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ありふれた職業で世界最強 作者:厨二好き/白米良

最終章

163/266

決戦前に

 ゲートを通り抜けた先で、ハジメ達を出迎えたのは雫だった。

「ようやく来たわね。みんなが待っているわ。付いて来て」

 それだけ言うとくるりと踵を返し、ゲートホールが設置されていた広場から眼前の無骨な要塞へと歩を進めていく。

 一見して急造と分かる赤レンガ色の要塞は、しかし、その規模、構造からしてたった一日や二日で出来るものとは思えない完成度を誇っていた。チート土術師である野村健太郎を筆頭に王都や帝国の職人達へ、能力を何倍にも引き上げる神代級アーティファクトを大盤振る舞いした結果だろう。

 その要塞や、数十万の戦力が野営している王都前の大平原は、深夜にもかかわらず明かりのアーティファクトで煌々と照らされていて、まるで昼間のように明るい。遠くに見える【ハイリヒ王国王都】や【神山】が、普段とは異なり外部からの光に照らされて陰影を晒す光景は、何とも不思議な感慨を覚えさせる。

 そんな人工的な光に照らされて先導する雫の後ろ姿はなんだか随分と不機嫌そうだ。

「八重樫、なにかあったのか?」

 思わず、そう尋ねたハジメに、ピタリと立ち止まった雫は、直後、勢いよく向き直るとツカツカと足音を立てながら歩み寄りグイッとハジメの腕を取った。そのままハジメの腕を胸の谷間に抱え込み、いわゆる“腕を組む”状態で密着しながら先を促す。

 シア達が常にない雫の大胆な行動に目をぱちくりとさせる。

「おいおい、八重樫。本当にどうした?」
「雫よ。今更感はあるけど、雫と呼んでちょうだい。私も、ハジメって呼ぶから」
「はぁ?」

 困惑するハジメに、雫は疲れたように溜息を吐きながら、その真意を説明する。

「皇帝陛下が鬱陶しいのよ。なにかと理由を付けては私を傍におこうとするし、口説いてくるし……そのくせ、建前は一々的を射ている上に、やることは完璧にこなしているから文句も言えないし」

 どうやら、ガハルドにちょっかいをかけられて辟易していたらしい。

「そういうときは俺の名前を出していいって言っただろう?」
「言ったわよ。私が、す、好きなのは、なぐ、ハ、ハジメだって」
「テレテレじゃねぇか。で? それでも絡んできたなら連絡すれば良かったろ」

 そこで、雫は不機嫌そうな表情から困ったような表情になった。

「……これくらいのことで面倒はかけたくなかったのよ。なにせ、ハ、ハジメは、連合軍の勝利の鍵なんだから。それに、あのエヒトに勝つためには色々と対策を練る必要もあるでしょう?」
「そういう気遣いはしなくていいんだよ。ゲート開いて銃弾しこたまぶち込んだら終わりなんだし」
「ふふ、そうするだろうなって思ったから遠慮したのよ。ゴム弾でも一国のリーダーにダメージ与えるのは、ね? だから代わりに、今、こうして甘えさせてもらってるの。会議室には皇帝陛下もいるから見せつけておくっていう意図もあるのだけどね」
「なるほど」
「そういうわけだから、シア達も少しだけ許してね?」

 ちょっと申し訳なさそうな表情でそう言う雫に、シア達も気にするなと微笑みを返した。

 ちなみに、この場にレミアとミュウはいないが二人が従えるデモンレンジャー達はいる。自分達も要塞内での雑用なら出来ると付いて来ることを望んだミュウ達だったが、ハジメが頑として譲らなかった。だが、世界の危機で、ユエお姉ちゃんの一大事になにも出来ないというのはミュウの心を些か以上に凹ませたらしく、ならばと、ハジメは生体ゴーレム達に遠隔操作機能を付けたのだ。

 オスカーの隠れ家という安全地帯から、視覚やら音を共有できる上に、きちんと指示も届く。それでミュウも出来ることがあると納得してくれたわけだ。パパは娘にダダ甘である。

 道中、兵士達の「あれが……」といった呟きと共に畏敬の念が篭った眼差しを受けつつ、雫がガハルドに与えたれたストレスを、そんな兵士達の視線に恥ずかしそうにしながらもハジメに甘えることで解消し、ある程度回復できたころ、ちょうど要塞内の大きな広間へと到着した。

 大きなテーブルが置かれ、上座にはリリアーナやランデル、ガハルド、そしてアルフレリック、カムなどが愛子を中心に座っており、愛子は随分と緊張した面持ちでちょこんと座していた。それを見ただけで、“豊穣の女神”が表に立っていると分かる。

 更に視線を巡らせば、見知った顔が多くあった。【アンカジ公国】のランズィやビィズ、ギルドマスターのバルス、イルワ、キャサリン、何故か服屋の化けも――クリスタベル。それぞれの国で見た軍の司令達と、各代表の側近達、それにクラスメイトを代表して永山と園部がいた。なお、ランデルはリリアーナの隣に座っているものの、対面的な側面が強く、ハイリヒ王国の代表はリリアーナが務めるようだ。

 彼等は、ハジメが入って来た途端、「やっと来たか!」といった表情になり、次いで、雫をべったりと張り付かせていることに頬を引き攣らせた。時間に遅れたわけではないが、世界の重鎮達を待たせておいて、女を侍らせて来るとかどんな神経してんだ……という感じだろう。

 もっとも、そんな反応を表情だけで済ませているのは側近達だけであり、重鎮中の重鎮、各勢力の代表達は総じて、椅子をガタッ! とさせた。

「おいおいおい、南雲ハジメぇ。雫を侍らすたぁ、俺への当てつけか? あぁ?」
「南雲さん!? なぜ、雫とイチャついているのですか!?」
「や、八重樫さん? せ、先生は、そういうのどうかと思いますよ? あなたはもう少し節度あるお付き合いが出来る人だと思っていたのに……うらやま……じゃなくてハレンチですよ!」
「貴様ぁ、か、香織の前で、その親友にまで手を出すとはっ! 香織! やっぱり余はお前を諦めんぞ! その悪魔から必ず引き離してやるぅ!」
「流石ですっ、ボス! 最愛の女性をさらわれてなお、新しい女を侍らせて余裕の態度とはっ! 決戦前の景気づけに酒池肉林ですかっへぼぁ!?」

 上から順にガハルド、リリアーナ、愛子、ランデル、カムである。カムが重鎮扱いで上座にいるのは首狩りウサギの名と所業が浸透している証なのだろうが、ハジメに抜き撃ちをされて床をのたうち回る姿を見れば威厳は皆無である。傍らのシアが両手で顔を覆ってぷるぷるしながら羞恥に耐えている。

「雫がこうなってんのは全てガハルドのせいだ。文句はそいつに言え。あと、ガハルドは、漢女になるか雫にちょっかいかけるのを止めるか選べ」
「あらあらん♡ ハジメちゃんたら、また同胞を増やしてくれるのん? もうっ、私への贈り物を欠かさないなんてぇ! 愛してるわん!」

 魔法少女のようなヒラヒラの格好をした色んな意味できついクリスタベルが、イヤンイヤンと身をくねらせながらハジメに流し目を送る。

 ハジメはドンナーを抜きたい衝動を必死に抑えつつ、ガハルドに視線で「これの仲間にするぞ」と訴えた。ガハルドが豪放磊落な皇帝陛下らしくない萎縮した様子ですごすごと引き下がった。彼をして、クリスタベルの異様はキツかったらしい。

 そんな人類の滅亡を賭けた決戦前とは思えないトップ陣の姿に、会議室にいる他の者達は何とも微妙な表情だった。余裕がある(ように見える)態度に頼もしいと喜ぶべきか、それとも緊張感に欠けると不安に思うべきか。

 ハジメが席に着く。合わせてシア達も席に着いた。ハジメ以外にもきちんと席が設けられているのは、【神域】突入組の重要性がわかっているからだろう。

 そうして気を取り直して始まった最終会議は、装備・兵器の配置や分配、習得率、大侵攻時における行動指針、指揮系統の確認など、およそ認識を共通すべきことの確認に終始した。ハジメが生産に勤しんでいる間に、トップ陣で話は付いていたようだ。元々、対魔人族戦に備えて人間族側は同盟を結び長年に渡って話し合ってきたわけであるから、大きな問題はなかったのだろう。

 冒険者や傭兵などの戦力もギルドマスター達が取り纏めを行うものの、きちんと軍と連携できるようである。それもまた、戦争時における冒険者達の義務というやつらしい。

 問題は、そこに加入する亜人族達だが、彼等は彼等で独自の指揮系統があるので、無理に人間側に組み込むのは悪手だ。なので、遊撃や人間族側のサポートなど穴を埋めるように動くことにしたらしい。

 現在、クラスメイト達やハウリアが中心となってハジメのアーティファクトの使用方法と効果を伝えているところらしいが、特殊な魔法陣や詠唱がいるわけでもなく、誰でも使える(・・・・・・)という現代兵器の特徴的な気安さもあって特に問題はないようだ。今も、耳を澄ませば遠くで乾いた音や爆発音が断続的に響いている。

 要塞は一先完成ということにして、現在は塹壕堀りなどフィールド形成に終始しているらしい。要塞は、銃座を置く場所や多様な射線を取れること、相手にとって視界の妨げになるという意味では有用だが、使徒の分解能力に抗する防御能力はないので、あくまで簡易的なものだ。ハジメの新アーティファクトを使用した有利な戦場の形成が一番の力の入れどころなのである。

「際どいところだが、どうにか形になったようだな。これも“豊穣の女神”の恩恵か」

 ハジメが、少し感心したように愛子達へ視線を巡らせる。本当は、今話に聞いた状況の半分も準備は整わないだろうと考えていたのだ。ハジメの予想を上回り準備が進んだのは、ひとえに強力な旗頭が存在したおかげだろう。

 人々の意識の中に、明確な危機感と義憤、そして連帯感が生まれた結果なのだ。一人一人が“言われたからやる”のではなく、“自分もやらなければ”と思ったからこそ、ここまで迅速な準備が出来たのだろう。

「……そうですね。ある意味、集団心理の怖さを改めて知った気分です。愛子さんコワイ」
「んなっ。リリィさんだって、ノリノリで扇動してたじゃないですか! 瞳なんかウルウルさせて、祈るみたいに手を組んで、悲壮感たっぷりに『私は戦います。たとえ一人でも!』なんて言っちゃって。私、見てたんですからね! それを見聞きしてた人達が一緒に戦うと気勢を上げたとき、こっそり笑ってたでしょ! まさに王女コワイ、ですよ!」
「わ、笑ってなんていませんよ。変なこと言わないで下さい。これでハジメさんに褒めてもらえるかも、なんて思ってませんでしたらね? 本当ですよ?」
「王女も女神も、どっちも普通にドン引きだったつぅの。皇帝の座に就いてから、一番引いたぜ」

 王女と女神が低レベルの言い合いをしている隣で、嫌なものを見たという態度を隠しもしない皇帝陛下。見れば、樹海の長老もギルドのマスターも、砂漠の領主も同じような表情になっている。首狩りの族長だけ、何故かハジメにサムズアップを決めていたが。

 そんなこんなで大体の話が終わり、会議も終わりに近づいた頃、しみじとした様子でアンカジ公国のランズィが口を開いた。

「それにしても、我が公国の英雄が、遂には世界の英雄か……やはり、あのときの決断は間違いではなかったようだ」

 それに同調するように、ブルックの町の冒険者ギルド受付()キャサリンが深く頷く。

「始めてうちに来たときから、何か大きなことをやらかしそうだとは思っていたけれどねぇ。でも、まさか世界の命運を左右するまでになるなんて……流石のあたしも、予想しきれなかったよ」
「そうですね。フューレンで大暴れしてくれたときは、まだまだ何かやらかすだろうとは思っていましたし、あるいは世界の秘密に関する何らかの騒動に関わるだろうとは思っていましたが……それが世界の存亡をかけた戦いとは。はぁ、胃が痛い。もう“イルワ支部長の懐刀”なんて肩書きは恥ずかしくて使えませんね」
「あらん? 私は最初からわかっていたわん。ハジメちゃんならいつか魔王だって倒すって。それに、いつも漢女を贈って来てくれるのは、来るべき日に備えておけっていう意味だって、私、ちゃ~~んと分かっていたわ。いい漢女は、察しもいいのよん!」

 バチコンッと強烈なウインクをかますクリスタベル。断じて、そんな危なすぎる戦力の拡大を図ったわけではない。ハジメが頬を引き攣らせる。しかし、ランズィ達を始め、他の重鎮達が、同情とも悲愴とも取れる複雑で気遣うような色を瞳に宿しているのを見て、殊更明るく振舞っているように見える理由を察する。

 故に、ハジメは何でもないように肩を竦めて、懐かしさすら感じる面子に不敵な笑みを返した。

「別に不思議でも何でもないだろう? 空気の読めない馬鹿な自称神が、俺の女に手を出した。だから、死ぬ。それだけのことだ。あんたらも、この程度の戦い、余裕で生き残ってくれよ? ユエを連れ帰ったら、もう一度くらいあんたらの町に遊びに行くからよ。今度は冒険なしに、のんびりと観光でな」

 当然、言葉通りの簡単な戦いではない。死闘に死闘が重なるような、歴史上類を見ない人類総決戦。間違いなく、神話の一ページを飾るであろう聖戦だ。だが、だからこそ、うそぶくハジメの態度に、ランズィ達は揃って「あぁ、そう言われては仕方ない。勝とうじゃないか」と逆に励まされる。それは、会議室にいる全ての者達も同じであった。

 と、そのとき、にわかに外が騒がしくなった。会議室の者達が「すわっ、侵攻が始まったかっ」と顔に緊張感を滲ませる。

 そこへ、慌てた様子で駆け込んで来た兵士が期待と畏怖の混じった大声で報告した。

「ひ、広場の転移陣から多数の竜が出現! 助力に来た竜人族とのことです!」

 どうやら最後の頼れる仲間が帰って来たらしい。

 ハジメは唇の端を釣り上げるとスっと立ち上がり、シア達を連れて会議室を出て行った。他の者達も、一瞬、顔を見合わせた後、伝説の竜人一族と聞いて動揺しつつハジメの後を追うのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ご主人様よ! 愛しの下僕が帰って来たのじゃ! さぁ、愛でてたもう!」

 黒竜姿から一瞬で人型に戻ったティオが、周囲の竜化した同族や、彼等を見て呆気に取られている人々を華麗に放置してハジメの胸元へダイブした。

 なので、当然、ハジメは発砲する。

ドパンッ!

 と、お馴染みの音が響き、特性のゴム弾がハァハァしながら期待の眼差しでルパ〇ダイブを決めてくるティオの額を弾き飛ばした。

 空中で華麗な後方三回転を決めてから、ハジメの眼前で地面に後頭部を強打するティオ。

 場が、虫まで遠慮したかのように静寂に満たされた。誰もが事態を把握できずに絶句する中、撃墜されたティオは恍惚の表情でビクンッビクンッとブリッジしながら体を震わせつつ、そのままぬるりと予備動作なく起き上がった。その気持ち悪い動きと、だらしの無い表情に周囲がドン引きする。

「み、三日振りのお仕置き……ハァハァ、あぁん、我慢し過ぎたせいで余計に感じちゃうのじゃ……んっ」
「お帰り、ティオ。間に合ったようで何よりだ。竜化状態で転移して来るなんてな。……いいデモンストレーションだったぞ?」
「ふふ、そうじゃろ? 五百年も引き篭っておった伝説の種族じゃ。どうせなら士気に一役買おうと思っての。……うむ、度肝を抜けたようで何よりじゃ」

 何事もなかったように会話を進めるハジメとティオに、周囲はやっぱり付いて来られない。度肝を抜かれたのは竜人一族が転移して来たからというより、ハジメとティオのやり取りが主な原因なのだが、ティオは目論見が成功したと胸を張っている。

「ティオさん、お帰りなさい。でも、一応言わせてもらうなら、この微妙な雰囲気はハジメさんとティオさんのアブノーマルなくせに自然すぎる関係を見せつけられたからだと思いますよ?」
「うん。改めて思うけど、ハジメくんも大概だよね」
「ある意味、ハジメはティオさんの主になるべくしてなったと言う感じかしら? 衝撃の光景なのに自然に感じられてしまう自分の慣れが怖いわ」

 見兼ねた? シア、香織、雫が呆れ顔でツッコミを入れた。ハジメとティオはキョトンとしている。色々と手遅れのようだ。

 と、そこで、広場に出現した六体の竜が輝き出し、次の瞬間には六人の人影が現れた。全員が男だ。筋骨隆々の姿で、ティオと同じように和服に酷似した服装をしている。誰も彼もイケメンだ。だが、髪色は竜化時の鱗の色と同じくカラフルだ。緋色、藍色、琥珀色、紺色、灰色、深緑色、とバラバラである。

 その内の緋色の髪をした、一際威厳を放つ初老の男がハジメ達の前に進み出て来た。ハジメの後ろには追いかけ来たリリアーナ達――各国の重鎮もいる。彼等に対しても全く気後れする様子のない確かな足取りと、まるで大樹そのものが近寄って来ているかのような“重み”は、ごく自然と“彼は王だ”と理解させられるものだった。

 リリアーナやガハルド、アルフレリックなど、各国のリーダーをして僅かにたじろがせる偉丈夫は、しかし、ハジメが己の威圧を柳に風と受け流しているのを見て取るや否やスっと目を細めた。それは剣呑なものではなく、興味深さと感心が入り混じったものだ。

「ハイリヒ王国リリアーナ・S・B・ハイリヒ殿、ヘルシャー帝国ガハルド・D・ヘルシャー殿、フェアベルゲンの長老アルフレリック・ハイピスト殿。お初にお目にかかる。私は、竜人族の長、アドゥル・クラルス。此度の危難、我等竜人族も参戦させて頂く。里には未だ同胞が控えておりゲートを通じて何時でも召喚可能だ。使徒との戦いでは役に立てるだろう。宜しく頼む」

 決して大きな声ではない。むしろ穏やかさすら感じさせるのに、遠巻きに眺めていた兵士達の隅々にまで届いた言葉に、「おぉ」と響めきが響いた。物語の中にしか登場しない伝説の種族が本当に生き残っていて、この危急存亡の秋に共に戦おうというのだ。先に竜化の威容を見せつけられたこともあり、兵士達の士気はかなり上がったようである。

 リリアーナ達が口々に返礼し、アドゥルは鷹揚に頷いた。見た目の厳つさに反して気質は穏やからしい。理知的で全てを包み込むような包容力を感じさせる。流石は、ユエがかつて見本とした種族というべきか。彼こそが本来の竜人族というものなのだろう。

 ハジメ達は、瞳に全力で残念さを込めてティオに視線を送った。「ん?」と首を捻っている。まるで分かっていなさそうだ。

 アドゥル達は侵攻時の行動指針について話し合うべくリリアーナ達と会議室に向かうようだ。【神域】突入組には関係ないので、ハジメ達は残る。雫とティオが合流したのでアーティファクトの受け渡しや【神域】での行動について話し合う必要があるのだ。

 だが、その前に藍色の髪をした竜人がハジメの方へ歩み寄って来た。実は、ハジメが現れた時点で凄まじい眼光を向けていたのだが、場を弁えてアドゥルの挨拶が終わるまで待っていたらしい。二十代前半くらいの美丈夫だ。というか、やって来た竜人は皆、凄まじいイケメン揃いである。

「……貴様。姫に、いったい何をした?」

 押し殺したような声音で真っ直ぐにハジメを睨み付けながら、そう問う藍色の竜人に、ハジメは珍しくキョトンとした表情を晒して視線をリリアーナの方へと向けた。ハジメに限らず、皆の中で“姫”と言えばリリアーナだ。

 表舞台に出ていないはずの竜人族と何か関係でもあるのかとリリアーナに視線が集まるが、リリアーナ自身も心当たりなどなく、ぶんぶんと首を振る。

「どこを見ている! 竜人が姫と言ったらティオ様のことに決まっているだろう!」

 その言葉にハジメ達は固まった。ギギギと音が鳴りそうな様子で視線をティオに向ける。するとティオは、まるで家族には“ちゃん付け”で呼ばれていることを同級生に知られた思春期男子の如き恥ずかしげな様子で、頬をポッと染めて視線を逸らした。

 ハジメが呟く。

「姫?」

 シアが呟く。

「姫?」

 香織が呟く。

「姫?」

 雫が呟く。

「姫?」

 そして、皆で一斉に声を揃えながら呟いた。

「「「「「ないわ~」」」」」

 ティオが咆える。

「な、なんじゃ! 姫と呼ばれとったら悪いか! 一応、族長の孫なんじゃから、そう呼ばれてもおかしくなかろう!」
「あ~、うん、そうだな。ティオ姫。何か悪いな。ティオ姫」
「すみません、ティオ姫。何か語呂が悪いけれど、これからはティオ姫って呼ばせて貰いますね? ティオ姫」
「う、うん、おかしくないよ? ティオ姫? うん、いいと思うよ? ティオ姫」
「い、いいと思うわ。例え、あれな感じでも姫は姫だものね? ティオ姫」

 羞恥から顔を真っ赤に染めたティオがぷるぷると震えながら涙目で再度咆えた。

「ぬがー! 止めてたもう! 何だか物凄く恥ずかしいのじゃ! お願いじゃから今まで通りに呼んでおくれ! こんな羞恥はちっとも気持ちよくないのじゃ!」
「何だよ、いいじゃねぇかティオ姫。可愛いじゃないかティオ姫。素晴らしい響きだぞティオ姫。もっと早く教えてくれよティオ姫。これからもずっとティオ姫」
「止めてたもうぉ~」

 顔を覆って身悶えしながら蹲ってしまったティオに近づき、その耳元で更に姫を連呼するハジメ。その表情は嗜虐心と慈しみが見事に調和した絶妙とも言えるドS顔だった。やはり、ティオ(変態)の主はハジメしかいないと誰もが納得しつつ、ハジメに呆れきった眼差しを向ける。

 そこへ、微妙に空気になってしまっていた藍色の竜人が殺人鬼のような眼差しでハジメに声を張り上げた。

「貴様ぁ、姫様に対して何という侮辱を……やはり、何か怪しげなアーティファクトでも使って洗脳したのだろう!」

 何だか、どこぞの勇者(笑)を彷彿とさせる発言だ。

「これ、リスタス。余りご主人様に失礼なことを言うでない。何度も言ったが、妾は本心からご主人様をお慕いしておる。いくら弟分とは言え、失礼が過ぎれば妾が黙っておらんぞ」
「っ、姫様! 貴女は騙されているのです! 目をお覚ましになって下さい!」
「むぅ、お前と言う奴は。何を根拠にそんなことを」

 ティオにリスタスと呼ばれた藍色の竜人は、駄々を捏ねる子供を見るような眼差しをティオから向けられて、遂に堪忍袋の尾が切れたとでもいうように、心からの、それはもう壮絶なまでに感情の篭った心からの怒声を上げた。

「竜人族の姫が、こんなに変態なはずがないでしょうっ!!!」
「「「「「確かに」」」」」

 その場の全員が一斉に頷いた。確かに、もっともな指摘だった。

「里を出る前の姫様は、聡明で情に厚く、その実力も族長と同等以上。誰からも親しみと畏敬の念を抱かれる偉大なお方でした! 断じて、痛みに恍惚の表情を浮かべることも、罵られて身悶えすることも、まして羞恥に蹲りながらも微妙に嬉しそうな笑みを浮かべることもありませんでした! そこの人間が何かよからぬことをしたと考えるのが自然でしょう!」
「「「「「確かに」」」」」

 再度、その場の全員が一斉に頷いた。確かに、もっともな指摘だった。

「ま、まして、そのような人間の少年を、ご、ご主人様な、ななな、などと! 有り得ない!」

 竜人族の隠れ里にいた頃のティオは、さぞかし族長の孫娘として文句のつけようのない魅力的な女性だったのだろう。今でこそ手のつけようのない変態ではあるが、随所で見せる聡明さや思慮深さ、そして仲間の為なら我が身も顧みない情の厚さと胆力は、ハジメ達にも十分伝わっているティオの魅力だ。

 その姿しか知らない彼等からすれば、変態と化したティオは、まるで別人に見えたことだろう。おそらく、帰郷した際、記録映像を見せたりハジメ達のことを説明したりする過程で、その変態性を同族達へ存分に見せつけたのだ。

 帰って来たら誰からも愛される姫がド変態になっていた……彼等の心中は察して余りある。

 だが、それにしてもリスタスの憤りは少々行き過ぎな気がしないでもない。彼以外の竜人達は、ハジメに対してそれほど非友好的な眼差しは送っていない。むしろ、ティオが選んだ男というのがどういう人間なのか、興味があるといった様子だ。

 更にヒートアップして言い募ろうとするリスタスだったが、そこで嗜めるような声が響いた。

「リスタス、いい加減にしなさい」
「ぞ、族長……しかし!」

 アドゥルがリスタスを諌めるものの、リスタスは納得のいかない表情だ。そんなリスタスに、アドゥルは少し面白げに目を細めながら口を開く。

「ティオが選んだことだ。もし、本当に洗脳でもされているのなら、私が気がつかないはずがない。ティオは本心から彼を慕っているのだよ。もっとも、私とてティオの変化には度肝を抜かれたが……」
「でしたら!」
「だが、その変化も、ティオ自身が幸せであるなら私は構わない。あの子は隠れ里での生に飽いていた。竜人の矜持と自身の立場から掟を忠実に守ってきたが……やり場のない暗く重いものを抱え続けて、心は乾いていたに違いない。半ば無理やり此度の任務に就いたのも、無意識に“何か”を求めたからだろう。ティオは、その“何か”を見つけたのだ。そして、嬉しそうに笑っている。十分ではないか」
「そ、それは……」
「爺様……」

 リスタスが言葉に詰まる。そして、ティオもまた慈愛に満ちた眼差しをアドゥルから向けられて頬を綻ばせた。

「それにな、リスタス。竜人族ともあろう者が、嫉妬を隠して建前で八つ当たりとは感心せんぞ?」
「な、何をっ」
「何を動揺している。自分より弱い者を伴侶にする気はないというティオの言葉に従って、お前が日々己を鍛えていたことは里中の者が知っていることだ。ティオの婚約者候補達に勝負を挑み続けておいて知られていないと思ったか?」

 動揺をあらわにするリスタスに、アドゥルは少々呆れた表情になった。ハジメが傍らのティオに視線を向ければ、ティオが困ったような表情をしながら見返してくる。どうやら、ティオも知っていたらしい。しかも小声で、「あやつらも婚約者候補じゃ」と、その視線を他の竜人達に巡らせた。

 彼等は興味深そうに、顔を近づけてひそひそと語り合うハジメとティオの姿に目を細めている。リスタスの眼が再び釣り上がった。何と、故郷でのティオは本気でモテる女だったようだ。少なくとも、変態的な姿を見ても、すぐさま幻滅されない程度には慕われているようである。

 アドゥルがリリアーナ達に「少し時間を」と断りを入れてから、その視線をハジメに向けた。

「初めまして、南雲ハジメ君。君のことはティオから聞いている。魔王城での戦い振りも見せてもらった。神を屠るとは見事だ。我等では束になっても敵うまい」
「初めまして、アドゥル殿。貴方の孫娘の変な扉を開いてしまったのは俺が原因です。決戦前ではありますが、一発くらい殴られる覚悟はありますよ」

 周囲がざわついた。主にハジメが敬語を使ったことが原因で。そこかしこから「誰か回復魔法をっ!」とか「魔王ご乱心!」とか「人類の切り札がこんなところで……世界はもう終わりだっ!」とか聞こえてくる。

 同時にハジメの体が光に包まれた。香織からの回復魔法だ。シアがヴィレドリュッケンを構えている。殴って治す気だろう。雫は顔を覆っていた。まるで取り返しの付かない悲劇でも見てしまったかのようだ。

 そして、傍らのティオはドン引きしていた。

 ハジメの頬が盛大にピクる。

「ふむ。映像や聞いていた話と少し異なるようだが……周囲の反応も普段の君と違うと言っているようだ」
「まぁ、ティオの身内なんで。竜人族の族長ならタメで話しますが、ティオの祖父とあらば、言葉遣いくらいは改めますよ」
「ほぅ! ティオの祖父だから、か。ふふっ、なるほど、なるほど」

 アドゥルはハジメの言葉に少し嬉しそうに相好を崩した。途端、今までの威厳が霧散し、好々爺とした雰囲気となる。ドン引きしていたティオも、ハジメの異常な態度の理由を聞いて、何だか甘いものでも食べさせられたようなほわっとした表情になった。

「では、せっかくだ。ハジメくんと呼ばせて貰おうか。ハジメくん、君を殴るつもりはない。さっきも言ったが、ティオが本心から笑えているならば私はそれで十分だ。むしろ、己の信条のために五百年も独り身を貫く頑固者を受け入れてくれているようで嬉しいくらいだよ」
「そう、ですか?」
「うむ。幸せなら性癖など些細ことだ。それよりも、聞きたいのは君の最愛の姫君についてだ」

 アドゥルの大物な発言に微妙な表情のハジメは、その言葉に訝しそうな表情になった。最愛の姫君と言われればユエ以外思いつかない。

「映像記録は見せてもらった。あの幼い吸血鬼の姫が生きていたとは驚きだ。そして、孫娘と同じ者を愛するとは、真、縁とは不思議なものだ。アレーティア姫……いや、今はユエだったか。彼女が君の最愛なのだろう?」
「ええ、そうです」

 即答するハジメに、アドゥルは特に表情を変えず頷く。代わりに、他の竜人族は剣呑に目を細めた。リスタスなど今にも怒声を上げそうだ。ティオと親密以上の関係を築きながら、他の女を最愛といったことが気に食わないのだろう。

「私も孫娘を思う祖父だ。五百年前の大迫害の際、命を落としたあの子の両親――息子夫婦にも誓いを立てた。必ず守ると。故に、君がティオを愛せないというなら、たとえティオがそれでも構わないと言っても、やはり思うところはある。最愛(・・)の孫娘は、一番に想ってくれる者に任せたいと思うのが親心というものだろう?」
「確かに」

 アドゥルの眼差しが真っ直ぐにハジメを貫いた。

 アドゥルは聞きたいのだろう。ハジメのティオに対する本心を。ティオがハジメと【神域】へ踏み込むと分かっているからこそ、そして、己が使徒達と死闘を演じることになると分かっているからこそ、もしかしたら今生の別れになるかもしれない孫娘が心を寄せた相手のことを知らずにはいられないのだ。

 ハジメはゆっくりと視線を巡らせた。リスタス達竜人族、シア達、アドゥル。そして、最後にティオ。

 ティオはハジメに真っ直ぐ見つめられて少し頬を染めながらも気圧されたように一歩後退りそうになった。

 だが、その前にハジメの腕が伸びる。その腕は下がりそうなティオの腰を捕まえると、そのままグイッと引き寄せた。さも、これは俺のものだとでもいうように。ティオが益々、赤く染まっていく。いつもの変態はどうしたとツッコミたくなるほど何だかしおらしい。

 ハジメはティオを抱き寄せたままアドゥルに向き直る。そして、静かではあるが力強い声音で口を開いた。

「最近、よく言われるんですが、俺、魔王らしいんで」
「ふむ?」
「だから、欲しいものは全部手に入れますし、邪魔するものは全部ぶっ飛ばします」

 ざわつく外野。アドゥルは静かに聞いている。そんなアドゥルにハジメははっきりと告げた。

「俺はティオが欲しい」

 ハジメに抱かれるティオがビクンと震えた。目を大きく見開きながら一心にハジメを見つめている。

「もう、ティオがどう思うか何て関係ない。今更逃がすつもりはない。確かに、ユエは俺の最愛ですが……それでも、ティオを愛しいと思う。だから――」
「だから?」

 アドゥルが尋ねる。ハジメは、一度リスタス達へ視線を巡らせた後、アドゥルへ不敵な笑みを浮かべながら言い放った。

「ティオはもう、俺のものだ。俺が気に食わないってんなら、力尽くで奪って見せろ。何時でも、何処でも、何度でも、受けて立ってやるよ」

 その余りに理不尽で自分勝手で滅茶苦茶な言葉に、成り行きを見守っていた竜人族を筆頭に周囲の者達は絶句する。シア達だけは「仕方ないなぁ」みたいな表情をしている。

 そして、ハジメの本心を聞きたがったアドゥルはというと、

「確かに理不尽の権化――御伽噺の中の魔王のようだ。ふふっ、なるほど。私の孫娘は魔王の手に堕ちたわけか。世界を救うかもしれない魔王の手に。くははっ」

 可笑しそうに笑い声を上げた。そうして一頻り笑った後、その眼差しをティオに向け何かに納得したように頷いた。

「良い顔をする。里では終ぞ見なかった表情だ。里で説明してきた通り、お前は皆に愛され、そして愛しているのだな」
「爺様。その通りじゃ。妾はご主人様だけでなく、ユエ達のことも愛しておる。そして今、確信したのじゃ。皆にも愛されておるとな。幸せ過ぎて、今なら一人で神をも弑逆できそうじゃ」

 ティオの返答に更に深い笑みを浮かべたアドゥルは、スっと居住まいを正すとハジメに視線を向けた。そして、頭を下げた。

「では、魔王殿。貴殿の最愛共々、孫娘を宜しく頼む」
「……確かに、頼まれました。この命が果てるその時まで」

 再び敬語に戻ったハジメの言葉に、アドゥルは何やら肩の荷を下ろしたような、安心した表情で頷くと、くるりと踵を返してリリアーナ達に向き直った。私事で時間を取らせたことを詫びつつ会議室へと促す。ついでに、ハジメの宣言にたじろいでいたリスタス達にも喝を入れつつ追従を促した。

 リリアーナや愛子が滅茶苦茶羨ましそうな、あるいは物欲しそうな表情をハジメに向けていたが、周囲に促されて仕方なく、されど、それはもう未練たらしくチラチラと振り返りながら要塞の中へと戻っていった。

 重鎮達の姿が消えて次第にばらけていった野次馬だったが、いつの間にか集まっていたクラスメイト達を筆頭に残った者が「やべぇ、南雲、マジエロゲ主人公」とか「はぁはぁ、魔王様……はぁはぁ」とか「理不尽すぎる……でも、私もそんな理不尽にさらされたい!」とか「ハジメ様のハーレム……さりげなく加われば、あるいは」などと雑音を響かせている。

 そんな中、ハジメの胸元で「にへぇ~」とだらしない表情でしがみついていたティオが、スっと身を離した。

「ご主人様よ。とても、とても嬉しい言葉じゃった。しかし、一つ確認しておきたい。あれ程はっきりと気持ちを言葉にしてくれたのは、よもや、最後の可能性を考えたからではあるまいな?」

 この戦いで死ぬかもしれないから今の内に伝えておこう、という気持ちから出た言葉なら、ティオはハジメに忠告しなければならない。だが、ティオの表情を見る限り、あくまで一応の確認に過ぎないようだ。

「死ぬときは一緒だと誓うことと、死ぬかも知れないと考えることは別だ。当然、死ぬのは奴等であって俺達じゃない。そんな可能性、微塵もあるかよ。単に、お前の身内を前に半端な態度は取りたくなかっただけだ」
「くふふ、そうかそうか。ならいいのじゃ。神など恐れるに足りん。今の我なら一人でもエヒトを倒せそうじゃからの。ユエを取り戻して、皆で仲良く“ピー”して“ピー”しようぞ!」
「……だから、シアといい、お前といい、最後が台無しなんだよ」

 ハジメの後ろで、シアが「あはは、ですぅ~」と白々しい笑い声を上げた。

 取り敢えず、これ以上見世物は御免だと場所を移動する。突入組だけで要塞の屋上の一角に集まりに、アーティファクトの習熟や休息に時間を費やすことにした。日の出までは、まだ数時間あるが、誰も仮眠を取ろうとはしない。いつ、大侵攻が始まるか分からない状況では、いくらリラックスしても無意識レベルの緊張感が意識を眠りに落としてはくれないのだ。

 こんな時、図太い神経を発揮するハジメも、ユエを想うと眠気は自然と飛んでしまった。今は、ただひたすら、エヒトへの殺意を研ぎ澄ます。

 やがて訪れた日の出。東の地平線から輝く太陽が顔を覗かせ、西へと大きく影を伸ばす。

 温かな日の光で世界を照らしつつ、真っ赤に燃える太陽が完全にその姿を現したそのとき、ハジメが瞑目するように閉じていた眼をスっと開け、そして呟いた。

「来たか」

 その瞬間だった。

 世界が赤黒く染まり、鳴動したのは。

 そして、ハジメ達が向けた視線の先、【神山】の上空に亀裂が奔り、深淵が顔を覗かせた。

 始まったのだ。

 神にとっては世界の……

 人類にとっては弄ばれた歴史の……

 終わりの始まりが。
いつも読んで下さり有難うございます。
感想・意見・誤字脱字報告も有難うございます。

頑張って考えました。すごく考えました。でも、すみません。
どうしても、どうしても思いつかないんです。
リーさんの出番……
だって、陸だと動けないし……呼吸するのでやっとだし……
すみません。妄想力の足りない作者を許してください。リーさん好きの皆さん。

PS
……遠藤? ……ぁ。

次回の更新も、土曜日の18時予定です。
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