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スーちゃんは俺の嫁 作者:赤砂多菜

一章 無限の供給炉

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27.作戦失敗したっぽい

27.作戦失敗したっぽい





 〈赤い塔〉21階で再びフォーメーション変更。

 カイサルさんが前衛に戻り、リズさんはそのまま前衛に居残り。
 やっぱリズさんは前衛が本職か、あるいは遊撃担当っぽいな。
 ニコライさんはこれまで動かずにいたが、ここで前衛に支援魔法をかけ始めた。

 みんな、ここからが本番って空気だ。

 俺も予定通り追加を召喚する事にする。


 【召喚魔法:代理召喚】


 これが俺が新たに得たスキル。その一つ。

 スケルトンの召喚は本来ゲートさんの能力だった。
 当然、召喚による魔力コストはゲートさんが負担する訳で、大量にスケルトンを召喚するとゲートさんがもたなかった。
 だが、この【召喚魔法:代理召喚】は、ゲートさんの召喚出来る存在を、俺が直接召喚出来る。当然、魔力コストは俺が負担する。
 だが、俺の魔力は桁はずれだ。いや……実はさらに魔力が上がってたりする。


【無:ステータス解析】

 名前:丸井正義
 種族:人族
 職業:召喚師

 生命力:15/15
 精神力:20/20
 体力:15/15
 魔力:666666/666666

 筋力:8
 耐久力:8
 知力:10
 器用度:10
 敏捷度:10
 幸運度:666

 所有
  無し

 スキル
  【無:万能言語】
  【無:ステータス解析】
  【無:エレガントなヘルプさん】
  【契約魔法:召喚契約】
  【契約魔法:知識共有】
  【契約魔法:権限委譲】
  【召喚魔法:五感共有】
  【召喚魔法:召喚】
  【召喚魔法:代理召喚】
  【召喚魔法:召還】
  【召喚魔法:送還】
  【特殊:無限契約】
  【特殊:魔力供給炉】
  【神:進化の導き】

 召還契約
  スーちゃん
  ハウスさん
  ゲートさん
  ケンザン


 やってくれましたよ。神様が。
 俺の魔力がさらに一桁増えてるし。
 ついでに幸運度も凄いことになってる。
 ヘルプさんはスルーするとして。
 極めつけはスキル系統が神ってなによ、神って。

 後、召喚契約について。俺と直接つながってるのは表示されてる4体だけになった。
 理由は【神:進化の導き】のせい。これは俺が契約した魔物や精霊を進化させ、さらに常時パワーアップさせるという凄いスキルなんだが。……なんだが。



 進化までは、まぁ良かったんだが。なんとパワーアップがキツすぎて、ほとんどが耐え切れなかったというオチがついた。……加減考えろよ。危うく味方を大虐殺する所だったぞ。

 幸い、契約を移動出来るという新スキル。【契約魔法:権限委譲】で、パワーアップに耐え切れなかった魔物達の契約をケンザンに移す事でなんとかなった。
 スーちゃんとかケンザンは、彼らを軟弱だとか言っているのだが。

 いや、おかしいのはキミ達だからね? あんなのに耐え切れる方がおかしいからね!?

 じゃぁ、具体的にどうおかしいのか。代表としてスーちゃんのステータスを表示。


【無:ステータス解析】

 名前:スーちゃん
 種族:ラストスライム

 生命力:10000/10000
 精神力:4000/4000
 体力:5000/5000
 魔力:4000/4000

 筋力:500
 耐久力:900
 知力:100
 器用度:200
 敏捷度:500
 幸運度:100

 スキル
  【種族:吸収】
  【種族:溶解】
  【種族:分離】
  【種族:衝撃耐性】
  【強化:気配察知】
  【強化:狙撃】
  【状態:毒】
  【状態:麻痺】
  【状態:冷却】
  【状態:感電】
  【料理:アルマリアの森集落家庭料理】
  【特殊:能力奪取】
  【特殊:時間停止収納】
  【特殊:隔離空間】

 召還契約主:丸井正義



 ついにというか、なんというか。
 スーちゃんを筆頭に俺と契約を維持している4体全てが、世界の法則ブッチギリました。
 全部桁おかしいし!!


 進化して種族も変りました。

 スーちゃんがラストスライム。
 ハウスさんが王位精霊。
 ゲートさんがアウターゲート。
 ケンザンがインフィニティウェポンズレギオン。

 スーちゃん情報で調べても、王位精霊しか見つからなかった。後ケンザン、種族名なげぇよ。省略できなかったのか。
 王位精霊は神の領域にまで近づいた精霊だそうな。
 ……そりゃこんだけのステータスもってれば神様にだって手が届くよね。

 ちなみに契約移動組はパワーアップにこそ耐えられなかったものの、進化は完了してる。ほとんどの種族名にアウターがついてたけど、ゲートさんの影響だろうか?


 俺がなぜ〈赤い塔〉に強気でいられたのか。これを見れば誰もが納得すると思う。
 神の領域に近づいた存在×4。
 むしろ攻略できねぇって考える方が難しい。

 いっそ、リガスを直接狙ったほうが早くね? とも考えたんだが、今後のゴブリン族の立場を考えると、やはり正攻法で攻めるべきだと思ったんだ。

 今まで誰も倒せなかったミスリルゴーレムを倒したら悪目立ちするだろうが、もう今更だ。それにゴブリン族の未来には代えられないしな。ちょっと俺が我慢すれば済む話だ。



 さて、前置きがかなり長くなった。

 俺の召喚に応えてスケルトンアーミーが来ました。――とりあえず100体ほど。
 ちなみに何体召喚するか指定しなかった場合、たぶん桁が増えると思われる。もう適当に召喚出来ないな。何が起こるか考えたくない。

 なんでも数字を増やせばいいってもんじゃないんだ。時代が求めてるのはコンパクトで高性能。パソコンでも携帯でもそうだ。
 大きくても許されるのは女性の胸だけなんだよ! あっちはコンパクトが許されないんだから!!

 なんかリズ(ひんにゅう)さんがこちらを向いたが、たぶん呼び出したスケルトンアーミーの数と姿にびっくりしたんだろうね。
 スケルトンアーミーは元々、スケルトンと武具系の魔物を組み合わせた存在だったが、どっちも進化した影響で、青白い光を放っている。後、時々周囲の空間が揺らめいて、なんか変な景色が見える。

 さて、デビュー戦だ。スケルトンアーミーの諸君。言っとくが無様な姿を見せたら丸一日正座だからな。

 あ、なんか全員の背筋が伸びた。やっぱりスケルトンにも正座はきついっぽい。

「蹴散らせ!」

 俺の号令にスケルトンアーミーが一斉に進軍を開始する。
 相手は獣系、植物系の混成部隊。しかもアークやグレーターが名前につく上位種の魔物。
 ただのスケルトンには荷が重い相手だが、俺のスケルトンアーミーは無論ただのスケルトンの集団ではない。
 元々、ゲートさんの召喚するスケルトンは普通よりも強かった。それが本体、武具共に進化したのだ。弱いはずがない。



 それはかつてのサハギンクィーン戦を思い出させた。
 緑の津波がサハギンクィーンを飲み込んだように。
 青白い波に、ダンジョンの魔物達が飲み込まれていく。


 そのまま、青白い波はダンジョンを進み続ける。途中で現れる魔物は障害にすらならない。

 カイサルさん達は手を出さなかった。
 出させなかった。スケルトンアーミーの力を見せ付ける為に。

 ミスリルゴーレム。ミスリルで出来たゴーレム。
 普通に考えれば強敵だ。普通に戦えば犠牲者が出るかもしれない。
 だから、普通ではない力を俺が持っている事を示す必要があった。
 普通に戦わない為に。

 戦力的に考えれば、スケルトンアーミー100体よりも、スーちゃんやケンザンのほうが余程強い。だが、視覚的なインパクトは単騎よりも軍勢のほうが上だ。


「さぁ。この階の守護者まで押しつぶしてしまえ」


 俺の言葉を受けて、青白い波は加速していく。


□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□


 ありえない。
 そんな言葉を俺は飲み込んだ。
 仮にもBランクの冒険者が。そしてクランのリーダーが口にするべきではない。
 それでも思わずにはいられない。

 これはなんなんだ?

 ハリッサも。
 ニコライも。
 ヴィクトールも。
 リズも。

 誰もが言葉を発しない。
 ただ、青白い波に魔物達が食われていく様を眺めている。

 3桁のスケルトンを同時召喚出来る。
 事前にマサヨシから話は聞いていた。
 それを聞いた時は普通に凄いと思った。そもそも百体の魔物と契約を持つこと自体が、召喚魔術師としては破格の数だったからだ。

 だが、それは間違いだった。
 マサヨシは召喚魔術師ではない。
 召喚師。ユニーク職業だった。

 サハギンクィーンの時に思ったはずだ。
 こいつは力は異常なのだと。

 このスケルトン共も凄まじいが、マサヨシはさらにスーちゃんと名付けたスライムと、ケンザンと名付けたソードレギオン――だったものを手札に持っている。

「……団長、俺達いらなかったんじゃ」

 ニコライの言葉に俺は努力して苦笑の表情を浮かべた。

「馬鹿言え。じゃぁ、誰があいつ自身を守るんだ」

 違うと分かっていながら俺はそう口にする。

 ミスリルゴーレム戦の主力は恐らくスーちゃんとケンザンだ。このスケルトン共よりもあいつらの方が強い。それは勘で分かった。
 マサヨシを守る事こそが、このスケルトン共の役目だ。
 ここであえて見せ付けるようにつかったのは、俺達をミスリルゴーレム戦に参戦させない為だ。俺達から犠牲者を出さない為に。
 でもなきゃ、初めからこのスケルトン共にまかせれば良かったんだ。それをしなかったのは、俺達のプライドを守る為だ。
 実力を発揮する場も与えられずにこんなものを見せ付けられた日にゃ、下手すりゃ立ち直れねぇからな。

 マサヨシは。あいつは泥をかぶる気でいる。

 だが、だからこそ。だからこそ、だ。俺達が先輩として守ってやらなきゃならねぇ。
 魔物からじゃねぇ。孤独からだ。

 あいつの力は異常だ。このまま冒険者を続ければ絶対に孤立する。
〈赤い塔〉に入る事を認めるのと引き換えに、《自由なる剣の宴》に入る事を条件にしたのはその為だ。

「なんか、マサヨシ。辛そうっすね」

 ハリッサがぽつりと言った。

 マサヨシの力は異常だ。
 マサヨシの心は正常でありながら、だ。

 己が異常と知るが故に、あいつは他人が自分を異常と扱うのを受け入れるのだろう。
 だが、そうはさせねぇ。

「ハリッサ。《自由なる剣の宴》のモットーはなんだ?」

 一拍遅れて答えが返ってくる。
 ただ、ハリッサだけでなく全員だった。

新人(ルーキー)には優しく、熟練者(ベテラン)には敬意を」
「分かってんだったら、支えるんだ。それが先輩の役目だろが」

 俺はいい仲間を持ったようだ。


□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□


 やはり、付いてきて正解だったと私は考えました。

 異界の人間がいる。それは衝撃でした。
 私の職業は霊能者。死者の言葉を聴き、死者に言葉を伝えるのが、私のスキル。

 彼にはおびただしい異界の霊が常にまとわりついている。
 そのほとんどが怨嗟の声を上げるのみで、私には見向きもしませんでしたが、微かに理性がある霊が教えてくれました。こことは違う世界から来たのだと。

 詳細は分かりません。
 恐らく、マサヨシさんは私には想像もつかないような、多くの死と共に生きてきたのでしょう。
 でなければ、あの数の霊がまとわりついている事の説明がつきません。

 ですが、それはどうでも良い事。
 彼は今はこの世界にいる。元の世界の事は関係ありません。

 ですが、彼はユニーク職業。私と同じ。
 そして、ユニーク職業という枠を超えた力を持つ人。私と比較にはならない。

 賢者ギルドには隠された使命があります。
 それは異能の保護。

 常人には手の届かない力を持つが故に、恐れられ弾圧され潰される。
 そのような事が起きぬよう、賢者ギルドは彼らの盾となる。
 先代ギルド長が、自らのスキルをコントロール出来ず、両親に見放された私を引き取ったように。



 青白い波が魔物を食い尽くしていく。
 恐らく、ワザと力を見せ付けているのでしょう。
 全てを引き受ける為に。


 彼が善なる人だと。ゴブリン族の村での出来事で判断できました。
 ならば、ためらう必要もない。
 私が多くのスキルを取得し、磨き上げたのは、誰かの盾になる為。


 私が彼の盾となりましょう。


□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□-□


 30階到着。
 うん、それはいいんだけどさ。


 何か作戦失敗っぽい。
 いや、対ミスリルゴーレムじゃなくて、対味方というかなんというか……。


 スケルトンアーミーで力を見せつけるのはいいけど。カイサルさん達のプライドを傷つけたくないなとか、矛盾した事を考えてたけど。

 えーと。何か、全然傷ついてない?

 それどころか、スケルトンアーミーと連携してる? カイサルさん、指示まで出してるよ。クレイゴーレムやらサンドゴーレムやらワラワラと寄って来るけど、もう鉄壁って感じです。
 あーれー? 俺、変な目で見られるの覚悟で力を見せ付けたのに。俺の覚悟をどうしてくるんだろうか。この人達。


 後、ニーナさんの攻撃。やっぱり即死効果みたいです。マッドゴーレムがサクッ、コロッって感じです。後スーちゃんが見失ったのは、単にテレポート系のスキルが使えるっぽいです。

 ……え? 職業、霊能者だよね? それ本当に霊能者のスキルなの? 暗殺者とかじゃなくて? 聞きたい。でも、なんか怖い答えが返って来そうで怖い。実は本当の職業は死霊なんですとか言われたらめっちゃ怖い。あの人だったら、本当にありえそうで怖い。


 しかし、さすがゴーレム宮殿と名付けられただけあって、ゴーレムの種類も数も半端ない。
 あらかじめ予習してきたのに、識別がおいつかない。いや、スーちゃんがやってくれるから、俺がやる必要もないんだけど。
 それと、単に数が多いだけじゃなく、奥からどんどんお代わりが追加されてくる。これもしかして随時ゴーレムが発生してる? 無限湧きだけじゃなく湧き間隔も短いのか?

 甘く見てないつもりだったんだけどなぁ。

 これをカイサルさん突破したの? 俺みたいな反則スキルがあったり、スーちゃんみたいにラスボスステータスだったりしないのに?
 逆にそっちのがすげぇよ……。


 とりあえず、スーちゃん。ケンザン。前衛が崩れたらまずい。
 一気にいくよ。


【特殊:魔力供給炉】


 契約を通してスーちゃん、ケンザンに魔力が流れていく。
 スーちゃんの体積が膨れ上がる。
 ケンザンのサイズが大きくなり、周囲を旋回する様々な武器の形をした分体が増えていく。


 スキル【特殊:魔力供給炉】は【召喚魔法:強化】と【召喚魔法:守護】を合わせたものだ。
 ただ、二つあわせただけのスキルではなく魔力の消費も多い。だけどそれは燃費が悪いのではなく、送ることの出来る魔力量が増えたからだ。契約をホースに例えると、穴の径が太くなったと言えば分かるだろうか?

 俺の冗談じみた魔力回復速度すら上回る魔力消費。それだけの量がスーちゃんとケンザンに流れ込まれているのだ。

 実のところ、スーちゃんとケンザンには一つだけ弱点がある。
 世界の法則すら超えるステータスの代償として、スキル使用時の魔力消費量が大きい。まぁ、あれだけのステータスでさらに省エネの方が詐欺っぽいが。

 これはハウスさんとゲートさんにも共通するのだが、両者は戦闘タイプではないのであまり問題にはならない。その説明を疑ったら、ヘルプさんにまた好感度を減らされた。まじ残りの好感度がいくつあるのか気になる。

 結局、ステータスをカタログスペック通りに活かすには、俺の魔力供給が必須になる。
 別にステータスの数値通りじゃなくても十分に強いのだが、今回に限っては1秒でも早く終わらせたい。
 カイサルさん達、それにニーナさん。なんのかんの言いつつも俺は一緒に来る事を選択した。ならば、最後までそれを貫き通す義務がある。


「スーちゃん、ケンザン。行けっ!!!」


 緑の津波と紫電を纏う閃撃が、ゴーレム宮殿の最奥へと続く道を作り出した。





 そして。

 よくもまぁ……。

 俺はそれを見た時に思った。

 カイサルさん。あれに立ち向かったの?

 白銀の巨人。もうパース狂ってんじゃね? ってサイズ。
 まだ足元に辿り着いていないというのに。
 錯覚とかではない証拠に奴のすぐ下にいたゴーレムが踏み潰される。

 ゴーレムってさ。通常個体でも人間より大きいのがほとんどなんだよ?
 さらにゴーレム宮殿奥だったら、上位個体だろーに。つーか、ナチュラルにフレンドリーファイアしてんじゃねぇよ。それが許されるのは地球防衛軍ぐらいだよ!
 踏み潰されてる奴が気の毒に思えるじゃねぇか。

「おかしいな?」

 ぽつりとカイサルさんが言った。

「何がですか?」
「以前よりも小さく思えるんだが。気のせいか?」
「……逆ではなくて、ですか?」

 あれよりも大きいなら、もう攻城兵器でも持ってこなきゃ無理でしょ。
 いや、今でも十分に攻城兵器が有効そうだけど。

「スーちゃんとケンザンを突っ込ませますけど、一緒に突入は無しの方向でお願いします」
「どの道、シルヴィアがいないんだ。無茶できねぇさ」

 あれ相手に無茶できるって、シルヴィアさん。どんだけ凄いんですか。

 とにかく、スーちゃんとケンザンに突撃を指示。
 ケンザンは空が飛べる分早く到着したが、比較対象があるとさらに巨大さが際立つ。
 今のケンザンも十分でかいんだが。

 ケンザンは分体での攻撃開始。ついでに紫電がミスリルゴーレムを撃つ。
 スーちゃんは、途中で溶岩の巨人。ラヴァゴーレムの集団に足止めを食ってる。いや、スーちゃんが逆に食ってるな。【特殊:能力奪取】で、スキル狙いみたいだ。
 その間にケンザンの攻撃は激しさを増している。同じ金属の魔物同士。相性が良いのか悪いのか分からないな。とりあえず電撃は通じてない。ケンザンには斬撃に専念してもらったほうが良さげか?

 しかし、俺が指示を出す前にミスリルゴーレムが吼えた。

 なんちゅう声だ。離れていてなお鼓膜が破れるかと思った。

 今の咆哮でケンザンが吹っ飛ばされた。

 嘘だろ? ケンザンもラスボスステータス持ちだぞ!?

「あのミスリルゴーレム、何かスキルを使ってるっす!」
「なんだと!? 俺の時にはスキルなんか使ってこなかったぞ!」
「でも、間違いないっす!!」

 ハリッサさんが聞き返すカイサルさんに断言する。ハリッサさんは【特殊:第六感】を持っている。その言葉は信用出来るし、重要だ。

 スキル? ケンザンの攻撃はスキルで防御されていた?
 そうだ、今のケンザンの攻撃を受けて無傷でいられる存在なんてそういない。同様にステータスの上限を突破してるか、さもなくば――無効化か!?

 俺は考える。

 何を無効化? ケンザンは電撃と斬撃。分体にメイスも混じってるから打撃も加えている。物理全体を無効化するってのか? だが、それぐらいでなきゃケンザン相手に無傷はありえない!

「ケンザン、一度下がれ!」

 ちょうどスーちゃんが到着した。物理が効かないなら状態異常攻撃だ。ケンザンも【状態:感電】を持ってるが、スーちゃんは4種持ち。いや、先程ラヴァゴーレムから【状態:加熱】を奪って5種になった。
 スーちゃんの方が相性は良いはずだ。
 取り付いたスーちゃんを引き剥がそうとミスリルゴーレムが暴れる。その巨体が生み出す振動は凄まじい。それだけでもはや攻撃に近い。
 しかし、スーちゃんに通じない。スーちゃんはスライム。物理全般は無理でも、衝撃に対する耐性を持っている。それでも普通のスライム相手なら無理が通ったかも知れないが、あいにくスーちゃんは普通のスライムじゃない。

 再びミスリルゴーレムが吼えた。

 痛覚のないはずのゴーレムが、苦しむように首を左右に振って抵抗している。
 効いてる。状態異常のどれか、あるいは全部かも知れないが。とにかく通用している。
 なら、そのまま行け! スーちゃん!!

 しかし、そのスーちゃんからコンタクトが届く。
 警告!?

 瞬間、空間が焼けた。
 紫電が俺達の頭上を走りぬける。

 そして、全身をから煙を吹かせながら姿を現したのは、スーちゃんが取り付いているのと同じ白銀の巨人。いや、煙を吹いている方が一回り大きい。

「二体いたのか……」

 カイサルさんが呆然と呟く。

 ああ、なるほどね。そっちがカイサルさんが相手をした方なのか。だが、出てくるのが遅かったね? お寝坊さんか?
 二体同時ならあるいは、ハリッサさんに小型のスキルを見破られる事はなかったかも知れないのに。
 そして、お前。あきらかにケンザンの電撃が効いてるね? 小型に散々攻撃して通用しなかった分、比較がし易くて助かるよ。

「行け、ケンザン。あっちはお前の獲物だ」

 小型に攻撃が通用しなくてプライドが傷ついていたのだろう。ケンザンは俺に嬉々とした感情を伝えながら、大型に向かって飛んで行った。
i219707
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