R-15、官能シーンあり。お子ちゃまは廻れ右。
規制区分はソフトですが、こういうシーンが苦手な方もご遠慮下さい。
番外編 「ハロウィン☆~シレジア編~」(下)☆性描写あり
番外編 「ハロウィン☆~シレジア編~」(後編)
こうして仮装して出掛けた海賊王セネリオと妖精フレデリカ。
楽しい結婚記念日の催しを終えた、その帰り道。
馬車に揺られた車内には、セネリオとフレデリカ、そしてただ今白鷲の聖獣ヘスペリス一羽。
そんな車内では「今年も大成功で良かった」と、安堵して話し合う夫婦二人。
会話の後はそれからゆっくりと、王宮までの帰り道、車窓から王都ホルムガルドの町並みを見物する二人だった。
北国の早い秋は晩秋深まり、街道に植えられた銀杏の樹が、もう黄金色に煌めいて、ハラリハラリと風と一緒に舞っていた。
もうすぐシレジアの雪の妖精スネグーラチカが、その美しい白羽を振りまいて王都中を白く薄化粧していく事だろう。
シレジアに長い冬がやってくるのだ。
この時、不意にフレデリカは、沿道の風景を眺めるセネリオの横顔を見つめて考えてしまう。
シレジア王太子としての貫禄が付いて、随分と大人びたと。
結婚した頃、当時自分より三才年少の従兄弟はまだあどけない少年らしさが残る美しい皇子だった。
それが今では、まだ少年らしい面影を残しながらも男性的な容姿になってきた。
つまり、美少年が美青年に変化したのだ。
その証拠にセネリオの身長もこの三年間で少し伸びて、自分との距離が林檎一つ分ほどまた更に付いた。
ずっと可愛いと思っていた年下の夫、そんな彼が日増しに大雄々しい姿となっていく。
そんなセネリオの姿を目の当たりにして、何時しかフレデリカは、つい年齢差を忘れてしまう。
―――――この夫の前で、自身が年上だって言う事を。
時折、そんなフレデリカは、もう自分は二〇代だというのに、少女のようなときめきをこの彼から受けてしまうから、自分の方が年下ではないのかと、そんな錯覚を覚えてしまう。
(私…こんなにも、貴方が好きなのね)
とても幸せだと思う。
大好きな物語のような、それこそ大恋愛から始まった結婚生活ではないけれども、それでも……
毎日貴方に惹かれていく自分が分かるから……
「どうしたんだい、リーケ?」
妻にじっと見つめられていた事に気付いたセネリオが、何だろうかと訊ねた。
「な…何でもないの、セリー」
あたふたと顔を赤らめて否定する妻に、セネリオは意味深に笑った。
「私に見とれてただろう?」
ボ!!
秋の妖精は、それを象徴するかのように真っ赤になった。
セネリオはそんな林檎妻をケラケラ笑った。
「ハハハ、君はこの頃『海賊王ルビー』の本がお気に入りだから、この格好が気になるのかな?」
「ええ…そ、そうね。とっても似合っているから」
ドキドキと乙女心がヒートアップするフレデリカ。
「そりゃ、私は佳い男だし~。似合うだろう?」
自他共に認める容姿二重丸の王太子は、黒眼帯をしながらウィンクした。
もっとも、眼帯をした方の目を閉じても周りはそれに気付かないのだが。
しかし少々夫にからかわれた様だと、そうフレデリカは思った。
少し機嫌を損ねた妻に、慌ててセネリオは機嫌を取り始めた。
「ねえ、リーケ、怒らないでよ。今日の君の仮装の『秘密』を教えてあげるから」
意外な事を云われたので、ぷいと背けた顔を夫の方に修正した。
「秘密?」
「そうそう」
こちらもご機嫌斜めが修正されつつある、そう思ったセネリオは、クスリと笑って彼女の手を取り告白を始めた。
「実はフィンダリアではね、『ハロウィンの夜は、林檎を食べよう』という迷信があるんだ」
フレデリカが初めて知った異国の迷信…言い伝えだった。
彼女の素朴な疑問にセネリオはこう答えた。
「夜中に林檎を食べて、後を振り向かないように鏡を見ると、そこには運命の相手が鏡に映っているんだよ」
「そうなの?」
「そう…だから私も今夜は『林檎』を食べたいな」
「え?」
びっくり眼のフレデリカに、セネリオは顔を近づけた。
「とっても、甘くてみずみずしい君という赤林檎をね♪」
耳元で囁かれた愛の褥の予約。
フレデリカは再び顔を火照らせた。
それは躰を嬲られている訳でも、キスを受けている訳でもない。
なのに、躰が反応している。
隣り合わせで座る位置、触れ合う互いの肩、そして握り合った手。
それぞれから伝わる体温が、フレデリカの中に何時も慎みを持って保つ、寝台の中でしか開放しない女の本能を呼び起こす。
ドキドキと胸の鼓動を早めていく妻に、一方のセネリオは下心を芽生えさせた。
握りしめた手を放し、その手をフレデリカの肩に回した。
ビクリと予想通りの反応に、この年下夫はすっかりご満悦になった。
「君はそういうところが可愛いな」
「!!」
海賊王太子が耳元で、今度はしっかりと息がかかる様に話すと、直ぐに美しい妖精はセネリオの期待どおりの仕草で応えた。
躰を官能に少しだけ打ち振るわせて。
そしてセネリオの方は…考えがまとまった。
直ぐに実行する為に、妻の反応を確かめた。
「そうだね…帰り道はゆっくりだし、今夜ではなく今、君と『熱い夢咲道中』なんていいかな?」
「ええ!?」
「誘ったのは君だよ、妖精さん♪」
驚く妖精王太子妃に、海賊王に扮した王太子は誘いの笑みを浮かべた。
その笑みは、美貌に合わせて艶がある。
フレデリカが胸をドクンと一つ大きく慣らした。
刹那。
「セリー…ん」
海賊夫は、妖精妻に反論をする隙を与えなかった。
空いた手で、ときめく妖精の頤を捉えてキスをしたのだから。
頤に当てた手は、重ね合わせた口の交換の深まりと共に離れて、次第に艶めいていく妖精の身をくるむ布地を辿り、やがて秘かな泉に到達した。
「あ!」
手慣れた仕草で触れられしまったフレデリカは、霰もなくその声を漏らしてしまった。
「感じてるね…」
「は…や、だ…駄目!せめて王宮に帰る迄…」
「聞けない…それに美女を略奪して好き放題するのは、海賊王の特権さ」
「そんな、あっ!!」
首筋を優しくキスで触れられて、いつの間にか抱きかかえられたフレデリカは、甘い疼きがやんわりと起こり始めた。
「セリー…駄目…」
「待てないさ、こんなに綺麗な妖精が私を求めてるのに、それに君も…だろう?」
「でも…」
「たまにはこういうのも夫婦ならありさ」
拒めないオオカミの…今は海賊王の甘い誘惑。
けれど場所が場所だけに……秋の妖精の化身は、色香という彩りを鮮やかにして、躰を震わせてもなお、求めたい女の心を隠して耐えた。
何時しか…纏う赤い果実の彩りを表したドレスの様に、彼女は官能に染まりゆく。
だがそれでいて、愛の潤みを表情に浮かべながらも、この慎み深い秋の妖精は、まだ羞恥心が先立っていた。
「あ…ドレスは…これ以上ドレスだけは脱がさないで…」
幾ら何でも車内とは言え、喩え何度も夫の前で開いた躰でも、外で裸身だけは晒せない。
それはフレデリカの最後の理性の欠片、全てをこの海賊夫に委ねてしまう前にねだった。
そんな妖精妻の恥じらう姿に、セネリオは年の差など忘れるほど可愛いと思い表情を綻ばせた。
「良いよ…君の望むままで…」
そのままでも、充分君を感じる事が出来るからさ。
そう、セネリオは呟いた。
やがて……
パタパタと白鷲一羽、大きく羽ばたいて前を走る国王夫妻の馬車に近づいていった。
「ん?おや?聖獣殿や、どうしたかの?」
国王ユーリー二世が、馬車の窓を半分開けて飛んでいるヘスペリスを見つけるや呼びかけた。
≪……貴殿等二人の護衛を兼ねて、空の散歩を愉しんでいる≫
国王の問には直ぐに答えたヘスペリス。
だがその声を聞いた国王は、いつも以上に連れない…いや、いじけている様な聖獣に、彼は気遣いを見せた。
「こっちに来んかいの?」
その言葉にヘスペリスは素直に受け入れた。
≪世話になる……≫
国王が馬車の車窓を全開にするや、ヘスペリスは車内に飛び込んだ。
こうして国王夫妻の馬車に相席することになった白鷲は、進行方向を前向きに座る国王夫妻から向き合うように羽を休めた。
一方その様子を一部始終無言で見ていた王妃イリーナが、入って来た珍客が一息ついて寛ぐや訊ねた。
「あらあら、どうしたの?セリーと喧嘩したの?」
この王妃イリーナの問にヘスペリスは、むっすりして答えた。
≪主が明るい家族計画に入っただけだ≫
この発言を聞いた国王夫妻は、夫婦揃って目を大きくぱちくりさせた。
その数瞬後。
「おやおや、まぁまぁ、ホホホホホ!!」
「ほほう!!若いの~~!!なかなかやりおるわい!!」
夫婦仲良き事は、良きかな、良きかな!!
王太子にとっては舅・姑にして伯父夫婦、そして妻側から見れば実父母は、この話を聞いて赤面するも、大笑いして喜んだ。
「本当に、昔を思い出しますね、あ・な・た!」
「おうおう、そうだのイリーナ!」
「貴方たら、夜だけでなく時間があれば、朝も昼も求めてくるんですもの~~」
「わっはっは、何を言う。あの頃は、朝は挨拶!昼は運動!!そして夜が本番じゃったぞ!!」
遙か昔の新婚時代を思い出し、シレジア国王夫妻は馬車の中だというのに、熱い熱~い睦言に花を咲かせた。
相席聖獣は、やれやれと思いつつ聞いていた。
やがて。
「もう、貴方たら、ス・ケ・ベ!!」
「お前こそ予の攻めが大好きなくせに~~~」
「いや~ん、そんな事云わないで~~」
「あ、ほれほれ♪」
「あん!もう!」
遂に夫婦のじゃれ合いを始めた熟年二人に、聖獣は呆れて呟いた。
≪お盛んだな……≫
ヘスペリスの目にはどっちの車内の光景も同じように見えた。
それから一笑いと夫婦的なじゃれ合い、所謂おのろけの後、やがて快活な国王ユーリー二世は何時になく寂しげに呟いた。
「今年こそ孫が出来るといいのお……」
「本当に、こればかりは都合良くいかないと分かっていますが……」
夫の言葉にいつもは陽気な王妃イリーナもまた、しんみりと頷いた。
――――入り婿とした甥と愛娘が結婚し、王太子夫妻が誕生してから早三年。
夫婦仲が円満なのにも関わらず、未だ生まれぬ孫について、国王夫妻はいたく心を痛めていた。
決して娘夫婦には表立って口にした事がなかったが、やはり早く二人の子が欲しかったのだ。
……しかし本人達はあくまでこう思っているが、実際はことある事に子供達に対して、熱烈な『孫コール』をしているユーリー二世とイリーナ王妃である。
■証拠その1。
「林檎の妖精よりも、葡萄の妖精の方がいいのではないかの、フレデリカや?」(by ユーリー二世)
■証拠その2。
「はい、セリー。食前酒に蜂蜜酒を飲みなさいね!」(by イリーナ王妃)
『葡萄』と『蜂蜜酒』、どちらも子孫繁栄をもたらす縁起物。
これを子宝祈願と言わずして何というのだろうか?
そう娘夫婦が思っているとは露知らぬ、困った国王夫妻……。
そう確かにシレジア王家の存続という血統継続の使命という、まさに国家的最重要課題の事もある。
しかし。
「うう、孫や~い。早く来い!」
「はぁー。あの子達の赤ちゃん…早く抱っこしたいわ……」
それよりも、普通の親夫婦として、王子でも姫でも、とにかく可愛い孫の顔が見たい二人だった。
そのような訳で、明るさが売りのシレジア国王夫妻が、シュンと鬱ぎ込んでしまった。
流石に気まずくなった事を感じた聖獣が、馬車に相乗りさせてもらっている礼の代わりに二人を慰める事にした。
≪………案ずるな、何れは手に入る≫
「本当かの?」
「それは何時?今日?明日?明後日?」
神獣に等しいこのヘスペリスの言葉はまさに御神託、よって目を輝かせて国王夫妻は詰め寄った。
しかしキッパリと、かつてのフィンダリアの炎の聖獣は、この二人の期待を打ち砕いた。
≪……生憎我は神ではないぞ、そんな事は出来ない……あ、そういえばア奴は出来たな≫
「ア奴?だ、誰じゃ。仲間か!?」
「そうです、誰なのそれは?」
思い出したように呟いた聖獣に、ぐいぐいと国王夫妻は更に詰め寄った。
ヘスペリスは煩わしいと思いつつも、質問には正直に答えた。
≪地の聖獣だ。我は火で『燃やす』、ア奴は『生やす』のが得意だ。だから多分子を実らせる力があったはずだ≫
ああ、これぞ子授けの救世主!!
シレジア国王夫妻は夫婦揃ってヘスペリスに飛びついた。
「その地の聖獣とやらを連れて来てくれい!!今すぐ連れてきてくれい!!」
「そうよ、お願い!!地の聖獣ちゃんをシレジアに連れて頂戴!!」
≪無理だ…ア奴を連れてくるのは。主はア奴の主をかなり…その怒らせたはずだ。無論己等もな、知らなかった事とはいえ……≫
「ぽえ?そうかの?」
「あら、私も分かりませんわね、そんな事したかしら?」
疑問符が国王夫妻に浮かんだ。
本当にこの二人には、心当たりが無かったのである。
とは言え、その程度で引き下がる国王夫妻ではなかった。
「まぁ何をしたのか分からぬが、その主とやらに謝罪はするぞ。だからその仲間をシレジアに連れて来い来い!!」
「ええ、そうね、だからヘスペリスちゃん、その聖獣ちゃんをこっちに連れて来て頂戴、もう欲しい物なら何でもあげちゃうから!!ね!!」
≪王太子を帰せと言われてもか?≫
さらりとヘスペリスは重大発言をした。
それは所謂『禁句』。
車内の浮かれた光景は、一瞬にして静閑したものになる。
表情を引き締め直した国王が、聖獣を見据えた。
「これ、それは三年前に終わった事だろうに。今更セネリオは渡さんぞ」
≪では諦めろ。それしかア奴が…否、ア奴の主が欲しがるモノなどないだろう≫
「それは何故なの?」
王妃イリーナが首を傾げた。
ヘスペリスは淡々と過去を語り始めた。
それは、セネリオが今まで伯父夫婦に言わなかった事でもある。
≪ア奴の主は女だ。その主はフィンダリアでの主の従姉妹皇女で、そして主の元恋人だった。それも将来がほぼ確定していた…な≫
「な!?」
「え!?」
夫婦共に絶句した。
ヘスペリスはため息と共に断言した。
≪そう言う訳だ。言うなればシレジア王家は、ア奴の主の恋人を奪った仇だな。ア奴がのこのこ此処に来る訳がない。もし来るとしたら、それは恋人を奪われた主の為の報復だろう。悪い事は言わない、諦めろ≫
茫然とする国王夫妻、今まで知らなかった事とはいえ。
やがて。
「あ…貴方…」
「イリーナ……」
そのまま国王ユーリー二世は、見る間に青ざめていく妻の肩に手を廻して抱き寄せた。
それから長年連れ添う女性を落ち着かせるように、言葉を選んで言った。
「……もうどうにもならんよ。予らは知らなかったのだから」
「でも……」
王妃イリーナは言葉を詰まらせた。
もし知っていたら…果たして『婿養子包囲網』を考えただろうか…と?
国の為、ひいては後に残す事になるたった一人の愛娘の将来の為に考えた事とはいえ……
そう話す妻に、国王は述懐した。
「それは分からんよ、何せセネリオに惚れ込んだのは他ならぬ予等だ。彼の意志など関係なく無理遣りにでも推し進めたかもしれん」
(いや、それはもう当時充分ゴリ押しだったぞ、国王……)
ヘスペリスはそう思ったが口にはしなかった。
そして、悔恨というダンスを、夫婦二人で踊り始めたシレジア国王と王妃。
相席する聖獣は、少々良心の呵責を覚えた。
(少し言い過ぎたな。後で主に怒られる)
落ち込む国王夫妻に、ヘズペリスは救済処置を忘れなかった。
≪大丈夫だ国王、それに王妃よ。主にとって今やあの従姉妹皇女は最早過去の女だ。ちゃんと己等の娘を愛しているから安心しろ。それにシレジアでの生活を、主も我も気に入ってしるし、今更かの国に帰る気はないぞ≫
「本当かの!?」
「嘘じゃない!?」
国王夫妻は立て早に叫んだ、顔を輝かせて。
白鷲はこくりと首を縦に振り、肯定した。
≪本当だ。此処は居心地が良い…フィンダリア宮廷よりも遙かにな≫
それは嘘ではない。
ヘスペリスはそう思う。
元々故国フィンダリアを出奔することを、先に選んだのはセネリオだ。
兄皇太子と従姉妹皇女への思いで板挟みになって。
だから、帰るべき家…シレジアを見つけた主は幸福なのだろうからと。
そう目の前で落ち込む国王と王妃に、その事を語るヘスペリスだった。
やがて聖獣の話を聞く内に、元の明るさを取り戻した国王夫妻、。
しかし、一段落も束の間で……ついヘスペリスは口を滑らしてしまう。
≪……ああ、そう言えば風の噂によると、ア奴の主の従姉妹皇女は、後日フィンダリア皇帝より結婚禁止の宣司を受けたそうだ、結婚して第三皇子のように国外に出国しないようにとな、ま、もう気にする事もないか≫
ヘスペリスの暴露話は、その場にシレジア名物ダイヤモンドダストを降らせた。
車内の何時ものハッピー愉快な王様とお后さまに戻ったばかりの二人は、そのダイヤモンドダストをすっぽり被って頭が真っ白になった。
更に罪悪感が生まれた。
しかしこの罪悪感が極限にまで達した夫婦は――――。
「ワハハハハハハ!!」
「オホホオホホホ!!」
半瞬後…シレジア国王夫妻は、出来る限りから笑いをして、そんな過去を忘れる事にした。
そして。
(知らなかったのだ~~!!でも凄く良い跡取りが欲しかったんじゃ~~!!許してくれい!!)
(本当にご免なさいね~~!!悪気は無かったのよ、可愛いお婿さんが欲しかったのよ~~!!)
笑って、許して♪
と夫婦互いに、遠く異国の多大なる迷惑をかけてしまったという甥の従姉妹皇女殿下に対して、心の中で深く謝った…から笑いと共に。
☆°*。+°☆*。+°☆°*。+°☆°*。+°☆*。+°☆°*。+°☆°
丁度その頃。
僕が数々の暴露話を解禁している事も知らないシレジア王太子。
ただ今妻と共に夢咲航路のまっただ中だった――――。
フレデリカと向かい合って抱え込むセネリオは、自らの衣装ははだけさせて、妻の姿を堪能していた。
「不思議だね…何も身に付けない何時もの君より、今の君の方がずっと艶かしくて色っぽいよ」
「あ…セリー…」
ほんの僅かに見え隠れする妻の白き柔肌は、ほんのりと林檎色に染まり、その素肌が目に映る耳朶、首筋とほんの少し広げた胸元を口づけながら、セネリオは彼を埋め込みながら乱れる妻をそう評した。
男は視覚で興奮を覚える存在だ。
それに今愛妃が身に付けたドレスは彼自身が選んだもの。
加えて『赤』は生物の精神的高揚作用あり。
この場合は、発情か。
一方、男の視覚的興奮に対して女のほうは音…つまり聴覚で興奮を覚える存在だ。故に女は、相手と密接に離れがたくしたまま、耳元で甘く囁かれると、嫌がおうにもまた一段と高まっていく……
耳には触覚器の中で重要な迷走神経と、そして毛細血管が集まっている。
だから誰しも耳は敏感に反応するのだ。
ほんの少しの風にも、そして熱にも。
ましてや熱みを帯びた人の息なら、なおの事当然だろう。
それはフレデリカですら例外ではない。
「セリー!セリー!」
「リーケ…」
呼び合う声は、互いの確認。
愛と共に、快感と共に。
「ほら…走る馬車の音が君の可愛い矯声を隠してくれる、だから…我慢しなくて良い……」
「あ…ふ…んんっっ!ああーー!!」
互いに高まり合う二人の愛の揺らぎは、彼等が乗車して滑走する馬車の車体に伝う振動と相乗し二重合奏となっていく。
こうしてアツアツの王太子夫妻を乗せる馬車は、馭者が知らない内に、いつの間にかに翡翠宮殿に帰る道のりを、仲睦まじい夫婦の夢咲航路にすり替えて進んでいった。
…余談だが後世シレジアでは、毎年10月31日のこの日を、シレジアの大帝の威光と彼の残した功績を称えて祝う祭日の一つとして、末永く庶民に慕われる事になったとさ。
(番外篇 おしまい♪)
官能度はどうだったでしょうか?何か半分(加筆分)は「らぶえっち」から逸れた気がします。R-15なので良しとして下さい。
テーマは「コスプレ」・「中世風カー・らぶえっち」「着たまま」でした。
さて「ハロウィン」ですが…ロシア正教会では禁止されています。(学校行事とかでね)もともとケルト系の風習。本場はアイルランドとアメリカ。特にアイルランドは世界唯一ハロウィンの日が「祝日」。(アメリカは違う)だからロシア系のシレジアでは、こんな形でアレンジしました。謂わば日本の「餅まき」ですね、ロマノフ教会は「聖トラピスト教会」(函館)が元。ここのクッキーは作者の好物。
さて「シレジア篇」があると言う事は…「フィンダリア編」も企画あり。
但しこれは後日投稿になります。後日投稿なりのアレンジをしますね。
30話アップ…もう一つの「R-15」規制のネタのため何処まで書こうか思案中です。大分まとまりましたが、しばらくアップに時間が掛かります、完成までもう少しお待ち下さい。
つたない小説を最後まで読んでいただき有難うございました。何か表現等でアドバイスがありましたらお待ちしております。
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