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異世界に召喚された彼らが手に入れたものシリーズ

場違いに召喚された俺は姫様を奴隷にしました。

80パーセントの勢いと20パーセントの「ざまぁ」。あと10パーセントの巨乳と0.01パーセントの英雄譚でお送りします
「それではこちらの腕輪を着けてくださいませ」

 そう言って、俺を召喚したお姫様は豪華な装飾がされた「腕輪」を、これまた無駄に凝った意匠がされた盆に載せて差し出した。とはいっても、お盆自体を持っているのは側にいる騎士風の格好をしたおっさんだ。

「こいつを腕につければ、「勇者の力」ってのが解放されるのか?」
「その通り。これは「英傑の腕輪」と呼ばれる宝具であり、召喚された勇者はこれを装着することによって真に勇者としての資格を得るのです」
「「英傑の腕輪」……ねぇ」

 幾つもの宝石が散りばめられた黄金の腕輪が光を反射して輝いている。それを目に、俺は眉間に皺を寄せる。

 ──察しの良い方ならお気づきだと思うだろうが。

 どうにも俺は魔法万歳な「異世界」に勇者として召喚されたらしい。

 ここから「カイソウ」入ります。ワカメじゃねぇぞ? 「回想」だ。 


 それなんてラノベ? と聞きたいのはむしろ俺である。

 高校生が本領を発揮する放課後、何の予定の無かった俺は早々に帰宅し、居間で緑茶を啜りながら買ってきた雑誌を読んでいた時だ。突然光に包まれたと思ったら、気が付いたら見慣れない光景が目の前に広がっていた。さらに視線を動かすと、どうやら俺と同じ状況に放り込まれた数人の男女が呆然とした風にキョロキョロと辺りを見回していた。

 そして、だ。

「異世界より来訪した勇者達よ。どうか我が国をお救いください」

 お姫様ーーという言葉がこれほど似合う女性は居ないと有無言わさずに思わせる可憐な美少女が跪き、俺たちに向けて懇願するように言ったのだ。

 テンプレといえばテンプレなんだが──まさか自分がそんな状況に放り込まれるとは思いもしなかった。

 そこからは事情説明のターン。細かい話は省くと、大体予想通り。人間を中心に形成されたこの国家に、魔族を中心とした国家が攻めて来ている現状だ。そして俺たちは魔族国家の頂点である「魔王」に対する対抗策として魔法によって「召喚」されたのだ。そして当然ながら、お姫様風美少女は正真正銘この国のお姫様。もちろんそのお父様である国王が俺たちの「召喚」を主導した張本人である。

 俺としてはぶっちゃけ御免被りたい、と高らかに宣言したかった。自他共に認める「オタク」である俺は様々な二次元分野に触れてきており、人の「想像」の産物ではあるが様々な「物語」を読み込んで来た。その結果と現状を比較すれば、お姫様や国王が俺たちが望んでいるのは「魔王討伐」は実に波乱万丈に満ち満ちた道程になるのは予想に難くない。そりゃそうだ。魔王討伐がこの国の人間に手が追えないから「勇者召喚」という拉致同然の手段を行使したのだから。

 ところがどっこい、そこらへんの結論を出すまでは実に10分足らずで終わったのだが、そうすんなりは行かない。

 先に述べたが、俺の他にも召喚された人間は複数人いた。姫様の無茶難題をどう取り繕って逃れようと思案を巡らせようとした、そのうちの一人が高らかに。

「分かりました! 僕達が魔王を倒し、世界を救ってみせます!」

 うぉおい! とそいつをぶん殴らなかった俺の理性を褒めて欲しい。運が良いのかのか悪いのか(多分後者)、見覚えのあるキラキラオーラを背負ったそいつは、俺の通う高校でも有名なイケメン男子だった。他クラスながらも噂が届くほどの端正な顔つきで、文武両道な女子にも大人気なカリスマ高校生だ。女子の黄色い声に囲まれた光景を目に「爆死しろ」と念じたことは何度かある程度で特に面識はなかったが。

 肩書きから分かる通り、そいつの存在感は召喚された他のメンツに比べて随一。悪い予想の通り、イケメンの発言はまさに俺たちの総意のような聞こえになってしまった。

冗談ではない。予備知識も無しに契約を結ぶと面倒ごとが起こるのはたとえ次元が違おうとも万国共通だ。特にそれが命に関わるのならばもうちょっと吟味してほしい。さらに言えば「魔王」などといういかにも超越者的な響きがある輩を相手にしなければならないのだ。ぴちゅんされてしまう。

 ──や、ちょっと落ち着け。

 待ったの声をあげようとするのを、内心の警告がさらに待ったをかけた。

 ここで下手に拒絶の意思を強く露わにすれば、相手の印象が悪くなる。それはよろしくない。これまで様々なラノベを読み込んで来た俺のオタク的勘が警鐘を鳴らした。

 たかがラノベと馬鹿にしないでほしい。人の想像上の産物の、さらに娯楽を追求したような分野だが、それはつまり「人の考えうる可能性」がこれでもかというぐらいに詰め込まれているのだ。少なくとも、人の心象や場の空気等の描写に関しては参考になる文が非常に多い。

 そうこう考えているうちに、いつの間にやらイケメンとお姫様の会話が続き、意思の最終確認の段階にまで突入していた。

 ……っておぃぃぃぃぃぃ!? 俺のツルツルの脳味噌が回転を始めてまだ5分ぐらいしか経ってないぞ! 思い切り良すぎだろ! 契約の際は規約の確認をしっかりしろい! 回り止めないのかッ!?

 召喚された他のメンツを見るとーー無駄に気合が入っていた。

 ちょっ、まさかテンプレ的な勇者召喚の話を聞かされてノリノリになってるのか? 1名程凄く冷めた目でイケメンとお姫様を見ている、巨乳(スイカ?)美少女がいたりするが。その他大勢は目をキラキラさせてるぅぅぅ!

 ここはぶっこむべきタイミングだ。俺のオタク魂も「ゴー」サインを押し出している。

「お任せください! 僕たちは必ずや──」
「ちょ、まちまちウェイウェイストップストォォォォォォォップ!!!!」

 自分でも酷いと思わざるおえない制止の絶叫に、この場にいた全ての人間の注目が俺に集まる。

「……どうしたんだい?」
「一応、命に関わる案件だろうし、場の空気に流されずにしっかりと考える時間が欲しいわけよ。俺だってさ、困っている人がいるなら事情を聴くぐらいの良心はある。けど、せめてその「詳しい事情」を聴く時間ぐらいは欲しいわけよ。おk?」
「何を躊躇う必要があるんだ! 困っている人がいるなら迷わず手を差し伸べるのが人として道理じゃないいか! それに、事情説明ならさっき聞いただろう!」
「たかだか15分ぐらいで説明が完了する事情ならそもそも勇者召喚なんてするわけねぇだろ! せめて小1時間ぐらいする詳しい話を聞かせてくれ!」
「事情は後から聞けばいい! 今必要なのは決断する強い意志力だ!」

 駄目だ。完全に自分の正義感に酔って判断力を失ってやがる。もしかしたら、常に正義感に泥酔しているタイプかもしれない。

 場の空気が悪くなるのはこの際覚悟していたが、それ以上に俺に対する不信感が強まっていくのを注がれる他の視線からヒシヒシと感じた。だが、この場で軽々しく魔王討伐の任を引き受けるわけにはいかない。せめて時間稼ぎの間を得なければ。

「……彼の言う事ももっともだと思うわ」

 この時聞こえた声はまさに、天からの声に等しかった。

「まさかッ、君までもそんな事を言うのか!?」
「その即断即決はあなたの良い所であり、悪い所よ」

 俺以外に待ったの声を上げたのは、あの冷めた目をしていた巨乳美少女。俺やイケメンと同じタイプの制服(もちろん女子用)を着ているから同じ高校の生徒だろう。状況が状況でなければ、その豊かすぎる胸の盛り上がりをガン見しているにちがいない。

 彼女は無意識なのか、大きな胸の下で腕を組み、諭すようにイケメンに言った。胸の大きさが強調されるありがたい態勢です。

「私たちは今、常識ではあり得ない状況に巻き込まれている。とても冷静な判断を下せるような精神ではないわ。結果的に魔王討伐の任を引き受けるとしても、少し間をおいたほうが後悔はないでしょう。違う?」
「それは……そうかもしれないけど」

 冷静な巨乳さんの言葉にイケメンは先ほどまでの熱狂的な勢いを失いしどろもどろになった。どうやらこの二人は顔見知りらしい。ナイスだ巨乳さん!

 そこから巨乳さんはイケメンを説き伏せると、次に姫さんに対して返答の猶予をもらえるよに交渉した。あちらは呼び出した側であるし、理論整然とした巨乳さんの要望に頷かざるえない。姫さんは巨乳さんの言葉をしっかり言うと「確かに、性急に事を進めすぎましたね」と詫びを入れ頭を下げた。

 なんというか、役者が違う。多少の根拠があったとはいえ、ほとんど勢いで口を出した俺とは違い、しっかりとした考えを述べていた。熱に浮かされていた他の召喚された者たちも彼女の言葉で冷静さを取り戻し、このばで頷くのがどれほどに危険なのかを改めて気づいたのだった。

 どうにか問題の「先延ばし」に成功したようで、俺の成果ではないがほっと胸をなでおろす。

 ただし、一息ついた直後にちらりと姫様のほうを向いてギョッとした。

 清楚可憐な姫様は巨乳美女さんの方を見据えていたのだが、その目が曾祖父と祖父と親の仇を見るような表現しがたい凄まじ形相になっていた。僅か1秒にも見たない刹那の間だが、見間違いと言い切るにはあまりにも感情が篭っていた。

 ──このお姫様、どうにも見た目の通りじゃぁなさそうである。


 魔王討伐の任を受けるか否か。その結論を一ヶ月間の訓練期間を経た後に出すという約束が成された。

 当初からあのイケメンは魔王討伐に超乗り気であった。完全にお姫様の「色香」に惑わされてしまっており、人の話を全く聞かない。や、聞いてはいるのだが全て自分の都合の良い風に解釈し、人の苦言を「嫉妬」からくる暴言紛いの言葉と脳内変換していた。取りつく島がない。

 他にも、ワイルド風味の筋肉野郎。インテリ風のメガネ男子。頭の軽そうなギャル娘も既に勇者として旅に出ることを承諾していた。

 イケメンと後にした紹介した三人は、この一ヶ月の間に正しく勇者としてふざけたような「チート」的な能力を獲得していたのだ。とりあえず、この国の精鋭に一対一なら十分に渡り合える程度にまで実力をつけた。平和真っ盛りな現代日本で生活していたのに、たかだか一ヶ月程度の訓練期間で、である。長年、その道を努力してきた人間からしてみれば存在がふざけているとしか言えない。

 一ヶ月の期間でこれなのだ。さらに時間をかけて鍛錬を積めば、この世界の人間では到達できない高みへと手が伸びるのでは無いだろうか。

 まぁもっとも、「しっかりと鍛錬を積めば」の話ではあるがな。

 イケメン+三人(以降は勇者パーティーと称しよう)はそのヌルゲーじみたレベルアップ具合に有頂天になり、期間も半ばに魔王討伐の任を承諾している。おそらく、魔王もこの調子でヌルく倒せると思っているのだろうな。俺も同じようなチート能力があれば有頂天にヒャッハーしてただろう。

 俺か? 俺は……一応、能力は手に入れた。直接的な戦闘能力は爪楊枝並だが、お役立ち度は随一と言っていいだろう。ただまぁ、いろいろと思うところがあるので「一人」を除いて誰にも教えていない。おかげで召喚組からも城の人間からも「役立たず」とひたすらに蔑まれている。だれか俺の忍耐を褒めてくれ。

 俺の能力を教えたたった一人だが、この一ヶ月で得たのは能力だけではなかった。

 実は俺にも彼女ができたのです。

 彼女ができたのです!

 多分、召喚されて唯一に良かった点だろう。この点だけは感謝してやろう(偉そう)。

 回想が終わった現在。一ヶ月の猶予期間を消化し、意思確認の時が来てしまった。

 勇者として国王や姫様に認められた勇者パーティーたちは既に腕輪を装着していた。誰もが仲間に、そしてこの謁見の間にいる来訪者(貴族とか豪商とか)たちに見せびらかすようにかざしている。

 そして…………。

「それではこちらの腕輪を着けてくださいませ」

 姫様が腕輪を手に取ると、俺の腕を取り、そこにはめ込もうと。

「あ、ちょっと失礼」

 厳かな空気を完全に無視し、俺は姫様の手から腕輪を取り上げる。

「…………え?」
「ほい、がっちゃり」

 流れるような動作で、姫様の腕に装飾過多な腕輪をはめ込んでやった。

「……………………え?」

 ……………………………………………………………………………………………………。

「…………………………………………え?」

 単音しか発せないほどに呆然とした姫様は、俺と腕輪をひたすらに交互に見る。

 やがて、その視線が俺に固定された時点で、俺は自分でも会心だと思える笑みを浮かべてやった。

「────ッッッッ!!!!!!???????????!!!?????!?!?」

 ようやく、己の腕に装着された「モノ」の正体を思い出したのか、姫様はこの世の終わりとばかりに顔を青ざめさせると、必死で腕輪を外そうとする。だが姫様の細腕から簡単に外れそうなその腕輪は、だがセメントで固定されたかのようにビクともしない。

 腕から「ソレ」を外そうと躍起になる姫様は、手はそのままに凄まじい形相でこちらをこちらを睨みつけた。目が血走り唇をブルブルと震わせるその顔はまさに般若と呼ぶにふさわしいだろう。

「ぶぁっはっはっはっはっはっはっはッ!! ざまぁねぇなぁ、姫様よぉぉぉ!!!」

 耐えきれずに俺は盛大に笑った。国の重鎮たちの前、お淑やかさのかけらも失った姫様を晒し者にし、俺は腹を抱えて大笑い。

「そうさ。外れるわけが無い。なにせその腕輪はそういう「呪い」が掛けられてるからなぁ!!」

「呪い」という物騒な言葉が響くと、既に腕輪を装着してしまった勇者パーティーたちはぎょっとなる。

「な、何を馬鹿なことを仰って──」

 姫様の言葉が終わる前に、俺は被せるように。

「姫さんに命じる。この腕輪の本当の名前と効果を、この場にいる全員に聞こえるように説明しな!」

 姫様は俺の言葉にハッとし、だがそれが限界だ。

 顔を歪め、醜い顔で口を閉じようともがくがそれも叶わず。

 彼女は自らに装着させられた腕輪の真実を告白した。

<呪縛の腕輪>
────────
「装着者」は「装着させた者」に強制的に服従させられる。
その権限は絶対でありいかなる意志をもってしても逃れることはできない。
また着脱の権限も「装着させた者」に委ねられており、自らの意思で外すことはできない。
強引に破壊されると「装着者」は強制的に死に至る。
────────

 姫様の言葉が終わると、周囲は静まり返っていた。いや、腕輪の正体を聞いた勇者パーティーは少しすると我に帰り大慌てで腕輪を外そうとするがもう遅い。イケメン、インテリ、ギャル娘はもとより、パワー系の「チート」を持つ筋肉野郎が全力をこめて腕輪を外そうとするが、やはりビクともしなかった。

「き、貴様ぁぁぁぁぁああああああああああッッッッ!!!!」

 御愁傷様と勇者パーティーに小声を送ると、側にいたお姫様が飛びかかってきた。おいおい、口調が乱れてるぜ。清楚で可憐なキャラはどこに行ったよ?

 さてさて、前もって説明したが俺の戦闘力は訓練を経てなお爪楊枝。平均男子並みには動ける程度だ。至近距離から飛びかかられたらそのまま押し倒されてしまうだろう。

 だが、俺は身構えなかった。身構える必要がなかったのだ。

「させないわ」

 頼もしい最愛が俺の脇を駆け抜け、そのまま姫様の前に躍り出ると彼女の両腕を握りしめて動きを止めた。

「なッ、あなたは!?」
「彼は誰にも傷つけさせない」

 果たして姫様の前に立ちふさがったのは、あのクールビューティーな巨乳女子生徒。

 はい、俺の「彼女」です。代名詞じゃねいぞ? 恋人という意味です。

「助かった」
「あなたは荒事面では役立たずなのよ。もうちょっと用心してほしいわね」
「ここは信頼の証、ってことにしてほしいね」
「調子がいいことで」

 軽いやり取りの後、「彼女」は姫様を押し飛ばす風に解放した。蹈鞴を踏んだ姫様は堪えきれず、後ろに倒れこんだ。そして「彼女」は振り返ると、俺の腕を抱きしめるように縋り付いてきた。

「っておい、さすがに恥ずかしいんですけど」
「あら、意外と初心ね。昨日はアレだけ激しく──」
「いきなりシモをぶっこむのやめてくれません!?」

「彼女」との会話に気を取られていると、姫様がいつの間にやらここから逃げ出そうと動き出すが。

「姫様に命令。許可があるまで口と目を閉じてそこから動くな。あ、あと俺と「彼女」を傷つけようとする行為を直接的にも間接的にも禁ずる」

 途端、ビクリと震えた姫様は目と口を閉ざしその場で硬直した。

 いきなりにいきなりすぎる展開に誰も彼もが付いていけない。口を開けず動き出せない。

「な、なにをやっているんだ君はッ!」

 一番早くに立ち直ったのは意外なことに勇者パーティーの一人……イケメンだった。奴は「彼女」に向けて大声で叫んだ。対して、俺の腕を抱きしめる「彼女」は相変わらずの無表情に。

「あらどうしたの、そんなに慌てて」
「慌ててもなにも……どうしてそんな奴の腕なんか組んでるんだ!」
「だれの腕を組もうが、私の勝手でしょ?」

 俺としてはそんな勝手は大歓迎です。巨乳に腕が埋もれる感触は「最胸」です。

「だ、だって君は生徒会で僕と一緒だったじゃ無いか!」
「面倒だったけど、他推でほぼ強制的だったわね」
「放課後も一緒に仕事を手伝ってくれたじゃ無いか!」
「文化祭の仕事が多すぎてたまたま一緒に残ってただけよ」
「体育祭の二人三脚で一緒に頑張ったじゃ無いか!」
「生徒会と一緒で、他推よ」
「僕が落とした財布を拾ってくれたじゃ無いか!」
「拾ったのは別の女の子。あなたに届けるのに気後れした子が、同じ生徒会である私に渡したほうが気が楽だったからよ」
「放課後一緒に帰ったり!」
「あなたがわざわざ遠回りして私の付近をうろちょろしてただけでしょ。おかげで新発売のゲームを買いに行くにもついてくるし。しかも店に入るなり「こんな店に入るなんて君らしく無いよ」なんて大声で言って周囲の目が痛いったらありゃしなかったわよ! どんな店に入ろうが私の勝手でしょうが!!」

 最後の最後が一番力強かったな。

 まぁ……あれだ。

 イケメン的にはいろいろ「彼女」にアプローチしたりされたりしていたんだろうが、「彼女」からしてみれば大半が偶然か非常に迷惑だったのだ。そうとも気付かずに、脳内お花畑のイケメン野郎は既に「彼女」の心は自分のものだと思い込んでいたのだ。や、ぶっちゃけ当初はイケメンと「彼女」は恋人同士たと誤解してたが。

「そ……んな。ぼ、僕よりそんな役立たずのオタク野郎のほうが良いっていうのか!?」
「下心を優男の上っ面で塗り固めてすり寄ってくる自信過剰な似非イケメンよりも、好意を素直に示してくれる紳士的なオタクの方が間違いなく恋人としては好ましいわね」

 え、そうか? 俺は「彼女」の胸とかガン見してたが。現在進行形で幸せです。

 切欠は、「彼女」の隠れオタク趣味を知ってしまったところから。そこから互いの理解が深まり、昨日あたりに大人の階段を互いに登りました。ちなみに、イケメンに対する愚痴を辛抱強く聞いてあげたことも好感度アップにつながったと思われる。

「ま、少なくともそこのお姫様の色香に騙されて呪われた腕輪を喜んで嵌めちゃう男なんてこっちから願い下げだけど」

「彼女」に言われて腕輪のことを改めて思い出したイケメンが、今度は俺に向かって叫んだ。

「おいお前ッ。なんでこの腕輪のことを黙ってた! なんで腕輪の呪いを知っていた!?」

 お前呼ばわりにイラっとしたが、俺の心は海より高く山よりも深いので快く答えてやる。

「二つ目の質問から答えておこうか」

 この世界にやってきた召喚組の全員には、最低でも一つの「チート」的な能力が与えられている。そしてそれは俺も例外では無い。

 では、俺がひた隠してきた能力とは?

「俺の「チート」は「鑑定」だ。俺のこの目で見たものはRPGみたいに対象の詳細が分かる。生物、非生物に関わらずな」

 実の所、「呪縛の腕輪」なんて存在は今日この時まで存在を知らなかったのだ。気がついたのはイケメン野郎が腕輪をはめる直前にやっと「それ」が視界に入った時なのだ。教えようが無い。まぁ、奴は俺を散々バカにし扱き下ろしあざ笑ってくれたので、事前に発覚しても教えてやろうとは思わなかったが。他の三人も同じくだ。

 そのことを説明してやると、勇者パーティーの全員が怒り出し、一斉にこちらに飛びかかろうとした。それよりも早くに。

「さぁってお姫様。口を閉じろって命令は解除だ。代わりにそこの四馬鹿パーティーに命令しろ。以後、俺と「彼女」への一切の暴力行為を禁止しろ。直接的に間接的にもな」

「「「「んなッッ!?」」」」

 勇者パーティーが驚愕する中、姫様は俺の命じるままに勇者パーティーの行動を制限した。

 ふふふふふ、これで奴らは俺たちに報復行為ができなくなった。勇者パーティーよりも腕輪を装着する順番が遅かったのは僥倖だ。もし俺が先頭だったら下手に正義感をこじらせたイケメンに成敗されていた可能性があった。

「あら、もしかしたらあなたは勇者よりも「魔王」の方が似合ってるんじゃないのかしら?」
「かかかかッ、そうかもしれねぇなぁ!!」

「彼女」の言葉が面白すぎて、俺は更に大きな笑い声を広間に響かせるのだった。

「さぁ喋ってもらおうか。俺たちを異世界から呼び出した真実ってヤツをな!!」






 それから先の物語──。

 異世界より呼び出された内の一人は「真眼の魔王」と呼ばれるようになり、欺瞞に満ちた人間国の真実を暴き、魔族国家の「魔王」と和議を結び世界に平和をもたらした。
 異世界より呼び出された内の一人は「氷牙の魔王妃」と呼ばれるようになり、愛する者の剣となり盾となり支え続け、常に彼のそばに寄り添った。

 異世界より勇者達を呼び出した姫は「欺瞞姫」と呼ばれるようになり、数々の謀略を企てるもその全てを「真眼の魔王」によって看破され、最後は自らの策に溺れて苦しみの果てに息絶えた。異世界から呼び出した勇者を利用して「世界征服」を企てた彼女の野望は、その足掛かりすら達することなく潰えたのである。

 また、「真眼の魔王」「氷牙の魔王妃」の他に呼び出された四人の勇者達は「欺瞞姫」の手足となり暗躍するも、結局は「欺瞞姫」の最後に巻き込まれ、彼女に憎しみと怨嗟を吐きながら息絶えたのであった。
 
薄っぺらい内容ですが、書きたいところはかけたので大体満足です

「カンナのカンナ 間違いで召喚された俺のシナリオブレイカーな英雄伝説」を連載中です。
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 全く世界観は違いますが主人公の「ノリ」は近いです
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