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ありふれた職業で世界最強 作者:厨二好き/白米良

第二章

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ゴーレムの中の人

 

 とある部屋の中、壁から放たれる青白い仄かな光が、壁にもたれ掛かりながら寄り添う三人の人影を映す。ハジメ、ユエ、シアの三人だ。

 ハジメを中心に右側にユエ、左側にシアが座り込んで肩にもたれ掛かっている。部屋には静寂が満ちているが、耳を澄ませばほんの僅かにスゥースゥーと呼吸音が聞こえる。ユエとシアの寝息だ。二人は、ハジメの両腕を抱いたまま、その肩を枕替わりに睡眠をとっているのだ。

 ハジメ達が、ライセンの迷宮に入ってから今日でちょうど一週間である。その間も数々のトラップとウザイ文に体よりも精神を削られ続けた。スタート地点に戻されること七回、致死性のトラップに襲われること四十八回、全く意味のない唯の嫌がらせ百六十九回。最初こそ、心の内をミレディ・ライセンへの怒りで満たしていたハジメ達だが、四日を過ぎた辺りから何かもうどうでもいいやぁ~みたいな投げやりな心境になっていた。

 食料は潤沢にあるし、身体スペック的に早々死にはしないのが不幸中の幸いだ。今のように休息を取りながら少しずつ探索を進めている。その結果、どうやら構造変化には一定のパターンがあることがわかった。“マーキング”を利用して、どのブロックがどの位置に移動したのかを確かめていったのだ。

 もうそろそろ進展があるかもしれない。そんなことを思いながら、ハジメは両隣で眠る少女達に視線を向けた。

「気持ちよさそうに寝やがって……ここは大迷宮だぞ?」

 ハジメの苦笑い混じりの囁きが響く。見張り役なのでずっと起きていたのだ。ハジメは、何となしに抱きしめられている腕をそっと解いて、ユエの髪を撫でる。僅かに頬が綻んだように見えた。ハジメの目元も僅かに緩む。

 次いで、反対側のシアに視線を転じると、ハジメの肩に盛大によだれを垂らしながらムニャムニャと口元を動かし、実に緩んだ表情で眠っていた。そう言えば頭を撫でて欲しいと言っていたなと思い出し、そっとシアの髪も撫でてみるハジメ。次いでに、ウサミミもモフモフしておく。そうすると唯でさえだらしない事になっている表情が更にゆるゆるになってしまった。安心しきった表情だ。ハジメが見張り役をしている以上、いや、もしかしたらハジメが傍にいるだけで安心なのかもしれない。

 やわらかな青みがかった白髪やウサミミを撫でながらハジメは何とも複雑な表情をした。

「まったく、俺みたいなヤツの何処がいいんだか……こんな所まで付いて来やがって……」

 悪態は付いているが眼差しは柔らかい。シアが求めるような、ユエに対するものと同じ感情を抱けるとは今のところ思えないが、それでもシアのポジティブな考え方や明るさ、泣き言を言いながらも諦めない根性は……結構気に入っているハジメ。自然、撫でる手付きも優しくなる。と、その時、シアがムニャムニャと寝言を言い始めた。

「むにゃ……あぅ……ハジメしゃん、大胆ですぅ~、お外でなんてぇ~、……皆見てますよぉ~」
「……」

 優しい目つきはそのままに瞳の奥から笑みが消えるハジメ。優しい手付きのまま、そっと移動させた手で、シアの鼻を摘み口を塞いだ。穏やかだったシアの表情が徐々に苦しげなものに変わっていくが気にせず塞ぎ続ける。

「ん~、ん? んぅ~!? んんーー!! んーー!! ぷはっ! はぁ、はぁ、な、何するんですか! 寝込みを襲うにしても意味が違いますでしょう!」

 ぜはぜはと荒い呼吸をしながら目を覚まし猛然と抗議するシアに、ハジメは冷ややかな目を向ける。

「で? お前の中で、俺は一体どれほどの変態なんだ? お外で何をしでかしたんだ? ん?」
「えっ? ……はっ、あれは夢!? そんなぁ~、せっかくハジメさんがデレた挙句、その迸るパトスを抑えきれなくなって、羞恥に悶える私を更に言葉責めしながら、遂には公衆の面前であッへぶっ!?」

 聞いていられなくなって強化済みデコピンを額に叩き込むハジメ。シアは、衝撃で大きく仰け反った挙句、背後の壁で後頭部を強打し涙目で蹲った。やっぱり、残念なキャラは抜け出せないらしい。

 後頭部をさすりながら「何となく幸せな気持ちになったのですが気のせいでしょうか?」と呟く。おそらく、無意識にハジメの撫でを感じていたのだろう。だが、それを言えば調子乗るのは目に見えているので、ハジメは無視して言わないことにした。

 シアも起きた(強制的に)ので、ハジメはユエを優しく揺さぶり起こす。ユエは「……んぅ……あぅ?」と可愛らしい声を出しながらゆっくりと目を開いた。そして、ボーとした瞳で上目遣いにハジメを確認すると目元をほころばせ、一度、ハジメの肩口にすりすりすると、そっと離れて身だしなみを整えた。

「うぅ、ユエさんが可愛い……これぞ女の子の寝起きですぅ~、それに比べて私は……」

 今度は落ち込み始めたシアに、ユエは不思議そうな目を向けるが、“シアだから”という理由で放置する。

「ほれ、戦力(女子力)で圧倒されていることは最初からわかりきったことだろ? 落ち込んでないで探索開始だ」
「……優しさって、どこかに落ちてないですかね?」
「……? ハジメはドロップしてくれる」
「ぐすっ、どうせユエさんだけですよ。ちくせう」

 シアが、少々やさぐれた様子で立ち上がる。ユエとハジメは準備万端だ。今度は、スタート地点に戻されないことを祈って、三人は迷宮攻略を再開した。

 再び嫌らしい数々のトラップとウザイ文を菩薩の心境でクリアしていく。

 そして、ハジメ達は、一週間前に訪れてから一度も遭遇することのなかった部屋に出くわした。最初にスタート地点に戻して天元突破な怒りを覚えさせてくれたゴーレム騎士の部屋だ。だたし、今度は封印の扉は最初から開いており、向こう側は部屋ではなく大きな通路になっていた。

「ここか……また包囲されても面倒だ。扉は開いてるんだし一気に行くぞ!」
「んっ!」
「はいです!」

 ハジメ達は、ゴーレム騎士の部屋に一気に踏み込んだ。部屋の中央に差し掛かると、案の定、ガシャンガシャンと音を立ててゴーレム騎士達が両サイドの窪みから飛び出してくる。出鼻を抉いて前方のゴーレム騎士達を銃撃し蹴散らしておく。そうやって稼いだ時間で、ハジメ達は更に加速し包囲される前に祭壇の傍まで到達した。ゴーレム騎士達が猛然と追いかけるが、ハジメ達が扉をくぐるまでには追いつけそうにない。逃げ切り勝ちだと、ハジメはほくそ笑んだ。

 だが、そんなハジメの笑みは次の瞬間には剥がれ落ちた。何と、ゴーレム騎士達も扉をくぐって追いかけてきたからだ。しかも……

「なっ!? 天井を走ってるだと!?」
「……びっくり」
「重力さん仕事してくださぁ~い!」

 そう、追いかけてきたゴーレム騎士達は、まるで重力など知らんとばかり壁やら天井やらをガシャンガシャンと重そうな全身甲冑の音を響かせながら走っているのである。これには、流石のハジメ達も度肝を抜かれた。ハジメは、咄嗟に通路に対して“鉱物系鑑定”を使うが、材質は既知のものばかり。重力を中和したり、吸着の性質を持った鉱物等は一切検知できなかった。

「どうなってやがるんだ?」

 そんな呟きが思わず口から漏れる。そして、再度、背後の騎士をチラリと振り返って更に度肝抜かれることになった。

 天井を走っていたゴーレム騎士の一体が、走りながらピョンとジャンプすると、まるで砲弾のように凄まじい勢いで頭を進行方向に向けたまま宙を飛んできたのである。

「んなっ!? くそったれ!」

 ハジメは驚愕の声を漏らしながらドンナーを連続して発砲する。放たれた弾丸は閃光となって飛んできたゴーレム騎士の兜と肩を破壊した。ゴーレム騎士は頭部と胴体が別れ、更に大剣と盾を手放す。しかし、それらは地面に落ちることなく、そのままハジメ達に向かって突っ込んできた。

「回避だ!」
「んっ」
「わきゃ!」

 猛烈な勢いで迫ってきたゴーレム騎士の頭部、胴体、大剣、盾を屈んだり跳躍したりして躱していく。ハジメ達を通り過ぎたゴーレム騎士の残骸は、そのまま勢いを減じることなく壁や天井、床に激突しながら前方へと転がっていった。

「おいおい、あれじゃまるで……」
「ん……“落ちた”みたい」
「重力さんが適当な仕事してるのですね、わかります」

 まさしくユエやシアの言葉が一番しっくりくる表現だった。どうやらゴーレム騎士達は重力を操作できるらしい。なぜ、前回は使わなかったのかはわからないが、もしかすると部屋から先の、この通路以降でなければならなかったのかもしれない。

 そんな推測も、ゴーレム騎士達がこぞってハジメ達に“落下”してきたことで中断された。中には大剣を風車のように回転させながら迫ってくる猛者もいる。ハジメ達は、銃撃や“破断”で遠距離攻撃しつつ、接近してきたものはシアが打ち払い、足を止めることなく先へ進んでいった。

 暫くすると、ハジメ達は先の方に何かの気配を感じた。

「むぅ……ハジメ」
「ああ、わかってる。まぁ再構築できるなら、そうなるわな」
「は、挟まれちゃいましたね」

 先へと落ちていったゴーレム騎士達が、落下先で再構築したようだ。隊列を組んでハジメ達を待ち構えていた。盾を全面に押し出し腰をどっしりと据えて壁を作っている。ご丁寧に二列目のゴーレム騎士達は盾役の騎士達を後ろから支えていた。おそらく、一列だけではパワーで粉砕されると学習したのだろう。

「ちっ、面倒な」

 ハジメは舌打ちをするとドンナー・シュラークを太もものホルスターにしまう。そして“宝物庫”から一つの兵器を取り出す。

 手元に十二連式の回転弾倉が取り付けられた長方形型のロケット&ミサイルランチャー:オルカンである。ロケット弾は長さ三十センチ近くあり、その分破壊力は通常の手榴弾より高くなっている。弾頭には生成魔法で“纏雷”を付与した鉱石が設置されており、この石は常に静電気を帯びているので、着弾時弾頭が破壊されることで燃焼粉に着火する仕組みだ。

 ハジメは、オルカンを脇に挟んで固定すると口元を歪めて笑みを作った。

「ユエ、シア! 耳塞げ! ぶっぱなすぞ!」
「ん」
「えぇ~何ですかそれ!?」

 初めて見るオルカンの異様にシアが目を見張る。ユエは、走りながら人差し指を耳に突っ込んだ。

 シアのウサミミはピンッと立ったままだが、お構いなしにハジメはオルカンの引き金を引いた。

バシュウウ!

 そんな音と共に、後方に火花の尾を引きながらロケット弾が発射され、狙い違わず隊列を組んで待ち構えるゴーレム騎士に直撃した。

 次の瞬間、轟音、そして大爆発が発生する。通路全体を激震させながら大量に圧縮された燃焼粉が凄絶な衝撃を撒き散らした。ゴーレム騎士達は、直撃を受けた場所を中心に両サイドの壁や天井に激しく叩きつけられ、原型をとどめないほどに破壊されている。再構築にも暫く時間がかかるだろう。

 ハジメ達は一気にゴーレム騎士達の残骸を飛び越えて行く。

「ウサミミがぁ~、私のウサミミがぁ~!!」

 ハジメ達と併走しながら、ウサミミをペタンと折りたたみ両手で押さえながら涙目になって悶えているシア。兎人族……それは亜人族で一番聴覚に優れた種族である。

「だから、耳を塞げって言っただろうが」
「ええ? 何ですか? 聞こえないですよぉ」
「……ホント、残念ウサギ……」

 ハジメとユエが呆れた表情でシアを見るが、悶えるシアは気がついていない。

 再び落ちて来たゴーレム騎士達に対処しながら、駆け抜けること五分。遂に、通路の終わりが見えた。通路の先は巨大な空間が広がっているようだ。道自体は途切れており、十メートルほど先に正方形の足場が見える。

「ユエ、シア! 飛ぶぞ!」

 ハジメの掛け声に頷くユエとシア(何とか聴力は回復した)。背後からは依然、ゴーレム騎士達が落下してくる。それらを迎撃し、躱しながらハジメ達は通路端から勢いよく飛び出した。

 身体強化されたハジメ達の跳躍力はオリンピック選手のそれを遥かに凌ぐ。世界記録を軽々と超えてハジメ達は眼下の正方形に飛び移ろうとした。

 が、思った通りにいかないのがこの大迷宮の特徴。何と、放物線を描いて跳んだハジメ達の目の前で正方形のブロックがスィーと移動し始めたのだ。

「なにぃ!?」

 この迷宮に来てから何度目かの叫びを上げるハジメ。目測が狂いこのままでは落下する。チラリと見た下は相当深い。咄嗟にアンカーを撃ち込もうと左手を掲げた直後、ユエの声が響いた。

「“来翔”!」

 発動した風系統の魔法により上昇気流が発生しハジメ達の跳躍距離を伸ばす。一瞬の効果しかなかったが十分だった。未だに離れていこうとするブロックに追いつき何とか端に手を掛けてしがみつくことに成功する。義手のスパイクで固定し、ぶら下がったハジメにユエとシアもしがみついた。

「ナ、ナイスだ、ユエ」
「ユエさん、流石ですぅ!」
「……もっと褒めて」

 墜落せずに済んだことに思わず笑みを浮かべ、ハジメとシアはユエを賞賛する。ユエも魔力の消費が激しく少々疲れ気味だが得意げな雰囲気だ。

 だが、そんな和やかな雰囲気は空飛ぶゴーレム騎士達によって遮られた。そう、ゴーレム騎士達は宙を飛んでいるのである。おそらく重力を制御して落下方向を決めているのだろう。凄まじい勢いで未だぶら下がったままのハジメ達に急速接近する。

「っ!? ユエ、シア登れ!」

 ハジメは二人に指示を出すと同時にドンナーを抜くと迫り来るゴーレム騎士達に連続して発砲をした。ユエとシアが、ハジメの体を伝ってブロックの上に登りきり、ハジメも倒立する勢いで体をはね上げてブロックの上に移動した。直後、ハジメがぶら下がっていた場所にゴーレム騎士が凄まじい勢いで大剣を突き刺す。一瞬、技後の影響で硬直するゴーレム騎士にハジメは頭上から銃撃し撃ち落とした。

「くそっ、こいつら、重力操作かなんか知らんが動きがどんどん巧になってきてるぞ」
「……たぶん、原因はここ?」
「あはは、常識って何でしょうね。全部浮いて(・・・)ますよ?」

 シアの言う通り、ハジメ達の周囲の全ては浮遊していた。

 ハジメ達が入ったこの場所は超強大な球状の空間だった。直径二キロメートル以上ありそうである。そんな空間には、様々な形、大きさの鉱石で出来たブロックが浮遊してスィーと不規則に移動をしているのだ。完全に重力を無視した空間である。だが、不思議なことにハジメ達はしっかりと重力を感じている。おそらく、この部屋の特定の物質だけが重力の制限を受けないのだろう。

 そんな空間をゴーレム騎士達が縦横無尽に飛び回っていた。やはり、落下方向を調節しているのか、方向転換が急激である。生物なら凄まじいGで死んでいてもおかしくないだろう。この空間に近づくにつれて細やかな動きが可能になっていった事を考えると、おそらく……

「ここに、ゴーレムを操っているヤツがいるってことかな?」

 ハジメの推測にユエとシアも賛同するように表情を引き締めた。ゴーレム騎士達は何故か、ハジメ達の周囲を旋回するだけで襲っては来ない。取り敢えず、何処かに横道でもないかと周囲を見渡す。ここが終着点なのか、まだ続きがあるのか分からない。だが、間違いなく深奥に近い場所ではあるはずだ。ゴーレム騎士達の能力上昇と、この特異な空間がその推測に説得力を持たせる。

 ハジメは“遠見”で、この巨大な球状空間を調べようと目を凝らした。と、次の瞬間、シアの焦燥に満ちた声が響く。

「逃げてぇ!」
「「!?」」

 ハジメとユエは、何が? と問い返すこともなく、シアの警告に瞬時に反応し弾かれた様に飛び退いた。運良く、ちょうど数メートル先に他のブロックが通りかかったので、それを目指して現在立っているブロックを離脱する。

 直後、

ズゥガガガン!!

 隕石が落下してきたのかと錯覚するような衝撃が今の今までハジメ達がいたブロックを直撃し木っ端微塵に爆砕した。隕石というのはあながち間違った表現ではないだろう。赤熱化する巨大な何かが落下してきて、ブロックを破壊すると勢いそのままに通り過ぎていったのだ。

 ハジメの頬に冷や汗が流れる。シアが警告を発してくれなければ確実に直撃を受けていた。“金剛”が使えない今、もしかしたら即死していたかもしれない。感知出来なかったわけではなかった。シアが警告をした直後、確かに気配を感じた。だが、落下速度が早すぎて感知してからの回避が間に合ったとは思えなかったのである。

「シア、助かったぜ。ありがとよ」
「……ん、お手柄」
「えへへ、“未来視”が発動して良かったです。代わりに魔力をごっそり持って行かれましたけど……」

 どうやら、ハジメの感知より早く気がついたのはシアの固有魔法“未来視”が発動したからのようだ。“未来視”は、シア自身が任意に発動する場合、シアが仮定した選択の結果としての未来が見えるというものだが、もう一つ、自動発動する場合がある。今回のように死を伴うような大きな危険に対しては直接・間接を問わず見えるのだ。

 つまり、直撃を受けていれば少なくともシアは死んでいた可能性があるということだ。改めて戦慄を感じながら、ハジメは通過していった隕石モドキの方を見やった。ブロックの淵から下を覗く。と、下の方で何かが動いたかと思うと猛烈な勢いで上昇してきた。それは瞬く間にハジメ達の頭上に出ると、その場に留まりギンッと光る眼光をもってハジメ達を睥睨した。

「おいおい、マジかよ」
「……すごく……大きい」
「お、親玉って感じですね」

 三者三様の感想を呟くハジメ達。若干、ユエの発言が危ない気がするが、ギリギリ許容範囲……のはずだ。

 ハジメ達の目の前に現れたのは、宙に浮く超巨大なゴーレム騎士だった。全身甲冑はそのままだが、全長が二十メートル弱はある。右手はヒートナックルとでも言うのか赤熱化しており、先ほどブロックを爆砕したのはこれが原因かもしれない。左手には鎖がジャラジャラと巻きついていて、フレイル型のモーニングスターを装備している。

 ハジメ達が、巨体ゴーレムに身構えていると、周囲のゴーレム騎士達がヒュンヒュンと音を立てながら飛来し、ハジメ達の周囲を囲むように並びだした。整列したゴーレム騎士達は胸の前で大剣を立てて構える。まるで王を前にして敬礼しているようだ。

 すっかり包囲されハジメ達の間にも緊張感が高まる。辺りに静寂が満ち、まさに一触即発の状況。動いた瞬間、命をベットしてゲーム(殺し合い)が始まる。そんな予感をさせるほど張り詰めた空気を破ったのは……

 ……巨体ゴーレムのふざけた挨拶だった。

「やほ~、はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」
「「「……は?」」」
いつも読んで下さり有難うございます
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次回は、土曜日の18時更新予定です
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