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スーちゃんは俺の嫁 作者:赤砂多菜

二章 刃を持つ戦闘機

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45.決闘のその後

45.決闘のその後





 ドラゴン族との決闘から一週間が過ぎた。


「おおげさ何だよな」
「馬鹿言ってないで、ちゃんと寝てなさい」

 ベッドから起き上がろうとするヴィクトールさんを、リズさんが強引に寝かしつける。彼女は椅子から腰を上げたついでとばかりに、スーちゃんを拾い上げて膝の上に乗せて再び座る。
 油断もスキもない。いつかこの(ひんにゅう)とはスーちゃんは俺のものだと分からせなければならない日が来そうだ。

 ここはアルマリスタの病院の一室。
 ヴィクトールさんの怪我は、ニコライさんとシロさんの治癒魔法で命に別状こそなかったものの、完治させるには至らなかった。
 ニコライさんによると、完治までやってやれない事はないが、副作用的なものが出る可能性が高いので、後は自然治癒にまかせた方がいいとの事。
 まぁ、あの状態から持ち直したんだ。少しくらいの退屈は我慢して欲しい。

 リズさんは毎日見舞いに来ているようだ。いつ来てもいる。
 俺はというと、ハウスさんがなんか菓子作りにハマり出したので、その作品をお見舞い品がわりに持ってきていた。今日はパンプキンパイだ。

「ギルドの方は変わりはないのか?」

 さっそくパイに手をつけながらヴィクトールさん。かみしめる度に犬耳の動く様子からさっするにお気に召したらしい。ヴィクトールさんは甘党なので、ハウスさんには砂糖多めに入れてもらってる。リズさんもヴィクトールさんを上回るペースで食べている。
 いいけど、それはヴィクトールさんのお見舞い品だからね? 後太っても文句言わないように。

「前に言った以上の事は特には」

 ヴィクトールさんの問いに俺はそう返した。
 うん、前に言った以上の変化はない。
 その前に報告した内容が色々あれなのだが。

 ネコミミがついた筋肉。アーロンさんが冒険者ギルド長の職務に復帰。
 ……ただ、若干、先端恐怖症になったっぽい。シルヴィアさん以外の事務員の人のペンにすらビクッと肩を震わせている姿が。
 シルヴィアさん。ほんとに何したの? 後、そもそもの入院するハメになった原因はなんだったの? 二人はその件については固く口を閉ざしている。
 どうせ、ニーナさんの霊界ネットワークには筒抜けだろうし。今度聞いてみよう。


 シルヴィアさんはここ最近機嫌が悪い。見た目は笑顔でも、常にペンが回転している。こっちの原因は、新しく冒険者ギルドに登録した女性にある。
 その女性は治癒魔術師で、名はクロエさん。

 あー、うん。あの決闘で中堅だったドラゴン。カイサルさんと戦った(ドラゴン)。女性だった。声じゃわからんかった。人化してると女性以外のなにものでもないんだけど。ちなみに人族じゃなくて、エルフ族。そしてなぜかある(・・)。それを見たリズさんは打ちひしがれていた。リズさんがヴィクトールさんの病室に常駐してるのって、あれ(・・)を見たくないからかも。

 冒険者ギルドに登録したといってもダンジョンが改変期なもんで、カイサルさんのような高ランク冒険者はする事がないのだが、そこにクロエさんがやたらとまとわりついている。彼女はFランクなのでダンジョンにいかなくても仕事はある。なのに、カイサルさんから離れようとしない。カイサルさんを見る目が熱い。

 俺の気のせいじゃなく、あれってホの字……だよね。

 初めは種族の外見が違いすぎるし、美的感覚的にありえるのかなとか思ったけど。
 一つ仮説を思いついた。

 ドラゴンの変身の能力って、人の姿に変化するものじゃなくて、彼らがすでに持っているもう一つの姿に切り替わるというものなんじゃないかって。
 人の姿もまた彼らの姿であるのなら、人の美的感覚も持っていても不思議ではない。
 こんな事を思いついたのも、複数の姿を持つ種族を知っているからだ。

『恐らく合っているかと。確かにあれは我々(あくま)のものと似た仕組みと思われます。細かい部分まで同じかどうかは解析してみなければわかりませんが』

 ヘルプさん(あくま)からお墨付きをもらった。

 そう、悪魔も複数の姿を持ち、その内の一つは人の姿の為、人間の価値観を理解出来るんだよね。


 ……もっとも、それはより問題がやっかいな方に傾く気しかしないが。
 クロエさんのそれが、はしかみたいなものか、それとももっと真剣(ディープ)なものかは、人生経験の浅い俺には分からないが。

 ……他人の恋路に口を出すのもな。カイサルさんがシルヴィアさんとデキてるとは限らないし。

 カイサルさんが、アーロンさんのように全身に穴が開くという奇病で入院しない事を祈る。




 ドラゴン族の扱いは、向こう(ドラゴン)こっち(アルマリスタ)のトップ会議が今も続いているが、おおむね戦時にはアルマリスタの指揮下に置かれるという方向性になるっぽい。
 要は、大人しくしているなら好きにしてろって事。アルマリスタは神明教統一戦争以降、戦争とは無縁だったし。実質的に、アルマリアの森に住むのは容認って事。
 それだけじゃさすがにあれなので、アルマリアの森の資源で交易を結ぶ事になってる。
 あそこの奥は基本手付かずだったから、結構貴重かも。スパイクボアの肉も入手しやすくなるといいな。ゴブリン族が摂取していた野草は賢者ギルドが興味を持っていたし。

 念の為というか、族長と族次長であるサンドロスさんとセレーネさんは俺と召喚契約を結んでいる。ホットライン代わりだ。
まぁ、本当の契約先は俺じゃなくてゲートさん。俺と直接契約すると何が起こるか予想できなかったが、何とか契約後の即委譲した。ただ、委譲の事は当人達にはないしょで、【契約魔法:権限委譲】を駆使して偽装している。

 俺でいいのかという気がしないでもない。俺は街の(まつりごと)にまったく触れられる立場ではないんだし。
 ただ、彼ら(ドラゴン)にしても人柄(せんとうりょく)がわからない相手と契約を結ぶのはゴメンだとの事。俺も役目が増えるのはカンベンして欲しかったのだが。ただでさえ、ゴブリン族との仲介役なんだし。

 他にはドラゴン族に、アルマリスタの住人であるか否かにかかわらず、無闇に高圧的な態度をとらないようには言ってある。
 アルマリアの森は、北の街道沿いにある。そこを通る人とドラゴン族が出会う可能性があるからだ。

 ただし、相手から攻撃された場合の反撃はオーケーにしている。専守防衛まで不許可にするつもりはないし、自分から手を出しておいて反撃されるような奴までは正直言って面倒みきれん。
 少なくともアルマリスタの住民には、マスター権限者から周知徹底してもらうようお願いしている。





「クレメンティの奴の気は変わらないのか?」
「はい、意思は固いようです」

 ヴィクトールさんの問いかけに、俺はやや苦い思いをしながら答えた。

 クレメンティさんは冒険者ギルドから抜けて、街兵士一本になる。ただ、彼はクラン《アルマリスタの盾》のトップだから、引継ぎなどでまだ冒険者ギルドでは顔を合わせる事がある。
 ギルドを抜けるのは、審判という役割を本人の意思とは無関係とはいえ果たせなかった事を気に病んだ結果だ。
 彼が審判という役目を最後まで果たせなかったのは俺のせいだろう。ニーナさんがやらなきゃ俺がやっていたんだし。
 ただ、彼に謝るというのも何か違う気がする。あの状況では結局同じ結果しか導き出せなかったろうし。
 引きとめはしたんだが、意思は変わらないようだった。

「気にするな。お前のせいじゃない……と言っても気にするよな」
「まぁ、そうですね。クレメンティさんが《アルマリスタの盾》に決闘の詳しい事を語っていない事は助かってますが」
「下手な事言ったら、クラン同士の抗争に発展しかねないわよ。彼もそれは望んではいないんでしょ」

 リズさんが肩を竦めた。
 彼女の言う通り、別の諍いのタネにならなかっただけ御の字か。

 誰とでも分かりえるなんてただの理想だ。それは俺も知っていたはずだ。実感したくはなかったけどな。


「ニコライはまた裏庭か?」
「はい、今日もハリッサさんと一緒ですね」


 最近、ハウスさん家の裏庭にニコライさんとハリッサさんが顔を出すようになった。
 ニコライさんはシロさんに治癒魔法のコーチをする為。
 今ではシロさんは、ニコライさんの事を師匠とか呼んでいたりする。まぁ、俺の契約ネットワーク外のニコライさんには届いていないのだが。
 それと、治癒魔法の特訓に熱心なのはいいことなのだが、旦那さん(クロさん)が少し妬いてる。
 後その事で、クマ軍団が聞こえよがしに闇討ちの相談をしてたりも。
 君らちょっと頭を冷やす為に正座でもしようか?


「ニコライは大丈夫だろうが、ハリッサの奴が迷惑かけてないか?」
「大丈夫ですよ。村の人(ゴブリン族)達とも打ち解けてますし」


 ハリッサさんは家具ズとよく遊んでいる。
 なぜに、家具ズなのか。
 何か通ずるものがあるらしく、たまに一緒にうーにゃー(怪しい儀式)をしているが……。村の人にあれは何かと尋ねられた事もあったけど。

 ごめん、俺にも理解出来ないよ。

 謎儀式以外ではリバーシとかもやってる。ちなみに家具ズの中でもティーポットがリバーシ裏庭界隈の第一人者で、第一回裏庭リバーシ大会の優勝者らしい。ハリッサさんに先生呼ばわりされてた。ちなみに奴相手には俺も勝てん。家具の魔物という事で、テーブルゲームと相性がいいのかもしれない。
 五目並べの導入も検討すべきか?

 家具ズについて最近わかった事がある。
 奴らは基本スペックは元守護者であった事もあってかなり高い。【神:進化の導き】の無茶振り(パワーアップ)に耐えれてもおかしくなかったのだが……。
 実は戦闘に駆り出されるのが嫌なので、耐えられないフリをしていたらしい。まぁ、こいつららしいと言えばらしいのだが。
 戦力は足りてるし、念の為の番人がハウスさん家にいてもいいだろう。


「じゃ、俺はこの辺で失礼しますね」

 二人っきりを邪魔するのも悪い。俺もそこまで野暮天ではない。……後、いつまでもリズさんにスーちゃんを渡したままにするつもりもない。

「いつも、悪いな」

 椅子から立った俺にヴィクトールさんが片手をあげて応える。スーちゃんが、リズさんの膝から床にジャンプすると、リズさんは寂しそうな顔をする。
 後はヴィクトールさんと存分にイチャイチャするがよい。

「この後はどうするんだ?」
「エリカを拾って、冒険者ギルドに顔を出すつもりです」

 エリカは図書館でお勉強中である。まぁ、長時間集中できるタイプではないので適当なところで抜け出すだろうが。エリカの位置は監視型スーちゃんをつけている為、すぐに分かる。

「何かあったら、連絡に戻りますよ」
「頼む」

 ヴィクトールさんの病室を出て、俺は病院を後にした。

 さて、エリカは、と。

 探すまでもなく、病院のすぐ外にいた。
 エリカにつけてた監視型スーちゃんが、ベーススーちゃんに合流する。

「おーい、勉強は?」
「飽きた」

 こいつめ、少しは悪びれろ。

『まぁ、今回は多めに見てやってくれんか。逃げてきたというのもあるのでな』

 逃げた?

 ガイドさんの言いように首を傾げる。

「ニーナさんが図書館に来たんだけど、すっごく怖かった」
「オーケー。今回は認めよう」

 状況が読めた俺は、即無罪判決を下した。
 俺でも逃げるしな。


 ダンジョンの改変期が当初の予想よりも長引いている。元々備えていた訳ではないので、物資の不足が始まっている。食料もゴブリン族から流せる量に限りがある。
 最悪、他の街に救いを求める事になるが、それは街の自治能力の無さを喧伝するようなもので、今後の外交(まちのつきあい)に影響が出るとか。

 どのギルドも職員はてんてこ舞いだし、ギルド長の負担も大きい。特にニーナさんは個人の能力の高さが(あだ)となって負担倍増になってる。
 時々、賢者ギルド舎を抜け出して図書館に避難してくる。それはいいのだが、疲労で恐怖オーラが倍増してた。
 いい加減慣れたと思っていたが、甘かった。流石ニーナさんだ、奥が深いよ。知りたくもないけど。


「マサヨシがこっちにいるってスーちゃんから聞いたから来たけど、これからどうするの? 帰るの?」

 こいつの場合、帰るというのはハウスさん家になる。
 折を見て剣の休息亭にとも思っていたのだが、裏庭のゴブリン族ともコミュニケーションがとれているようなので様子見。
 ガイドさんがフォローしてる面もあるが、再び肉体を得た事がこいつにプラスに作用してるっぽい。
 こいつが農作業の手伝いをしている光景を初めて見た時は衝撃だったもんだ。

 あー、うん。やばそうな事から遠ざけるだけではダメって事だね。反省々々。


「冒険者ギルドに顔だしてからだな。一緒に来るか?」
「うん」


 俺達は冒険者ギルドに向かって歩き出した。
 ヴィクトールさんが入院している病院から、冒険者ギルドはそんなに離れていない。
 ので、途中に出来る会話なんて限られている。


「カイサルさんのアレ(・・)って結局どうなったの?」

 なのに、エリカがやっかいな話題を振ってきやがった。
 カイサルさんのアレ(・・)
 十装の魔獣形態。すなわちエレディミーアームズ。
 決闘の時にエリカは口を挟んでこそ来なかったが、ヘルプさんやガイドさんが使ってる通信チャンネルはエリカも使えるため、あの時の会話は普通にこいつに聞こえていた。

「カイサルさんに聞いたけど、やっぱりというか知らなかったらしい。十装自体もダンジョンの宝箱産らしい」

 魔獣が本来どういったものか説明した時、カイサルさんは顔をこわばらせていた。
 説明したと言っても、あくまで魔獣が特定の資質を持った人の脳みそを前提とした武器である事だけで、異世界云々は言ってない。
 聞かれたら、答えるつもりではいたが特には聞かれなかった。

 ……でも、いずれ話すべきなんだろうとは思うな。十装を使う限り、カイサルさんもエレディミーアームズの関係者としてカウントすべきだろうし。

「マサヨシは他にも、あると思う?」
「エレディミーアームズか?」
「うん。もし、エレディミーコアが搭載されたエレディミーアームズがあったら、釣りできなくなっちゃうね」

 ……釣り? フィッシング?
 エレディミーアームズとどう繋がるのか分からない。

「メディックさんと釣りの約束してたよね?」
「ああ、その事か」

 メディックさんとはエレディミーアームズのセンチ組、だった。
 元衛生兵。サバゲーじゃなく、リアル衛生兵だ。

 ちなみにメディックさんとは俺が勝手にそう呼んでいたんだが。本人以外の~、と言いたいところだが、本名で呼べとクレームがついた。だが、すでに周囲にメディックさんという呼び名が定着してしまって、本名で呼ぶ人が誰もいなくなった。

 ……俺のせいじゃないよね?

 まぁ、いまさら本名で呼んでやるつもりはない。
 最初で最後のエレディミーアームズの反乱の後、リンクシステムにメディックさんの意思はロスト(しょうめつ)していた。

 メディックさんは肉体があった頃は釣りが趣味だったらしく、全てが終わったら一緒に釣りをする約束をしていたのだが。

 約束を破った罰だ。二度と本名でなんか呼んでやるか馬鹿野郎……。

「釣りぐらい元の世界でも出来るだろ?」
「あっちの魚は色々汚染されてて、大変な事になってるよ。三つ首の魚とか普通にいるし」

 魚版ケルベロス(三つ首の犬)!? 食欲がそそられないにもほどがある。まぁ、エレディミーアームズは食料を必要としないからいいけど、海に奇形がうようよしてるのはいやだなぁ。

「メディックさんがこっち来た時に、あっちと同じ状況だったら悲しむだろうから――」
「エリカ。メディックさんは――」
「分かってる。でも、メディックさんもセンチ組だよ? もしかしたら動けなくなってるだけで、リンクシステムにも不具合が出てるだけの可能性だってあるじゃない」

 希望的観測。まぁ、でも分かるか。
 メディックさんは軍人のわりには、お人よしでエリカとも仲良く出来た希少な存在だった。
 そうだな。こっちの世界まであっちみたいに荒れた世界にするのもな。他のエレディミーアームズ(みんな)も呼ぶ予定だし。


「とりあえず、現状は情報集めだが、ニーナさんが今忙しいからな」

 これ以上忙しくして恐怖オーラが増したら、賢者ギルド職員のSAN値がもたん。

「どの道、図書館で調べた限りではそれらしいのはなかったし。禁書にはあるのかも知れないが、今は一般会員だからな」

 《御馳走万歳》との交渉時の賢者ギルドカードは禁書閲覧許可(ブラックライン)がついていたが、あれはあくまで暫定処置。今は一介の賢者ギルド員である。
 ただ、スーちゃんが結構真面目に論文を書いているので、ブラックラインはともかく、普通のラインはとりそうだが。

「とりあえずは放置って事?」
「そうだな。今のアルマリスタの状況を放ってもおけないからな」

 まぁ、ダンジョン改変期が終わって、アルマリスタが安定してから動いても遅くは無いだろう。



 冒険者ギルドの敷地に入り、ギルド舎が妙に騒がしい事に気付いた。
 忙しいのはどこのギルドも同じなんだが、なんというか凄い熱を放っている感じ。

 ギルド舎に入ると、ロビーで、ラウンジで、冒険者達がなにやら喧々諤々。いったい何事よ。

「マサヨシ」

 カイサルさんに声をかけられる。相変わらずクロエさんが共にいる。そして、二人を事務仕事をしながらも、きっちりサーチしているシルヴィアさんの視線。
 ……ある意味、この人(カイサルさん)も現在は危険人物になっているが、呼ばれたら行かない訳にはいかない。


「これ、何事ですか?」
「改変期が終わったらしい。それも3つのダンジョン全て」

 え!? まじで!!?

「じゃ、もうダンジョンに入れるんですか?」
「いや。ギルドが斥候を送ったが、全員帰還石で帰ってきたらしい。どうやら、完全にダンジョンが別物になっているらしい」

 うぇーい。
 予想された結果とはいえ、物資不足になりつつある現状でそれは痛いな。

「のんびりしている余裕はないですよね?」
「ああ。ギルド長も現状は理解しているだろう。最低限の資源確保の為に、大規模なダンジョン攻略作戦が始まるだろうな。ウチのクランも当然動員要請が来る」
「急に忙しくなりそうですね」
「まぁな。だが、休暇は十分堪能したろう?」

 確かに。

「悪いが、《自由なる剣の宴》のメンバーに声をかけてくれるか?」
「かまいませんけど、カイサルさんは?」
「この後、上位クランのトップとギルド幹部で打ち合わせがあるんだ」
「了解。じゃ、来たばかりだけど失礼しますね」

 正直、シルヴィアさんの視線が怖い。カイサルさん、良く平気だなと思ったが、どうもかなり無理してるっぽいな。
 まぁ、モテル男は辛いという事で。


「やっとダンジョンに入れるようになるんだね」
「あ、そうか。お前、ダンジョンには入った事なかったっけ」

 こいつが来た時には改変期に入っていたしな。

「ダンジョンって楽しい?」

 んー、どうだろ?

「楽しいかどうかは人それぞれだろうが。まぁ、日々が充実するな」

 俺は平穏な日々も好きだが、それだけじゃ飽きてしまう。
 人生、適度な刺激が必要だ。まぁ、無駄に強力な力があるから言える事なのかも知れないが。

 とりあえず、目標は今度こそ鮭ゲットだ!

『……まだ諦めてなかったのですか』

 うるさいな。塩鮭こそニホンの家庭料理の奥義の一つだ。秋刀魚(サンマ)だけでは俺の欲求は満たされないのだ。

『好きにしてください』

 ヘルプさんは呆れたような声を残して引っ込んだ。
 うん、好きにする。
 鮭は良いものだ。だよねー、スーちゃん。

 スーちゃんは肯定しながらぽよんぽよん弾む。

 よし、その為にも、新しくなったダンジョンの情報を集めなければ。
 うぇぇーい!!
 忙しくなるぞー!!


 俺はスーちゃんとエリカを連れて、病院に、裏庭に、剣の休息亭に。この情報を告げるために駆け出した。



 二章 刃を持つ戦闘機 完

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