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一呼吸
作:灯夜


貴方と向き合う前のおまじない
ほんの一呼吸
それで私は私になれる

テレビの話題で笑い合って
好きなCDを貸し合う
部活と進路は真顔で悩み
授業と課題の愚痴を言って
映画と読書の白熱した議論
そして最後に
下らないちょっかいを出して喧嘩するの

ほんの一呼吸
それでいつもの友達になれる
多分向こうは性別なんて意識してない
異性の友人

ほんの一呼吸
そのおまじないで
何かが変わる訳じゃない

見詰めれば外せなくなる視線も
交わす言葉への淡い期待も
触れたとたんに熱を持つ肌も
隣に居る心地良さも
胸を締め付ける想いも

何も変わらない

だけど――
ほんの一呼吸
それで私はいつもの私を思い出す

友達でいる私
友達でしかない私を

大切な親友の
大切な恋人である貴方を

絶対に知られてはいけない
好きの気持ちを……


不満が無いと言えば嘘になる
想いは気を抜けば溢れてしまいそうで
どうして私
分かっているのに好きになってしまったんだろう
もし付き合えても
きっと満足は出来ないのに
誰も悲しまない
ハッピーエンドはもう届かない

それでも
付き合う二人が
あまりにも自然で
私にも優しいから
泣きたくなる

嫌う事なんて出来なくて

貴方と向き合う前のおまじない
ほんの一呼吸
それで私は私になれる

想いを心の奥に隠して
友達の仮面を心に被る

だけど――

取澄ました上辺の笑顔の前
一瞬で消える沈んだ表情
それに気付いて欲しい

叶わない事を望む想いを
せめて知って欲しくて


いかがでしたでしょうか?
『詩』ジャンルでの二作品目です。
意図せずに訪れる『好き』の気持ちと、それでも届かない、叶わない想いを、切なさでまとめてみました。
今後の作品に活かしたいと思っておりますので、感想、お気付きになった点等ございましたら、宜しくお願いいたします。













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