるらしい。

 とはいえ晴輝がやることはなにも変らない。
 タックルを避けて短剣をたたき込む。

 晴輝が新たに20の裂傷を生むころには、ボス狸の生命活動が停止していた。

「はぁ……はぁ……」

 呼吸が熱い。
 喉がからからだ。

 一体どれくらい戦っていたのだろう。体が汗でベタベタだった。

 ボスが絶命したことで、僅かにレベルアップ酔いを感じる。
 同時に、ダンジョンの壁全体が僅かに明滅した。

「……ん?」

 その変化が、まるで晴輝のレベルアップ酔いと連動しているかのように錯覚して目眩がした。

「おー。これが初回ボス撃破のサインか」

『なろう』掲示板で度々話題になる『ダンジョン発光』。
 それはこのようにボスを撃破したときに見られる現象である。

 もちろん同じボスを何度討伐しても、その都度発光するわけではない。
 そのダンジョンで、最も始めに倒された場合に限られるのだ。

 おまけにボスの初回攻略には、少しばかり特典が付いているらしい。

 まるでゲームだ。
 あるいはラフレシアの甘い匂い。

 ダンジョンに入る冒険家を競い合わせることで、危険地帯に招き入れる。
 そして、力無き冒険家を捕食する。

 ボスの初回攻略に魅せられ、何人もの冒険家が命を失った。
 命を賭けている場所で欲をかくのは良くないよね、という典型である。
 ダジャレではなく。

「……さて」

 報酬はなにかなとボスに目を向ける晴輝が、ぎょっとする。

 今まさに倒したばかりのボスが、地中へとずぶずぶ取り込まれているからだ。
 まるでダンジョンが、魔物の死肉を食らっているみたいだ。

 これはボス特有の現象なのだろうか?
 あとで調べてみよう。

 折角倒したボス狸を解体出来ず、素材がまるごと失われたころ。
 ボスが倒れていたところに、大きなブラックラクーンの爪と黒くてゴツゴツした石のようなものが現われた。

 ラクーンの爪は、おそらくボスのものだろう。これがボス討伐報酬ということだ。
 そして黒い石のようなものは、きっと初回限定のボーナス。

 持つと、かなりずっしりしている。
 軽く叩いてみると、振動が全体に響いた。

「鉄、かな?」

 鉄かもしれない。
 後で鑑定してもらおう。

 ボスドロップを鞄に詰め込んで、晴輝は4階へと向かった。
+注意+
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