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Chapter:07 完了
Episode:65
「何をひがんでいるのですか? 困った人ですね。
――よく似合っています。綺麗ですよ」
「え?」
 今確か、「綺麗」と……?

 騒がしい後輩たちを除けば、そんなことを言われたのは初めてだった。
 驚いてタシュアの顔を見る。
 その顔に、優しい微笑みが浮かんでいた。
 急に胸が熱くなる。

「……ありがとう……」
 なんだかタシュアの顔を見ていられなくて、下を向いた。
 どちらも黙ったまま、時間だけが過ぎる。

「あ〜、シルファ先輩いたいたぁ♪」
「ミルドレッド、場所をわきまえてもう少し静かになさい」

 静寂を破った嬌声に、間髪入れずにタシュアの叱責が飛んだ。
――もっとも、ミルに効くとは思えないが。
 あの子を止められるものが、この世に存在するとは思えない。
 見ればルーフェイアをはじめ、シーモア、ナティエス、ミルの4人組が、仲良く入ってきたところだった。

「すみません……」
「ルーフェイア、あなたが謝ることではないでしょう?」
「え、すみま……あ……」
 何故かミルの代わりに謝ったルーフェイアに、今度もタシュアが容赦なく突っ込む。
 この子達に、さっきのタシュアなど想像もできないだろう。

「ルーフェイア、黙ってたほうがいいんじゃないか? どうせ墓穴掘るだけだろうしね。
――シルファ先輩、これを届けにきたんです」
 4人の中ではリーダー格のシーモアが、私に写影を差し出した。

「あ」
「おや」
 つい2人で、そんなことを言ってしまう。なにしろたった今、取り合いをしていたのと同じものだ。

「あれ、いらなかったですか?」
「え、あ、いや、その……」
 何も知らない後輩に、うまく言い繕えない。

「もらっておいたらどうです? せっかく後輩たちが持ってきてくれたのですから」
「ああ……」
 タシュアに言われて、しぶしぶ写影を受け取った。
 だが――周囲に写る後輩たちの、嬉しそうな微笑み。

「そういえば、お礼をしないといけないんだったな」
「あ、ケーキ……作って、頂けるんですか?」
 最初の約束をちゃんと覚えていたのだろう。ルーフェイアが嬉しそうな声をあげる。

「なになに〜? シルファ先輩のケーキ??」
「え、ほんとなの? うわぁ、ルーフェイアいいなぁ」
「うーん、食べてみたいね」
 他の後輩たちも騒ぎ始めた。
 それを見て、思いつく。

「そうしたら……今度の休みに、腕によりをかけて作ろう。みんなで好きなだけ、食べるといい」
 可愛い下級生たちの顔が、ぱっと輝いた。

「それって、お腹いっぱい食べていいってやつですか?」
「ああ。たくさん作るから、手伝ってくれないか?」
 4人が顔を見合わせる。
「やったぁ!!」
 図書館中に、歓声が響き渡った。

Fin



◇お知らせ◇
明日10/18より、第9作の連載に移ります。
いつもどおり“夜8時過ぎ”の更新です。
第1話は「小説家になろうで検索」「筆者サイト」等で、よろしくお願いします


◇あとがき◇
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
感想・批評大歓迎です。一言でもお気軽にどうぞ。

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