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スタイリッシュ武器屋 作者:弘松 涼
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133 王の懺悔4

 この動物園にはびっちが捕獲されている。
 びっちを目当てに、たくさんの来場者がここへ訪れている。

 剣を腰に帯びた冒険者パーティの姿もあった。4人くらいの冒険者のようで、子どもの目にも彼らの姿は、カッコよく見えた。
 おそらくレベル20くらいのベテランパーティだと思う。ちなみに、王の間へもっぱら現状報告に来るのがそれくらいのレベルの者たちだ。彼らの話を書物にまとめるのも王の大切な仕事である。大抵は側近にまかせるのだが。


 話は逸れてしまったが、その冒険者パーティの会話の中にもビッチの名前がしきりにでてきた。

「俺がびっちを倒すはずだったのに」
「あはは、ゲイン、お前には無理だ」
「うっせぇな!」


 そんな会話が続いていた。


 びっちは隣の借家に住んでいる、いつもみだらな格好をしたお姉さん。そうとばかり思っていた私は、その会話に奇妙な違和感を覚えた。



 ウィハさんは私に「アル君もビッチが見たい?」と、問うてきた。



 とんでもない!
 誰がそんなやつを見たいものか。


 されど自然と、たくさんの行列が集まる先へと視線はいった。

 他の檻より、何重にも厳重な檻がある。
 その中から、「あーん、あーん」と聞こえてくるのだ。


 それは、どうも女の子の声のようだ。


 観客たちは「びっち、びっち」と興奮している。

 見たくなどなかったが、私は自然と鳴き声のする方へ向いていた。

 

 そこにはいたのだ。

  
 こ、こいつがびっちなのか……

 
 私は言葉を失った。

 
 檻の中に、幼気な少女がいるのだ。
 緑色の髪をした、年齢にして14、5歳くらいの女の子が、ボロボロな布の服を着せられており、手と足には枷まである。

 
 彼女はしゃがみこんだまま泣いている。

 
「あーん、あーん」

 
 檻の外から、「あれがビッチか。思ったより弱そうだな」と言って少女をなじっている。

  
 当たり前だ。
 びっちは、隣に住んでいるエッチなお姉さんの総称だ。
 強いわけがない。

 
 されど大衆は、びっちに石を投げていた。

 びっちは泣いている。

「あーん、あーん」

 
「おい、お前も石を投げるか?」

 
 そう声をかけてきたのは、先ほど見かけたあの立派な装備をした剣士様だった。
 強そうでカッコいいのに、女の子に石を投げている。

  
 そして私にも石を投げるように勧めてきている。
 私の心は張り裂けるように痛かった。


 びっちは「あーん、あーん」と泣いているのだ。
 それなのに大人たちは石を投げている。



 泣いている女の子に石を投げるなんて……


 勇気を奮い、私は叫んだ。
「や、やめてあげて! 可哀そうじゃないか! あんなに泣いているのに、酷いよ」

「馬鹿か! ビッチは泣くのが仕事なんだ! お前、もしかしてビッチをかばう気か!?」

 大衆の視線が一斉に、私の方を向いた。
 皆の手には石がある。
「あいつ、ビッチをかばっているぞ……」と鋭い視線で、私をにらんでいる。


 慌ててウィハさんが私の手に、石を握らせた。
「……ほら、アル君。投げなさい……」

 まるで魔女審判のようだ。
 罪もない人を魔女とでっちあげて、なぶり殺しにしているようにしか見えなかった。
 だから、この時ばかりは私はウィハさんの言うことが聞けなかった。

 だけど次の瞬間、「あいつ、ビッチをかばっているぞ。人類の敵だ!」

 そう言って私に向かって、石を投げてきたのだ。
 すごい数の石だ。
 ウィハさんが私をかばうように立ちはだかった。
 何発もあたり額から血が出ている。
 私はウィハさんの手を握って、走った。

 石は次々と飛んでくる。

 みんな間違っている。
 弱い者を檻の中に閉じ込めて、見世物にして、それを間違っていると口にしたら、石まで投げてくるなんて……


 動物園から逃げ出すように走り去った
 ウィハさんは「大丈夫だから」と笑ってくれた。

 その夜、私は誓った。
 必ず、檻の中で泣いている少女を救い出してみせると。
スタイリッシュ武器屋2巻、ついに出ました!(^◇^)
何卒よろしくお願いいたします。<m(__)m>
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