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春男の足元には(春編)
作:てるり



春男の感心


春男の感心

春男の常識というか、考え方は何か少し、どこか、ずれているような気はしていた。
いや、作家には変わり者が多い。しかし、春男の場合、だんだんそれが悪くなっていっているような気が
するのは、毎日接しているオレだからかもしれない。
「君ってすごいよね。」
突然、春男が言い出した。人間誰でも褒められたらうれしいだろう。しかし、褒められるような理由がなかったならとりあえず尋ねるだろう。
「なんでだ?」
「君にメールをすると、かなりの率で返事がメールの返事が早く帰ってくる。」
それはそうだろう。仕事場で、いつどの作家からかかってくるかわからない携帯は、基本的に机の上だからだ。それも音楽が鳴るようにしてある。担当者のほとんどはそうしている。
出かけるとも、首から下げてでかけるのだ。
しかし基本的には、仕事中に携帯に返事ができるような職業は少ないだろう。その説明を聞いて春男は納得したようだ。
「そっか。僕はずっと家にいるけど、みんなは働いてるんだもんねぇ。」
「まて……。」
その考えは、なにか間違っている。
春男も作家なのだから働いているのだ。一応。発行部数は少なくても、あまり売れていなくても、一応、作家を職業にしているのだ。つまり、仕事を外でするか、家の中でするかの違いなだけだ。
「そっか。家の中の職業ねぇ。誰かいたかなぁ。」
春男はぼんやりと考えはじめた。
それにしても。
春男の友人は変わった職業が多い。この間など男性の友人からパソコンにメールが届いた。下着が写っていたので春男がそんなものを見ているのはめずらしいと思ったら、送ってきた友人がデザインしたものだった。会社で賞をもらったらしい。
他にも世界の風景の写真が来ていたり、自分がでる芝居のチケットを送って来る人もいる。サラリーマンの方が少ないくらいだ。
そんな職業をしていれば、春男のメールに返事をするのも、面倒だと思うだろう。なんせ、春男のメールは質問が多い。それも考えさせられるものが多い。ただでさえ、忙しいのに、余計に頭を使うことは避けたいと思うのが、本当のところだろう。
オレは、メールが返ってくるのが遅いのは、そういう理由であろうことを黙っていることにした。それに気がつかずに一生感心していてほしいものだ。
 しかし。
「お前のメールに問題があるんだよ。いいか?普通の人に、青い目のダルマがなぜないのかなんて、聞くなよ!」
「だって、目の青い招き猫はあるんだよ?ダルマがあったっていいじゃないか。招く手だって、逆向きになっているんだし。」
「そりゃ、伝統の日本文化に青い目がなかったからだろうが。」
「招き猫だって、日本文化じゃないか。」
「それに青い目の人がダルマなんか、使うか?ブルーの習字なんかあるか?」
「……使わないとは言い切れないだろう?そりゃ、さすがに、青い目のこけしは、なくてもいいと思うけどさ。」
 だんだん、春男が弱気になってきた。
 こんなやりとり。メールで誰かがしたいと思うだろうか……。このメールに、たとえどんなに返事が遅くなったとしても、返ってくるだけでも、十分にありがたいと思うほうがいいんじゃないかと、オレは思っている。












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