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二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む 作者:木塚ネロ

第二章

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第14話 勇者、赤い小鬼と。

吐き出した時とは違い、飲み込む時は静かに、食虫植物のような感じで【魔畜の卵剣】の刀身がスラ吉を包み込む。
二つに断ち切ったバルカスの頭を食べさせ、役目を終えたスラ吉を【魔畜の卵剣】に仕舞って、その心剣の構成を解いた。

 事が起きたのはその時のことだ。 

「ミナリス!!」

「!?」

 突如、空を切って飛来してきた物体の数は11。

(間に合うかっ!?)

完全に気を抜いていたせいで対応が後手に回る。
急速に戦闘へと意識を移行し、思考反応速度をトップギアまで引き上げた視界は飛来した物体が投げることに特化した形状の簡素な槍だとはっきりと捉える。

穂先にまとわりついている紫の液体は毒薬か。俺に向かって4つ、ミナリスに向かって7つの槍が飛んでいる。ミナリスが必死に対応しようとしているのも把握できるが、いつも使っている取り回しのしやすい剣ではなくドットの頭を押しつぶしたあの鈍器では正面の1つ、2つ対応するのが限界だろう。

周囲の敵性の存在、気配からしてゴブリン系の魔物の数は16だ。槍の飛来に合わせ、槍を投げなかったらしい個体5匹が槍に追従する形でこちらに向かって素早く迫ってきている。

だが、それだけのことを一瞬で把握し切ることができても、判断できることと対応できることには大きな隔たりがある。思考反応速度は一度目の世界の最盛期のままだが、その意識が操る俺の身体は最盛期と程遠いスペックなのだ。

だから、俺はすぐに『無理をしない』という選択肢を消した。
この数なら、戦闘を継続する時間を意識する必要はない。構成に一切の無駄なく一瞬で右手に【始まりの心剣】を、左手に【復讐の聖剣】を作り出す。それと同時に魔力を足と腕に限界まで集め、肉体を保持するために無意識にかかる体のリミッターを無理やり取り払い、周りの状況をより正確に把握するために周囲に薄く魔力を広げる。
 軋む筋肉を無視して、一瞬だけ現在の肉体に出せる最高の速度で地面を蹴る。

その全ての行動にかかっている時間は1秒にも満たない。

その判断も行動も普通ならありえない早さであり、それができるからこその称号・技巧を極めし者の保持者、世界最高の技巧SSSの保持者なのだ。

(正面の二本はミナリス自身に任せればいい。俺が処理するべきは残りの9本か)

 魔力の集中による部分強化と足の裏で魔力を噴出させる『飛脚』が、技巧で引き出した敏捷以上に体を加速させている。
俺に向かって飛んでくる4つの槍は無視する。狙いが正確で普通なら避けられないように飛んできているからこそ、その場から移動することで全ての槍をやり過ごすことができる。

(これでまず4つ)

コンマ数秒以下の時間、それも体が壊れきらないギリギリの力を要所要所でコントロールする。

ギシギシと骨の軋む右腕を限界まで加速させ、ミナリスの右手から右後方に向けて向けて飛ぶ三つ投げ槍のうち、一番手前の一つを左手の【復讐の聖剣】で斬り払う。その後に、右手の【始まりの心剣】で一つ奥の投げ槍の穂先を突くようにして軌道を逸らして弾く。

(これで3つ)

弾いた槍がもう一方の槍へと玉突きの要領で軌道を変えたのを見て、体全体をバネのように動かして速度を殺していく。
するとちょうど茂みから迫ってきていた5体の魔物が飛び出してきた。

(あれはレッドキャップか、ちょうどいい)

 レッドキャップはゴブリン種のなかでも通常のゴブリンよりも一回り小さく、赤い帽子のような頭部を持つその魔物は集団戦を得意とするずる賢い魔物だ。
特徴であるその頭部は、倒した獲物の死体を持ち帰り、その血を自ら塗りたくって染めているものらしい。
反復横跳びのように片足で体の向きを変え、ミナリスの右手後方側に飛び出してきた2匹のレッドキャップに向けて殺しかけた速度にもう一度火を入れる。

「ガ――」

「ギ――」

 魔物の目の前で両手の心剣の柄を宙に置き去るように手を離し、飛び出してきたレッドキャップの帽子のように見える赤い頭を掴む。
そのまま『天躯』で人一人分ぐらいの高さに駆け上がり、宙で体を反転させながら体を捻ったその勢いに乗せてミナリスの左手から襲う槍に向かってぶん投げる。

 放り投げたレッドキャップに飛んできた槍が突き刺さり、そして、その飛来する槍に合わせてミナリスの左手後方から俺たちを襲おうとしていた2匹のレッドキャップが困惑して足を止めた。

これで敵の戦力は未だ潜んでいる11匹のレッドキャップと、俺がいた場所の方、ミナリスの後方から飛び出してきた1匹と投槍に突き刺さって絶命した仲間の死体に困惑している2匹。

宙に置き去りにしたままの【始まりの心剣】と【復讐の聖剣】の二振りをつかみ、背後から迫って来る1匹のレッドキャップへと再び駆け出す。

(っ、こんだけ抑えてるのにギリギリかよ!!)

これ以上は危険というラインを綱渡りのように進み続ける体が、悲鳴を上げている。ほんの5秒しか使っていないのにこれである。

もう少しMPが残っていれば、こうではなく本当の意味での奥の手を使えたのだが、バルカスたち相手にするのに、結構消費してしまったのだから仕方がない。
明日は確実に筋肉痛確定だな、これは。

今扱えるギリギリで調整しているため体は動くが、必要なピースも欠いたまま騙しだましで奥の手と似たようなことをしているため、負担のかかった体の端々に鈍い痛みが走る。
せっかく思ってもみなかった復讐を遂げられてご機嫌だったというのに最後に嫌なケチが付いてしまった。

その苛立ちをぶつけるようにレッドキャップの体を×の字に切り裂いて4分割にしてやった。

「ご主人様っ!!」

「ミナリスはそこの二匹を相手にしてろっ、俺は隠れてる奴らを片付けてくる!!」

 レッドキャップ程度、不意打ちを避けて正面から戦えばミナリスがやられることはまずないので返事は聞かずに森の中へと飛び込む。

俺たちがいた場所から5メートル程度離れた場所にいたレッドキャップたちは、まだ状況に対応できていないようで気配の位置は動いていない。

右手に持つ【復讐の聖剣】の構成を解き、空いた手で俺から見て右前方の2体に向け、丸袋から取り出した投げナイフを投げつける。
木々が邪魔して急所は狙えないが問題はない。ミナリス特製の毒がたっぷりと塗られた投げナイフはそれぞれのレッドキャップに一本ずつ、一体は腕、もう一体は足に深々と突き刺さる。

「ギャルラアア!?」

「ギュラルゥウ!?」

 即効性の毒に侵されたレッドキャップの呻き声が聞こえる。オークには劣るが、ゴブリンとは比べ物にならない強さを持つレッドキャップだ。流石に即死とはいかないが、放っておいてもミナリスの毒で10分とかかからず死ぬだろう。
そして正面にいる一体へ向け、【始まりの心剣】を心臓めがけて投げつける。
それとほぼ同時に小回りの利く【火蜘蛛の脚剣】を右手に、【翠緑の晶剣】を左手に構成する。

背後で【始まりの心剣】に心臓を貫かれたレッドキャップの断末魔を聞きながら【始まりの心剣】が自分の中に戻るのを感じた。

元いた場所から反時計回りに木々の合間を縫うように森を駆け抜け、一片の抵抗も許さずにレッドキャップを撫で斬りにしていく。
喉を刈り取り、うなじの肉を削ぎ落とし、眼球から脳を抉り、頭を掴んで近くの木に叩きつけて潰す。
ズル賢く茂みに隠れてやり過ごそうとしていたレッドキャップを殺し、【翠緑の晶剣】を【始まりの心剣】と取り換えて、味方を盾にして背を向けて逃げようとしていた二匹を纏めて串刺しにする。

「お前で最後か」

「ギャルアアアァアッ!!」

「うるさい」

神風アタックとばかりに特攻してきた最後の一匹を両断し、レッドキャップたちの奇襲から始まった一連の戦闘は幕を閉じたのだった。


            ☆


「いてて、やり過ぎたぁー。あー、疲れた、だるい、眠い、帰りたい、ベッドが恋しい、ゴロゴロしたい」

現在の俺は体から直接上ってくる欲求が口から愚痴としてダダ漏れになっていた。
 バルカス達のことがあり気分はいまだ上々だったが、肉体的には無理の反動でお疲れモード全開であり、調子に乗って魔力の使い過ぎたからMP酔いで理性が薄れている。ポーションは飲んだが、MP酔いが抜けるのはもうちょっと先だろう。

「よく考えたら槍を叩き落とした後まで本気を出す必要なんてなかったじゃんよ、なぜ気が付かない、俺よ」

 明日の筋肉痛確定な上、急激な負荷のかかった関節や骨などがギシギシと痛む。あの短時間で戦闘しただけでこれか、と思うとため息も出る。
全力ではあっても本気ではなかったのに。

「つつっ、町に帰ったら薬屋によって筋肉痛用の軟膏買ってくるか? いや、もういっそのことMPが回復したら【翠緑の心剣】で回復しよ。……やっぱりMP対策は必須だなぁ、とっとと『瞑想』のスキルレベル上げないと。って、あ」

(やばいな、また独り言出てるよ。気を付けないとなぁ)

 つい先日ミナリスに指摘されたばかりだというのに、と思いながら頭をガシガシとかく。

(取りあえずレッドキャップから討伐部位の剥ぎ取りを……、あぁ、だるい、全部回収するの面倒だなぁ。16匹も持って行ったら悪目立ちしそうだし)

 レッドキャップは単体ではそこまで強い魔物ではない。だが今回のように16匹もの群れとなると駆け出し冒険者としての範囲を完全に超えてしまってる。

2,3匹ぐらいなら難易度も一気に下がるので、精々冒険者になる前から訓練などで力をつけていた優秀な新人程度の評価に落ち着く、はずである。

(やっぱり、討伐部位はたくさん要らない。二つ三つで十分だ。そう、これは目立たないために必要なことなんだ、うん。ギルドでもらえる討伐報酬がもったいないとかそういうことを言っている場合ではないのだ。決して面倒だからとかじゃないんだぞ、ミナリスよ)

 最近やたらと主婦度の高いミナリスさんへの完璧な言い訳を自分に言い聞かせる。討伐部位を時間を空けて後で提出すればいい? いや、俺はそんなことには気が付かなかったから仕方がないですな、うん。

 そんなこんなで取りあえず近くにあった二匹分の討伐部位を剥ぎ取ってミナリスの下に戻る。

「んん?」

「…………」

 そして、戻った広場では何か奇妙な光景が広がっていた。

「おーい、ミナリスさんや~い。……何してんの?」

 俺がバラした1体と槍に突っ込ませた2体、それからミナリスが相手にしただろう細切れになった2体の計5体のレッドキャップの死体に囲まれて、……なぜか、ミナリスが開けたその場の中央で妙に縮こまりながら正座していた。

いつもはフリフリと揺れているウサミミが、ペタンと萎れて倒れている。なにか、背後にしゅんっ、とかしょんぼりとかそんな言葉の塊が浮かんでるように見えた。

「い、いえ……、索敵は私の役目だというのに、あの屑共を殺すのが楽しすぎて我を忘れて周囲の警戒を怠ってしまったので……、自主的な反省の姿勢をと……」

「ああ、そういうことか。面倒だから今じゃなく帰ってから反省してください。俺は今とにかく宿に戻って寝たい」

「お、お叱りにならないのですか?」

「なんで? 俺だってギリギリまで気が付かなかったし叱ることじゃないだろ、俺もお前も要反省で話は終わりだ」

「私のこと、捨てたりしませんか? このままご主人様の奴隷でいて、共犯者でいさせてもらえますか?」

「は? なんでそうなる? この程度、失敗っていうほど物でも、そもそもお前のせいでも何でもないだろうよ。それに、これぐらいでどうこうするぐらいなら初めから共犯者になんて選ばないし、【復讐の聖剣】の効果もあるんだから離れようもないっつの」

 というか、本当にだるいので叱って欲しそうにしてるけどそういうのは気がつかなかったことにして全部後回しにする。

「どうも抜けきってないMP酔いが変な方向にハマっちまってるみたいだな、ほれ、ついでにもう一本飲んどけ」

「はぐっ、んくっ、ん、ぷはっ」

 MPポーションをミナリスに突っ込んでやる。ちょっといきなりすぎたからか、口元から溢れた青い液体が垂れる。落ち込んでいたせいか目も潤んで妙にエロい。
 いつもならドキッとしそうな場面だったが、今はMP酔いで疲労感に抗う気力が湧かない。
本当に布団かぶって寝たい。さすがにここらで寝るわけにいかないし、もういいや、ミナリスのフォローとか後回しでとりあえず強引に帰ろう。そうしよう。

「いいから起立、帰るぞ」

「あ、はい……っ」

 そう言ってミナリスを連れて歩き出す。

「予定とはちょっと違うが、ギルドにはあの貴族の坊ちゃんは戦闘ではぐれたってことで報告するからな」

 当初の予定では幻術を掛けるなりして眠らせた後、周囲に魔物避けの毒を撒いて合流するつもりだったが、どうせ今頃ほとんど腐って液状化した死体になっているはずだ。ゆっくりと魔力を喰らって活性化、増殖する分解毒はよく効いているだろう。

「そうですね……」

「おいおい、沈んだ声出すなよ。明日からはもっと動くぞ、いろんなことしなくちゃいけないからな。ほれ、シャキッとしろ!!」

「あっ、はわっ、はいぃ~いっ!」

 わしゃわしゃと頭を撫でてこれで終わり、頭を切り替えろと示してやる。

「この程度のミスで落ち込んでる暇なんてねぇぞ。アイツラは所詮前座、折角メインディッシュに届くところまで来たんだ。やっと1人目を殺せるんだ」

 俺自身、体が疲れているせいか、MP酔いが抜けきっていないせいか、思ったことの感情の制御が上手くいかない。
ずっと抑えてきた笑顔が零れ落ちる。

「あぁ、体は疲れたまんまだってのにな、想像するだけでゾクゾクする。アイツラ殺せばちょっとは満足できるかと思ったんだけど、やっぱり駄目だ、あの程度じゃ全然足りない」

「…………」

 自然と目が細まり、口の端が吊り上がっていく。

「この町についてからずっとテンション上がりっぱなしなんだよ。落ち込んでも反省してもいいが、切り替えは早くな。変なこと考えて乗り遅れたらもったいないぞ? この町にいる間は、ユーミスに復讐することだけで頭を一杯にしておけ。反省なんてのは全部終わってからでいんだからな」


        ☆


「……と、いうわけです」

 エルミアに戻った俺たちはギルドの受付でレッドキャップについて話していた。貴族の少年が用を足しに離れたところでレッドキャップの奇襲を受けた。
少年の悲鳴に驚き、警戒していたおかげで襲ってきたレッドキャップ2体は何とか討伐したが、その場にいては危険だと思い戻ってきたと告げたのだ。

「少年のほうは、こちらの戦闘が終わる少し前に遠くから悲鳴が聞こえてきたのでおそらくは……」

「そうですか……、いえ、少年は不幸でしたが、お二人とも正しい判断をされたと思います。レッドキャップは集団戦闘や奇襲に特化した魔物ですから、下手に少年を助けに向かえば被害が増える結果になっていたかもしれません」

もちろん、バルカスたちのことは何も告げない。
ちなみに受付を担当しているのは今朝と違って、空いていたマッチョマンタイプの受付男子だ。

「それにしても、本当にレッドキャップがあの森の浅い場所に……?」

「はい、これが討伐の証明部位です」

 そう言って受付のカウンターにレッドキャップの討伐部位を2つと、いくつかのゴブリンの討伐部位を机の上に置いた。
受付の男性はそれを丁寧に拾い上げると真剣な表情で確認する。

「確かに、これはレッドキャップの頭部の先端部分ですね。レッドキャップは山裾のあたりに生息しているはずなのですが、たまにはぐれた4、5匹のレッドキャップが森の浅い場所で出ることがあるのです」

「そうなんですか」

(ん~? 少数っていう数じゃなかったけどなあれは)

 本当は16匹もレッドキャップが出てきたので、はぐれた魔物たちが迷い出て、という感じではなかった気がするのだが。

一体どういうことなのだろうか。

(そういえば、あのアンデッドの大群の襲撃の前に、魔物の襲撃があったって聞いたような気がするな。もしかしてその予兆か?)

 俺が一度目の世界でこの街に来たとき、この街を襲うアンデッドの大群からこの街を救った。
原因は俺たちが今日いた森の奥、はぐれ魔族に洗脳され、領兵に殲滅させられた村人たちの負の魔力が、人知れず魔物の死体などに取り付き、他の殺して数を増やして襲ってきたということだった。

その村には世界に裏切られたあと、隠れ家の代わりに身を潜めたことがあったが、村の跡地はひどいものだった。荒れ切ったその地には負の情念に染まった魔力の痕跡が残っており、ガレキとかした村の跡地には小さな紫と黄色の花びらを持った花が咲いているだけだった。

(あの時はユーミスが『死霊魔法』の初歩を覚えてたおかげでアンデッドの知識があったのと、俺とクソ王女とカス騎士団長に、ユーミス自身、Aランクの冒険者パーティがいたから無双できたわけだけど……今回はどうなるのかね?)

 とはいえ、そのアンデッドの大襲撃が起きるのは今からおよそ2ヶ月程先のこと。

それよりも先に、森からゴブリンやレッドキャップ、ボア系の魔物が溢れ出て戦いになったことがあるらしい。
それはこの街にいたAランクの冒険者パーティが運良くその場にいたことと、エルミアの領兵達が撃退したと聞いている。たしか、時期的にはそれが10日ぐらい先のはずだ。
そのおかげで、森の奥まで調査が入り、何とかギリギリでアンデッドの大襲撃に備えることができたのだが……。

 レッドキャップが普段いないはずの森の浅い場所に出てきたのはその魔物たちが溢れ出る前兆なのかもしれない。

 そんなことを考えている間に、受付の男性は一通り確認を終え、討伐部位を置いて、とりあえず、とお金を取り出す。

「レッドキャップは討伐依頼は出されていないので、通常の討伐価格のみになります。ゴブリンの討伐依頼と合わせて、報酬はこちらになります」

 チャリチャリと置かれた何枚かの貨幣を受け取ってしまい込んだ。

「2匹だけとはいえ、レッドキャップを相手にほとんど無傷で帰って来れるなら、十分E級クラスの戦闘能力はあるでしょう。もう少し依頼を受けて実績を積めばランクも昇格するでしょうから頑張ってください」

「ええ、分かりました」

「それと、これは個人としての忠告です。バルカスたちはパーティランクはDですが、素行はあまりいい物ではありません。あまり関わり合いにならない方がいいでしょう。あなた方の賭けはこちらでも内容を把握していますが、こうなってしまってはそれも成立しないでしょうから帰ることをおすすめします。バルカスの方にはこちらから事情を説明しておきます」

「それはありがたいです。よろしくお願いします」

 いかつい声で丁寧に対応するベテランの受付マッチョメンに軽く会釈し、俺とミナリスはギルドを後にした。

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