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スタイリッシュ武器屋 作者:弘松 涼
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121 ゆとり教育と野球2

 ゆとり教育は、なんてすばらしいのだ!
 王を始め、大臣たちはそう思った。


 ここはアイゼンハード城。
 国家戦略プログラムを打ち立てる広い会議室。
 床には赤いじゅうたんが敷かれている。そして部屋の大部分を占めるのは見事な装飾が施された大きな円卓。その中央には銀の燭台があり、ろうそくが灯されている。

 円卓の上には、王が作成した全62巻もある、ゆとり教育徹底マニュアルが開かれている。

 大臣たちはそれを目にして驚きを隠せない表情をしている。

「すごいですな。ゆとり教育とは。すべての競争原理を撤廃するのですね」

「そうだ! ゆとりという考え方によると、テストや運動会で優劣をつけてはならんだ! 徒競走はみんな手をつないでゴールをする。そうすることにより、誰も悲しい思いをしなくて済む。壁に張り出されたテストの点数をみて泣く子はいなくなる」

「すばらしい! 確かにそうです。争いの心をなくせば、この世界から戦争はなくなりますね。ゆとり教育とはまさしく平和の哲学なのですね!」

「それだけはないぞ。わしは、義務教育の学習時間を2割カットする!」

「な、な、なんと。さすがに王よ……。それはいささか大胆といいますか……」

「いやいや、異世界チキューはもっとすごいぞ。なんと授業時間を3割もカットしたのだ。そして週休二日制にして、さらには円周率は3.14ではなく、3と教えておるのだ!」

「なんと!?」

「更に台形の面積の求め方なんて教えなくてもいいのだ。歴史も300年以上前はやらなくても良いことにする」

「そのようなことをすれば、我が国の建築レベルは大幅にダウンしそうですが、よろしいのでしょうか?」

「まぁ、職人もたくさんいることだし、そういう難しいことは大人になってから勉強すればいいだろう。それにハロワで働く者は台数の面積の求め方も三角関数もいらんだろ?」

「確かに職業安定所で必要な知識は、労働基準法をしっかりと熟知し様々な業務内容を伝える力が必要ですし。なるほど、なるほど! もしかして空いた時間は企業訪問といった社会勉強にあてるのですな?」

「最初はわしもそうするべきと思っていたのだが、チキューは更に上を行っていたのだ。わしはそれに従おうと思っている」

「どうするのです?」

「放置よ」

「ええええ! いいのですか?」

「自由にさせたら、有り余った時間を有効に活用しようと頑張るではないか。自らの行動で新しい事を生み出す大切さを学べる。学問は与えるだけではダメなのだ。上から一方的に押し付けていては意味がない。本人が自ら積極的に学ばなければ駄目なのだ!」

「なるほど。確かに!」

「そうだ。豊かな学びと、平和で穏やかな社会。これこそ、ゆとり教育の神髄と思っておる」

「すばらしい! なんてすばらしいんだ! ゆとり教育は本当にすばらしいです!」


 王を取り囲むように大臣たちはみんな立ち上がり、手を叩いて感嘆している。


 ゆとりプロジェクトの参謀として招かれた転生者、北村よしおは鼻くそをほじりながらすぐ傍で聞いていた。


 王の熱弁を聞きながら、北村よしおは思った。
 ――えーと、僕たちは有り余った時間、おうちでテレビゲームばかりしていたけど……。ま、いっか。
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