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セキレイが泣く場所で
作:柿桑裕樹



13:脳の使い方には気をつけましょう


「―――――――――はい、起きなさいよ」

 う〜ん・・・・・・なんか声が聞こえる・・・・・。
 
「そろそろ、一時間経ったわよ」
 
 一時間ね〜。俺的には、後もう一時間休みたいんだが。


「・・・・・・・さっさと、起きろぉ!!!!」

 バシィ!!


 俺は頬を叩かれた感触で目が覚めた。
 どうやら、あの後、思いっきり寝ていたらしい。まあ、疲れるんだから仕方ない。
 周りには魔物は一匹もいなかった。エッダはちゃんと、結界かなんかで魔物が来ないようにしていてくれたらしい。
 まあ、それは置いておいて、

 なんで、エッダの顔が目の前にあるんだ?
 エッダの顔がさかさまに見えていることに気付いて、その後、自分がどういう状況なのかを理解した。
 理解した瞬間、恐くなった。

「なぁにぃぃぃぃ!!」
 俺はその場から、即行で起き上がる。
 エッダの頭に当りそうになったが、何とか大丈夫だった。
 だが、さっきの状況がかなり有り得なかった。
「やっと起きたか」
 座った状態のエッダがため息をつく。
「どうせ夢の中で変なことでも考えていたんでしょ」
 普段なら、ここで否定の言葉を吐くけど、今の俺はパニクっていた。
 
 なぜなら、先ほどエッダが膝枕を俺にしていたからだった。

 普通の女の人だったら、まあ、うれしいかな〜って思うかもしれないけど、エッダは例外だ。
 だって、あの凶悪なエッダが、膝枕だぜ!? 怖ぇ〜よ。と言うか、何かされているかもしれないし!?
 エッダが何も言えない俺を見て、ニコぉと笑みを浮かべる。
「もしかして、あんた。一度も膝枕されてもらったことがないとか言うやつ?」
 見事に心の中を読まれてしまった。
「っく! そのくらいなら俺にだってある!」
 実際はないです。はい。
「あはは。むきになちゃって。本当はないんでしょ」
 すっかり、見透かされてるし。
 まあいいわ、とエッダは話を終わらせてくれた。

「それより、あの技は何なのよ? 魔法剣士より速く動いてたわ」

 と、いきなり俺の目の前まで近づいてきて、そう言った。
「ああ、あれのこと?」
「あれが何か分からないけど、とりあいず、教えなさい」
「あれはただ、魔物を切っただけだぜ。普通に頭をスパッとザクッと」
「切り方じゃなくて、何であんなに早く動けたかよ! しかも、なんか言い方恐いし」
 おお、ナイスツッコミ。
 しょうがない、答えてやるか。
「エッダはさ、人間がどのくらい能を使っているか知っているか?」
「は? なにそれ?」
 どうやら、知らないらしい。
 一から説明してやるか。
「実はな、人間は脳の三十パーセントくらいしか、その生涯では使わないんだ」
「そ、そうなの?」
「ああ。三十パーセントくらいあれば、人間は生活をするのに必要最低限の力を使うことが出来るんだよ。逆に二十パーセントや十パーセント位しか使えない人は、何らかの障害が起きていて、世間からは障害者と呼ばれてしまっている」
 それは、生まれつきだからどうしようもないのだが、やっぱりかわいそうだと思うんだよね。
 まあ、それは置いといて。
「で、俺は脳の力を百パーセント以上使えるんだよ」
「・・・・・・そんなんで、あんなに早くなるものなの? たかが、人間の力じゃない」
「さっきも言ったけど」
 俺はエッダを少し馬鹿にしたような口調で言う。
「普通の人間は、人間の脳の三十パーセントしか使えていないんだぜ。三十パーセントあれば魔物とぎりぎりでも闘えるのが、六十パーセント出しただけで二倍は強くなるんだぜ」
「・・・・・・そうわね」
「しかも、最初の三十パーセントは人間として生活するのに必要な数値だ。それから上げる数値は生活には別に必要ないからな。その上げた数値全部を闘うためだけの力にすればいい。つまり、六十パーセントの力を使ったとしても、実際には三倍以上は強くなっているんだぜ」
 まあ、闘うときは最初の三十パーセントも闘うだけに使うことも出来るけどな。
「なるほど。―――――というかあんたはそれをどこで覚えたのよ? 普通の人間はそんなこと出来ないでしょう?」
 エッダが俺をじっと見てくる。
 嘘だと思ってんのかな? まあいいや。
「俺の家はだよ。俺の家はどうやったら人間は強くなるのか? と言うことを研究し続けて、できた結果がこの技だな」
 そう、俺の家は代々闘うものとして生まれてきている。小さな頃から戦う研究をされている。何でそんなことをしているかは俺は知らない。
「あんた、そんなに強いんだったら、こっちにこなくても大丈夫だったんじゃないの」
 だったら、いいんだけどな。
 エッダは気付いていないようなので言っておく
「実はな、この技は未完成な技なんだ」
「は? どういうこと? あんた百パーセント以上使えるって言ってなかったっけ?」
 やっぱり、分かっていない。
「見ただろ、俺がこれ使った後倒れたの。あれは、これの副作用みたいなもんだな」
「なんで倒れんのよ? 脳の力を使っただけでしょ?」
「何故人間は脳の三十パーセントしか使えないのか。それは、体が保てないからだよ。強すぎる力に耐えれないんだよ。人間の体ってやつはね」
 だから、脳は無意識のうちにセーブしているんだ。
「つまり、“諸刃の剣”って訳ね」
「そうだ。実際、戦争とかでは全然役に立たんぞ〜。もって、一分だから」
 ふ〜ん、とエッダは相槌を打つ。
「じゃ、さっそく出発しましょう。なるべく早く行動した方が良いわよ。また、あんなのにはあまり会いたくないからね」
 それには同感だ。
「行くわよ〜」
 エッダがやる気を出している。
 ま。俺も頑張りますか。


 先ほどエッダには言っていなかったが。
 実は一人だけ、脳の力をフルに使っても副作用が起きないやつがいる。







 それが、俺の目標だ。 






 




目標は殺すこと―――――――











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