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  従者のお仕事 作者:koru.
93話 不通
 ディーを王宮へ見送り、空を見上げて黄昏ていたわけですが。

 よく考えてみれば。 
 王宮でのディーの従者としての仕事が無いならば、日中は家の中の事をするくらいなので、魔法でぱぱぱーっと掃除洗濯をやっつけてしまえば、暇な時間はいくらでもできるわけです。


 そんなわけで、ちょっと楓の様子を見に行ってきます。

 近況報告及び今後のことも聞いておきたいしね。
 思い立ったが吉日だしね。


 夕飯の下ごしらえを済ませてから、両手にいつもの護身用の鎖を装着する。
 大丈夫、ディーが帰ってくるまでに帰るし!

 イフェストニアの従者の服を、一般的な服(動きやすさを優先して男物)に着替え、操駆し、ドアを楓のところへと繋げ……。
「あれ?」
 ドアを開けたけど、そこには普通に我が家の廊下があるだけ。
 何度も試みてみたけれど、どうしてだか楓のところに繋がらない。

 実験的に日本に帰ったお父さんのところに繋げてみたが。
「…どうしたんだ? もう早里帰りか? どうでもいいが、時と場所は選べ」
「うん、ごめん(対象を人にすると、場所を選ぶの無理なんだ)」
 すごすごと、トイレに繋がったドアを閉めて魔法を解除する。

 あれだ、女子の入浴中にドアを繋げてしまうドジな男子の事をもう笑わない。


 それにしても、ちゃんと日本まで繋がるのに、楓のところには行けないってどういう……。

 ま、まさかね! まさか、対象が居な……いやいやいや!!

 心臓がドキドキしてへたり込みそうになる。
 とりあえず、イストーラに行こう!
 そうすればきっと判る、王様の所ならきっと傍に楓も居るよね!

 操駆して、イストーラの王様の所へ繋がるようにドアに念じて開ける…が、楓の時と同じようにつながらない。
 その他に知ってるイストーラの人を片っ端から思い出してドアを開くが、やっぱりその誰にも繋がらない。

 ど、ど、どういうこと??


 そういえば…王様が、楓にはイストーラを何回か焦土にする程の力が在るって……ま、まさかね?
 そんなことをする意味が無いもんね? …無いよね……?
 流石にそんな事になれば、すぐわかるだろうし…わ、わかるよね?

 ……自信が無い。


 とにかく楓に会わなきゃと、試行錯誤した結果。
 イストーラの王宮へ行くことは不可能だった(牢屋、王様、宰相の部屋)なんだか、魔法がどっかに引っかかるような、微かに変な感触がして結局どこにもドアが繋がらない。
 他にイストーラで知ってる場所が無かったので、イストーラに最も近い場所……あんまり行きたくない場所ではあるんだけど、あそこにドアを繋げることにした。



 楓をこっちの世界に連れてきた場所であり、初めてディーと……あ、いや、まぁそれはいいや。

 あの小屋を思い浮かべ、ドアを開いた。


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