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仮想戦記(仮 作者:ロックウッド
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1942エル・アラメイン砲撃戦4

 アルフォンソ伍長達は、差し込み始めた曙光に追われるように、陣地へと帰還していた。もう少し遅ければ夜が完全に明けてからも行動を続けていたかもしれない。
 陣地への帰還がそれほど遅れたのは、往路と同様に地雷原の通過に慎重を期した為でもあったが、それよりも敵戦車から回収した大量の荷物を抱えていたからだといったほうが正確だった。
 鹵獲物資の中には、食料品や飲料水用の缶などがの重量物が意外なほど多かったのだ。あの戦車の航続距離がどれだけあるのかはよくわからないが、かなり長い間単独で行動することを前提に、大量の消耗品や補給物資を搭載していたようだ。
 その戦車一両分の物資を四人で分配して担いできたものだから、自然と地雷原を通る足取りも遅くなっていたのだ。

 特に遅れていたのは、背中の雑嚢をこれ以上ないというほど膨らませていたロッソとヴィオーラの二人だった。二人共、物資の鹵獲を予め予想して、要領よく大容量の雑嚢を持ち込んでいたようだが、物資の量が予想以上に多かったせいで、限界までつめ込まれた雑嚢は、縫い目が今にもはちきれそうに膨らんでいた。
 二人は、寒い砂漠の夜だというのに、しばらく歩いているうちに、汗をぐっしょりとかき始めていた。それほど鹵獲物資の大重量が負担になっているようだった。さほど物資を持ち出さなかったアルフォンソ伍長とトーマに対して、ロッソとヴィオーラは次第に遅れがちになっていた。
 辟易したアルフォンソ伍長は、物資の一部投棄を命じたのだが、ロッソとヴィオーラは頑なに拒否した。二人には陣地への早期帰還よりも、物資のほうが重要であるらしかった。
 結局、物資不足の小隊への補給という名目を前面に押し出した二人に押し切られる形で、アルフォンソ伍長とトーマも物資の移送を分担しながら、陣地へと帰ることになった。
 その結果、夜明けとほぼ同時の帰還になってしまったのだ。


 アルフォンソ伍長達が帰還した時、陣地の縁に、ボッツァ少尉が一人心配そうな顔で待っていた。しかし、四人を見つけた少尉は、部下の無事な帰還を喜ぶよりも先に、全員が背後に抱える膨大な荷物を見つけて怪訝そうな顔になっていた。
 首をかしげたままのボッツァ少尉に慌ただしく敬礼すると、ロッソとヴィオーラは報告をアルフォンソ伍長達に任せて、二人が背負っていた荷物も、奪い取るように素早く抱え込むと、足早に陣地の奥に向かっていた。
 ロッソとヴィオーラの後ろ姿を怪訝そうな顔で見守っていたボッツァ少尉だったが、すぐに向き直ると、アルフォンソ伍長に頷いてみせた。それを合図にして、アルフォンソ伍長とトーマ一等兵が報告を始めた。

 報告は、できるだけ感情を排して、客観的にしたつもりだった。擱座していた戦車の損害状況や直前までの行動の予測を手短に報告していた。アルフォンソ伍長に気が付かなかった個所や、別の視点から補足させるつもりでトーマ一等兵も同席させたのだが、それはほとんど必要無かった。
 考えてみればアルフォンソ伍長とトーマ一等兵は、偵察中はほとんど一緒に行動していたのだから、同席させるとしたら車内を物色していたロッソかヴィオーラにすべきだったのだ。だが、二人があまりにも素早くこの場を離れたものだから、引き止める隙もなかったのだ。


 アルフォンソ伍長からの報告を聞き終えたボッツァ少尉は、伍長から渡された、負傷兵が持っていた拳銃をしばらく眺めてから、近くの兵に何か書類を持ってこさせると、書類をめくりながら、上がり始めた朝日に照らしだされた擱座した戦車に双眼鏡を向けていた。
 近くに捨て置かれた拳銃をそっと拾い上げると、アルフォンソ伍長はしげしげとあらためて手の中に収めた銃を眺めていた。よく見ると中々に丁寧に造り込まれた拳銃だった。
 機構的には、イタリア軍制式採用のベレッタM1934と近しいようで、上部には排莢口が開口された大型のスライドが取り付けられていた。後部のハンマーや、引き金を覆うトリガーガードは、確実な操作性を重視したのか、大きな作りだった。
 木製のグリップが取り付けられた細長い銃把は、9ミリパラベラム弾の弾倉を収めている割には薄く、握りやすくなっていた。
 スライドの側面には何かの文字が彫り込まれていたが、アルフォンソ伍長には何語かすら分からなかった。少なくとも英語やドイツ語ではなさそうだたった。アルファベットやその派生文字ではなく、やたらと複雑な文字が多かった。

 ボッツァ少尉に呼ばれたアルフォンソ伍長は、慌てて拳銃を再び腰の後ろに差し込むと、少尉の待つ陣地の端へと急いだ。
 陣地の縁から顔を出しながら双眼鏡を向けていたボッツァ少尉は、双眼鏡を下ろしながら、あまり自身のなさそうな声で書類を指さしながらアルフォンソ伍長にいった。
「おそらくこいつだと思うのだが、伍長はどう思う」
 言い終わる前に、ボッツァ少尉は、双眼鏡をアルフォンソ伍長に差し出した。受け取ったアルフォンソ伍長は、先ほどのボッツァ少尉のように双眼鏡をあの擱座した戦車へと向けた。
 背後の陣地の奥からは、ロッソとヴィオーラ達が持ち帰ったチャーチル給与に小隊の兵たちが歓喜の声を上げるのが聞こえたが、そんな喧騒に文字通り背を向けるように、アルフォンソ伍長は、双眼鏡で擱座した戦車を観察していた。
 距離があるにもかかわらず、初めて太陽光の下で見た戦車は、仔細まではっきりと見えた。小隊長の私物だというこの双眼鏡を使うのは初めてだったが、どうやらかなり高性能なレンズを使用しているようだ。
 闇夜の中をわざわざ長い時間を掛けて歩いたのが馬鹿馬鹿しく思える程だった。もっとも当たり前だが詳細に観測できるのは陣地からの視野に限られた。その証拠に、ロッソが負傷兵達を移動させた場所は死角になっているから、あの男達の姿は見えなかった。
 それに砂漠の真ん中に擱座した戦車の周囲には比較対象がないから、おおよそでも寸法を明らかにするには、近くで観測したアルフォンソ伍長の記憶が必要なはずだった。

 アルフォンソ伍長は、双眼鏡の視野に映った姿と、夜の間に至近距離から観測した結果を重ね合わせながら、脳裏にあの戦車の詳細なイメージを構築した。しばらく双眼鏡を覗いてから、視線をボッツァ少尉の指差す書類に向けた。
 あらためて見ると、その書類は最新の識別帳だった。陣地に届けられたばかりで、小隊長と小隊軍曹ぐらいしか見ていなかったはずだ。まだアルフォンソ伍長も中身は確認していなかった。
 ボッツァ少尉が指さしている頁に記載されている内容も見た記憶のないものだったから、その識別帳に新たに付け加えられたものなのだろう。つまりは、敵軍の最新鋭車両ということなのではないのか。
 アルフォンソ伍長は、その頁に描かれた三面図と寸法を確かめてから、ボッツァ少尉に顔を向けて力強く頷いてみせた。
「おそらくこの戦車でしょう。しかし……この記述はやけに正確ですね。ここに新たに載せられたということは、新型車両ではないのですか」
 識別長に書かれた寸法は、やけに細かな数値だった。まるで事前に計測済みかのようだった。車体全長などはまだしも、砲身長や搭載機銃口径まで記載されているということは、最低でも鹵獲されたか撃破された車両があったということではないのか。

 だが、ボッツァ少尉は、アルフォンソ伍長の言葉を即座に否定した。
「いや、違うな。この軽戦車タイプ95というのは、彼らの暦で1935年採用という意味なのだそうだ。だから7年前の戦車ということになるな。既に旧式化しているから、偵察部隊にも配属されているのだろう。贅沢なことだな」
 アルフォンソ伍長は、呆然として、7年前と呟いた。最近の軍事技術の急速な発展からすれば、7年という月日は決して短くはなかった。確か1935年といえば、イタリア陸軍に豆戦車であるCV35が配備され始まった頃だったはずだ。
 CV35は、一応は戦車とは言うものの、原型であるカーデンロイド同様に、搭載火器は対戦車能力を持たない機関砲でしか無いから、現在の対戦車戦闘においては補助戦力としかなりえなかった。
 それと比べると、あの戦車はイタリア陸軍の基準で言えば中戦車にも匹敵する戦力だと言えた。軽戦車とは言うが、実際には対戦車戦闘を前提とした快速戦車なのではないのか。だから、その速力を活かして威力偵察などにも用いられるのだろう。

 そのときはたと気がついて、アルフォンソ伍長は首を傾げてボッツァ少尉に向き直った。
「ちょっと待ってください。1935年が何で95年になるんですか。イギリスかフランスかどこかの植民地で独自の暦を使った国でもあったかな……」
 ボッツァ少尉は呆れたような顔でいった。
「何をいっているんだ。あれは日本製だ。識別帳の情報は、おそらくドイツ軍から提供されたものだろう。何年か前まではドイツと日本は中国を共に支援していたはずだ。その時に詳細な情報を入手していたのではないかな。
 それと、私もよくは知らないが、日本帝国ではエンペラーが代替わりすると、それまでと暦が入れ替わるだとかいう話を聞いたことがあったような気がするな」
 眉をしかめながら、アルフォンソ伍長はいった。
「するとあの戦車に乗っていたのも日本人、つまり日本帝国の正規軍がとうとう前線に出てきた、ということですか……しかし、95年とは日本のエンペラーは随分と長生きなんですな。東洋の神秘、ですかね」
 冗談めかしていったが、アルフォンソ伍長もボッツァ少尉も目は全く笑っていなかった。前大戦において西部戦線に投入された日本陸軍の精強さは欧州でもよく知られていた。特に日本軍は日露戦争の教訓から火力を重視して、比較的大規模な部隊編成を前提としていたらしい。

 だが、現在の日本軍の正確な情報は、末端の部隊には伝わってこなかった。極最近になるまで、実際に日本軍と交戦することになるとは誰も考えていなかったから、情報を収集しようとするものもいなかったのではないのか。
 だから、現在イタリア軍が入手している日本軍の情報は、その大半がドイツから提供されたもので、独自に収集したものではないようだった。それにドイツ軍が得ている情報も、中国の内戦に介入していた数年前までのものに限られていたから、最新兵器の情報に関しては曖昧なままだった。
 アルフォンソ伍長にとって、日本軍は目の前に姿を表しつつあるとはいえ、未だ未知の存在だった。


 陣地の前に奇妙な車両が現れたのは、それから数時間後の事だった。すでに日は高く上がり、気温は上昇していた。
 その時、仮眠を終えたアルフォンソ伍長は、まだ陣地前面で擱座した姿を表している戦車を、心配気な様子で見ていた。あの負傷兵はまだ生きているのだろうか、そう考えていた。拳銃を向けてきた男はまだ体力に余裕がありそうだったが、重症を負った方は危ないかもしれない。
 どうせ助けたのだから二人共生き延びてくれればよいのだが、そのようにアルフォンソ伍長が考えこんでいると、ふと視界に砂煙が見えたような気がした。
 怪訝そうな顔で、アルフォンソ伍長は見張りの兵に声をかけた。二人で砂煙が見えた方向を監視していると、唐突に砂丘の影からその車両群は姿を表していた。

 最初に見えたのは、軽快な動きを見せる軽戦車だった。その形状は昨晩に見た戦車と同一だった。
 やはり僚車がいたのか、そう考えたのは一瞬だけだった。一両目の九五式軽戦車につづいて、次々と別の車両が姿を見せたからだ。
 九五式軽戦車に続いて姿を表したのは、一回り以上大きな重量級の戦車だった。九五式軽戦車と比較すると、少なくともドイツ軍の三号戦車程度の大きさはあるのではないのか。
 巨大な転輪に支えられた車体は、かなりの機動性を発揮するらしく、九五式軽戦車ほどの軽快さは無いものの、速度は同等なのか、先行する軽戦車に十分に追随していた。車体の上には恐ろしく長大な砲身を持つ戦車砲が備えられていた。
 九五式軽戦車の主砲よりも、砲身長も口径も一回りは大きそうだった。
 その戦車は一両だけではなかった、すぐに二両目が現れると、お互いの死角をカバーし合うように砲身を左右に向けて、九五式軽戦車に続くように、陣地に接近していた。

 アルフォンソ伍長が呆然として見ている間に、前進を続ける九五式軽戦車を残して、小さな砂丘を盾にするようにして二両の戦車は停止した。それをアルフォンソ伍長が怪訝に思う前に、最初に九五式軽戦車が姿を表した砂丘の影から、三両目と四両目の戦車が出現していた。やはりお互いにカバーし合いながら、その戦車は前進していた。
 アルフォンソ伍長は苦虫を噛み潰したような顔になっていた。日本軍の戦車兵たちは基本に忠実だった。おそらく目の前に展開しているのは主力となる中戦車を装備した戦車小隊なのだろう。それが二両ずつの分隊ごとに交互に火力支援を行える態勢で慎重に前進しているのだ。
 小隊が装備する対戦車砲での砲撃は極めて危険だった。この距離で敵戦車の装甲を貫通できるかはともかく、一発でも発砲した瞬間に、停止して支援態勢をとった分隊からの集中射撃を受けてしまうのではないのか。

「あれは一式中戦車、だな」
 いつの間にかボッツァ少尉が隣に来ていた。少尉は、伝令に発砲を禁止する旨を各分隊に伝えるように命じると、渋い顔で双眼鏡を接近する部隊に向けた。アルフォンソ伍長が視線を向けると、少尉が続けた。
「あれが日本軍の新型中戦車だ。兵装や装甲に関してはよくわからない点が多いようだが、少なくともドイツ軍の三号戦車を上回る戦闘能力はあるようだ」
 不安そうな顔をボッツァ少尉に向けると、アルフォンソ伍長がいった。
「どうやら戦車1個小隊のようですが、これは本格的な陣地攻略と見ていいものですかね」
 ボッツァ少尉は、わずかに首を傾げていた。それから双眼鏡を一式中戦車が姿を表した砂丘の影に向けてからいった。
「どうかな、単に蹂躙するつもりならばともかく、本気でこの陣地を占領するつもりならば歩兵部隊を伴っていないのは奇妙だ。それに地雷原があることは既に彼らもわかっているはずだから、戦車部隊単独で進出させるとは思えない。おそらく彼らは……来たぞ」
 ボッツァ少尉が言い終わる前に、五両目と六両目の車両が相次いで姿を表していた。

 五両目の車両は、どこか鈍くささを感じさせる戦車だった。アルフォンソ伍長はそう考えたのだが、戦闘用の戦車にしては妙な艤装品が多いのにすぐに気がついていた。確かに旋回式の砲塔が車体上部に載せられているのだが、車体寸法に比して妙に砲塔は小さかった。それに、多砲塔戦車のように車体砲があるわけでもなかった。
 それどころか、車体前部には砲ではなく、可動式らしいアームに保持された頑丈そうな車体幅ほどもある板構造が備えられていた。おそらくは可動式の排土板なのだろう。
 さらに車体後部には、排土板とバランスを取るかのようにAフレーム方式のクレーンが備えられていた。他にも車体にはすっきりとした他の戦車とは違って、様々な艤装品や工具箱が据え付けられていた。

 アルフォンソ伍長が首を傾げていると、脇からぼやいたような声が聞こえた。
「贅沢な戦をしやがる……あれは工兵用の回収専用車両じゃないのか」
 ボッツァ少尉に顔を向けると、アルフォンソ伍長は聞いた。
「回収専用……ですか、すると上に載っているのはあくまでも自衛用火器ということですか」
「自衛用といっても重機関銃程度は載せているだろうな」
「あれが回収用車両ということは、日本軍の目的は……」
「間違いなく擱座した九五式軽戦車の回収だろうな。全分隊に伝えろ、こちらから手を出さなければ、勝手に帰ってくれるはずだ。絶対に発砲するな……おそらく発砲しても戦車部隊相手では、話にもならないだろうがな」
 つまらなそうな声でボッツァ少尉は言ったが、アルフォンソ伍長は不安そうな顔になっていった。
「たった一両の偵察戦車を回収するために、専用の回収車と戦車1個小隊を投入してくる、いや出来るというわけですか。日本軍はかなりの戦力を保有しているようですね」

 ボッツァ少尉は、アルフォンソ伍長に答えずに、双眼鏡を砂丘に向けたままだった。アルフォンソ伍長は怪訝に思ってボッツァ少尉の視線を追うと、砂丘の影から六両目の車両がのっそりと姿を表したところだった。
 こちらは一見戦車には見えなかった。備砲は旋回式の砲塔ではなく、車体に直接据え付けられていたからだ。その備砲は巨大なものだった。砲口は車体から大きく前にはみ出していた。
 おそらく車体そのものは一式中戦車と同一であるらしく、前面装甲板の傾斜角は大きかった。その搭載砲は戦車砲ではなく、大口径の野砲なのではないのか。つまり、戦車というよりも、自走砲と言ったほうが正しいのだろう。
 ただし、牽引式の砲を戦車車体に載せただけというわけではなさそうだった。砲塔は持たないが、備砲の周囲は固定式の装甲板で覆われていた。
 旋回砲塔を持たないから使い勝手は悪いかもしれないが、至近距離から大口径の野砲弾を直撃させて、敵陣地や対戦車砲を制圧するか、逆に敵戦車を遠距離から撃破するつもりの車両なのではないのか。
 アルフォンソ伍長が、呆気にとられて見つめていると、その自走砲は、陣地から見て小さな砂丘の影となる場所に車体を滑りこませると、無造作に発砲を開始した。

 自走砲の砲口が光ったのを見つけた瞬間に、アルフォンソ伍長はボッツァ少尉の体を掴んで陣地の底へと体を投げ下ろした。
 二人共緊張した面持ちで顔を向けあっていたが、着弾の衝撃は思ったよりも小さかった。しかも小さかった割には、着弾の衝撃は短時間のうちに連続して発生していた。
 怪訝に思ったアルフォンソ伍長が、恐る恐る陣地の外を覗き見ると、いつの間にか擱座した九五式軽戦車と陣地との間に白煙が発生していた。しかも未だに続く着弾の衝撃と共に白煙は分厚く広がっていった。
「野砲クラスの自走砲による煙幕弾の展開か。本当に贅沢な戦をしやがるな」
 アルフォンソ伍長に並んだボッツァ少尉が、うんざりしたような声でいった。

 無風の砂漠に広がった白煙は、なかなか拡散しなかった。砂漠の陽炎にあおられるようにしてようやく白煙がはれた時、そこには何も残っていなかった。あの巨大な自走砲も、戦車小隊も、そして擱座した九五式軽戦車も姿は見えなくなっていた。
 日本軍の戦車部隊が残した痕跡は、薄れつつある白煙と砂漠の履帯跡、そして地雷によって吹き飛ばされた九五式軽戦車の履帯の破片だけだった。
 アルフォンソ伍長とボッツァ少尉は呆然としてそれをみつめていた。
九五式軽戦車の設定は下記アドレスで公開中です
http://rockwood.web.fc2.com/kasou/settei/95tkl.html
一式中戦車の設定は下記アドレスで公開中です
http://rockwood.web.fc2.com/kasou/settei/01tkm.html
一式砲戦車の設定は下記アドレスで公開中です
http://rockwood.web.fc2.com/kasou/settei/01td.html
九七式力作車の設定は下記アドレスで公開中です
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