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スタイリッシュ武器屋 作者:弘松 涼
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60 激突! まさかの魔王戦1

 魔王と呼ばれた角を生やした怪物が、指先に炎をともしてこちらを見やる。
 体躯こそそれ程でもないが、圧倒的実力を内に秘めていることは一目瞭然だ。


 全パラメータ:99999999999999999999999


 ニートの俺に勝機などない。


 だが伊藤さんは、これを最悪から二番目の未来と予想した。

 更に下がある。
 現状、それよりかマシらしい。


 そして俺が目指すべき道は、最悪の未来。
 そうしろと伊藤さんは指示している。
 そう俺は解釈した。


 頭の中は真っ白だった。
 そもそも最初から勝ち目などないのだから。


 とにかく考えた。
 どうやれば今より最悪になれるのだ?


 それにしても魔王はいつまで経っても攻撃を仕掛けてこない。
 変身までは、あれほど急いでいたのに。


 だから奴の思考に立って考えてみた。


 カルディアの姿だと、俺の一撃を防ぎきれない。
 だから変身を急いだ。
 そこまでは分かる。

 今は魔王の姿をしている。
 今なら、俺なんて敵ではない。
 とっとと殺せばいいはずだ。
 それなのに指から色々な魔法を放ち、念入りに準備体操をしている。
 今やっている行為は、いったい?


 久しく使っていない体だから……?
 折角変身したんだから、実力を楽しみたいのか?


 そうなのだろうか?
 それにしては、ちと丹念過ぎる。


 力の加減を気にしているのだろうか。
 あまり飛ばすと、マジで焦土と化してしまうから。

 でも奴は魔王だ。
 別に人間界が焦土になろうが、ぶっちゃけ関係ないはずだ。

 魔王は、ここ一帯を焦土にしたくないのか。

 それはいったい、どういう意味で?
 人間界が気に入ったからか?
 だから無関係な者まで殺害したくないと考えているのか?

 いや、そんなハズはない。
 奴は弱者を食い物にして、ゴールドを稼ぎまくっている。

 大魔王自ら、かなり小さな事をしていると思うが、そこは奴の生き方。
 今、とやかく考えても打開策は見いだせないだろう。

 魔王がウォーミングアップしている理由。
 それは目障りな者だけを的確に仕留めたい。


 そう考えると読めて来た。


 魔王は俺、もしくは正体を知った者だけを仕留めたい。
 付け加えると、それ以外は破壊したくない。


 あくまでこれは仮説だ。


 これを確認させるためには……
 奴にあのセリフを言わしめるしかない。


 だから言ってやった。


「おい、魔王、俺と正々堂々とタイマンしろ!」

「どうしちゃったの? クソニート。とうとうおかしくなった?」

「俺は至って正常だ。お前なら出来るんだろ? 異次元空間のような誰も来ない場所に俺達を転送させることくらい」

「そりゃぁ簡単だけど。その方が私にとってもありがたいけど、君、終わっちゃうよ?」


 確かにこの手は、俺の利がすべてなくなる。
 この場で戦えば、建物や多くの人を巻き添えにしながらでも、地の利を活かして、小賢しく長期戦に持ち込めるかもしれない。



 だが俺が提案したのは、誰も来ない異空間でタイマン。
 俺に残された数少ない利を失う。


 だが、俺はほくそ笑む。
 奴は言いやがったのだ。


 ――その方がありがたいと、と。


 やはり思った通りだった。
 頭に来たなら、俺なんて瞬殺すればいい。
 奴にはそれだけの力がある。
 だが魔王はこの場所を破壊したくない。もしくは壊したくない何かが、この場所にある。
 だからこうやって力の加減方法を練習していた。
 目障りな敵のみを抹殺する為に。
 そう考えると、辻褄があう。


 伊藤さんの忠告。
 それは最悪の未来を目指せ、だった。

 つまり魔王の置かれている状況を読み取り、魔王優先に駒を進めさせる――そう見せかけて、したたかに手を打て。そう言っているに違いない。


 魔王は何かを守ろうとしている。
 魔王には致命的な弱点があるってことだ。
 それは何だ!?


 魔王はひとつ笑う。

「さて、じゃぁリクエストに応えて異次元空間にぶちこんじゃうけど」

「待て! その前に準備したい。5秒だけくれないか?」

「いいわよ。でも、たった5秒でどうするの? もしかして逃げる気? 無駄だと思うけどね」


「逃げやしないさ。ただ、こいつを装備する時間が欲しかっただけだ」


 床に落ちていたひのきの棒を拾った。


「そんな小汚い棒っきれを拾ってどうする気なの? 遂にやけっぱちになっちゃった?」


 伊藤さんは静かに口を開いた。

「エリック様の行動で、あなたの未来が少しばかり変わりました――
 それはワースト1の未来です。圧倒的脅威に対し、ひのきの棒の攻撃力はたったの1。通常ならあまりにも無謀。更に小細工なしの一対一の真剣勝負」


「伊藤さん、俺が負ける確率は?」


「22%です」


「その根拠は?」


「相手は三流魔王。いえ、今は五流……、いえ、それ以下です。エリック様が手加減をしてあげたら、エリック様は負けます」


「なにそれ。手加減してあげないといけないのは、こっちの方よ。まぁ手加減なんてしないけどね」と魔王は大笑いをしている。


 魔王との一騎打ち。
 負けとは、すなわち死を意味するだろう。

 俺の死ぬ確率は、2割強。


 言っておくが俺はプロのニート。
 ニートは常に、自室で籠城してきた。
 大抵の奴は、負けて就職する。
 だが俺は過酷な籠城戦で生き残り、ニートとして生きていた。
 油断などしないさ。
 働かずして勝つのは、ニートであるこの俺だ!
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