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真実はいつも一つだと思ったらダメだよ

 そこはカレーパンの出番じゃないのか。そういうことを言ってはいけないと思ったので思うだけにしておくけれど、やっぱり言いたい。
 明らかに間違いなんだ、そこでメロンパンを出してしまえば、全てが台無しになるんだ!!!

 ――――という児童小説を読んで、僕はどうしようもなく腹がよじれた。くだらなさすぎて、もう最高なのである。これは他に何かに言い表せないかと考えてもてんでダメで、やはりこれはオンリーワンの素晴らしさなのだ。
 それで、僕はその本を閉じた。本で読み取ったインスピレーションは大切だが、それだけでは意味がない。それを生かさなくてはいけないのだ。
 僕は自分の部屋の扉を開けた。そこには世界が広がっていた。そこにはカレーパンがベンチに座っていて、メロンパンがマウンドに立っていた。
 可愛いパン達のベースボールが賑やかに行われている世界を見て、僕は大満足であった。
 そして、僕はそれを見るだけ見て、リビングにもどった。そして、違う本を読むのにとりかかった。

 「生死をかける長い棒」というくだらないタイトルの小説だ。これは生死をかけるというのだから凶器だろうということで、きっと「こん棒」かなと思わせているが、セイシをかける長い棒と捉えれば、それは生物のオスについているとされる長い棒という意味にもとれる。
 そして、素晴らしいのはその内容。プロローグに主人公は棒を持っていると書かれていて、ただひたすら擬音が続くのだ。
 まさに、擬音祭りである。そう、擬音祭り。
 例えば、6ページ目はひどい。「ちんちこシュッシュ シュポンしゅぽん びゅーびゅー」というのを5、6回繰り返しているだけである。
 実にくだらない。でも、面白いから僕はこの小説のインスピレーションを元にまた幻想世界に行くことにした。
 自分の部屋の扉を開ける――。
 すると、そこは何故か京都であった。擬音祭りに行こうとしたら祇園祭りに来てしまったのだ。
 インスピレーションは時として思い描いているつもりでないものまで呼び起こしてしまう。
 しかし、それでも男性についている、例のセイシをかける長い棒だらけの世界に来なくて本当によかったなと思ってしまった。
 僕はただ京都に居ても仕方がないので、リビングに戻ることにした。

 本棚にある大量の書物のタイトルを眺めてみた。その中には何故買ったのかわからない何も興味を惹かれないものが多くあったが、僕はその中から興味のある本を読むことにした。
 タイトルは「うそ」と平仮名で書いてある。読んでみると、そこにはただ空白しかなかった。何も書いていない白紙なのだ。
 どういうことだろうと、僕はページをぺらぺらとめくってみた。
「うそ……」
 僕は思わず呟いた。全部めくっても全部真っ白だったのだ。そして僕はあることに気付いた。「うそ」とつぶやいてしまいそうな内容だからタイトルが「うそ」であることに。
 それが面白かったので、僕はこの本のインスピレーションを元に幻想世界に行くことにした。
 扉を開けるとそこには僕の想像した全てのものがあった。
 想像が交雑しすぎているせいで何が何だかよくわからなかったので僕はとりあえずリビングに戻った。
 しばらく、ボーっと先ほどみた世界について思案してみると、あることに気付いた。
 想像というのは、大抵うその塊である。だから、「うそ」という本を読んだから、そんな世界に辿り着いたわけである。
 なるほどなるほど面白い。では、「本当」という本を読むとどうなるのだろう。僕は本棚から、「本当」というタイトルの本を探した。
 二分程度目を縦横無尽にぐるぐると動かしていると、「本当」というタイトルの本を見つけることができた。
 僕は、まずその本の分厚さに驚き、そしてその本の文章量と、内容のつまらなさに驚いた。
 それでもその本から得たインスピレーションを元に僕は部屋の扉を開いて、幻想世界に飛んでみた。
 しかし、その世界には何もなくて、ただ無が広がっているだけであった。あれだけ文章の多い本なのに、何故なにもないのだろう?
 僕は急に怖くなって、急いでリビングへと戻った。そして、「本当」という本の意味を考えてみた。
 何故、「うそ」は本では白紙で、でもそのインスピレーションを元に幻想世界に行くと混沌としているのに、「本当」は逆で、文章がやたらに多いのに幻想世界では無なのだろうか。
 本当は「本当」には何も無いということなのだろうか。
 では、嘘がなければ、この世界には何も存在しないことになってしまう。なら、嘘をつかないといけない。
 僕は急いで七里の靴を履いて(七里の靴を履くと一歩で七里進むことができる)近くから遠くまでいろいろなところにいって嘘をいっぱいついた。
 でも、皆はそれを信じた。何故なら、その人たちは本当のことは何も知らないから、嘘を本当と思うしかなかったからだ。
 僕だけは、本当ができる過程を知っている。何も知らない人が嘘を真実だと思うことにより、本当が生まれるのだ。
 真実はいつも一つではない。
 ――だから、僕は眼鏡のあの小学生探偵を信じない。

 余談ですが、この小説は、30分で一つの短編小説を書こうという友人との企画でつくられたもので、お題は「明るいファンタジー」でした。一人で2000文字、それも30分で書ききることができました。お題を決めてから、即30分のカウントが始まったので思い切ってキーボードを叩きまくりました。そんな、時間制限の中で書いた小説ですが最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。というわけで、本当に余談でした。

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