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仮想戦記(仮 作者:ロックウッド
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1943シチリア上陸戦19

 戦闘団の指揮官であるベルガルド少佐は、恐ろしく不機嫌そうな表情をしていた。その様子を見る限り、先ほど大声を上げていたのはこの少佐であるらしい。
 ベルガルド少佐は、眉をしかませた酷薄そうな顔で、じろりとここまでデム軍曹たちを案内してきた兵を見据えていた。獲物を見る鷹の様な鋭い視線だった。
 そこには各教範で指揮官に求められた兵を慈しむ精神は全く感じられなかった。

 案内の兵は、緊張した様子で不動で手短にデム軍曹たちのことを説明しているようだった。
 その間、デム軍曹たちは声が聞こえるか聞こえないかほどの距離でとどめ置かれていた。周囲には短機関銃を携行した兵が待機しているものだから、まるで監視されているようにしか思えなかった。
 イタリア兵達も不安そうな目で周囲を見渡していた。強力な友軍と合流したにも関わらず、不安感が増しているようだった。


 しばらくしてから、案内の兵は解放されたようだった。安堵の色を隠そうともせずに、その兵はデム軍曹達を促していた。どうやら今度は軍曹達がベルガルド少佐に呼ばれているらしい。
 デム軍曹は思わず嘆息を漏らしそうになりながらのろのろと歩き出していた。本音では夜通しの行軍の疲労で今すぐにでも倒れ込みそうな気がしていた。歩き続けていた時は上陸岸から一歩でも遠ざかることだけを考えていたのだが、友軍と合流したことで気が抜けてしまったらしい。

 疲労した体に鞭打ってデム軍曹たちはベルガルド少佐の前に立ったが、少佐は何の反応も返さずに、会議用の野戦テーブルの上に広げられた周辺の地形図を睨みつけるように何度も確認していた。
 ベルガルド少佐の周囲にいたのはデム軍曹たちだけではなかった。以前イタリア本土の駅構内で見知った顔もいくつかあった。その中の一人は軍曹にヘルマン・ゲーリング師団のことを説明してくれた下士官らの上官だったはずだ。
 ―――確かハインリヒ大尉だったか。
 デム軍曹は、僅かに首を振って合図をしたハインリヒ大尉の様子に安堵したが、ベルガルド少佐はその様子に気がつく様子もなく地図に目を向けたままだった。


 呼びつけておいて何の反応を示さないベルガルド少佐に、いい加減腹に来ていたデム軍曹は大声で申告を始めた。
 だが、デム軍曹の申告はすぐに遮られた。ベルガルド少佐が声が聞こえた瞬間に顔を上げて鋭い視線を軍曹に向けていたのだ。少佐の視線は強力だった。まるで視線だけで敵を射殺す事ができそうだった。軍曹は蛇に睨まれた蛙のように一瞬で口を閉じると顔を白くさせて、視線をそらしていた。

 だが、ベルガルド少佐はそのまま顔を上げると、地図を睨みつけるように見ていた時とは打って変わって、すぐに興味のなさそうな顔でデム軍曹とその後ろに隠れるようにしている空軍地上要員とイタリア兵たちを一瞥した。
「貴様らがジェーラから逃げ出したパイロットとイタリア兵か」

 デム軍曹は、慌てて弁解しようとした。自分が搭乗するはずだった機体はジェーラの航空基地で破壊されたこと、上陸初日で航空基地の機能が破壊された為に地上要員と共にパレルモ、あるいはその途上の空軍の航空基地に合流しようとしていたこと。
 そして何よりも、自分たちの航空機操縦、整備といった特殊で教育に時間と資金の掛かる技能は、野戦で歩兵としてすり減らすのではなく、後方の設備の整った航空基地でこそ最大限活用できることを説明しようとしていた。
 あのままジェーラの航空基地に留まったとしても、無駄死になっただけなのだ。


 しかし、ベルガルド少佐は、デム軍曹がくどくどと弁解を始めてすぐに苛立たしげな表情で手を上げていた。
「黙れ。貴様の言い訳など聞く気もないし、その時間もない。そんなことはどうでもいい。それよりも質問に答えろ」
 そう言い捨てると、ベルガルド少佐は卓上の地図を指差しながら、矢継ぎ早に質問を浴びせかけてきた。デム軍曹はうろたえながらもその対応に追われていた。

 ベルガルド少佐の質問の内容は、この地点からジェーラ間の道路状況に関するものだった。質問の間隔は短く、その内容は微に入り細を穿ったものだった。最初のうちはデム軍曹はじっくりと考えながら答えていたが、次第に少佐の鋭い視線を向けられるのを恐れたのか、反射的に応えるようになっていた。
 質問されたのはデム軍曹だけではなかった。軍曹が戸惑ったり、言いよどんたりすると、即座に後ろの空軍地上要員にも質問が飛んでいた。
 まるで質問というよりも尋問だった。回答の拒否ができないのだから、あながち間違っているとも言えないはずだ。


 始まった時と同様に、唐突にベルガルド少佐からの質問は途絶えていた。困惑した顔のデム軍曹を無視して、少佐の目は再び卓上の地形図に戻されていた。
 全体的にいって、デム軍曹たちがベルガルド少佐の質問に満足に答えられたとは思えなかった。特に自分たちの能力が劣っているとは思えなかった。そうではなく、質問の内容が自分たちに答えられる範囲のものではなかったのだ。
 道路内の障害物の有無程度ならばともかく、正確な道幅や勾配、稜線など特定の周辺地形から街道への視界など専門の訓練を受けた偵察部隊の兵でも無い限り、一度通過しただけでわかるわけがなかった。

 もっとも、この程度のことはベルガルド少佐も理解していたはずだ。それに、おなじ質問を投げかけるにしても、デム軍曹たちよりももっと的確な相手がいたはずだ。
 ベルガルド少佐は、不思議な事にデム軍曹の後ろのイタリア兵達には直接質問をしなかった。彼らが地元民だということは既に知っているはずだ。だが、少佐の目には地理を熟知しているはずの彼らがまるで写っていないのかのように無視していた。
 別にイタリア語を解さなかったのが理由とは思えない。この程度の規模の部隊ならば、駐留している間に、あるいはそれ以前からイタリア語の会話ができるものが一人や二人はいるはずだ。


 だが、デム軍曹がそれに関して何かを言う前に、一足早くベルガルド少佐が顔を上げていた。少佐は、一瞬不思議そうな目でデム軍曹たちを見渡してから、すぐに不機嫌そうな顔になって乱暴に地図をたたみ始めながら言った。
「やはり実際に行って見ないことにはよくわからんな。ハインリヒ大尉、攻撃発起点に到着するまでは貴様の中隊が先鋒を努めろ。四号を先に通したほうが良いだろうからな。地形の確認と本隊への連絡を絶やすな。斥候は最低限で本隊からの援護が可能な距離から前には出すな。こう何度もやられてはかなわん。
 街道を抜けたら一度給油してから第504重戦車大隊を先頭にパンツァーカイルに陣形を組み直す。日本軍の対戦車能力がどの程度かはわからんが、警戒するに越したことはあるまい。
 フンメル中尉、貴様の中隊が今度は先鋒だ。504のティーガーには期待しているぞ」

 声をかけられた古参らしいふてぶてしい顔をした中尉は、にやりと笑みを見せていた。
「了解です。まぁ戦艦でも出てこないかぎり、海岸まで突っ走るとしますよ。もうこんな狭い田舎町であちこち引っかかるのは御免ですからね。四号に先行して貰えれば、まぁ大体の道はいけるでしょう」
 そういうと中尉は意味ありげな視線をデム軍曹に向けながら続けた。
「あとはパイロットさん達の道案内に期待するとしますか」

 ぼんやりと将校たちの会話を聞いていたデム軍曹は、フンメル中尉の言っているのが自分たちだと唐突に気がついて呆けたような顔になっていた。
「あの……道案内というのは、まさか自分たちのことでしょうか。我々はこのままパレルモに向かうのですが」
 フンメル中尉は驚いたような顔で首を傾げただけだったが、ベルガルド少佐は苛立たしげな顔でデム軍曹たちを睨みつけていた。
「貴様ら以外に誰がいるというのだ。ジェーラからここまで逃げてきたのならば、街道の状況ぐらい大体は把握しているだろうが。貴様らは先鋒のハインリヒ大尉の中隊に同行しろ。
 空軍兵の鳥頭でももう一度戻れば道ぐらい思い出すだろう……それとも敵前逃亡で即決銃殺刑になりたいのか」
 そう言いながら、ベルガルド少佐の右手が戦車兵服の腰に吊るされた拳銃ホルスターに伸びていた。


 デム軍曹は、ベルガルド少佐の戦車兵服に取り付けられたやけに真新しい記章を呆然とした目で見ながら、緊迫感から何も言えずにいた。背後のイタリア兵や地上要員も腰が抜けているのを感じ取っていた。

 やはり緊張した様子ながらも柔らかな声が聞こえたのはその時だった。
「その辺りでいいでしょう。
 夜明けとともに反撃に出るのは我が隊だけではないが、我々は貴重な装甲戦力だから遅れるわけには行かないんだ。すまないがデム軍曹は我が隊とともに来てもらう。シュラウダー曹長、中隊本部の車両に彼らのスペースを作ってやれ」

 声を上げたのは、それまで押し黙っていたハインリヒ大尉だった。そのやわらかな口調に気勢を削がれたのか、ベルガルド少佐も右手を戻して冷ややかな目で顎をしゃくっていた。どうやら退出してもいいらしい。
 いつの間にか近づいていたシュラウダー曹長の顔を見ても、緊張感が一気になくなったせいか、しばらくはデム軍曹はイタリア本土の駅構内で会話した下士官だと気が付かなかった。


 少休止中の戦闘団の各車両を縫うようにして歩きながら、デム軍曹たちを連れて歩くシュラウダー曹長は、しばらくは無言のままだった。曹長につられたか、軍曹達も口を開けなかった。
 シュラウダー曹長がようやく口を開いたのは、野戦テーブルを囲んで打ち合わせを続ける将校達の声が聞こえなくなってからの事だった。曹長は前を向いたまま急に立ち止まると、頭を掻きながら済まなそうな声で言った。
「さっきは悪かったな。少佐殿は悪い人じゃないとは思うんだが、前提抜きで話を進めてしまうことが多くてな」
 多分頭の回転が早過ぎるんだろう。シュラウダー曹長はそう続けたが、デム軍曹は戸惑ったような顔になってしまっていた。

「別に曹長が悪いわけじゃないですが……しかし、あの少佐は何者なんです。空軍に恨みでもあるんですかね。この師団だって空軍の仲間なんでしょう」
 シュラウダー曹長は思わずと言った様子で苦笑していた。
「いや、少佐殿は陸軍から転属してきたばかりでな。以前は東部戦線で活躍していたらしいが、部隊が大損害を受けて再編成中にこっちに引っ張られてきたらしい」

「そういう……ことでしたか」
 デム軍曹はそう言いながら頷いていた。ドイツ空軍が公式に誕生した当初は、新たな組織の立ち上げのために陸軍から多くの将校が転属してきていた。この方面の総指揮をとっているケッセルリンク元帥も、元は陸軍の砲兵士官だった。
 この陸軍からの転属組は、民間の航空会社を装っていたルフトハンザで育成されていた航空機搭乗員や整備隊と言った実戦部隊の中核となる航空将校と並んで新生ドイツ空軍の中核幹部となっていたのだ。

 しかし、それは開戦前の空軍を新たに立ち上げていた頃の話だ。その当時に空軍に転属した将校の中には、派閥争いなどから陸軍での昇進に限界を感じて、新たな組織で立身出世を図るために志願したものもいたらしいと聞いていた。
 だが、空軍組織も肥大化して独自の士官育成機構や、内部に派閥を持つようになっていたから、今では好んでこれまでのキャリアを捨てて自ら陸海軍から空軍に転属しようとするものはほとんどいないのではないのか。

 逆に、陸軍としては厄介払いのつもりで能力に劣る士官を空軍に押し付けようとしたのではないのか。デム軍曹は皮肉げな思いでそう考えていた。
 特殊な訓練を受けた自分たち航空隊の人間の価値を理解しようとしないベルガルド少佐への反発からそのような考えが出ていたのだが、軍曹はそのことに気が付かなかった。


 シュラウダー曹長はデム軍曹の内心に気がついたのか、少しばかり冷ややかな目になりながら続けた。
「言い方は何だが、少佐殿の判断には俺も賛成だ。軍曹には済まないが、どんな手段を用いても我々は攻撃発起点に空襲を受ける前にたどり着いて明日の攻撃に参加しなくてはならないんだ。
 実は野営地からこの山岳地帯に侵入してから、何度か前方に出した斥候が行方不明になっているんだ。ヘルマン・ゲーリング装甲擲弾兵の兵だけじゃない。装甲偵察大隊から派遣されてきた奴らまでだ」

「全員、やられたのか……」
 唖然とした顔でデム軍曹が聞くと、シュラウダー曹長は戸惑ったような顔で首を振った。
「後から送り出した斥候が街道近くで血溜まりを見つけたが、死体は無かった。死体を持ち去られたか、捕まったのか。とにかく手練の兵が赤子の手をひねるようにあっさりと無力化されたのは間違いない。
 この森には、何かがいるんだ」

 シュラウダー曹長は周囲に目を向けたが、すぐに真剣な表情に戻った。これまで自分たちが辿ってきた街道にもそんな得体のしれない怪物がいたのだろうか、そう考えて首を傾げていたデム軍曹は慌てて曹長の顔に視線を戻していた。
「だからといって、ここで無駄に足止めを喰らい続けるわけには行かないんだ。問題は俺達だけじゃない。
 俺達の後ろには我が師団の本隊や他の師団が続くはずだし、明日の攻撃には他の装甲化されていない部隊も参加するんだ。戦車を大量に装備したこの戦闘団は実質上の主力だ。おそらく戦車を欠いた攻撃は成功せんだろう」

 デム軍曹は、やや鼻白みながら、気圧されたような顔でいった。
「だが……それならば彼らイタリア人の方が道案内には最適でしょうに。別に彼らを人身御供に差し出そうというわけではないが……」
 シュラウダー曹長は一瞬怪訝そうな顔になったが、すぐに真剣な表情に戻った。
「そうか、軍曹は昨日はジェーラから脱出するので手一杯だったんだな。実は日英軍の上陸開始に前後して島内の複数箇所に空挺部隊が投入されたようなのだ」

「空挺部隊……」
 ぼんやりと聞きながらデム軍曹は昨日のことを思い出していた。そういえば、昨日の朝方ジェーラ近くの上空を通過する大型機の編隊を見たような気がしていた。機体形状は爆撃機のようだったが、妙に剣呑さを感じなかったのだが、もしかするとそれが空挺部隊を乗せた輸送機だったのかもしれない。
「南東岸付近では前線後方に降下した英国軍の空挺部隊が橋梁などの要所を確保して、一時は我が軍との間でかなり激しい戦闘が行われたらしい。空挺部隊の降下までに沿岸砲兵の高射砲で輸送機をかなり撃墜したとか、降下した部隊は全滅したとか、いろいろ噂は流れてきたが、さて本当のところはまだよくわからんな」

 話を聞きながらデム軍曹は疑問を感じていた。シュラウダー曹長の話は英国軍が上陸した南東岸の話ばかりだった。だが降下部隊を有しているのが英国軍だけとは思えない。
 デム軍曹がジェーラでみた大型機が空挺部隊を載せた輸送機ならば、この方面にも空挺部隊が投入された可能性は高いはずだ。

 だが、そのことを問いただすと、シュラウダー曹長は苦虫を噛み潰したような顔になっていた。
「さて、そこさ。実は島の此方側でも空挺部隊が侵入した形跡が合ったのだが、規模はそれほど大きくはないようだ。話をまとめてみると、英国軍は師団規模の空挺部隊を一気に投入してきたようだが、こちら側に投入された部隊は多くても連隊程度のはずだ。
 ただし、一度に投入された部隊は大きくとも一箇所で大隊程度のはずだ」

 デム軍曹は更に首を傾げていた。上陸岸への反攻作戦に投入する部隊を除いても、島内には独伊の大軍が残されているはずだ。輸送機から降下する空挺部隊ならば重火器を持ち込めるとは思えないから、軽武装のイタリア沿岸警備師団でも充分に敵部隊を殲滅することが出来るのではないのか。

 しかし、シュラウダー曹長は即座に首を振っていた。
「真正面からこちらに掛かって来るのならば、その程度の部隊は後方に侵入されても大したことはないだろう。だが、それが姿を隠してゲリラ戦を行う部隊だとすればどうだ。
 実際幾つかの衛兵所や監視所からの報告が途絶えているらしい。もしかすると、戦闘団の斥候を排除しているのもそのような部隊なのかもしれん」

 デム軍曹は思わず唸り声を上げていた。二、三年ほど前に大陸から撤退したばかりの英国軍が少数精鋭のゲリラ部隊を隠密上陸させて守備隊施設などに破壊工作を実施した事があったはずだった。
 それに北アフリカでも走破性の高い四輪駆動車で砂漠地帯を主戦線から大きく迂回して飛行場に殴りこみを掛ける英国軍の部隊が確認されていた。機関銃や手榴弾程度しか装備していない重火器を持たない軽装の部隊だったが、警戒の薄い飛行場に襲撃を掛けられたものだから、損害は少なくなかった。

 それがこのシチリア島では空挺部隊として再編成されて投入されたのだろう。だが、デム軍曹はふと気がついて尋ねていた。
「つまり英国のコマンド部隊のような部隊が存在しているということか。だが待てよ、降下した部隊がイギリス人か日本人かは知らんが、島内でそんな少数の部隊が足もなしに縦横無尽に移動できるものかね。実際は損害を受けた一握りの生き残りということはないのか」

 シュラウダー曹長は眉をしかめていた。
「そうであればいいがな。襲われた監視所で生き残った兵が、攻撃してきたアジア人らしい部隊に、イタリア人が混じっていたのを見ているんだ。少佐殿がイタリア人を警戒していた理由がわかったか。北アフリカでは大勢のイタリア兵が捕虜になったそうじゃないか。その中のいくらかは、我々を裏切って日英軍についたんじゃないのか」

 デム軍曹はベルガルド少佐の態度を納得していたが、同時に妙な苛立たしさも感じていた。北アフリカ戦線でイタリア兵をおいて逃げ出したのは自分たちドイツ軍ではなかったのか。そう考えていたからだ。
 ふとデム軍曹は北アフリカでの撤退時に目の前で撃たれたイタリア人の将校のことを思い出していた。確か日本軍の九八式直協機に襲撃される直前のことだったはずだ。

 ―――あの時撃たれた少尉さんは大勢の兵隊を連れていたが、あの兵隊たちも自分たちを見限ってしまったのだろうか。
 デム軍曹は暗澹たる思いにとらわれていた。既に敵軍をヨーロッパ内で迎え撃っているというのに、独伊両軍の溝は意外なほど深まっていたようだった。こんなことでこの戦争に本当に勝てるのだろうか、そういつまでも考えていた。
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