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殺人=カツ丼
作:雛祭パペ彦


「ねえ、お母さん」
「なーに? ロレ助」
「子供はどうして産まれるの?」
「福引きで当たると産まれるのよ」
「じゃあ、僕も福引きで当たったの?」
「そうよ。商店街のね」
「僕は望まれなかった子供?」
「お父さんとお母さんだって、福引きで当たったから産まれてきたのよ」
「ふーん」
「みんな一緒よ」

「じゃあ、お母さん」
「なーに? ロレ助」
「なぜ、人を殺しちゃダメなの?」
「警察に逮捕されるからよ」
「逮捕されたら、どーなるの?」
「厳しい取調べを受けなきゃならないのよ」
「でも、カツ丼を食べさせてもらえるんでしょ?」
「朝も昼も夜も、カツ丼しか食べさせてもらえないのよ」
「僕はカツ丼が好きだから、それでもいいよ」
「だけど、3食ともカツ丼なのよ。しかも裁判のあいだもカツ丼だし、刑務所に入ったあともカツ丼しか食べられないのよ」
「お味噌汁は?」
「なし」
「お漬物は?」
「なし」
「胸ヤケがするね」
「胸ヤケどころか、糖尿病になるのよ」
「いやだー」
「人を殺すってのは、そういうことなのよ」
「怖いことなんだね」
「そうね」

「ねえ、お母さん」
「なーに? ロレ助」
「なぜ、万引きはダメなの?」
「警察に逮捕されるからよ」
「糖尿病?」
「そうね」
「恐ろしいことだね」
「そうね」

「ねえ、お母さん」
「なーに? ロレ助」
「人生って、何?」
「警察に逮捕されるからよ」
「えっ、どういうこと?」
「朝も昼も夜も、カツ丼しか食べさせてもらえないのよ」
「あれ、お母さんが壊れた!」
「なーに? ロレ助」
「しっかりしてよ、お母さん」
「福引きで当たると産まれるのよ」
「ねえ、しっかりしてよ!」
「胸ヤケどころか、糖尿病になるのよ」
「ダメだ。壊れちゃった」
「そうね」














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