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みなさんは彼らの意外な一面を垣間見るでしょう。
34回目*マッタリ紀行・耳かきと神様
ジャコジャコジャコジャコチリンチリンチリ~ン♪

軽快にベルを鳴らしながら、自分は愛車をコギコギ、三つ眼馬ことドドリーのクンクンとミンミンの引く馬車に平行するように走っといる。

その馬車は、やはりお姫様が乗るので普通の馬車よりいろいろとすごい。
なにせ馬車ってか小屋なのだ。

中では小さなベッドや棚や机やイーティーシィetc……

とにかくすごい。
キンキンピカピカしている訳じゃあないのだが、とにかく地味に豪華なのだ。

そしてそんな馬車には窓がついている。
そしてただいまその窓は全開で、そこから身を乗り出すように

「だから!グズッ、聞いてるんですか!?なんで、ヒック、ぼ、ぼくだけの、のけ者にしたんですか!!」

「だからゴメンって、な」

「な、じゃありません!そもそも…ズズッ、忘れてたって!忘れてたってなんですか!!」

はい、すっかり存在忘れてたウサミミスゥ君でございます。

もうね、出発3時間前に彼はこの事知ったんだよ。
てゆーかもう知ってるものと思って……ゴメン、素直に言うわ。

素で存在忘れてた。
マジゴメン。

出発してから既に2時間。
3時間で出発準備を済ませた彼は、まず最初の一時間は疲れによりぐったりしていて、復活したかと思えばずっとこれなのだ。

……涙目で、つか泣きながらそんな風に怒っても、おショタ大好きな腐った女子しか喜ばないよ。

うん、自分反省しとらんな。

ちなみに、他の方々はと言うとだ。

「んー!んんー!!」

「……先生、シルバの眼が危ないです。スゥを狙ってます」

「うわ怖っ!スゥ、睨まれ方が半端じゃないぞ」

「よく見ろテトラ。こいつ、スゥにを睨みながらナルミに縛られた時からずっと喜んでいる。変態だ……」

「うわぁ……さすがというか、血を感じますね」

「何?どゆこと?血?」

これである。

実はさっきスゥ君が最初に怒った時、シルバちゃんが……あれだ、悪落ちしたのだ。
したがってただいまス○ランテープにマキマキされているのだが……そのマキマキした時の会話がこれだ。

『ちょっ!ダメだって!自分が悪いんだから!!』

『いえ、先生は悪くないです。こいつが先生を困らせるのが……』

『えーいもう落ち着け!!しばらく大人しくしてなさい!!』

グルグル

『あんっ!せん、せっ、そんな…きつ……キモチ…イ……はぅぅ……』

『…………』

と、言う訳である。
おわかりいただけただろうか。

ちなみにこの後自分は無言でシルバちゃんにさるぐつわを噛ませ、即座に黙らせた。

顔を紅くしながらうっとりとした顔の彼女は、もはや危ないとしか言えなかった。

「ちょっと先生!聞いてるんですか!?」

ちっ、現実逃避失敗。

いや、最初の10分は真面目に反省していたよ?
だけどおんなじ事6回も言われると、いい加減、ねぇ。

「だから聞いてるよ。けどそろそろおちつこ?」

「うるさいです!ボクは怒ってるんですからね!!」

あーもーしつこい!!

「わかったから!もーごめんって!なんでもするから許して!!」

自分は、いい加減イライラしながら投げやりに言ってしまった。
するとスゥ君は、ニヤリと笑い……え?

「わかりました、許してあげます。なんでもしてくれるんですね。では、後で先生がこの前やっていた高速移動のやり方を教えて下さい」

「は?」

「約束ですよ~」

スゥ君はそう言って、手をひらひらさせながら馬車のなかに引っ込んだ。

……嵌められた。

「ん?あ、やっと終わったか」

スゥ君が引っ込んで少しすると、今度はエリザが顔を出してきた。

「あ、ああ……終わったが……なぁ、スゥ君っていっつもあんなんなの?」

「いや、いつもはあんな怒んないぞ」

「いや、そでなく……さっきの。最後の方」

「ん?あぁすまん。ずっと皆でシルバを観察していてそこらへん見てなかった。何かあったのか?」

「……いや、もういい」

何と言うか……スゥ君、腹黒い。


************≠☆


その後昼食やら休憩やらの時間を挟みつつも、何事もなくかなりの距離を移動した。
だがテトラ君いわく、この速さでは街に着くのは4日後だと言う事だ。

「これでもだいぶ早いですけどね。あ、ちなみにこのままいくと、先生の領地に着くのはだいたい2ヶ月後くらいですかね」

「自分の領地?……ああ、あったねそんなん」

「……せん、ナルミさん、まさか忘れてました?」

「忘れてました。すっかり」

ちなみに今は夕食が終わった直後。
日もすっかり落ちたので、みんなで火を囲んでスープを食べていたのです。

「……ナルミは、どこか抜けているな」

うるさいエリザ。

と、しばらく馬鹿な事をやっていたら、なんか耳が痒くなってきた。

「……どうかしたんですか?」

耳の中に小指入れて掻こうと奮闘している様子を不審に思ったシルバちゃんがよってきた。
ちなみに他のみんなはお片付け。

なんか魔法で瞬時に終わらしてるようだが。

「いや、ちょっと痒くて……」

しかし考えてみたら、この世界に来てからだいたい3、4ヶ月、全く耳掃除していなかったな。
耳かき好きだったのだが……まぁ、忙しかったからしゃーないか。

そう思いながら自分はポケットから耳かきを取り出し、カキカキした。

あー、キモチエー。
お、なんかでかいのが奥でガサガサ言って……ん、取れた。

うぉ、でかっ!

そんな事をしていると、シルバちゃんが

「何してるんですか?何ですかコレ?」

不思議そーに自分を見て、その後手頃な石に置いた自分の耳垢を凝視し始めた。

そんなシルバちゃんの様子を、自分はこれまた不思議そーに見ながら今度は反対の耳に耳かきを差し込んだ。

まっさか、魔族だって耳垢がなかったりする訳じゃないべ?

「何って、耳掃除だよ。これは自分の耳垢」

再び奥にある大物を逃さないように細心の注意を払いながら、自分はシルバちゃんの質問に律義に答え……ん、あ、くそ落ちた。

と、答えながら自分が奮闘していると、シルバちゃんがさらに不思議そーに

「耳って、お掃除するんですか?」


ハイ?
するしょ普通。

しなくちゃ耳垢栓塞だかってのになって、耳が耳垢でふさがっちゃって聞こえな……お、いいぞいいぞ……よし!とれってうわっ、さっきのよりさらにでかっ!!

……んー、あとはめぼしいものはないかな。

じゃあ後は綿棒でコナコナしたのを……

「ふうっ……。で、耳掃除だけど、逆に聞きたい。しないの?」

「はい、聞いた事ありません」

なんと、耳大丈夫か?

「本当?耳聞こえなくなんない?」

「耳ってお掃除しないと聞こえなくなるんですか!?」

うーん、いくつかは外に落ちるって言うが、シルバちゃんは耳が髪で覆われてるしなぁ……。

「うん、多分。なんならする?」

「お願いします!」

そう意気込むシルバちゃんだが

「あの……ところでどうやってお掃除するんですか?」

まぁ、耳掃除をしらんかったんだからねぇ。

そう思いながら、自分は正座をして

「んじゃあ頭ここに乗せて、ねっころがって」

フトモモをパンパンしながらそう言った。

すると彼女は顔を朱くしながら

「え!?あ、あうっ……はい……」

そう言って仰向けに……

「シルバちゃん、横向いて」

……なんか、前途多難っぽい。

と、ここまで騒いでいるといつの間にかみんなも集まってきてしまった。

「ほほぅ……耳を掃除するのか」

「なんか、初めて見ます」

「……斬新」

いや、そんな見世物じゃないぞ。

とか思っていると、シルバちゃんが

「は、はじめてですので、痛くしないで、や、優しくしてください」

そういいながらシルバちゃんは、覚悟を決めたように目をギュッとつむりはじめた。

いや、そんな、なぁ。
んないやらしい事する訳じゃないんだから。

そう心で突っ込みながら、自分はまずシルバちゃんの耳の中を観察することにした。
なにせ、どこに大物がいるかわからないまま耳かきすると、そいつらが奥に落ちてしまうからだ。

正月やらお盆やらの親戚の集まりで、毎年毎年従兄弟やらの親戚の子達の耳かきをさせられている自分が言うんだ、間違いない。

ちなみに、話は逸れるが両親のも月一単位でやっている。
きっと端から見たら、40過ぎのおじさんおばさんが高校生にひざ枕されているという実に不気味な光景だろう。

それはともかく、シルバちゃんの耳である。
夜で暗いとはいえ、雲一つない満月の夜なのでかなり月明かりが明るいので、光についてはパーフェクトだ。
実によく見える。

だが、そこからまぁ……問題が発生した。

「……これは」

「な、何かあったんですか!?もう手遅れで耳が聞こえなくなるんですか!?」

「いや違うけど……」

べつに手遅れとかじゃなく、まぁそこまで問題でもないのだが。

さて、突然だが人間の耳垢には二種類あるのをご存知か。
カサカサ型とベタベタ型である。

……なんかベタベタ型とか言うと、必要以上に汚く感じるような気がするので、ドライ型とウェット型と言っておこう。

さて、では日本人は、八割はドライ型で二割がウェット型なのだが、外国人になるとその割合が逆転する。
ちなみに黒人にはドライがいないようだが、まあそれは置いていて。

本来はウェット型が優性遺伝らしいのだが、日本人はなぜかドライ型が多いらしく、それによってドライ型耳垢に特化した現在のボンボン付き耳かきがよく売れるらしい。

まぁつまり何がいいたいかと言うとだ。

「……シルバちゃんはウェット型か」

という事である。

ちなみにウェット型は、耳かきしなくても別に指でほじくれば問題ないと聞いた事がある。
だから耳かきの習慣なかったのか。

実際耳かきはウェット型には対応しとらんしな。

「な、なんですかそれ?病気ですか?」

「いや違うから。大丈夫、問題ない」

ま、綿棒使えばいいんだがね。
親戚の子にも一人、ハーフの子だけどウェットな子がいたからやり方も問題ない。

さぁ、この道10年のベテランの腕を味わいがよい。

「んじゃ、いくよー」

「は、はい!!」


*************\☆


「………………はぅぅ……」

今、シルバちゃんは体育座りをしながら、自分の横で夢見心地な顔をしながら月を見ている。
顔は朱く、なんか艶やかなため息をつきながら。

まぁ、原因はと言うと言わずもがな。
自分の耳かきの手腕です。

「……なんというか、アレですね」

「うん、ミミリィもあんな喘ぎごバベッ」

「リム、黙れ」

「しかし、なにがおこったのかわかりません……」

まぁ、ぶっちゃけ耳かきに関しては耳のツボまで把握してる自分の右にも左にも出る者はいない、と豪語できる。

でもなんかこの反応は、もしやシルバちゃんって耳がせいか……いや、考えないどこ。
たまに親戚の子もこうなるし、問題ないべ。

つかそれよりリム副隊長、生きてます?
首、凄いですよ?

「シルバー、生きてるかー?」

「……………はい……なんとか」

エリザの問いにもなんとか答えるも、その眼は焦点が合ってない。
まさに心ここにあらず。

まぁ、くどいようだが親戚の子もたまにこーなるけど問題ないし、大丈夫だろう。

と、ここでしばらくシルバちゃんを揺さぶっていたエリザがふと

「うーむ……ここまでなるとは、やってもらいたいよーなもらいたくないよーな」

とか言い出した。
なんだかハッキリしないな。

「やってほしいの?」

するとエリザは顔を赤くしながら、手をブンブン振って

「いや、別にそんな……まぁ……興味はあるが……そ、そう!そんな事やると私がシルバに殺されかねない!!」

いや、そんな慌てなくても。
まぁ、確かにシルバちゃんはアレだしなぁ。

だが、そこまで考えていたところでまさかの一言が自分の横から聞こえてきた。

「いいですよ」

「へ?」
「ほ?」

ついエリザと一緒に変な声を出してしまった。
つかエリザ、“ほ?”ってなに。

自分が軽く混乱していると、さらに不思議な事をシルバちゃんが言い出した。

「別に姫様なら大丈夫ですよ。信用してますし、姫様の好みはお「あー!わー!じゃあ頼んだぞナルミ!」


……ひっじょーに気になるフレーズがあったのだが、触れない方がよさげだ。

だからエリザ、触れないから自分のフトモモ抓らないで。

「エリザ、痛い」

「うるさい!おまえの嫁が悪い!さっさとしろ!!」

いや、そうだけども。

「わかったから、大人しくしなさい」

全くこいつは……以外にウブだな。


***********‥☆


「…………………はぁ……」

「……なあ、別んとこでメランコってくれないか?」

「……メランコがなにか知らんが、少しほっといてくれ」

エリザの耳かきが終わった途端、エリザはさっきのシルバちゃんみたく月を見ながら体育座りしだした。
ただ表情は、鬱々真っ盛りな暗い顔をして黄昏れている。

なぜか、理由としては

「私は!シルバや母様みたいな変態じゃないのに!あんな!あんなこと!!」

まぁ、こういう訳なのだ。

つまりこいつ、さっきのシルバちゃんと同じような反応をしたのである。
てゆーか、ヨダレたらして自分のズボン汚した分、シルバちゃんよかはしたない。

ちなみにシルバちゃんはテントの中でスヤスヤ眠っている。
寝てる人をテントに入れて寝袋にくるむのが意外にやりずらく、重労働だと知ったのもその時だ。

他の隊員も、いつの間にか寝てたりどっかいったり思い思いに散らばっている。

あと、脈絡ないがこいつの耳垢はドライだということをここに記しておこう。

どーでもいいか。

と、しばらく黄昏れてるエリザを眺めていると、ミミリィ隊長が瓶とグラスを持って奴に近付いてきた。

「姫様、今夜は飲みましょう」

「……ああ、そうだな」

……なんか、哀愁漂うな。
これは自分、近寄りたくない。

ここは、触らぬ神に祟りなしだろう。
なのでとっとと自分はその場をはなれる事にした。

クワバラクワバラ、女心は複雑だ。

……そういや、女といえば。

「あのクソ女神、しばらく連絡ないな」

テントに入って寝よう(なんの気をつかったのかしらんが、自分はシルバちゃんと一つのテントを共有する事になっている)としていた時に、そんな事を思い出してしまった。

せっかく出発したのだから、なんか一言くらいくれてもいーよーな気がするんだが……まぁいいや。

そう思い、テントに入ろうとした時に自分は変な事を思い付いて、ポケットから携帯電話を取り出した。

「たしか……あいつからの着信が……あた」

そう、自分は二回程あの自称神様からケータイに連絡が入っているのだ。
ならば、着信履歴からその番号を使い、こちらから連絡できないかと考えたのである。

まぁその番号はなんか文字化けしていたが、とりあえず発信。

………ツ、ツ、ツ、ガチャ。

あ、出た。

「オッス、元気」

『にょわっ!?な、何!?え?』

なんだよ、出たくせに何焦ってんのさ。

「自分だよ自分、長谷川鳴海」

『うえ!?なんで念話できるの!?まだ教えてなかったのに!!』

「いや、フツーにケータイからだが……。着信履歴からそのままかけたんだよ」

『あ、ああそっか、それなら可能か……。……フツーのケータイに戻しとくんだった』

「聞こえてんぞ」

『あ、気にしないで。それより電話なら不便だから一回切って私から念話送るわ』

奴はなんか慌てたようにそう言っていきなり電話を切りはじめた。

ブツッ!ツーツー……

『ふー……。で、なんか用?』

いや、用はないが。
旅に出たという報告とかを。

『あ、やっと?まぁ急がないでもいーんだけどね。つか、そんな事で連絡したの?』

いや、そうだがね。

あ、そうだおまえに一つ言いたい事がある。

『ん?なになに』

おまえどんだけ地図描くの下手なんだよ!!
あんな納豆と山芋と糸こんにゃくをすり潰して広げたみたいな地図でわかるかってんだ!!

『はぁ!?ちょっとなに?あの地図が汚いって!?あれはポルが描いた立派な地図なんだよ!?』

……いや、ポルって誰?
そしてなんか今日声からしてずいぶん荒れてるな。

『あ、あーその……ゴメン。ちょっと疲れててね。八つ当たりしちゃった。何せ最近新しい世界が出来ちゃって忙しいのなんのってね。しかも二つ同時とか、ホントやめてほしい』

……なんか、ゴメン。
そんなスケールのデカイ事になってるなんて考えてもいなかった。

『いやいーよ。別にこれからは私じゃな……いや、なんでもない。気にしないで』

いや、そー言われると逆に気になりますよ。

『いーの!気にしない!』

……まぁ、はい。
それよかポルって誰?

『………あ、そうだ!君に新しい世界の一つの名前を決める権利をあげよう!!』

は?
いやそんな大層な事言われても。

それよりポル……

『いーから!そんな事よりほら!その世界の方向性を決める大事な儀式なんだからね!!』

ならなおさらやだよ!
そんな世界を『いーから!私が後の細かな軌道修正してあげるから!!』……わかったよ。

えっと……つかそれ、どんな世界?

『あー、待って……。ん、成分的には水が多そうだね』

水ね……水、水。

……ネコア?

『ほほう。意味は?』

いや、oceanを入れ替えてnecoaってやったアナグラム。

……いーよ、どうせセンスないんだから。

『いや、センスとかはぶっちゃけどーでもいーの。私の仕事が減っただけで』

は?
どゆこと?

『いや、ただその新世界ネコアの神話に“原初の神にして全能の創世神”として君が出てきてしまうだけだけど……』

おんどりぁぁぁ!!
なにさらしとくれとんじゃぁ!!

『大丈夫、じき慣れる』

……ハァ、もういいよ。

自分の関係ない世界の話しだ、自分が関わる事もないだろう。
しかもまだ出来立ての世界だろ?
ならまだ人間出てくるまで何億年もかかるんだ、自分には関係ない。

『どうだろうね。ちなみに人間はどうあがいても出来ないよ。この世界で言う魔族は出来るけど』

そうなんか。
なんか人間って凄いんだかそーでないんだか……。

『いや、実際人間はフツーに凄いよ。あの世界自体が密度濃すぎてアレだけど、別の世界に行ったらもう凄すぎだよ。まぁ君程の人はそういないけど、まず魂が強すぎだからね』

自分程って……、テキトーに選んだ結果自分になったんだろ?

『ん?あ、あーそっか……うん、そうそう、テキトー』

……なんかな。

つか、魂が強いって何?

『魂が強いってのは、まぁ存在する力が強いって事。生半可な事じゃ世界に還元されない、つまり死なないって事さ。ちなみに魂が強いとその入れ物である肉体も強くなるし体力も必要になる。だからまぁ、別世界にほうり込まれても、瀬田みたいに力技だけでなんでもできるのさ』

ふーん。
って、瀬田さん、あんた力技だけだったんかい。

『あとは、陰陽道みたいな霊ってか魂そのもののエネルギーを使えるのも人間だけだね』

え?
そなん?

『うん、魔族じゃ魔力が邪魔して無理。たまに出来るってホラ吹く奴もいるけどね。あと、人間が別世界で死んでも魂は地球のある世界に還ります。ちなみにこの時、私や世界が許せば好きな人と魂から繋がって、連れて帰る事もできます。瀬田みたいに』

……瀬田さん、ここでもか。
なんか瀬田さんスゲーな。

『ちなみに魂から繋がるって事は、よほど相性がよくない限りできないけど、出来たらもう何があっても何回生まれ変わろうとも世界が再生しようとも二人は巡り会って結ばれます。』

はー、すげーな。
つか、やっぱり前世とかあったんだ。

自分の前世ってなんだろうか?

『何いってんの、君の前世はスサ………違う違う!ス、スイカ!そうスイカだよ』

スイカ!?
自分植物だったの!?

……つかさ、最初の“スサ”って何。
なーんかさっきから隠してない?

『な、なんも隠してないよ。あ、あと、瀬田が連れてった魂はやっぱり魔族のモノだから、体は弱くなっちゃうんだよね。ほら、君のいた学校の担任の先生、あれが今の瀬田の生まれ変わりで奥さんがそのエルフ』

マジ?
市ヶ谷先生って瀬田さんの生まれ変わりなの!?

たしかに奥さん体弱くて学祭も車椅子で来てたけど……。

『だしょ?でもまぁあんま問題はないけどね、何せ魂がくっついてんだし』

そっか……。

で、スサって何?

『……まだ言うか』

だって自分の前世だ、気になる。

『……人を困らせないで、そーいうのは言えないの』

人じゃないじゃん。

『元・人・間!!だから人!!』

ふーん、おまえも人間だったんだ。

だれ?
イブとか言わないよね?

『言わないよ。これも話したくないから、もう前世の話しはなし!終わり!!』

えー、マジでー。

『マジで。全く、なんでこんなのが……』

あんたが選んだんだよ。

『いやそーだけど……。はぁ、さっきから口滑りまくりだし、そーとー疲れてるなぁ……。まぁ、いーや。で、なんか他ある?』

他って言われても……実際用事なかったしなぁ……。

あ、じゃあさっき新しい世界が出来て忙しいっていってたけど、どんな仕事があるの?

やっぱりあれ?
どんな生き物創ろうかとか?

『あー、いや、そんな事はしない。生き物創るのは世界の仕事で、私の仕事は『ヒミー!魂の仕分け出来たから出てきてー!名前つけてあげてー!!』げっ』

は?
ヒミー?

『ヒミーどこー?僕の念話弱いんだからでてきてー。てゆーかもうひとつの世界の名前いい加減決まったー?』

あー、頭になんか間延びする爽やかな男性の声が……。

『ちょ!ポル今念話はっ!!ええい!じゃあまたいつか!!』

プツッ。

……切れた。

なんだったんだ?
つかヒミーって、あいつの名前か?
名前ないとか言ってたくせに。

しかしヒミーね。

ヒミー……ひみー……ひみぃ……。

卑弥呼?

あいつまさか人間時代卑弥呼だったのか?
いやでもあいつパツキンだし……。

もういいや、自分から電話かけといてあれだが、疲れた。
さっさと寝よう。

そう思いながら自分はずっと何もせず立ってた事で体が気持ち固くなった気がしたので、その場で延びをしたり腰を回したりした。
そしてその時、後ろに三つの人影が隠れるように存在してるのを自分は見逃さなかった。

「……何してるん?」

「あ、見つかった」

そこにいたのは、リム副隊長とテトラ君、そしてスゥ君である。

「いゃあ、先生があまりにかわいくてつい見ちゃってました」

そして開口一番にテトラ君が発したこの一言は、自分を戦慄させるには十分だった。

「や、やだよ!自分は男を、君達をそーゆー対象には見れない!!」

つい言ってしまった自分の心の声を聞き、テトラ君達は見事に焦りだした。

「ち、違います!僕達もそんな趣味はありません!!」

「ただ先生がこれからどんな事するのか気になっただけです!!」

「そうだよ!ただナルミ君が初々しいなって見てただけだから!!」

ん?
初々しい?

なんで?

「初々しいって、なんで?」

「だって、シルバのところに入ろうかどうしようか、変な百面相しながら悩んでるんだよ?初々しい以外なんと言えばいいのさ。さっさと襲っちゃいなよとか思いながら見ていたさ」

……百面相?悩んでる?

…………

「ち、違う!そんなつもりはない!!」

「いやだって、ねぇ」

「そうですよ。てゆーか俺達の事など忘れて、さぁ。シルバもほら、ちらちら先生を見てますし」

は?
シルバちゃんも?

テトラ君に言われて、すぐにテントの入口を見ると

「ひぅ!!」

いつの間にか起きてた赤い少女が引っ込んだ。

「あ、あの~……」

あ、出てきた。

「い、一緒に寝ます?」

いや、そんな赤くならんでも。
襲わないから、な。
疲れたし、そんな気もあの三人に削がれたし。

……まぁまずとりあえず、後ろの三人には沈黙して貰おうか。

直後、三人のいたところに100万ボルトなヴァーリーが落ちたのは言うまでもないだろう。
ボルト100万だが、アンペアは低いので死なないはずだ。

と、三人に神罰を下した直後。

ガインッ!

「ぶっ!?」

なにかが側頭部に直撃した。
よく見ると、それは鎧の頭部分で、飛んどきた方向を見ると

「……先生、うるさいです。俺は眠いんです、静かにしてください」

シルバちゃんにも負けないくらいの顔をしたムー君がテントから顔を出していた。
彼は自分をめっちゃ睨んだ後、“全く、迷惑考えろってのクズが”と暴言を吐きつつテントに引っ込んでいった。

……怖っ!!

「うぅ……痺れる……」

「だいだい色のカミナリが……」

「羽がうごかない……」

……もう、こいつらはほっとこ。

自分はそう決意し、テントに入って寝袋にくるまった。
少ししたらなんか自分の寝袋に人が無理矢理入ってきたが、まぁ余裕があったというか疲れたので無視して即座に眠ってしまった。







ちなみに余談だが、自分が寝た後しばらくして復活した三人が自分達の様子を見てテンションをあげていたところ、ムー君がキレて三人を血祭りにあげたというのはまた別の話である。

ちなみに、その三人は酒に酔ってやった、酒が悪いと言い訳したが、聞き入れて貰えずに三人そろってムー君に螺旋丸を食らわされたそーな。

……この日から、ムー君が寝てる時はみんな静かに過ごすようになりました。
……ナルミ君の耳かき技術を持つ人、あれ実在しますから。
あそこまでいかないけど、マジで喘ぎ声出て果てましたから、私。

はい、じゃあこのマッタリ紀行シリーズは、主にマッタリ(グダグダ)した時にたまに出てきますはずです。
おもに移動中です。

あと、あからさますぎるあれは見逃して下さい。
うまく隠すことが出来なかったのです


しかし……最近リム副隊長が汚れ役になってるきがするなぁ……。

ではまた次回ノシ


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