取り返しのつかないこと
某県のある町に、交通事故発生率の異様に高い交差点があった。
その交差点では車両、歩行者問わず、頻繁に事故が起こった。……どれも軽傷で済むような小さな事故だったのだが、近所に住む住民はその交差点を怖れた。
――なぜなら、その交差点では“少女の霊”が現れると、もっぱらの噂だったからである。
事故を起こした車のドライバーも、被害者となった歩行者も、口を揃えて「女の子の“幽霊”を見た」と言った。――最初はまともに取り合ってくれなかった役所も、あまりの事故発生率――また“霊”の目撃例の多さを無視できなくなり、ついにある寺に頼んで除霊をしてもらうことを決めた。
……近所に住む住民たちは皆喜び、胸を撫で下ろした。
――……そして、除霊が済んで二日後。
その交差点では、初めて死亡事故が起きた。