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スタイリッシュ武器屋 作者:弘松 涼
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111/145

110 そして10年後

 あれから10年の歳月が流れた……

 暗黒鬼神ヴェルザークは二人の勇者を倒し、目的を達した。
 勇者の亡骸には土がかけられ、二本のひのきの棒がまるで墓標のように立っていたという。

 人と魔物は手を結ぶことなく、あの時以上にいがみ合っている。
 3年C組のみんなは大人となり、それぞれの人生を謳歌していると聞く。

 アキはアイドルになれたらしい。
 小さな劇団ではあるが、それなりに人気を手にしつつある。
 ひろしは政治家の秘書になり、世の中を正しい方向へ導くために紛争している。

 だけどあの日以降、あのなつみはパッタリと姿を消した。



 ヴェルザークは二人の勇者を手にかけ、幼きカノンに恐ろしい宿命を背負わせた。

 あの惨劇は、今では遠い昔話となっている……
 あの日の真相を知る者は、もはやどこにもいない。
 あの日、あの場所に居た者以外は……

 そして再びヴェルザークの姿を見た者もいない。
 魔界の英雄であり、人間界を恐怖のどん底へ叩き落したという伝説だけを残して……



 ここは10年後のアイゼンハード。
 殺人野球が世界の秩序を保っている。
 そのような狂った世界に再び正義と秩序をもたらす為、姫菊京香という名の野球戦士が立ち上がった。


 丁度その頃。
 ふとしたショックで、オリジナルのカノンは目を覚ますことができた。
 体内に恐ろしいカルマを植え付けられ、悪辣非道な日々を過ごしてきた。
 記憶の片隅で自分のやってきたことを目にしてきた。

 
 もはや両親に顔向けできない。
 己の心を悪と偽り、その顔を仮面で隠し、影ながら姫菊を応援した。

 
 そして己のすべてを奪ったヴェルザークに、復讐を誓っている。
 ――いつかあの悪魔を倒し、己の体を取り戻してやる。

 
 あの日、何があったのか。
 それは誰にも分からない。

 どうしてあれ程まで仁義を尽くそうとしたヴェルザークが、結局、なつみを第9のカルマへと変え、二人の勇者を手にかけ、そしてカノンに地獄を見せたのか、誰にも分からない。

 

 

 9つのカルマを背負った悪の仮面をつけた悲劇の勇者――カノン

 仁義を尽くしてきたが、苦悩の末、決断をした暗黒界の鬼――ヴェルザーク

 不幸な人生を歩みながらも皆の幸福を考えていた地味な少女――なつみ

 球界を変えるために真っ直ぐな心でぶつかる可憐な少女――姫菊

 ヴェルザークに心酔し、彼の為に命すら捨てた氷の女――ハディス

 ゴンザの遠い親戚にして悪と正義を超越した新たなるタクティクスを持つと言われる野球用品店のオーナーにして球界の裏のドン――ゴンザーク

 

 もはや彼らには戦いしか残されていない。
 憎悪という名の復讐の刃に身を任せ、己の信念を貫くしか。
 それは悲劇なのか、喜劇なのか。
 それはあの伊藤ですら、その未来を予測することは不可能だろう。

 
 時代の波を激しく交錯する業深き者達を、伊藤はそのシャープな眼鏡越しに静かに見守っている。

 
 ただ分かるのは、いかなるしがらみもをひのきの棒をもってすれば断ち切れる。
 ただそれだけ。
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