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スタイリッシュ武器屋 作者:弘松 涼
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33 激突 善悪のタクティクス2

 あたしの目でシュバルツァーさんを視認できたのは、彼が「先手必勝」と口にしたまで。

 飛空魔法を詠唱し、空高く舞い上がったと同時に姿が消えた。 同時に火の弾丸が四方八方から生まれ、ゴンザの脳天を捉える。

 おそらく転移魔法を使って小さなワープを繰り返しながら、火炎魔法を散弾しているのだと思います。
 長い距離の移動は無理だけど、数メートル間なら転移可能とゴンザは言っていた。


 円を描くように、だけど規則性はなく、あちらこちらから炎の弾丸を生み出して、ゴンザを狙い打ちにしている。


 凄まじい詠唱速度。
 移動と攻撃を同時にしている。
 二重詠唱を活かした見事な戦闘方法です。


 迫力に圧倒されるのと同時に、その洗練した動きに思わず見とれてしまいます。
 ――と言っても、火の弾しか見えないけど。

 何十発、いえ、何百発もの炎が、ゴンザを集中砲火していく。

 伊藤さんに教えてもらいましたが、0.2秒以内に同一パーティの者が攻撃した場合、連携ボーナスが入るそうです。
 シュバルツァーさんは、同一ターン内に2回攻撃ができるのです。
 命中した中のいくらかは一人連携が決まっていると思います。

 ゴンザを中心に、激しく爆裂し黒い煙幕が上がる。
 完全に視界を奪われ身動きすらとれないゴンザ。

 シュバルツァーさんはそこで動きを止め、宙に浮遊したまま両手を前に突き出して、火炎魔法を連射していく。

「ウラウラウラウラウアアアア!」


 連続魔法を炸裂させた。
 一人連携がスタートした。
 それは5ターン続く。

 アモン戦では、ダンさんと同様にシュバルツァーさんもレベル76まで上がり、魔力は491になったと言っていました。
 魔力491 + ファイヤーボールの固定ダメージ60 × 2(2重詠唱)

 それが5ターン。
 つまり連携が10回転したのと同じです。
 ゴンザの魔法防御がいくらか分からないので、魔法防御無視で計算すると、

 1回目 1102
 2回目 2,645
 3回目 4,496
 4回目 6,718
 5回目 9,384
 6回目 12,583
 7回目 16,422
 8回目 21,029
 9回目 26,557
 10回目 33,191

 
 破壊力にして33,191。



 ゴンザを瞬殺させた。
 あたしにはそう思えた。
 あたしだけではない。
 恐らくダンさんも、シュバルツァーさんの勝ちを確信していると思う。

 だってダンさんの口角が自信あり気に、やや上がっているのですから。

 
 かなり飛ばしたのだと思います。
 シュバルツァーさんは「ふぅ」と肩で息をしている。
 だけどまばたきひとつせず、じっと一点を睨みつけている。


 その視線の先にはゴンザを包む黒い煙幕がある。
 あたしは煙幕が消えるのを待った。



 だけどその中心から、大きな炎が噴き上がった。
 それは一直線にシュバルツァーさんに向かっている。


「シュバルツァーさん! よけて!」

 あまりの速度にシュバルツァーさんは身動き一つとれない。
 激しい炎が彼を包む。
 そのまま背中から地面に叩きつけられた。

「うぐぅ」


「シュバルツァーさん!!」「シュバルツァー!!」



 煙幕は消え、ゴンザが姿を現した。

 あたしは目を疑った。

 そこにいたのは、あたしの知っているゴンザではない。
 全身を紫の鱗が覆い、背中には黒い翼があり、目は青白く、口は裂け、まるで悪魔のような形相です。


 ゴンザは額に一筋の青い血を流している程度。
 魔法防御ゼロの状態で3万以上の破壊力をまともに浴びたというのに、その程度のダメージしか受けていないのです。


「ククク。
 これが生まれ変わった新しいゴンザ様だ!
 てめぇの攻撃などゴンザ様の前では、蚊の一撃以下!
 それもだ!
 魔法防御を敢えてゼロまで落としてやったのに、ほとんど効いてねぇぞ!
 てめぇの実力なんざ所詮その程度だ!」



 もしかしてゴンザのHPは3万以上!?

 いえ、3万どころではありません。
 3万の攻撃力で、かすり傷程度なのですから。
 HP、30万……300万……もしかして3000万以上!?


 それは人間のHPの限界を、あまりにも凌駕し過ぎている。



 シュバルツァーさんは重たくなっただろう体を何とか奮い立たせた。
 法衣は黒く焦げ、片腕をだらりと垂らしている。


 ゴンザは大笑いをしながら毒づく。

「見たか!? 俺様の強さを。いや、見えなかったか。すまん、すまん。もっと手加減してやれば良かったかな。でもよ、そろそろ見えてきただろう。お前の死期が」

「俺の死期?
 バカ言っちゃぁいけねえぜ。
 お前の戦闘能力は大体分析できた。
 もう2、3個調べさせてもらったら、フィニッシュという段取りだ。
 予告してやる。
 あと45秒後、お前は真っ赤な顔になって逃走するだろう」


 シュバルツァーさんはゴンザに指を向け、堂々とそう言い放ちました。
 ゴンザは笑うのをやめる。


「は?
 恐怖で頭がおかしくなったのか?」


「俺は至って冷静だが。
 頭がいかれちまうのは、お前の方さ。
 混乱、それはあと43秒後、お前が体験する決定事項」


「混乱魔法で俺を倒そうってか?
 なんて浅はかで愚かな考えなんだ。
 まさしくクズが考えそうな、低能な戦法だ。
 俺は賢い。
 混乱に対する耐性は、もともと高い。
 それにもう魔法防御全開にしている。
 てめぇの薄らトロい魔法なんざまったく通用しねぇんだよ!」


「ふ、混乱魔法などMPの無駄だ。
 てめぇのような雑魚に使うまでもない。
 これから素でてめぇは狂うと言っている。
 可哀そうなお前に、ひとつ良い事を教えてやる。
 狙った標的を確実に落とすのがプロのストーカー。
 この場で俺から逃げたが最後。お前は死ぬまで俺の影に怯え続けなければならない。
 おっと、無駄話をしているうちに、てめぇの悩乱までのタイムが13秒も伸びちまったじゃねぇか。
 せこい野郎だ」



 シュバルツァーさんは一体何を言っているの!?

 悔しいけど、ゴンザは紛れもなく最強です。
 凄まじいステータスにまで急成長を遂げているのです。一体いくらあるのか見当すらつきません。
 それに引き替えシュバルツァーさんは、ゴンザの火炎魔法をまともに受け満身創痍の状態なのです。
 ゴンザにとっては手加減して放った軽い一発なのに。



 それなのにシュバルツァーさんは断言しました。
 ゴンザは狂って逃走する。そしてストーカーの信念に基づいて確実に仕留める、と。
 次回、シュバルツァーとゴンザは正面衝突します。
 圧倒的な力量差にシュバルツァーが取った行動とは?

 その時、シュバルツァーの熱い漢気にノエルは涙します。
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