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ありふれた職業で世界最強 作者:厨二好き/白米良

第三章

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ハジメ、〇〇になる 前編


「ふんふんふふ~ん、ふんふふ~ん! いい天気ですねぇ~、絶好のデート日和ですよぉ~」

 フューレンの街の表通りを、上機嫌のウサミミ少女シアがスキップしそうな勢いで歩いている。服装は何時も着ている丈夫な冒険者風の服と異なり、可愛らしい乳白色のワンピースだ。肩紐は細めで胸元が大きく開いており、シアの豊かな胸が歩く度にぷるんっ! ぷるんっ! と震えている。腰には細めの黒いベルトが付いていて引き絞られており、シアのくびれの美しさを強調していた。豊かなヒップラインと合わせて何とも魅惑的な曲線を描いている。膝上十五センチの裾からスラリと伸びる細く引き締まった脚線美は、弾む双丘と同じくらい男共の視線を集めていた。

 もっとも、何より魅力的なのは、その纏う雰囲気と笑顔だろう。頬を染めて、楽しくて仕方ありません! という感情が僅かにも隠されることなく全身から溢れている。亜人族であるとか、奴隷の首輪らしきものを付けている事とか、そんなものは些細な事だと言わんばかりに周囲の人々を尽く見惚れさせ、あるいは微笑ましいものを見たというようにご年配方の頬を緩ませている。

 そんなシアの後ろを、ハジメは苦笑いしながら歩いていた。よほど心が浮きだっているのか、少し前に進んではくるりとターンしてハジメに笑顔を向け追いつくのを待つという行為を繰り返すシアに、周囲の人々同様、ハジメも思わず頬が緩んでしまうのだ。

「はしゃぎすぎだろう、シア。前見てないと転ぶぞ?」
「ふふふ、そんなヘマしませんよぉ~、ユエさんに鍛えられているんですからッ!?」

 注意するハジメに、再びターンしながら大丈夫だと言いつつ足を引っ掛けて転びそうになるシア。すかさず、ハジメが腰を抱いて支える。シアの身体能力なら特に問題なく立て直すだろうが、今日は丈の短いスカートなので念のためだ。シアを鼻息荒く凝視している男共にラッキースケベなど起こさせはしない。

「しゅ、しゅみません」
「ほれ、浮かれているのはわかったから隣りを歩け」

 腰を抱かれて恥ずかしげに身を縮めるシアは、ハジメの服の袖をちょこんと摘んだまま、今度は小さな歩幅でチマチマと隣りを歩き始めた。その頬を染めて恥らう愛らしい姿に、周囲の男達はほぼ全員ノックアウトされたようだ。若干名、隣を歩く恋人の拳が原因のようだが。

 そんなハジメとシアの二人は周囲の視線を集めつつ、遂に観光区に入った。観光区には、実に様々な娯楽施設が存在する。例えば、劇場や大道芸通り、サーカス、音楽ホール、水族館、闘技場、ゲームスタジオ、展望台、色とりどりの花畑や巨大な花壇迷路、美しい建築物や広場などである。

「ハジメさん、ハジメさん! まずはメアシュタットに行きましょう! 私、一度も生きている海の生き物って見たことないんです!」

 ガイドブックを片手に、ウサミミを「早く! 早く!」と言う様にぴょこぴょこ動かすシア。【ハルツィナ樹海】出身なので海の生物というのを見たことがないらしく、メアシュタットというフューレン観光区でも有名な水族館に見に行きたいらしい。

 ちなみに、樹海にも大きな湖や川はあるので淡水魚なら見慣れているらしいのだが、海の生き物とは例えフォルムが同じ魚でも感じるものは違うらしい。魚なんて皆一緒だろうと、ハジメなどは思うのだが……空気を読んで何も言わなかった。ハジメ的に、今日はシアに優しくする所存である。

「へぇ~、内陸なのに海の生き物とか……気合はいってんな。管理、維持、輸送と大変だろうに……」

 少し興味を持つ点がズレているハジメだが断る理由もないので了承する。それにシアが嬉しそうにニコニコしながらハジメの手を握って先導した。

 途中の大道芸通りで、人間の限界に挑戦するようなアクロバティックな妙技に目を奪われつつ、たどり着いたメアシュタットは相当大きな施設だった。海をイメージしているのか全体的に青みがかった建物となっており多くの人で賑わっている。

 中の様子は極めて地球の水族館に似ていた。ただ、地球ほど、大質量の水の圧力に耐える透明の水槽を作る技術がないのか、格子状の金属製の柵に分厚いガラスがタイルの様に埋め込まれており、若干の見にくさはあった。

 だが、シアはそんな事気にならないようで、初めて見る海の生き物の泳いでいる姿に瞳をキラキラさせて、仕切りに指を差しながらハジメに話かけた。すぐ隣で同じく瞳をキラキラさせている家族連れの幼女と仕草が同じだ。不意に、幼女の父親と思しき人と視線が合い、その目に生暖かさが含まれている気がして、ハジメは何となく気まずくなりシアの手を取ってその場を離れた。シアが、ハジメの行動に驚きつつも、手を握られたのが嬉しくて、頬を染めながら手をにぎにぎし返したのは言うまでもない。

 そんなこんなで一時間ほど水族館を楽しんでいると、突然、シアがギョッとしたようにとある水槽を二度見し、更に凝視し始めた。

 そこにいたのは……シーマ○だった。ハジメが、知っている某ゲームの人面魚そっくりだった。

「……な、なぜ彼がここに……」

 戦慄の表情でシアが一歩後退りする。○ーマンは、シアに気がついたのか水槽の中から同じように、彼女を気だるそうな表情で見つめ返した。訳のわからない緊迫感が生まれる。そんな二人?を放置して、ハジメは水槽の傍に貼り付けられている解説に目をやった。

 それによると、このシー○ンは水棲系の魔物であるらしく、固有魔法“念話”が使えるようだ。滅多に話すことはないらしいがきちんと会話が成立するらしく、確認されている中では唯一意思疎通の出来る魔物として有名らしい。

 ただ、物凄い面倒くさがりのようで、仮に会話出来たとしても、やる気の欠片もない返答しかなく、話している内に相手の人間まで無気力になっていくという副作用?みたいなものまであるので注意が必要とのことだ。あと、お酒が大好きらしく、飲むと饒舌になるらしい。但し、一方的に説教臭いことを話し続けるだけで会話は成立しなくなるらしいが……ちなみに、名称はリーマンだった。

 ハジメは、一筋の汗を流しながら未だ見つめ合っているのかにらみ合っているのかわからないシアを放置して、話しかけてみた。ただ、普通に会話しても滅多に返してくれないらしいので、同じく“念話”を使ってみる。

“お前さん、念話が使えるんだって?本当に話せるのか?言葉の意味を理解できる?”

 突然の念話に、リーマンの目元が一瞬ピクリと反応する。そして、シアから視線を外すと、ゆっくりハジメを見返した。シアが、何故か勝った! みたいな表情をしているが無視だ。

“……チッ、初対面だろ。まず名乗れよ。それが礼儀ってもんだろうが。全く、これだから最近の若者は……”

 おっさん顔の魚に礼儀を説かれてしまった。痛恨のミスである。ハジメは頬を引き攣らせながら再度会話を試みる。

“……悪かったな。俺はハジメだ。本当に会話出来るんだな。リーマンってのは一体何なんだ?”
“……お前さん。人間ってのは何なんだ?と聞かれてどう答える気だ?そんなもんわかるわけないだろうが。まぁ、敢えて言うなら俺は俺だ。それ以上でもそれ以下でもねぇ。あと名はねぇから好きに呼んでくれ”

 ハジメは、内心「どうしよう……」と思った。何か、セリフがいちいち常識的で、しかも少しカッコイイのだ。全くもって予想外である。やる気の欠片もなかったんじゃないのか?と水族館の職員にクレームを付けたい。ハジメが、ちょっと現実逃避気味に遠くを見る目をしていると、今度はリーマンの方から質問が来た。

“こっちも一つ聞きてぇ。お前さん、なぜ念話が出来る?人間の魔法を使っている気配もねぇのに……まるで俺と同じみてぇだ”

 当然といえば当然の疑問だろう。何せ、人間が固有魔法として“念話”を使っているのだ。なぜ自分と同じことを平然と出来ているのか気になるところだ。普段は、滅多に会話しないリーマンがハジメとの会話に応じているのも、その辺りが原因なのだろう。ハジメは、念話が使える魔物を喰って奪い取ったとかなり端折った説明をした。

“……若ぇのに苦労してんだな。よし、聞きてぇことがあるなら言ってみな。おっちゃんが分かることなら教えてやるよ”

 同情された。どうやら、魔物を喰うしかないほど貧乏だとでも思われたようだ。今のそれなりにいい服を着ている姿を見て、「頑張ったんだなぁ、てやんでぇ! 泣かせるじゃねぇか」とヒレで鼻をすする仕草をしている。

 実際、苦労したことは間違いないので特に訂正はしないハジメ。ただ、人面魚に同情される人生って……と若干ヘコんだ。何とか気を取り直しつつ、リーマンに色々聞いてみる。例えば、魔物には明確な意思があるのか、魔物はどうやって生まれるのか、他にも意思疎通できる魔物はいるのか……リーマン曰く、ほとんどの魔物は本能的で明確な意思はないらしい。言語を理解して意思疎通できる魔物など自分の種族しか知らないようだ。また、魔物が生まれる方法も知らないらしい。

 他にも色々話しているとそれなりの時間が経ち、傍目には若い男とおっさん顔の人面魚が見つめ合っているという果てしなくシュールな光景なので、人目につき始める。シアが、それにそわそわし始めハジメの服の裾をちょいちょい引っ張るので、ハジメは会話を切り上げた。

 リーマンとの会話は中々に面白かったが、今日はシアに付き合うと決めていたのだ。蔑ろにしては約束を反故にすることになる。リーマンの方も「おっと、デートの邪魔だったな」と空気を呼んで会話の終わりを示した。ちなみに、その頃には「リーさん」「ハー坊」と呼び合う仲になっていたりする。ハジメは、リーマンの中に“漢”を見たのだ。

 ハジメは、最後にリーマンが何故こんなところにいるのか聞いてみた。そして、返ってきた答えは……

“ん?いやな、さっきも話した通り、自由気ままな旅をしていたんだが……少し前に地下水脈を泳いでいたらいきなり地上に噴き飛ばされてな……気がついたら地上の泉の傍の草むらにいたんだよ。別に、水中じゃなくても死にはしないが、流石に身動きは取れなくてな。念話で助けを求めたら……まぁ、ここに連れてこられたってわけだ”

 ハジメは、ツーと一筋の汗を流した。それは、明らかにライセンの大迷宮から排出された時のことだろう。どうやら、リーマンはそれに巻き込まれて一緒に噴水に打ち上げられたらしい。直接の原因はミレディの阿呆だが、巻き込んだという点に変わりはない。

 ハジメは、ゴホンッと咳払いを一つして気を取り直すと、リーマンに尋ねた。

“あ~、リーさん。その、何だ。ここから出たいか?”
“?そりゃあ、出てぇよ。俺にゃあ、宛もない気ままな旅が性に合ってる。生き物ってのは自然に生まれて自然に還るのが一番なんだ。こんな檻の中じゃなく、大海の中で死にてぇてもんだよ”

 いちいち言葉に含蓄のあるリーマン。既に、リーマンを気に入っていたハジメは、巻き込んだこともあるしと彼を助けることにした。

“リーさん。なら、俺が近くの川にでも送り届けてやるよ。どうやら、この状況は俺達の事情に巻き込んじまったせいみたいだしな。数分後に迎えを寄越すから、信じて大人しく運ばれてくれ”
“ハー坊……へっ、若造が、気ぃ遣いやがって……何をする気かは知らねぇが、てめぇの力になろうって奴を信用できないほど落ちぶれちゃいねぇよ。ハー坊を信じて待ってるぜ”

 ハジメとリーマンは共に男臭い笑みを交わしあった。その分かりあったような表情で見つめ合う二人? に「あれ? まさかのライバル登場?」とシアが頬を引き攣らせる。ハジメがシアの手を引いてその場を離れようと踵を返した。訳がわからないが、取り敢えずハジメに付いて行くシアにリーマンの“念話”が届く。

“嬢ちゃん、あん時は驚かせて悪かったな。ハー坊と繋いだその手、離すんじゃねぇぞ”

「へ? へ? えっと、いえ、気にしてません! おかげでハジメさんとファーストチュウ出来たので! あと、もちろん離しませんよ!」

 訳がわからないなりに、しっかり返事するシア。そんな彼女に満足気な笑みを見せるリーマン。「お節介め」と苦笑いするハジメは、新たな友人のこれからに幸運を祈りつつメアシュタット水族館を後にした。

 そして、その数分後、下部にカゴをつけた空飛ぶ十字架が水族館内を爆走し、リーマンの水槽を粉砕、流れ出てきたリーマンを見事カゴにキャッチすると追いかける職員達を蹴散らし(怪我はさせていない)、更に壁を破壊して外に出ると遥上空へと消えていくという珍事が発生した。新種の魔物か、あるいはリーマンの隠された能力かと大騒ぎになるのだが……それはどうでもいい話だ。


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 一方その頃……

 ユエとティオは、商業区にて買い出し中だった。といっても、ハジメの“宝物庫”には必要なものが大量に入っているので、旅中で消費した分を少し補充する程度のことだ。したがって、それほど食料品関係を買い漁る必要はなく、二人は、商業区をぶらぶらと散策しながら各種のショップを冷やかしていた。

「ふむ。それにしても、ユエよ。本当に良かったのか?」
「? ……シアのこと?」
「うむ。もしかすると今頃、色々進展しているかもしれんよ? ユエが思う以上にの?」

 ブティックで展示品を品定めしているユエに、ティオがそんな質問をする。声音は少し面白がるような響きが含まれていた。余裕ぶっていていいのか? 足元をすくわれるかもしれないぞ? と。ティオとしては、三人の不思議な関係に興味があった。これから共に旅をする以上、一度腹を割って話してみたかったのだ。

 それに対して、ユエは動揺の欠片もなくティオをチラリと見ると肩を竦めた。本当になんの危機感も持っていないようだ。

「……それなら嬉しい」
「嬉しいじゃと? 惚れた男が他の女と親密になるというのに?」
「……他の女じゃない。シアだから」

 首を傾げるにティオにユエは、店を見て回りながら話を続ける。

「……最初は、ハジメにベタベタするし……色々下心も透けて見えたから煩わしかった……でも、あの子を見ていてわかった」
「わかった?」
「……ん、あの子はいつも全力。一生懸命。大切なもののために、好きなもののために。良くも悪くも真っ直ぐ」
「ふむ。それは見ていてわかる気がするの……だから(ほだ)されたと?」

 ティオは、短い付き合いながら今までのシアを脳裏浮かべて頬を緩めた。亜人族にあるまじき難儀な体質でありながら笑顔が絶えないムードメイカーな少女に自然と頬を綻ぶのだ。まだ、若いがゆえに色々残念なところや空回るところはあるが、ティオもシアの事は気に入っている。しかし、唯一無二の恋人とデートさせる理由としては些か弱い気がして、結局は気に入ったからという理由だけなのかと確認をとる。

「……半分は」
「半分? もう半分は何じゃ?」

 ティオの疑問顔に、ユエは初めて口元に笑みを浮かべて答えた。

「……シアは、私の事も好き。ハジメと同じくらい。意味は違っても大きさは同じ……可愛いでしょ?」
「……なるほどの……あの子にはご主人様もユエもどちらも必要ということなんじゃな……混じりけのない好意を邪険に出来る者は少ない。あの子の人徳というものかの。ふむ、ユエのシアへの思いはわかったが……じゃが、ご主人様の方はどうじゃ? 心奪われるとは思わんのか? あの子の魅力は重々承知じゃろ?」

 ユエは、それこそ馬鹿馬鹿しいと肩を竦めると、今度は妖艶な笑みを見せた。目を細め、頬を染め、チロリと舌が唇を舐める。少女のように小柄でありながら全身から溢れ出る色気に、周囲を歩く者達が男女に関係なく足を止めて見蕩れている。そして、同じようにユエに目を釘付けにされながら歩いてきた歩行者と衝突してあちこちで事故が起きていた。隣にいるティオの色気溢れる豊満な肉体ですら霞むほどで、当のティオも、昨夜覗き見した時のユエの蕩けた表情を思い出し、思わず見蕩れてしまった。

「……ハジメには“大切”を増やして欲しいと思う。でも……“特別”は私だけ……奪えると思うなら、やってみればいい。何時でも何処でも誰でも……受けて立つ」

 “貴女に出来る?”そう言外に言い放ち微笑むユエに、ティオは普段の無表情とのギャップも相まって言い知れぬ迫力を感じ一歩後退った。無意識の後退だったようで、ティオはそんな自分に驚いた表情をすると、苦笑いしながら両手を上げて降参の意を示した。

「まぁ……喧嘩を売る気はない。妾は、ご主人様に罵ってもらえれば十分じゃしの」
「……変態」

 呆れた表情でティオを見るユエに、本人はカラカラと快活に笑うだけだった。そして、わざわざこのような話を始めたのも自分達との関係を良好なものにするためだろうと察していたユエは、あこがれの竜人族のブレない変態ぶりに深い溜息を吐きつつも、上手くやっていけそうだと苦笑いするのだった。

 と、そんな風に、少しユエとティオの距離が縮まり二人がブティックを出た直後、

ドガシャン!!

「ぐへっ!!」
「ぷぎゃあ!!」

 すぐ近くの建物の壁が破壊され、そこから二人の男が顔面で地面を削りながら悲鳴を上げて転がり出てきた。更に、同じ建物の窓を割りながら数人の男が同じように悲鳴を上げながらピンボールのように吹き飛ばされてくる。その建物の中からは壮絶な破壊音が響き渡っており、その度に建物が激震し外壁がひび割れ砕け落ちていく。

 そして十数人の男が手足を奇怪な方向に曲げたままビクンビクンと痙攣して表通りに並ぶ頃、遂に、建物自体が度重なるダメージの耐えられなくなったようで、轟音と共に崩壊した。

 野次馬が悲鳴を上げながら蜘蛛の子を散らすように距離を取る中、ユエとティオは聞きなれた声と気配に、その場に留まり呆れた表情を粉塵の中へと向けた。

「ああ、やっぱり二人の気配だったか……」
「あれ? ユエさんとティオさん? どうしてこんな所に?」
「……それはこっちのセリフ……デートにしては過激すぎ」
「全くじゃのぉ~、で? ご主人様よ。今度は、どんなトラブルに巻き込まれたのじゃ?」

 ユエとティオが感知していた通り、粉塵をかき分けて現れたのはハジメとシアだった。二人はデートに出かけた時の格好そのままに、それぞれお馴染みの武器を携えてユエ達のもとへ寄って来た。可愛らしい服を着ていながら、肩に凶悪な戦鎚を担ぐシアの姿はとてもシュールだ。

「あはは、私もこんなデートは想定していなかったんですが……成り行きで……ちょっと人身売買している組織の関連施設を潰し回っていまして……」
「……成り行きで裏の組織と喧嘩?」

 呆れた表情のユエにシアが乾いた笑いをする。ティオが、どういう事かとハジメに事情説明を求めて視線を向けた。

「まぁ、ちょうど人手が足りなかったところだ。説明すっから手伝ってくれないか?」

 ドンナーをホルスターに仕舞いながら、地面に転がる男達を通行の邪魔だとでも言うように瓦礫の上に放り投げていくハジメ。積み重なっていく男達を尻目に、ハジメは、ユエとティオに何があったのか事情を説明し始めた。

いつも読んで下さり有難うございます
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次回は、月曜日の18時更新予定です
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