第24話 目覚めて掴まれ
冷たい物が頭を冷やして心地いい、体の熱さも徐々にとれていく。
「……あれ?確か僕は……!リガンは!いっ…」
「無理に動かない方がいいっすよ、熱があるっすから」
「クルツ……その執事服久しぶりに見たよ」
上半身を起こして、パジャマのボタンを二つ開ける、左腕はギブスがつけられ右足にも鈍い痛みを感じた。場所も僕が使わせてもらっている部屋の用で甘い匂いがキッチンから漂ってくる。
「そうっすね……梓様に勝手に辞めた事をこってり叱られたっす、それより輝がホットケーキを作ってくれてるっすよ」
「うん、お腹すいたし貰うよ」
クルツに支えてもらい、リビングに来る。
そこには何と!ホットケーキを食べさせている勇者さんとクロスがいた。
「お!奏歌、起きたのか!緋口殿の焼くホットケーキは上手いな」
「セイ……」
「えっと……輝」
勇者さんとクロスに挨拶をしたのにクロスはキッと僕を睨み付けて勇者さんにホットケーキを食べさせて貰う
たまらず、輝に助けを求めた。
「ハチミツは多めか?」
「うん、ありがと」
ソファーに座り暖房の良く効いている位置につくまだ12月だ寒い。
「ココアでいいか?」
「うん、それよりなんでクロスがここにいるの?」
「保護と言うより監禁の方が正しいな、皆には伏せているがこの力を野放しにしておくのは危険すぎると判断した」
「だから家で預かってるの?」
「ああ、それに勇者がいればおとなしからな、傀の連中もここなら手出しは出来ないだろうし」
輝の言うことは分かるけどやっぱりクロスの事は好きになれない。
「まぁ…輝の判断だしね」
ココアを一口飲み、口に広がる甘味を味わう。
体が温まるのは有難い、喉の痛みもだいぶ引いた。
「そうだ結局どうなったの?」
「俺達がお前達を見つけた時にはリガンが苦しみうめいて撤退していたんだ、お前に渡した魔除針はいわば魔や聖の住人にとっては猛毒だ」
「それを僕が大量に撃ち込んだ」
「その通りだ、あの神鬼級の精霊を取り込んだんだ器がただですむはずがない、暫くは動けない」
「じゃあ、一応は作戦成功ってことだね」
その通りだと、優しく頭を撫でられキッチンに引っ込む。
お腹が減っている事を思いだし一口サイズに切ってあったホットケーキを食べようとするとなくなっている。
「……なんですかその目は」
「君だろ!僕の分を取ったのは!」
クロスは見下した様な目線を僕に浴びせ鼻で笑う。
カチンと来るが大人の態度で自分を落ち着かせる。
勇者さんが自分の分を僕にくれるが丁重に断りソファーにぐでーっと寝ころがりバラエティーをのんびり見ることにした。
「あ!銀王は?!銀王はどうなったの?」
回らない頭がすっきりして闘いの出来事を思い出したガバっと起き上がり輝に聞く。
輝はトレイに皿を伸せながらのんびりと慌てた様子もなく答えた。
「大丈夫だ、巫の頭領に修理を頼んである問題ない」
「良かった……ごめんね壊して」
「気にするな、もともとガタが来ていてな巫の頭領も作り直したいと言っていた」
チラッと見たクロスは機嫌悪く僕を睨み付けてくる、勇者さんが注意して納得いかなそうに謝った。
気まずい空気は明るい声で打ち消される夕夏が来たようだ、制服姿の夕夏は頭にブンを乗せ買い物袋をテーブルにドサッと置く。
「案外元気そうね、全く」
「ごめん」
『夕夏殿はコゾウの看病をしてくれておったのだ、忝ないのだ、コゾウ調子はどうゾ?』
「好調だよ、夕夏ありがとう」
夕夏は幼馴染みでしょうがと笑い、ドカッとソファーに寝ころがり輝に夕飯は何か聞いている。
ブンは僕の元に来て定位置になった頭の上に乗り、済まなそうに僕を覗く。
『すまぬ我輩の力がおよばむばかりに』
「そんなことないよ、君が居なかったらクロスに喰られる所だったよ」
「誰が貴方なんかを食べるんですか!消しますよ赤毛チビ!」
どうやらクロスに聞こえていたらしく怒声が耳に入る勇者さんがオロオロしだし夕夏は無視し雑誌を読む。
「……人が気にすることを!え〜っと」
『貧乳、わがまま、被害妄想者なのだ』
「ふふ、ふははは!上等です!消します」
「ちょった待った!クロス落ち着け今のは狩崎殿が言ったのではなくブン殿が」
「セイは黙ってなさい!表に出なさい!オモイデにしてあげます!」
「ちょっと!なんでそうなるの?!」
僕はブンの仕返しに眉をひくひくさせ胸ぐらを掴むクロスに訂正を呼びかける。
「貴方から売ったケンカです!一度言った事を取り止めるのですか!この女顔!!」
「……流石にきましたよ!上等です!そこまで言うなら!」
夕夏は無視をとことん決め込むのに集中し僕とクロスはお互いにらみ合いブンもやる気満々だ。
「二人とも後ろ!後ろだ!」
「「勇者さまは黙っててください」なさい!」
勇者さんが青い顔をし指をさしている。
クロスと僕はその指を指した方向に視線を向かわせる。
「「?!」な?!」
視界が細い物に阻まれ、キリキリと頭を圧迫される。
「……二人とも静かにな、カナメが寝ている、奏歌、クロス、分かったか?」
「「ご、ごめんなさい!」!」
そりゃもう、修羅がいたので全力で謝った、クロスでさえ余裕のない顔で輝に謝っていた。
「何者なんですか?あなたのようなヘッポコより実力はありますよ?それに貴方と彼には強力な因果を感じますが?」
「それは……えっと」
喋っていいのか解らないので適当にはぐらかす事にする。
「うぃーす、奏歌ちゃん起きてるか?」
「あ、晃志朗さん久しぶりです!」
「起きてたか!お!嬢ちゃん、なんだ俺の娘になるか?」
「セイ、この人間を消して」
「ダメだからな!」
相変わらずの晃志朗さんが来てクロスと勇者をいじっている。
「おっと、嬢ちゃんで遊んでいる場合じゃねぇな奏歌ちゃん俺と一緒に来てくれ」 |