挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ありふれた職業で世界最強 作者:厨二好き/白米良

ありふれた番外編 世界のアビスゲート卿から

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

206/282

友達の、受け売りさ

 まだ日が昇りきらない早朝の時間。キンキンと冷えた清冽な空気が心地よく、白み始めた東の空は目に優しい。レンガ造りが散見される古い裏通りの街並みには、人の営みの音が聞え始めている。

 もっとも、流石に外を出歩く人はほとんどいない。いるのは、これまた古びたドラム缶のようなゴミ箱の近くに捨てられているファーストフードの袋に、頭を突っ込んでいるワンコだけ。

 そのワンコが、不意に頭をガバッと持ち上げた。一緒についてきた紙袋が覆面のようにワンコの頭を覆っている。ワンコは慌てたようにブルブルと頭を振って紙袋を振り落とした。

 直後、ワンコが反応したもの――一台の自動車が、ワンコの直ぐ傍に、結構な勢いで停車した。キキッと響いたブレーキ音に、ワンコはビクリッと体を跳ねさせて一目散に逃げていく。

「グラント博士、ミスターK。こちらです」

 最初に運転席から降りて来たのはヴァネッサだ。応急手当はしてあるとはいえ、脇腹に銃創がある人間とは思えないほど動きにキレがある。実は、異世界製の薬品がガーゼに染み込んでいて、かなりの回復力を見せている……ということは本人も知らない。「あら、私ったら想像以上に頑丈……」と思っているだけだ。

「……なぁ、それは意地かなにかなのか? それとも嫌がらせなのか? ミスターKじゃないって何度言えば分かってくれるんだ?」

 浩介が、とびっきりのジト目をヴァネッサへ突き刺しながら後部座席より降りて来る。不思議なことに、いくら新進気鋭の殺し屋さんじゃないよ! と訴えても、ヴァネッサは浩介をミスターKと呼ぶのだ。

 ヴァネッサはヴァネッサで、ちょっぴり、「もしかしたら、マジで人違い?」と思ったりもしていたのだが……夕べ、自信満々に「力になる」といった浩介の言動から、やっぱりミスターKだったんだと思い直すようになっていた。きっと、単純にミスターKという呼び名が嫌なだけで、凄腕の殺し屋に違いはない、と。

 なので、ついついミスターKと呼んでしまうのだが、そんなヴァネッサに、意外にも浩介を援護する言葉が放たれる。

「そうよ、ヴァネッサ。せっかく、ミスターKが、名前を教えてくれたんだから。きちんと、こ、ここ、こうすけって呼んであげましょうよ」

 浩介と同じく、後部座席から降りてきたエミリーが、何故か恥ずかしそうな雰囲気で、カミカミしながら浩介の名を呼ぶように注意する。エミリーも、ヴァネッサと同じように浩介を一般人などとは思っておらず、イニシャルで秘匿していた名前を教えてくれたのだと思っていた。せっかく教えてくれたのだから、是非呼ぶべきだと。

 夕べから、妙に浩介と距離を取るエミリーに、浩介自身は、「……やっちまった。なにが魔王の右腕だよ。ドン引きだよ。意味不明だよ。俺の中の卿が、ちょこっと顔を覗かせやがった……」と、てっきり引かれて距離を置かれているものと思っていたので、エミリーの援護射撃にちょっぴり驚きつつ、へらっと嬉しそうに笑う。

 それを見て、エミリーがきょどった。視線が激しく宙を彷徨う。そして、心の何かが限界に達したのか、頬を染めて猫目をキッと吊り上げながら「こっち見んな!」と威嚇した。フシャーっと毛を逆立てる様子は、まるでお猫様そのもの。トレードマークのサイドテールが荒ぶっている。

 浩介は落ち込んだ。年下の女の子に心の距離を置かれた上に(浩介はそう思っている)、「ちょっと厨二野郎がこっち見ないでくれる? マジキンモ!」と言われたのだ(浩介的にそう聞こえた)。心の中のミニ浩介は、既に四つん這い状態だ。

「あの、事態は割と切迫していますので、青春するのは後にしていただけたらと……」
「せ、青春なんてしてないし! なに言ってんの!」

 ヴァネッサが、エミリーに生暖かい眼差しを向けつつも、困ったように頬を掻く。エミリーの赤面が濃くなった。フシャー率も上昇した。その内、猫パンチが飛び出すかもしれない。

 エミリーは、二人には付き合っていられないと言わんばかりに、やっぱり脱がない白衣の裾を翻して、ツカツカと速足で路地に入っていく。

「グラント博士」
「なによぉ!」
「そっちじゃありません。隣の路地です」
「……」

 エミリーがピタリと止まる。そのまま振り返らずにバックすると、耳まで真っ赤になりながら左へとツカツカ歩き出す。

「グラント博士」
「なによぉ!」
「左ではなく、右の路地です」
「……」

 エミリーの高速ターン。白衣が格好良く翻る! ただし、本人の羞恥心は既にマッハだが。

 ヴァネッサと浩介は互いに顔を見合わせると、互いに苦笑いを浮かべてエミリーの後に続いた。

 ちなみに、ここはヴァネッサの個人的な隠れ家の一つであり、エミリーに土地勘はない。なので、先頭を行くエミリーはこの後、三回ほど見知らぬ場所へ旅立ちかけた。

 結局、ヴァネッサの後についていけばいいのだと気が付いたときには、エミリーは白衣を頭からかぶり、白いお化けのような姿になっていた。……どうやら、白衣にはこういう使い方があったらしい。


~~~~~~~~~~~~~


 キィと小さな音を立てて、ゆっくりと開かれた木製の扉から、ヴァネッサが警戒心たっぷりに顔を覗かせる。部屋の中に人の気配はなかった。

 ヴァネッサに促されて、浩介とエミリーも部屋に入る。部屋の中は、隠れ家の一つというには割と生活感があった。使い込まれた感のある革張りのソファーやテーブルがあり、テーブルの上には雑誌が乱雑に散らばっていた。

「どうやら友人は留守のようですね。まぁ、家にいることの方が少ないので、当然かもしれませんが」

 ササッと他の部屋やバスルームに目を通したヴァネッサがリビングに戻ってそう言った。どうやら、隠れ家が露見していて待ち伏せされているということはなさそうだ。

「ヴァネッサのお友達の部屋なの? 現場の保安局員が、暗黙の了解で作ってるっていう個人的な隠れ家じゃないの?」

 エミリーが、事前に受けていた説明を思い出しながら首を傾げた。ヴァネッサは武器を失っている。丸腰なのだ。これから、本部と連絡を取ってマグダネス局長の真意を探るなどいろいろとやらなければならないが、何をするにしても、まずは武器の調達だ。

 そのために、現場の保安局員が暗黙の了解として用意している、局にも報告しない隠れ家へと足を運んだのだ。

「友人とシェアしているんですよ。彼女はフリーのカメラマンで、四六時中あちこち飛び回っていますから、部屋の維持管理の面でシェアするのがちょうどよかったのです」
「ふ~ん」

 エミリーがそういうものなのかと頷く中、浩介は妙に引き攣った表情でテーブルの上の雑誌を手に取った。

「……なるほど。ヴァネッサさんの偏った日本の知識の原因は、その友人か」

 そう呟いた浩介の手にある雑誌。若い女性の読む雑誌なら、普通はファッション誌などだろう。しかし、その雑誌には、やたらカラフルな髪の女の子と一緒に、こう書かれていた。

――アニメー○ュ

 更に視線を落とせば、散らばっている雑誌はどれもこれも見覚えのある日本のアニメや漫画情報が満載のものばかり。部屋の壁には綺麗な布カバーをかけられた大型の本棚がいくつも並べられているのだが、浩介は予感に従いその一つを確認してみる。

 案の定、中身はぎっしりと詰まったジャパニーズコミックとラノベとアニメDVDだった。

「どうです、ミスターK。友人のコレクションは中々でしょう? ちなみに、そっちの本棚三つは私のコレクションです」
「隠れ家になに隠してんだ……」

 呆れ顔を見せる浩介の前を、エミリーがひょこひょこと通り、ヴァネッサのコレクション棚のカバーを取り払う。そして、「へぇ、これが日本のサブカルチャーなんだ……」と、どうやら初めて見たらしい日本の漫画を興味津々で手に取った。

 ただし、やたらと薄い本を。

「ひぃっ。にゃにこれぇ!?」

 悲鳴を上げて、顔を真っ赤にして可能な限り顔から本を引き離すエミリー。その表紙には、あられもないというか、そんな表現など軽く通り越しているというか、とにかく肌色率の高すぎる上に、とんでもない態勢を取っている女の子のイラストが描かれていた。

「あぁ、グラント博士。あまり乱暴にしないでください。貴重品なんですよ」
「し、知らないわよっ、ヴェネッサのエッチ!」
「なんで同人まで持ってんだ……」

 ぶんぶんと薄い本を振りながら、極力視界にいれないようにしているのか、「うぅーっ」と目一杯手を伸ばすエミリーだったが、手放す様子はない。たんにヴァネッサのコレクションということで一応大事にしているのか、それとも何故か(・・・)手放し難いのか……

 視線がチラチラと表紙に向いていることから、きっと後者だろう。浩介の気まずそうな視線に気がついて、「ち、違うから! 私、そんなのじゃないから!」と言い訳しながら慌てて本棚に戻している。

「グラント博士。ご興味がおありなら、今回の事件が片付いたあと、お貸ししますので、今は我慢を」
「我慢なんてしてないし! 私、エッチじゃないし! 本当だからね? こうすけ、本当に、私は違うからね?」
「あぁ、うん」

 年下の女の子から、「自分はエッチじゃない。信じて!」と訴えられた際の対応など知らない浩介は、曖昧に頷くしかない。

 何故か必死に弁解しているエミリーを尻目に、ヴァネッサは、おもむろに本棚の一つに近づく。そして、チラッチラッと浩介に視線を送った。まるで「見て見て!」と子供が親に自慢の玩具を見せようとしているかのよう。

 浩介が首を傾げながら視線を向ける。それを確認して、ヴァネッサは、しまわれている本の一冊、『チュパカブラ大全』をクイッと手前に引いた。

 直後、本棚が手前にスライド。そのままグルリと半回転すると裏側を見せて元の位置に戻った。

「か、隠し本棚?」

 浩介の呟きに、エミリーも視線を本棚の方へ向ける。そして、口をあんぐりと開けた。そこには、いくつもの銃火器が整然と並べられていたのだ。

「ふふ、驚いていますね? ですが、まだです。まだ終わりませんよ」

 ベリーショート、ブッラックスーツ姿の美人がドヤ顔をする。浩介とエミリーが微妙にイラッとする中、ヴァネッサは部屋の奥にあるベッドに歩み寄ると、今度は脇にある電気スタンドの笠をクイッと捻った。

 直後、ベッドの後部が跳ね上がり、その裏に収納された銃火器がさらされる。

「どうです? すべてDIY(日曜大工)で作製した隠し武器庫です。休日のほとんどを費やし、夏と冬の特別手当を全て投げ打って用意した自慢の一品。こう、グッときませんか?」
「なんてこった……。ヴァネッサさん、あんた、相当できるな」

 ここに確定した。ヴァネッサさんは心の中に、浩介と同じ熱い魂を持っている! 浩介の中の“卿”がフッとニヒルな笑みを浮かべる。ちょっぴり表に出て、言動が傾いた浩介と、何故か分かり合ったように頷くヴァネッサに、エミリーがドン引きしている!

 ヴァネッサは手早く装備を選んでホルスターやリュックに詰め込んでいきながら、ふと、あることに気がつく。

「……そういえばミスターK。あなたの銃は大丈夫ですか? 弾薬とか、予備とか……」

 それは、よくよく思い返せば、今の今まで一度も浩介が銃火器の類を見せていないことに気が付いたが故の質問だった。それどころか、服の上からでも武装の有無くらい判別できるヴァネッサだったが、どう見ても浩介に武装の気配はない。余程、上手く隠しているのかと思ったのだが……

「? いや、銃なんて持ってないけど」
「……ミスターK。力になると言ってくれたではないですか。互いの装備の把握は必須事項です。隠されるのは困ります」
「いやいや、隠してないって。本当に銃なんか持ってないよ。というか、俺は日本の学生だって言ってるだろう。マジで人の話を聞いてください。殺し屋じゃないんだから、銃なんて持ってません!」

 ミスターKは、どんな標的が相手でも必ず頭に一発、心臓に一発は撃ち込んで死に追いやる殺し屋……。ヴァネッサだけでなく、エミリーも微妙な表情をしている。

 ヴァネッサが無言で浩介に歩み寄ると、その体をペタペタと触り出した。ボディチェックをして、本当に銃を持っていないのか確認しているらしい。美人なお姉さんのボディタッチに、浩介は内心でちょっぴりドギマギする。エミリーが「あ、ぁ、そ、そんなところまで触るの!?」と何やら両手で目隠ししながら、お約束のように指の隙間から覗いている。

「……本当に持っていないのですね」
「だから、そう言ってるでしょうが」

 どこか呆然としつつ、一歩下がったヴァネッサは何やら難しい表情をして頭を振った。

「分かりました。なにやら事情があるのですね。深くは追及しません」
「おい、こら。なに“普段は持っている”みたいな前提で納得してんだ。最初から持ってないって言ってるだろう」
「しかし、これからのことを考えると丸腰というわけにもいかないでしょう。あなたが普段、なにを使っているのかは分かりませんが、私ので良ければ持っていってください」
「……そうして不意に訪れる、不自然なくらい自然なスルー。俺、思うんだ。地球にもエヒトばりに邪悪な神がいて、俺は生まれたときから目をつけられているんだって」

 浩介は、「グロッグにしますか? ベレッタにしますか? それともデザートイーグル?」とコレクションを勧めて来るヴァネッサから、乾いた笑みを浮かべながら視線を逸らした。

「いや、銃はいらないから。持っていても意味ないし。撃ったことは、まぁ、あるんだけど、全く当たらないし。危ないし。あいつ、マジでどういう腕をしてんだか」

 その“あいつ”が誰を指しているのかは言わずもがな。半分遊びで撃たせてもらったときのことを思い出して、浩介は嫌そうに頭を振った。なにせそのときは、反動で自分の顔面を強打するわ、前方に飛んだはずの弾丸が奇跡のような跳弾の末、自分のケツに突き刺さるわ、飛び出した熱々の薬莢が服の中に入るわ、何故か引き金が引けなくて、原因を探ろうと構えを解いた瞬間暴発し、危うく股間の息子が吹き飛びそうになるわ……

 銃の神様がいたとしたら、浩介は間違いなく親の仇レベルで嫌われているだろう。かの魔王をして「お前、もう二度と銃を持つな。……死ぬぞ。自爆で」と戦慄と憐れみを綯い交ぜにしたような表情で忠告したくらいだ。

 そんな事情を知らないヴァネッサとエミリーの困惑は、ますます深まる。銃を持たず、銃を見て心底嫌そうな表情をする殺し屋……。二人の中に、浩介の「ミスターKじゃない」という言葉がむくむくと鎌首をもたげる。しかし、同時に「力になる」という自信満々の言葉や、一度は自分達を逃がしてくれた実績が、その鎌首をグイッと押さえつける。

 あるいは、たんに浩介がミスターKではないということを、無意識レベルで考えないようにしているのか。もし、浩介がミスターKでないなら、あのとき、キンバリーに包囲されたヴァネッサ達を助ける者が現れなかったことから、本物のミスターKの協力は得られなかったということになる。

 いくらヴァネッサといえど、まだ新人の域を出ない以上、頼りになる仲間を、仲間の裏切りで全て失い、頼るべき組織そのものが怪しい現状で、規模不明の組織に追われているのだ。切り札が、実はただの捨て札だったなど、たとえ楽観はタブーだと分かっていても認めたくはないだろう。

 そんなヴァネッサやエミリーの困惑は余所に、浩介はあっけらかんという。

「ま、大丈夫だって。なにがあっても、俺がなんとかするからさ。それより、準備できたんなら行こうぜ? エミリーの実家、結構遠いんだろ?」

 出発を促す浩介に、ヴァネッサとエミリーは顔を見合わせた。不可解さは消えないが、相手が武装した集団だと分かっていながら、丸腰でも問題ないと言い切る姿から、一先ず、疑問は先送りにすることにしたようだ。というより、浩介がミスターKであることに賭けるしかないとも言えるのだが。

 浩介達は、昨夜の話し合いの末、まず、エミリーのご両親のもとへ向かう計画を立てていた。ウィークポイントであるエミリーの両親を保護し、匿うのは必須事項であり最優先事項だ。

 ただ、エミリーの実家は、現在の場所から、車で半日以上かかるほど遠方だ。ハイウェイなどは監視網がある可能性が高いので避けていくことになるが、そうなると、車の中で食事を済ませたとしても、休憩も入れれば、到着は夕方頃になるだろう。

「……そうですね。装備は整いました。出発するとしましょう」
「分かったわ。……でも、その前に教えて。ヴァネッサ、何故、コミックを持っていこうとしているの?」

 いそいそと準備を終えたヴァネッサが、素敵な隠し本棚と隠しベッドを元に戻し、そのままさりげなく本棚から数冊のコミックを抜き取って一冊をスーツの内ポケットへ、他をリュックにしまったのを見て、エミリーが目元をピクピクさせながら尋ねた。

 ヴァネッサは、「え? 分からないの?」みたいなキョトンとした表情をする。浩介もエミリーも地味にイラッと来た。

「何故、と言われましても……。これから、私達は極めて困難な状況に挑むことになります。言うなれば、兵士が最前線に向かうようなものです」
「まぁ、そうかもしれないけど……」
「そうでしょう? ならば、コミックを持っていくでしょう?」
「なぜ、そうなったの!? 貴女の思考過程が分からない!」

 ぶっ飛んだロジックに、エミリーが素晴らしいツッコミを入れる。そんなエミリーに、まるで物分かりの悪い生徒を相手にした教師のような腹の立つ表情をしたヴァネッサが懇切丁寧に説明する。

「いいですか、グラント博士。映画などで、兵士が戦場に赴く車内やヘリの中で、聖書を取り出し祈るシーンを見たことはあるでしょう?」
「え、ええ。あるわね。……ちょっと待って、つまり、そのコミックは……」
「はい。私の聖書です」
「神様に謝れ! キリスト教の信者さんに謝れ!」

 エミリーが咆えた。一応、グラント家も信者だ。なので、聖書とコミックを同列に語られてはツッコミを入れずにはいられない。

 ヴァネッサは、そんなエミリーの抗議交じりのツッコミを「ふっ」と笑ってスルーした。「今、なんで笑った!?」とエミリーが再び猫目をツリツリしながら声を張りあげるが、まるで「博士も、まだまだ若いですね」とでもいいたげな態度を崩さない絶好調なヴァネッサは、そのまま部屋を出ていく。

「……バイブルが修羅の○と、グラッ○ラー刃○、それにナ○ト、か。ある意味、これも日本の業なのかも」

 エミリーが「まてこらっ」とサイドテールを荒ぶらせてヴァネッサを追い駆けていく。浩介は、ヴァネッサがコミックをしまうときに見えたタイトルに、少し遠い目をしながら、その後に続くのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~


 西に陽が傾き、空が鮮やかにオレンジに染まり始める頃、ヴァネッサの運転する自動車は真っ直ぐに伸びる街道を滑るように走っていた。

 車内では、途中に寄ったドライブスルーで購入した某有名店のバーガーとフライドポテトをもしゃもしゃとして、浩介とエミリーが腹を満たしている。

「……エミリー、どうしたんだ?」

 不意に、浩介が尋ねた。エミリーが、ポテトをリスのように少しづつはむはむしながら、窓の外へ向けていた視線を浩介へと向ける。

「どうしたって?」
「いや、なんか遠い目をしてたからさ。疲れた?」
「あ~、ううん。大丈夫よ。ただ、この辺りはもう、よく知ってるから、帰って来たなぁって。でも、前に帰って来たときは、たくさんお土産話があったのに、今回は……って」

 どうやら前に帰郷したときと、今回の状況を比べて、深く重い感情が渦巻いてしまったようだ。夕日の橙色が、訳もなく人の寂寥を掻き立てるように、エミリーの心も、故郷の景色とオレンジに燃える空に、形容しがたい気持ちを掻き立てられてしまったらしい。

 エミリーの、ここ数日の凄絶な境遇を知っている浩介としては、どう言葉を返すべきか迷うところだ。なにか言うべきだろうとは思うのだが、視線が彷徨うだけで上手い言葉が見つからない。こんなとき、某扇動家のよく回る口が羨ましくなる。

 そんな浩介の様子に、淡い笑みを浮かべたエミリーは、手元の飲み物を一気に飲み上げると、もう一度、「大丈夫よ」と言葉を返した。

 後部座席の二人のやり取りを、バックミラー越しに眺めていたヴァネッサは、浩介の代わりにとでもいうのか、遠慮がちにエミリーへと口を開いた。

「あの、グラント博士……」
「もう。ヴァネッサも心配しないで。私は大丈夫だから」
「いえ、とてもそうは思えません。グラント博士。限界というものは、自分で思うよりも早く訪れるものなのです」

 ヴァネッサの存外に真剣な表情が、バックミラー越しに見える。エミリーが思わず言葉に詰まった。浩介は、「流石は保安局の捜査官。事件に巻き込まれた人に対するケアの方法もいろいろ知っているんだな」と感心の眼差しを送って――

「貴女の膀胱は、本当に大丈夫ですか?」
「なんの心配してんのよ!?」

 もちろん、おもらしっ娘なエミリーちゃんの尊厳に対する心配だった。

「さっきの売店でも、その前のガソリンスタンドでも、グラント博士はトイレに行きませんでした。にもかかわらず、貴女はラージサイズのコークと、コーヒーを二杯も飲んでいる。私は、貴女が再び傷つかないか非情に心配なのです」
「そ、そそそ、それはっ」
「しかし、既に手痛い失敗を二度もしているグラント博士が、このような楽観的な行動を安易に取るとも思えない。グラント博士……」
「な、なによぉ」

 警戒心と羞恥心をむき出しにして、既に半分くらい小っちゃくなっているエミリーに、バックミラー越しのヴァネッサの瞳がキラリと光る。

「もしや、目覚めましたか?」
「ど、どういう意味?」

 純粋なエミリーちゃんは質問の意図が掴めない。隣の少年はもちろん把握している。ヴァネッサは、意を決したように尋ねた。

「放尿の快楽に」
「あほかぁっーーーー!! そんなのに目覚めるわけないでしょう!? 私を変態にしたいわけ!?」

 エミリーの知らない世界パート2。人前での粗相に気持ちよくなる人なんているわけない! そんな人がいれば、間違いなくその人は変態だ!

 もちろん、エミリーがそんな特殊すぎる快楽に目覚めたわけもない。なので、エミリーは焦ったような表情で、浩介に「違うから! 本当に、違うから! 私、そんな変態じゃないから! 信じて、こうすけっ」と訴える。

「お、落ち着けって。別に、変態だなんて思ってないから」
「本当? 本当に本当? こうすけは――」

 エミリーが何かを言おうとする。しかし、そこで華麗なるインターセプトを実行するのがヴァネッサクオリティー。

「目覚めてないのですか……ミスターK的には残念ですね?」
「んなわけあるかっ! ナチュラルに俺を変態にすんじゃねぇ!」
「こ、ここ、こうすけ!? わ、私の“あれ”を狙ってるの? 私が変態の方が嬉しいの!? そんなの……私、困る!」
「そんなわけないだろ! なんでちょっと迷ってんだ!? 困るってなんだ!? そこは強く否定しなきゃダメだろ!」

 混沌メイカーヴァネッサ。その能力は遺憾なく発揮され、浩介とエミリーは惑乱の坩堝に叩き込まれた!

「ふむ。これから大きな困難が待ち受けているでしょうに、実に、元気がいい。お二人とも、戦意は十分ですね」
「お前はもう、黙ってろ!!」
「あんたはもう、黙ってて!!」

 浩介とエミリーの息の合ったツッコミが炸裂した。ヴァネッサは一人、「解せぬ」と言いたげな表情をする。

 そんなナチュラルに言葉の爆弾を撒き散らすヴァネッサを放って、エミリーが浩介に必死の弁解を、浩介がエミリーに必死の宥めすかしを行っていると、周囲の景色ががらりと変わり始めた。

 町中に入ったのだ。高い建築物もあるが、だいたいレトロな雰囲気が漂っている。

「ヴァネッサ。このまま町の中心を突っ切って、北に向かってちょうだい。しばらくしたら川が見えて来るわ。近くに、おいしいパイを出す店もあるのよ。可愛い看板が出ているから、直ぐに分かるわ」
「了解です。私は、ここに来るのは初めてですが……中々美しい町並みですね」

 レンガ色のシックな建物がある一方で、ガラス張りの建物もある。しかし、それらが互いに景観を損なっているということはなかった。新しいものも、古いものも、互いを受け入れ合っているような、そんな優しい印象を受ける。

 陽もほとんど落ちている街中にあって、地元の人々の表情はみな、穏やかだ。食料を詰めた袋を抱えつつも、のんびりと石畳の歩道を歩いている。静かで、時間の流れがゆっくりに感じる居心地の良さそうな印象だった。

 それは、町の中心から離れて郊外へと入っていくと、より顕著となった。緑が多くなり、同じ色、同じ様式の家が整然と並び、同じような陰影を作り出している。心なし、夕焼けの光まで穏やかになったような気がする。

 ヴァネッサは、エミリーの案内に従って車を走らせる。久しぶりの帰郷に、若干、浮足立っている様子のエミリーとは対照的に、浩介はほどよい緊張で体を満たしていった。もちろん、他の勢力による待ち伏せの可能性を考慮して、だ。

 だが、予想に反して、黒塗りの如何にもな車が停まっていたりはしなかった。キャッキャッと元気に遊ぶ子供達や、そろそろお家に入りなさいと苦笑しながら促す母、父の姿が見える。争いの気配などない、実に平和的な空気だ。

「あ、あそこよ。あの、白いバンが停まっている家! 明かりがついてるわ。お父さん達、家にいるみたい」

 エミリーからホッとしたような声音が漏れる。白いバンは、エミリーの父親であるカールのものだ。祖母であるシーラが車いすごと乗車できるようにと数年前に買い替えた、未だにローンが残っている自動車である。その隣には青い軽自動車も停まっている。母親であるソフィーのものだ。

 家の前に車を停める。途端、飛び出していこうとするエミリーを、ヴァネッサが制止した。そして、車の中から慎重に周囲の様子を探りつつ、懐から銃を取り出しスライドを引く。

「慎重に行きましょう。くれぐれも、私から離れないでください。グラント博士」
「う、うん。分かってるわ」

 エンジンキーに手をかけたヴァネッサは、チラリと浩介を見る。浩介は、普段のどこかへらっとした雰囲気を消して周囲に真剣な眼差しを巡らせていたが、やがて、困惑したような表情になった。

「ミスターK、どうかしましたか? なにか不穏な気配でも?」
「…………いや、不穏な気配はない。ないけど……だからこそ、不穏だ」
「? それは、どういう意味です?」

 浩介は、ヴァネッサの質問に直ぐには答えず、しばし、ジッと家の方へ視線を向けた。なにやら普通ではない様子に、エミリーの表情に不安の影が差す中、遠藤は頭を振って、エミリーを気遣うように遠慮がちな声音で言った。

「……家の中に、人の気配がない」
「え?」

 エミリーが首を傾げた。両親の車は停まっていて、家の明かりもついている。家人がいる証だ。なのに、人がいない。嫌な予感が胸中に膨れ上がる。

 一方で、ヴァネッサもまた片眉を上げて訝しむような表情になった。争った痕跡がないだとか、どこかの家の陰から人が覗いているだとか、景観に合わない車両が停まっているだとか、ヴァネッサのいう“気配”とは、そういう目に見える“人の痕跡”だ。

 見えない家の中のことが、どうして分かるのか……。

「とにかく、こうしていても仕方ない。入ってみよう。もしかしたら、ご近所に、少し出かけているだけなのかもしれないし」
「そ、そうよね。きっと、そうよね」

 エミリーの不安そうな表情に気が付いて、浩介は早々に行動を促した。そして、さっさと先陣を切って車から降りてしまう。ヴァネッサの疑問は、そんな浩介の行動により胸中へ埋没してしまった。

 手入れの行き届いた芝生を越え、車いす用にリフォームしたのであろう未だ新しさを感じるスロープを上って玄関の前に来る。

 エミリーがチャイムを鳴らした。そして、「お父さん! お母さん! おばあちゃん! エミリーよ! いないの?」と声をかける。しかし、浩介の言葉が正しかったことを証明するように、家の中から反応は返って来なかった。

 エミリーが、留守にしているなら、当然、鍵がかかっているだろうとポシェットから家の鍵を取り出した。そして、鍵を差し込み開けようとするが……

「あ、あれ?」

 鍵は、最初から開いていた。いくら閑静な住宅街だからといって、家の鍵を開けたまま家族全員が出払うというのはあり得ない。エミリーの頬が引き攣った。

「お父さん! お母さん! 私よ! いないの!? おばあちゃん! どこ!?」
「グラント博士! 落ち着いて!」

 バッと玄関の扉を開け、居ても立っても居られないといった様子で自宅へと踏み込むエミリーを、ヴァネッサが慌てて制止する。

 しかし、エミリーの耳にその警告は届いてない。自宅に起きている異常事態に、家族を想う心が軋みをあげる。焦燥と恐怖に塗り潰されそうな心を必死に支えながら家の中を駆け回る。家族を呼びながら。いつも通りの、“ただいま”を言いたくて。“おかえり”を聞きたくて。

 しかし、明かりがついたままのリビングにも、今頃の時間なら母親がエプロンをして立っているはずのキッチンにも、洗面所にも、二階の寝室にも、エミリーの部屋にも、誰もいなかった。

「ち、違うのよ。ちょっと、みんな出かけてるだけなの。そ、そうよ。きっと、マクバーニーさんのところか、ハンナおばさんのところに行ってるんだわ」
「エミリー」
「待ってて、直ぐに呼んでくるから。そしたら、ヴァネッサのことも、こうすけのことも、ちゃんと紹介して――」
「エミリー=グラント!」
「っ」

 乾いた笑みを浮かべながら、家の外に出ていこうとしたエミリーを、浩介は強い口調で呼び止めた。ビクリッと震えて立ち止まるエミリーが、まるで油を差し忘れた機械のようにぎこちない動きで振り返った。

 エミリーの目には、厳しい表情の浩介が、リビングのテーブルの上に置かれていたタブレットを手に取る姿が映った。先程、エミリーが見落としたもの。だか、確実に、それはグラント家のものではなかった。

 なぜなら、

「私宛、ですか……」

 そう、その起動状態のタブレットのディスプレイには、ヴァネッサ=パラディの名が映っていたのだ。ヴァネッサの存在を知らないはずのエミリーの家族が、そんなものを用意しているはずがない。

 それはつまり、この家に、ほんの数時間前に、グラント家以外の、ヴァネッサを知る人物が入ったということで……

 エミリーの顔色が蒼白に染まった。思わず、ふらりとよろめく。浩介が、さっとエミリーを支えた。

 浩介の視線に促されて、ヴァネッサがタブレットに触れる。

 すると、タブレットはどこかの部屋を映し出した。特にさびれた様子もない、普通のワンルームだ。布製のソファーと木製のテーブルがある。人は誰もいない。どうやら、タブレットを設置して映像を録画しているようだ。

 と、一拍をおいて、カメラの端に映っていた扉が開いた。そこから入って来たのは、車いすと、それに乗った老女。そして、その車いすを押す、どこか気弱そうな印象を受ける四十過ぎの男性と、その男性の腕を掴みながら、不安そうにキョロキョロとしている同い年くらいの女性だった。

「っ、おばあちゃんっ、お父さんっ、お母さんっ」

 悲鳴のようなエミリーの声が木霊する。

 特に危害が加えられたような様子はない。ただ、よく分からないまま、取り敢えず、連れて来られたと言った様子だ。しかし、だからといって、そんなことが気休めになるわけもなく、エミリーは何者かにかどわかされたと家族を見て、へなへなと崩れ落ちた。

 直後、映像はぷつりと途切れ、ディスプレイは真っ暗になった。かと思ったら、ゆっくりと浮かび上がるようにして、数時間後の時間が表示され、ついで、航空写真のマップが表示され始める。用意した者の悪趣味があらわれているかのような演出だ。

「ここは……どうやら倉庫街のようですね。ふざけたことを」

 ヴァネッサが吐き捨てるように言った。その傍らでは、エミリーが膝と頭を抱えて小さくなっている。大切な人を失ったトラウマともいうべき一連の出来事が、脳内をフラッシュバックする。

 もしかしたら、自分は家族をも失ってしまうのかもしれない……その恐怖が、兄や姉達に託された使命を押さえつけて、エミリーを恐怖と絶望の奈落へと突き落とす。なんでも言うことを聞くから、どうか家族を傷つけないでと、泣きながら懇願したくなる。

 そんなエミリーに、柔らかくも厳しい、温かくも鋭い、そんな声がかけられる。

「エミリー、大丈夫だ。どこの連中かは分からないけど、家にも、エミリーの家族にも、争った様子はない。連中はエミリーの協力が欲しいから、家族を脅しに使うことは出来ても、そう簡単には傷つけられない。そんなの、エミリーに絶望を越えて、敵愾心を抱かせるだけだと分かっているからな」
「こうす、け」

 浩介が、頭を抱えるエミリーの手をそっと手に取って、ゆっくりと降ろさせる。

「ただ一人、生かされて、逃がされて、託される痛みを、エミリーは知っている。今ここで、立ち止まれば、きっと、また同じことになる」
「いや、いやよ! もう、そんなのっ」

 くしゃりと歪んだ表情で、エミリーが声を張り上げた。浩介は、「だよな」と頷き、今度は手を引っ張ってエミリーを立たせた。

「――“一生に一度、奮い立つべきときがあるとするのなら、それは今、このときこそがそうだ。今このとき、魂を燃やせ”」
「え?」
「友達の受け売りだよ。でも、昔、惨敗した俺は、この言葉でもう一度奮い立つことができた。化け物みたいな連中相手に、全身全霊を賭けることができた。おかげで、俺は今、ここにいられる」
「こうすけ……」

 エミリーが言葉を失くす。それくらい、今の浩介の言葉は、“重かった”のだ。ズシリッと、弱った心の奥の奥に響くほど。

 浩介の、まるで歴戦の戦士の如き鋭い眼光が、エミリーを真っすぐに貫く。

「エミリー=グラントにとって、きっと、今このときこそが、魂の燃やしどころだ。踏ん張って、歯をくいしばって、いっちょ叫んでやろうぜ。“誰が、言いなりになんてなってやるか! 舐めんな、クソ野郎!”ってさ」

 煮えたぎるマグマのように熱い言葉。煌めく瞳は、未だ、エミリーを貫いたまま。

 故に、エミリーの返事は決まっている。

「うん。うん!」

 絶望の沼に沈みかけた魂は、今、再び燃え上がった。エミリーは、握られたままの浩介の手を強く握り返す。

「こうすけも、力になってくれるんだもんね?」
「ああ。そう言っちゃったからな。力になるよ。エミリーの家族、絶対に助けよう」

 エミリーの瞳が満天の星空の如く輝いた。二人の距離は、互いの吐息が感じられるほどに近い。まるで、それが心の距離だと言わんばかりに――

「……空気を読んで外に出るべきか。それとも、“私を忘れないでプリーズぅ”と割り込むべきか。それが問題です」

 ヴァネッサの呟き。

 エミリーが俊敏な猫の如く、ヒュパッと浩介から飛びのいたのは言うまでもない。そして、男の子との超接近状態を思い出して、羞恥に小っちゃくなったのも言うまでもないことだった。


~~~~~~~~~~~~


 夜の帳か完全に降りた時間に、町外れにある倉庫街の夜闇を車のヘッドライトが切り裂いた。そろりそろりと表現すべき慎重さで進む車は、やがて、四方を高い建物に囲まれた場所へと入った。

 ヘッドライトは、その先に、黒塗りの自動車を照らし出す。

 ヘッドライトをつけたまま、車からヴァネッサとエミリー、そして浩介が降りて来る。ヴァネッサが先頭を行き、その後を浩介とエミリーが続く。エミリーは、浩介の服の裾をキュッと掴んでいる。

 向かい合う黒塗りの車のヘッドライトが、まるで対抗するように点灯した。警戒するヴァネッサ達の前で、黒塗りの車から人が降りて来る。ヘッドライトの逆光で判然としないが、ヴァネッサには何となく分かった。

 そして思う。「あぁ、やっぱりそうだったのか」と。同時に、「キンバリーの方が、まだマシだった」とも。

「パラディ捜査官。随分と面倒をかけてくれたわね。本来なら懲戒免職ものよ?」

 カツカツと足音を響かせて、その姿を見せたのは、出来ることなら否定したかった現実。

 国家保安局局長――シャロン=マグダネス、その人だった。

いつも読んで下さりありがとうございます。
感想・意見・誤字脱字報告もありがとうございます。

次回の更新、土曜日の18時、です。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ