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スタイリッシュ武器屋 作者:弘松 涼
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96 嫌われ者の未来2

 軍服を着て元の姿となったカノンのもとへ、息も絶え絶えになりながらアークが走ってきた。


「カ、カノン将軍。もうしわけございませんでした」


 平静を装うカノンは、「何を謝っている?」と静かに問う。


「……俺、あなたの護衛をしないといけない立場だったのに……」

 如何なることがあろうと無表情を貫くカノンだったが、ほんの少しだけ頬に微笑を浮かべた

「お前、野球できたんだな。すごいプレーだったぞ」

 その言葉と表情にアークはドキッとしたものの、ちょっと冷静になり不思議そうにカノンを見た。

 将軍は目が見えないというのに、あたかも俺のプレイを見たような物言いをしている。
 だけどアークは、少しして納得したのだろう。
 うん、と頷いた。

 だってアナウンサーが、ことある度にうるさく実況放送しているのだ。
 将軍はそれを聞いてくださったのだろう。そう納得したアークは照れくさそうに頭の後ろをかいて、ちょっぴり笑った。



 アークの役目はこの後、将軍をアジトである谷の砦までエスコートすること。
 だけどその後、自分はどうしたらいいのだ?

 カノンの掲げている、無実の罪で捕えられた弱い人の為に戦うことに賛同はしている。その為に命だってかけていた。

 まぁそれを掲げたのは元魔王なのだが。
 不本意ながらオリジナルのカノンがそれを受け継ぐハメになっているだけの話だが、そのような裏事情を知るアークではない。だからアークは、素直にカノンの生き方にあこがれもしている。命を賭けても応援したいと心から思っている。

 
 だけど今のアークにはもう一人、応援すべき人ができてしまったのだ。
 それが姫菊京香。


 姫菊はたった一人で、殺さずの戦場で戦っている。
 自分が抜ければ、仲間は誰一人いなくなってしまう。

 それでいいのだろうか!?


 確かに仲間っぽいような奴はもう一人いる。
 アスカとか名乗る仮面の女もそうだ。

 だがあの女は、どうも解せない。
 不気味過ぎる。

 妙な経緯で姫菊陣にはいるようだが、実際のところ何を考えているのか分からない。おそらくあの女は敵だ。だって殺さずを全力で反対していたのだ。


 このようなことがあった。
 アスカは姫菊に忠告してきた。
 大衆は野球を殺人ゲームと認識している。殺さずのプレーを望んでいる観客は誰一人いない、と。


 そんなこと、ない!
 俺は殺さずの野球に感動した。

 だから姫菊選手をサポートしたい。


 アークはアジトへの帰路、無言のまま馬車を走らせながらそのような心の葛藤に悩まされていた。


 同時にカノンもまた、無言のまま思い出していた。
 心のカルマを克服した思い出を。

 地味の代名詞――カノン・アースを葬れた奇跡的なあの出来事を。
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