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フライングソーサー214 
作:東樹 九林



きとうのセクハラ


 決勝戦。

 アタシ達1組Aチームと鬼頭達8組Bチームで決勝は争われることとなった。

 運動場で野球やサッカーに参加してた子たちも、決勝戦ということで観戦にきて、体育館の人数は膨れ上がり、熱気が溢れかえっている。

 そして、きーちゃんの秘策は成功した。
 
 鬼頭にボールが渡る、と
「せーーくはらーー!せーーくはらーー!!」
「鬼頭のスケベーー!!」
「わーー、鬼頭くんやらしーー」
 面白がったみんなから野次が飛ぶ。

「う、うう………」
 ゴールを背にボールを持った鬼頭が、動くに動けない。
 194センチの鬼頭にマッチアップしているのは檜山さんだ。
 知らない人の為に解説しておくと、バスケでは背中や腰を相手にぶつけるのは合法である。
 なので、ゴール下でのプレイでは相手に背中を当てて、ボールを保持するポストプレイや、腰と背中でぶつかってディフェンスをこじ開けるパワープレイがセンターの主なプレイになる。

 さて、今鬼頭さんにマッチアップしているのは檜山さんだ。

 鬼頭がポストプレイをすると、マッチアップしている檜山さんは、ぴったりと鬼頭につくことになる。
 その際、檜山さんの胸が、鬼頭に当たるのだ。

 もう一度言おうか?

 檜山さんの胸が!当たるのだ!!

 効果はバツグンだ!

「鬼頭のスケベーー!!」
「檜山さんがセクハラされてるーー!!」
「きゃーー!!オマワリサーーん!!痴漢が!チカンがいますよーー!!」
 ノリノリで野次を飛ばすみんなに、きーちゃんがウィンクして親指を立てる。
 もちろん、みんなきーちゃんの悪巧みに乗っているのだ。

 顔を紅くした檜山さんが健気に鬼頭の攻撃を防ぐ。
 ここまで多くの対戦相手を吹っ飛ばしてきた鬼頭も、流石に女の子を相手にパワープレイをすることはできない。
 鬼頭が攻めあぐねているところを――――

 鬼頭の手からボールが奪い取られた。

 死角から近づいた宮瀬が、鬼頭の手からボールを叩き落とした。

 おおお!!と観衆が沸きあがる頃には、アタシときーちゃんは逆のリングに全速力!

 宮瀬の手から放たれた矢のような高速パスは、

(宮瀬、パスウマい!?)

 全速力のアタシが取りやすいところに、ドンピシャで飛んできた。

(これなら――――!!)

 ボールを受け取り、リングへ。でも――――

(ウソ!?これでも――――!?)

 全速力のアタシ達を嘲笑うかのように、更に上回る速さで後田と前橋がとっくに守備を固めていた。

 速攻を諦めて、味方の上がりを待つ。

 悔しくて歯噛みする。

(せっかく、宮瀬がいいパスくれたのに)

 鬼頭のパワープレイは無力化された。
 でも、アタシときーちゃんもまた、後田と前橋に完全に押さえ込まれていた。

 残り時間3分。

 0 − 4 

 アタシ達は全然点が取れない。
 8組は、鬼頭が止められても、後田と前橋が得点を重ねていく。












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