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帰ってきてもファンタジー!? 作者:月見ココア

波紋編 第二章「異世界な故郷」

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02-13 日常を壊すのは簡単だ

事件が始まる。
そして、冒頭ちょっとだけ……残虐注意?






言葉というものは存外に“力”を持っている。

それは時に歴史を動かし、時に運命さえ変えるだろう。

たがそれが毎回良い結果を生むとは限らない。

むしろ良くない結果を招くことのほうが多いだろう。

言葉を正しく使うのは難しい。

正しく受け取るのもまた難しい。

この力の厄介なところは発言した者と聞いた者。

どちらにとっても最悪の結末を招く力さえあることだ。


『助けて!』


そんな単純で助けを乞うただけの言葉さえ悲劇を呼べる。

“誰か”はそう叫んだことが間違いだったとのちに語る。

自分の選択の結果だったのに。自分が間違えたせいだったのに。

その重みを背負わせて、彼らの生きる道を塞いでしまったと。

行き倒れていた“誰か”を見捨てない心を持っていた“彼ら”。

言葉が通じない“誰か”を驚きこそすれ気味悪がらなかった“彼ら”。

何も返せなかった無力な“誰か”と共に笑っていた“彼ら”。

自分さえ守れない“誰か”を守って戦える強い“彼ら”。


『助けて!』


そんな彼らだから助けを求める声の意味に気付いて呆然として凍りつく。

倒そうとしていたはずの少年の動きが止まり誰かの爪が彼を切り裂く。

力強さに満ちていた顔を絶望に変えた少女を誰かの腕が握りつぶす。

武器を構えたまま、けれど使えなかった少年を誰かの(ブレス)が溶かす。

恐怖からか責任からか逃げることも出来なかった少女を誰かの牙が丸呑みする。

そして彼らの残り、最期のひとりは怯えながら言葉を使う。


『た、助け、て』


“彼ら”が初めて“誰か”に乞うた望みは、叶えられることはない。




その命の感触を、いまでも“誰か”は克明に覚えている。





───────────────────────────────







「そっか大吾くんと会ったのか」

「ごめん、つい昔話に花が咲いちゃって……」

どの口がいうのか。
間違ってはいないが正確でもない受け答えで誤魔化すシンイチである。
既に再会していたことを伝えていなかったので納得はさせやすかったが。

「挨拶とかしといた方がいいかな?」

「バイト中なんでしょ、迷惑よ。
 それよりも買い物が終わったらそこで休憩すればいいんじゃない?」

「そうだな」

「い、いいですねぇ……あはは」

まずいことになったと乾いた笑みをこぼす。
だが二人の間で決まったことを覆す決定権はシンイチにはない。
今更だがあの少女が余計なことを告げてないことを祈るばかりである。
あとは自分が父親をどう言っていたかを大吾が告げない事も祈るばかりだ。

「さて、それじゃまずはどこからまわりましょうか?
 何か欲しい物とかある信一くん?」

買い物後の予定が決まって凜子は何故かシンイチだけに尋ねた。
なぜかその顔に妙な既視感を覚えたが特に欲しい物がない彼は首を振る。

「お、俺は別に何も、必要なものはもう揃ってるし……」

「つまり私の好きにしていいってことよね。じゃあ行きましょう!」

「え、え、ええ!?」

微妙な意思確認のあと強引に連れ回す。先週の再現である。
それでようやく─自分の腕を引っ張られることに─理解した。
記憶に強く残るシスターを思い出す彼女に自分は強く出れないのだと。
既視感の正体はそれかと察したが時すでに遅く、連れ回しが始まった。

地下の一階で試食品をつまみながら凜子が好みの菓子を買って、
一階婦人・紳士服売り場ではシンイチにすすめられるまま夫婦の衣服を購入。
二階の生活雑貨が並ぶフロアでは便利そうな台所用品をいくつかカゴに。
三階のおもちゃ屋では真治が気にいって手放さなかった怪獣人形を買った。
今では珍しい領域に片足を突っ込んだCDショップで最近の人気曲を試聴。
続く文具・書籍フロアではアマリリスが欲しがった漫画を何冊かを入手し
人気作品を見てみないかと勧めたのになぜか幼児向けアニメDVDがレジに。
部屋のインテリア用品も見て回ったがシンイチは全てに首を振る。
それからいくつもの店を巡って一通りデパートを見て回る。
いつのまにかもう時計は二時を超えるか超えないかという辺り。
出る前に食事をすませていたがそろそろ休憩したいところだった。


買い込んだ荷物を一旦車に積むために信彦と凜子が駐車場に戻り、
それを義兄弟と“彼女”で店内で待っていたのだが急ぎ足で
戻ってきた凜子はなぜか彼女は恐ろしいほどの不満顔。
ただ後ろに続く信彦は笑うのをこらえているような顔だ。
そして彼らのもとに辿り着いた彼女は開口一番にこう問い質す。

「ねえ信一くん、わざと?」

「え?」

「わざと、絶対わざとね。分かったわ!
 あなたがそうくるなら絶対あなたの物買うわよ今日は!」

言うが早いが彼の腕を掴んで一階の若者向けの服が並ぶフロアに連れていく。
そして彼女は楽しそうな笑みと共に彼に力強く宣言するのだった。

「私に任せて!」

「………はい」

それに逆らう気などシンイチは微塵もわいてこなかった。




「はあぁー……結局今日も着せ替え人形にさせられた」

レジで精算している凜子の背を見ながらベンチでぐったりするシンイチ。
先週と違い、本当に着替えさせられるのだから苦労は倍以上である。
着替えるたびに目をキラキラさせて喜んでくれるので断り辛かったが
さすがにメンズレザーを着せようとした時はわりと本気で抵抗した。
背丈や顔の造形から似合わなさすぎるのが分かりきっていたからだ。
仮面を被ったあとの姿に似通ってしまう気がして恥ずかしいのもあった。
実際はあれはレザーでもなんでもないファンタジックな素材であるが、
見た目のイメージというのは人間にとってはかなり重要である。
正確に見えているのは着ている彼だけなのだが。

「ふふ、お前が悪いんだぞ。
 自分の物を何も欲しがらないから。これぐらい我慢しろ」

彼の横に真治を抱いて腰掛けている父は疲れた顔の息子を見て笑う。
その笑みには今の格好とて凜子のコーディネイトだろうという指摘もある。

「分かってるけどさ……男を着替えさせて何が面白いんだよ凜子さんは?」

「前に言ってなかったか? ちょっとした夢だったって。
 あいつ小さい時からずっと母子家庭だったらしくてな。
 そのうえ一人っ子だから家庭に男がいたことがなくて、
 異性の家族ってのにすごく憧れてたらしい」

信彦と結婚し真治を授かったことでそれは叶ったのだが、
そこへさらに年頃の男の子が家に来たことで再燃したのだろう。
というのが夫である信彦の分析だった。

「おとなしくワガママをいってしまえ。
 きっと何でも買ってくれるぞ」

「応えては、あげたいけど……でも本当にないんだよ」

好意に応えられない申し訳なさがあるがこればかりはしょうがない。
2年の異世界生活のためにこちらにおける当たり前の物欲は薄れた。
単純に生活環境の違いによる優先度の変化といってもいい。
それは食事・寝床・装備・情報・娯楽という順番だ。
そして情報と娯楽の間にはかなりの順位差がある。
あちらにおける“遊び”というのは大まかには三種類しかない。
鬼ごっこやかくれんぼに似たルールの子供向き過ぎる遊びか。
カードゲームやボードゲームという貴族や王族の嗜みか。
あとは酒・女・ギャンブルといった大人向き過ぎる遊びである。
最初と最後のはやってもいい年齢ではなく二つ目は相手が必要であり、
尚且つ相手もルールを把握してなければならず道具も必要だった。
そのせいで彼はあまりにもそういったものから遠ざかり過ぎたのだ。

「そういえばどうして本屋で何もいわなかったんだ?
 途中だった漫画とか小説とかだいたい完結してたんじゃないか?」

望む物は無いという息子にそれでも記憶を掘り返した父は
種類は問わず何かしらを読んでいる姿をよく見ていたのを思い出した。
確かに彼のいう通りシンイチはそういう読書好き、活字好きの少年だった。 
だが、現在それは彼の中で情報収集に分類されてしまっている。

「ああ、いや……今はまだそういうのが欲しい気分じゃない」

「そうか………」

あちらに行く前なら欲しかった物も今では興味が持てていない。
その事実は少なからずシンイチにショックを与えていて言葉を濁させた。
あんなに好きだったモノのどれにも心が動かなくなってるなんて、と。
そもそも何で帰還してからそれらを見ようとすら思わなかったのか、と。
異世界を探査する感覚でこの地で過ごしている自分がいる。

「ま、お前は元々あれ欲しいこれ欲しいっていう子じゃなかったしな。
 でもそれなら何か見たい物とか行ってみたい場所とかはないのか?」

「急にいわれても……………ああ、今は食品売り場行きたいかも」

視界に入ったフロア案内図にあった言葉をそのまま読むシンイチだ。
これが誤魔化しや冗談であったのなら笑う所だが彼の顔は本気である。

「……物欲はともかく食欲はすごいよな、お前」

「父さん、食べ物の欲を侮っちゃいけない!
 毎日三食美味しい物を食べられるなんて幸福以外のなんだというんだ!?」

「うん、それはもう散々聞いたからやめてくれ。こっちが居た堪れなくなる」

強く、何よりも強くそう主張する息子の姿に憐憫の想いを抱く父。
恐ろしい事に食べ物に関することにおける彼の主張は常に熱かった。
それまでいた環境を思えば当然だろうという思いもある。
当たり前に見ていた食事をもっと大切にしようとも信彦は思った。
息子にもっと美味しい物を食べさせてやろうという想いもある。
だが、もっと他の物にも興味を持ってほしいというのも親心である。
彼はまだ15歳の子供なのだから。

「お待たせしました。次はどこ行きます?」

「うちの食いしん坊その2がいうに食品売り場だそうだ」

戻ってきた彼女に笑顔でそう告げる信彦にシンイチは唖然とした。

「へ? 食いしん坊? その2?」

意味が解らないと戸惑う凜子の顔を見て笑う信彦。
バッグから顔だけ出した“彼女”はそれを見てからシンイチを見る。
その視線とその意味を感じ取った彼は思わず目を泳がしてしまう。

「ふふ、なんでもないよ。
 そろそろ大吾くんのバイト先に行かないか。
 うちの食いしん坊ふたりはお腹が空く頃だろ?」

そこでやっと、発言と“その1”が誰かを理解した凜子は眉根を寄せる。
時計を見ればあと五分もかからずに三時になる。ようは“おやつの時間”だ。
いつものようにそれを訂正させようと彼女は剣幕激しく口を開く。

「あのですね、毎回いいますが────」

────グギュルギュー

「………なんて空気の読めるお腹だ。いやこの場合読めてないのか?」

「体の方が正直だな。さて凜子のお腹が鳴ったから行こうか」

「あーいー!」

腹部が訴える音の前に犯罪者を黙らせる剣幕は1秒ももたなかった。

「ちょっ、ちょっと待ってください!
 なんでここで鳴るの私のお腹!?」

真っ赤になって恥ずかしがる彼女を置いて先に進む父子たちである。
慌てて追いつくと膨れっ面で不満を訴えるが信彦はどこ吹く風だ。
それにつれ“彼女”からのシンイチへの視線は妙に鋭くなっていく。

「親子ですねぇ……まあ誰かさんの方がもっとひどいですけど」

「…………なんだこの新しい形の辱めは」

自覚があるだけに見て分かる形で証明されると気恥ずかしいものがある。
自分はどうやら見た目だけでなく中身もかなり似てしまったようだ。
そう納得して、そろそろ凜子の味方をしようかと足を進めた。途端。

「───っ!?」

多くの人が行きかうデパート内。
今すれ違った誰かの挙動に彼の警戒心が跳ね上がる。
見知った誰かではなく、すれ違った“ドレ”なのかも分からない。
されど頭の警鐘が容赦なく鳴り響いて、彼は振り返りながら声を発した。

「凜子さん、父さん。止まって」
「え?」
「なんだ?」

彼が思う以上に硬い声が出たがふたりは足を止めて振り返る。
背を向けるシンイチの姿を訝しむものの彼は黙ってバッグを床に置いた。
意図を察した彼女が黙ってそこから飛び出ると周囲を見回す。

「信一、くん?」

彼が纏う空気の変化に先に戸惑ってしまった彼女はまだ気付いていない。
シンイチが見ている先にいるデパートの当たり前の光景に混ざる異物に。
そして彼は何の迷いもなく、手近にある適当な硬さ(・・・・・)を持つ商品を放り投げた。
もう彼の眼はその不審者の動きを捉えていたのだ。

「し、静かにしろ! 今からここはっ、ぎゃんっ!?」

それはナニカを叫ぼうとしていた男の顎に命中する。
脳を揺らす予想していない衝撃に男はふらつきながら一投で昏倒する。
その弾みか偶然か。男が手にしていたモノが他の客達の前に転がった。

「………え?」

「け、拳銃!?」

それが何であるかを把握した客達はいっせいに飛び退くように離れた。
だがこの時点ではまだそれを本物だと思ったのは少数派だった。
去る者より声を聞き届けて何があったのかと集まる人の方が多い。

「ちっ」

邪魔な野次馬どもめ。そう吐き捨てるようにシンイチは舌打ちする。
落ちて転がった音で少なくとも重さと金属製であることぐらい分かれ。
と、到底一般人には難しい注文を要求しているが気付いてはいない。
だって彼は次に取りかからなくてはいけない。
彼の目に映った不審者は一人ではなかったのだから。

「てめえこのガキ、よくも!」

「これが見えねえのか!」

「ひっ、きゃぁっ!!」

仲間がいたのだろう。複数の男達が懐から一斉に似た拳銃を抜いた。
それを間近で目撃した客たちがクモの子を散らすように逃げ惑う。
ようやくそこで危険な人物たちが目の前にいると客達は認識したのだ。
誰もが我先に逃げようとし、そのために少年がした事は殆ど目撃されなかった。

「へ、がべらっ!?」

照準をつけて引き金をひく。
そんな下手をすれば子供でも出来る行為をする前に。
その男は視界いっぱいに広がる拳を目撃した所で意識が終わった。

「な、なんだ!? なんで!?」

銃を構えた時にはもうその先に少年はいなかった。
代わりに隣りに立っていた仲間の顔にめり込む拳。
何かを言う暇もなく彼はそのまま倒れて動かなくなり、
それを近距離で目撃した別の男は意味のない言葉を発しただけ。
銃を取り出すための僅かな時間で詰め寄ってきた相手に、
明らかに自分たちの敵である少年に武器を向ける事もできない。

「挙動不審すぎるんだよ、ド素人が!」

そして少年とは思えないドスの利いた声に怯む間もなく殴り倒される。
彼がその集団の存在に気付けたのはまさに挙動が怪しかったからに他ならない。
日本でまともな道徳教育を受けて、まともな精神性を少なからずでも持つ人間は
初めて“人を殺すための武器”を持ったさい平常でいられるものではない。
怯え、緊張し、そしてわずかに興奮する。あちらのヒトでさえそうなのだ。
そういった武器と縁遠いこの国で初めての所持はより悪目立ちする。

「う、動くな!」

「調子のるんじゃねぇ!」

だから離れた位置にいた残りの二名に拳銃を向けられても慌てることはない。
木を隠すなら森の中。人を隠すなら雑踏の中とはいうが同質の中に置けば
極端な“違い”というものはかえって目立つようになってしまう。
彼らはその武器で何かをしでかすにはあまりに不慣れな素人。
警戒すべきはそれゆえの突飛な行動であり手にした武器ではない。

「ねえ、それで何する気?」

だから少年の顔にあったのは呆れと嘲りだった。
感情的になった人間ほど分かり易く動く相手はいない。

「バカいってんじゃねぇ! 動けば撃、なっ!?」

「な、なんだよこれ!?」

嘲る声により感情むき出しで叫ぶが手元を見て表情“も”凍る。
拳銃を握る掌ごとすべては感覚すら消えた氷塊の内側。
文字通り彼らの手は凍り付いていた。

「キュキュキュ」

訳が分からないと動揺する彼らの前を横切る小さな生物。
狐に似た相貌と複数の尾。金色にも似た毛色。
見せつけるように口から吐く息に混じる冷気。
背後で揺らす三本の尾にはそれぞれ紫電や炎も宿っていた。

「ア、アマリリス!?」

間違いようがないほどにそこにいたのはその生物。
成体は一体で国さえ滅ぼせるといわれる手を出してはいけない生き物。
幼獣とはいえ拳銃程度の装備で立ち向かえる相手ではなかった。
もとよりその唯一の武器でさえ封じられているのだが。

「お、おいこんなの聞いてねえぞ!
 銃使って脅すだけでいいって、簡単な仕事だってあいつら!」

「喋るな、動くな、息をするな──」

「ひっ!?」
「なんっ!?」

“彼女”に注意をそらされ肝心の少年から意識を外した時点で詰み。
その声が背後から聞こえ、振り返る暇もなく素早く手刀が叩き込まれる。
首元を襲ったその衝撃に二人の男性は声を発する事もなく崩れ落ちた。

「──黙って寝てろ」

それだけ吐き捨てたシンイチは達成感も安堵も何もない顔で
倒れ伏した五人の武装した人物たちを見下ろしている。
感慨も何もない表情には何を考えてるか分からない不気味さがある。
尤も──

「………これぐらいかな。ケガさせなかった。偉いぞ俺」

──本人は手加減の調整がついたので自画自賛中だったが。
彼のいう通り全員気を失っているが目に見える形で外傷はない。
やったと満足げに頷いて───すぐにやってしまったと後悔した。

「同じ日に同じ視線を浴びるとか………これでもやり過ぎなのか?」

頑張って手加減したのになぜなのか。
針の穴に糸を通すぐらい繊細な調整をしたはずなのに。
そんな見当違いなことを考えている彼は大きな勘違いをしている。
先程の一件を加減や流血(ケガ)の有無の問題だと思い込んでいたのだ。
あるいはそれ以外の何が問題だったのか推察すらできないともいえる。

「信一くん、そこじゃない。そこじゃないの……」

一人の少年が銃を持った男たちを恐れることもなく素手で倒した。
それ自体が持つ恐ろしさを彼は想像できない。想定できない。
武器を持って暴れようとする者を倒すのは彼の中では当たり前の話。
自分達がその狙いの中にいる以上遅かれ早かれ戦うなら先制して潰すべき。
そんな効率的な考えと家族の身の安全を考えての行動だったのだが、
大多数が逃げようとして何をしたか見ていなかったのが悪かった。

アマリリスの存在は囲むように動きを止めた客達の視界にはない。
ゆえに“この子供はいったい何をしたのか”という未知が恐れを産む。
後々に発覚することだがこの時、彼が一般用でもフォスタを持っていれば、
多少の疑問は残ってもその自衛機能を使ったのだろうと誤認させられた。
だが、彼は本当に無手でナニカを隠し持っているようにも見えない。

幾人かは冷静に警察や警備員に連絡をしているが全体から見れば少数。
天を仰ぐようにして頭を抱えている凜子を除けば、数時間前と変わらない。
不審者を撃退した称賛はなく、それ以上の警戒と恐れの視線が注がれる。
信彦に限定すればシンイチに向ける顔は先程よりもひどいモノになっていた。
彼の場合は何をしたかじっくりと見てしまったためだが。

「アハハハ……本当にまいったな、これは。
 ……いったいぜんたい何がいけなかったのかわからん」

「キュ、キュイ?」

彼らには向けられている感情に察しがついても、
なぜ“この程度”でそうなってしまうのかが解らない。
乾いた笑い声を漏らして誤魔化しながら頬をかくぐらいしかできない。

一方でシンイチの顔はどこか親にイタズラが見つかった子供のよう。
逆に言えば武装した男達を30秒もかけずに撃退したのは“その程度”。
息子に戦える力があるということを何とか飲み込もうとしていた信彦だが、
その一方的な鎮圧をそんなものとして扱う異常性に表情がもう怯えている。
そもそもシンイチは何をどうやって彼らの存在に気付き、見抜いたのか。
似通った性質を持つ親子でも、平和な日々を過ごしていた一般人に
異世界の戦乱を生き抜いてきた少年の当たり前は理解できない。

「ああ、まずったわ…………」

もっと早くに気付いて、二人に言い含めておくべきだった、と。
両者の間にある齟齬は2年と8年という時差以上の距離がある。
聞き分けが良くて、気遣いのできる子だったから気付くのが遅れた。
シンイチが異世界で常に生死をかけた状況であったことを忘れていた。
仕事柄ゆえシンイチの周囲の反応への戸惑いも理解できる。
だが同時に彼女はこの国でずっと生きてきた人間でもある。
周囲の恐れも夫が感じていることも理解できてしまう。

──あまりにも生きていた場所が違いすぎる

その事をもっと早くに教えておくべきだった。

「えっと、二人ともまずはどこかで──」

「──すいませんお客様。事情をお聞きしたいのですが?」

これはどこかに腰を据えてじっくりと話し合わなくてはいけない。
そう考えたものの他の客に呼ばれてきた警備員に遮られてしまう。
苛立ちから舌打ちしそうになるのを抑えて説明していくしかない。
さすがに対策室の人間として、鎮圧した人間の保護者として。
知らぬ存ぜぬといった態度を貫けるほど凜子は厚顔ではなかった。




最初に駆け付けた警備員に凜子が説明するかたわら。
他の警備員も集まりだし倒れた男たちから武器を奪うと運んでいく。
そこにきてようやく終わったのだと多くの客たちが安堵の息をもらす。

“よくわからなかったけど、もう終わったんだ”

程度の差はあれど客達はそう考え、無意識に少年から視線を外す。
少しでもナニカが違えば恐ろしいことになっていたことからも。

“あとはもうこいつらの仕事だろ”

“私、関係ないし”

良からぬことを考えていた犯罪者は捕まった。それだけの話だ。
起きてたかもしれない事柄も。異常な行動をした少年も。
関係ないとして見なかったことにするだけでいい。気にもならない。
自分達と無関係で終わった事柄。そういうことにすれば、ほらもう安心。

「ちっ、別の階か!」

「え、まだ仲間が!?」

そんな安堵感でさえ簡単に壊せるということを彼らは即座に知る。
一回や二回では終わらない鳴り響く無情な銃声が散発的に聞こえ続ける。
まるで現実感がなく映画のワンシーンから切り取ったような音。
されど実物を見た後では説得力があるそれに客達の顔に再び恐怖が浮かぶ。
だが多くがどこから銃声がしたのか解っていない。戸惑う声も多かった。
別の音なのではないか。そもそもこれが映画の撮影だったのでは。
精神の安寧を得たいがための現実逃避が通用したのは残念ながら数秒。
建物を揺らすかのような音を立ててパニックを起こした群衆が下りてきたのだ。

「うわああぁっ!」

「逃げろっ、逃げろっ!」

「どいて、早く行ってよ!!」

「銃持った奴が暴れてる! みんな逃げろ!!」

悲鳴と怒号と共に津波のように一階になだれ込んでくる群衆。
シンイチたちがいたのは運悪く隣接しあうエスカレータと階段の近く。
誰もが我先にと逃げだそうと駆け下りてくる光景に一階にいた客達も慌てた。

「冗談じゃねえ、巻き込まれてたまるか!」

「待って、子供が!」

「押すんじゃねえ!」

「邪魔すんなっ、どけよ!!」

警備員たちが咄嗟に慌てないようにと叫ぶが誰も聞いていない。
上階から逃げてきた客たちのパニックが伝染して冷静さは欠片もない。
それらが合流して出来た出口へとひた走っていく人波は恐ろしいものがある。
文字通り人間で出来た激流か津波のようなそれは彼ら自身を巻き込みながら進む。
そうなることを見越せていたのか。既に中村家はその流れの外に逃れていた。

「……これはもう警備員がどうこうできる事態じゃないな」

凜子と共に父と弟を避難させたシンイチは冷静にそれを眺めながら呟く。
誰もが出入り口へと向かって走っていくためにその道筋から外れれば
パニックを起こした人の波に巻き込まれることは簡単に回避できていた。

「は、早く私達も逃げないと!!」

それでも信彦は生きた心地がしない。
人々の悲鳴と怒号に混じる形で今もなお銃声は時折届いてくる。
いつこちらにやってくるか解らない恐怖が人々をさらに追い立てている。
上階から降りてくる人数は格段に減っていたがまだ途切れてはいない。
だからこそ落ち着くようにと冷静な息子の声が指摘する。

「この流れに入ったら、俺達はともかく真治が危なすぎるよ」

「あっ」

自分達だけならある程度人とぶつかっても問題はない。
けれど抱きかかえている真治があの流れで圧迫されると危険だ。
どうにか人数が減るのを待つか彼らとは別ルートで逃げた方が安全だ。
無論それは続いている銃声の位置がたいして変わっておらず、
上階から武装した何者かが下りてくる気配がないからでもあるが。

「警察と対策室にはもう連絡したわ。
 3分もかからずに実働部隊が来るはずよ。私達はあっちの出口で外に!」

硬い表情で報告し終えた凜子は人の流れとは僅かにずれた方向を指さす。
ここからは少しだけ離れた出入り口だがそこへはあまり人が向かっていない。
大多数が早く外に出たいという感情から一番近いそれに殺到していたのだ。

「うん……全部の出入り口に武装犯がいないことを願ってね」

「あえて言わなかったことを口にしないでよ信一くん……」

「っ……」

彼なりに緊張を解そうとしたらしい軽口は凜子には通用したが、
その間に挟まれた格好の信彦にはより緊張を強いた結果になった。
この状況で落ち着いていられることへの怯えも少なからずあったが。

「信彦さん、いまは外に出ることだけ考えて!」

「あ、ああ!」

それを優先順位を提示することで棚上げさせて先頭に立つ。
まず人の流れからもっと離れようと踏み出したしたところで
必死の形相で自分達とすれ違う人物が現れて三人とも唖然とした。

「ど、どこへ行く気ですか!?」

真っ直ぐに階段へと向かう女性を止めたのは避難誘導する警備員。
怯えが顔に見えるものの彼なりに職務を全うしようとしていたのだ。
だがそんな彼に流れに逆らって進んでいた女性は声で噛みついた。

「離して! 子供が、息子が三階にいるの!
 逃げてきた人たちの中にいなかったのよ! どいてっ!!」

「だ、ダメです! 上がどうなってるか解らないのに!」

力尽くで必死に押しとおろうとするが相手は男性の警備員。
単純な腕力の差で彼女は彼の制止を振り切れないでいる。
それを見かねて、そして同じ母親として想う所があったのだろう。
凜子は警備員に味方して彼女をまず逃がそうと説得に当たった。

「そうです。私も母親ですからお気持ちはわかります。
 けど、すぐに警察や対策室が来ますから彼らに任せてください!」

「でもっ、あっ、あなたさっきの……」

同じ立場の女性からの言葉だったおかげか。
幾分か冷静さを取り戻したかのように見えた女性はしかし。
視界に中村家が入ったことで今度は彼に向かってその場から(・・・・・)叫んだ。

「ねえあなた強いんでしょ!?
 なら早く行ってさっきの男たちみたいに倒してきてよ!」

「……は?」

シンイチはその言葉に秘められた妙なニュアンスに首を捻った。
この母親は我が子が危険な場所にいると知って冷静ではないとはいえ
銃を持っていた男たちを問題なく退治した彼を頼ってきた。
それはおかしなことではないはずだが、何かが違う気がしたのだ。

「ちょ、ちょっとあんた何を勝手なっ」

「隠すんじゃないわよ、高ランクなんでしょ!?
 銃ぐらいなんでもないんだから行きなさいよ!
 ステータスが高い奴はそうするのが義務でしょう!!」

「お、落ち着いてください! 彼は違うんです!」

信彦の非難の声も、抑えようとする凜子の声も聴かず。
彼女はただシンイチだけを─怯えながら─見据えて虚勢を張るように叫ぶ。
我が子を助けたい一心からこその物言いだ。特別思うことはない。
だが、どうしてか彼女は凜子のそばから動こうとはしない。
そして。

「キュウッ!」

その不躾で非難するような周囲の視線に誰よりも先に“彼女”が吠えた(鳴いた)
先程の一方的な鎮圧劇を知らないはずの上階から逃げてきた者達だというのに、
彼らは母親の発言でシンイチに向けて容赦なく無言で“なんとかしろ”と告げていた。
だが“彼女”が何の生物か知っている者もまた多かったのだろう。
威嚇されて怯えと恐怖が戻った客たちは我先にと逃げていく。
それだけで充分だ。その母親だけの考えではない充分な証明。

「そういう、ことか…………そっちの“怖さ”か!」

さっきまでの視線の意味をそこで彼はようやく理解した。
いや思い出したというべきだ。かつてあんな目で見ていたモノがある。


─魔獣

─魔物

─盗賊


あの事件が起こる前。
凶悪な力を持つ存在。暴力しか振るわない存在。弱者は抵抗もできない存在。
自分もそういった相手にそんな目を向けていたのだと思いだしたのだ。

“あれは化け物を見る目だ”

と。
ステータスの意味と役割、必要性を誤解した地球世界。
特にそれが顕著なこの国は高ランク者と低ランク者の軋轢を産んでいるという。
それは何も高ランク者だけを優遇したことだけが原因ではなかったのだ。
どちらが先だったかは当時この世界にいなかった彼には解らない。
だが低ランク者たちもまた高ランク者を差別し拒絶したのだろう。
ランクの極端な差は恐ろしく無慈悲だ。それを彼は嫌という程知っている。
技量ランクという概念(・・)の恩恵を得られないならそれは尚更。
必要性からそれに焦がれ、求めたシンイチと違ってこの国は基本平和だ。
むしろ異世界という異常なモノを前に平和でなくては困る。
そんな強迫観念に似たものさえどこか彼は感じとっている。
だから本能的に恐れたのだ。異世界の力を身に着けた者達を。

「必要もないのに異世界のルールを取り入れるからこんなことになる!」

「しん、いち?」

苦々しく吐き捨てる息子に訝しげな顔を向けるが彼は気付いていない。
街中でガレスト人や警察官を除けば高ランク者がいなかった理由を察する。
押し付けられたのだ。力があるならやれと。厄介なことを。危険なことを。
彼らだって好きで高ランクになる素質を持ったわけでもないだろうに。
そんな考察を一秒ほどの時間で終えた彼は無情すぎると首を振った。
何より今は目の前の問題だと母親に意識を戻す。

「ねえっ、聞いてるの!?
 強いんだから戦ってよ! お願いだから!」

恐れより我が子を想う心が勝ったのか。
ついには恐れすらわからなくなるほど冷静さを失ったのか。
その母親はシンイチに詰め寄って彼の両肩を掴んで揺らす。

「あの子まだ6歳なの! きっと逃げられなかったのよ!
 戦うのが嫌なら探して連れてくるだけでいいから、ねえっ!」

「ちょ、ちょっと待ってください」

「気持ちはわかるけど、その、信一は違うんです」

無茶を言っていると感じながらそれだけ必死なのだとも感じる。
同じ親であるせいか信彦も凜子も止めようとはしてるが態度が弱い。
そしてシンイチはかつて自分の母もこうだったのだろうかと思いながら、
彼女を“気絶させて外まで運んでしまおうか”と無情な事を考えていた。
冷たいと思うかもしれない。実際、彼自身がそう思っている。
だがはっきりいえば自分が介入してしまう事の方が不確定要素が多い。
彼が全力(・・)でやれば犯人たちの鎮圧も逃げ遅れた人の救出もできるだろう。
その結果不可思議な力(魔法)黒い靄の人型(マスカレイド)が使う姿を衆目にさらす事になる。
準備されたうえで公開されてもこうなった世界でさらに別の未知は危険だ。
現時点の溝は今後時間をかけていけば埋まっていく余地が残されている。
原因が未知への恐怖と誤解、そして制度の整備不足からくるものだからだ。
それらの問題が収まる前に全く別の未知を衆目にさらす危険を渡りたくはない。
ならば先程のように素手で倒せばいいと思うかもしれないが、
あれは奇襲染みた先制攻撃だったから通用した話である。
上階から届く銃声と気配の数から武装犯も取り残された人も複数。
しかも細かい状況が分からないうえにおそらく人質になっているだろう。
素手だけで全員を倒すより早くに誰かが撃たれる可能性がはるかに高い。
どこの指揮系統にも入ってない単独戦力が勝手に動く事で生じる危険性もある。
すぐに駆けつけてくるだろう正式な救出部隊の邪魔をする可能性が高い。
互いに足を引っ張った結果最悪の展開になることもあるだろう。
また最新の装備と集団という利点を持つ彼らの方が確実で頼りになる。
尤もそう思えるのは現在上階にいる人の気配が減りも弱りもしないから。
犯人たちの目的が少なくとも無計画な殺戮にない時点で猶予はあるのだ。
ここで自分達が危ない橋を渡らなくてはいけない必然性はない。
だからシンイチは即座に彼女の意識を奪おうとして───


「お願い! あの子を助けて(・・・)っ!!」


───必死な母親の願いという名の致命的な言葉を聞いてしまう。
瞬間、彼女の意識を奪うはずだった腕が止まり顔から感情が消えた。
それまで困ったような戸惑ったようなそれだったものが一瞬で無となる。
一匹だけその変化に気付いたために彼の足元で頭を抱えていた。
そして次に彼が動いた時には怒りの形相で肩を掴む母親の手を弾いていた。

「っ!」

「信一!?」

痛みと驚きの視線と声が飛ぶがそんなものを吹き飛ばすように彼の怒声が響く。

「勝手なことをいうなっ!!
 俺はその言葉がこの世で一番嫌いなんだよ!
 それは危険だと解ってる場所に、誰かを追いやる最悪の言葉だ。
 そうやって縋った相手に何かあった時、あんた責任とれるのかよ!?」

「だ、だって……あなたステータスが……」

突然の激昂の迫力に飲まれながらも言葉を返そうとするがたどたどしい。
それにさえ苛立ちながら彼女の言葉を遮るようにして言い返す。

「高かろうが強かろうが死ぬ時は簡単に死ぬぞ。一瞬でな。
 もしかしたらあんたが誰かに頼ったせいで息子も巻き込まれて死ぬかもな」

「そ、そんな!?」

「そういうことはいくらでも起こる!
 だいたいあんた俺がやった事を知ってるってことはここにいたんだろ?
 別の階に子供だけ残しておいて何が『助けて』だ! 無責任にも程がある!
 子供を独りにすればどれだけ危険があるか知らないなんていわせないぞ!」

そして強い言葉でこうなったのはお前のせいだと一方的に言い放った。
例えこんな事態を想定できなかったとしてもそれ以外の危険も多い。
それを彼女とて分かっていたのだろう。おぼつかない足取りでふらつく。

「邪魔だ、どけ」

乱暴にそんな彼女を凜子にぶつけるように押しのけて───彼は駆けた。

「え?」
「なっ!?」
「おい、信一!?」
「待ちなさい君!」

背中にかかる声を無視して、減ったとはいえ人の流れに逆らって。
縫うようにそれを走り抜けたシンイチは逃げ惑う人で混む階段を
手すりを駆け昇ることで抜けると未だ混乱している上階へ向かっていった───







彼の言葉に嘘は無い。

シンイチは本当にその言葉が嫌いだ。

日常で使う分には構わない。

けれどこんな状況で使われるそれが。

無責任に誰かを死地に送ろうとするその言葉が。

トラウマを、かつての間違いをこれ以上はないほど刺激する。

あの時何もいわなければ、きっと彼らは死ぬことはなかった。

惑わせた。

迷わせた。

死なせた。

だからあれはひどく無責任な言葉だ。

忌むべき使い方だ。



でも、


だからこそ、



“助けて!”



果たしてその声を見捨てていいのだろうか。

だってシンイチは、それができなかった人たちに救われた。

あの愚かな選択と躊躇があったからいま彼は生きている。


“助けて!”


なら、そうして助かった自分(いのち)がどうしてそれを無視できる。

その声を聞き届けないということはシンイチ自身が彼らの選択を否定する行為。



それだけは、



それだけは何があってもできない。


彼は確かに間違った。けど、けれど絶対に、





絶対に彼らは間違ってなどいないのだから─────
一応いっておきますが、
信一はいうほどこの母親に怒っているわけではない。
トラウマ刺激されすぎちゃっただけの八つ当たり。
駆けあがりながら自己嫌悪しております。
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