述懐
――今、自分はここにいる……
何故と聞かれれば、それは生きてきたからとしか言いようが無い。
それでも、と思い返す。
多くの人と巡り会い、多くの悪意に触れて心に闇が生まれ、多くの善意に触れて光を灯すことができたことを。
特に、光を灯すことのできたことは生涯にかけての支えとなり、指針となり、喜びであると感じる。そしてその喜びを持てたために、今まで生きてきたことに、大小に関わらず誇りを持つことができたのだとも。これからも生きていけるのだと。
そう思っている。
――だからこそ記したい……
自分が今まで生きた来た中で、会ってきた人々を。
無論、将来自分は過去にあった事を恨むかもしれない。灯された光が消えるときが来るかもしれない。
先ほどの言葉は何だと思うだろう。しかし、自分の生のこの先に何が待ち受けているのかも分からない以上、こういったことは起こりうる現実であり、可能性である。それに、自分自身何度も光を持ったことを後悔し、憎んだこともあるのだ。無責任なことはいいたくない。
――だが、今喜びと感謝を持っていることは……
変えようが無い、厳然とした事実である。こう考えるのだ。
そして、だからこそ……
――事実の表れとして……
何より、喜びと感謝の表れとして。
ここに、この世界に生まれてきたこと、多くの人に会えたことは幸福だと、一瞬でも持ちえた歓喜を記したい。そう思う。
――ヴァン・ラーハインの書記より
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