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今回は量多いかもです。

《済》
ニワトリ?
「金崎、調子はどうだ?」
田中と袴田がドアを開け、
俺と篠谷と仲山を見るなり一言。
「…OK、出直してくるよ。」

「出直さなくていいから!」
篠谷がキッパリ言う。

「あ、そう。じゃ、お邪魔しまーす!」
二人も俺のベッドの横につく。

「大丈夫か?金崎。
こいつ救急車ん中で『もうだめ』って言ってたんだぜ!」
「言ってねえよ!田中!」
「だってこいつ、『大丈夫か?』って聞いたらブーイングサインしてたし!」
「あれは、グッドラックのサインしようとしたけど、
力が入んなかったからああなったんだって!」
「でも、『弱気になるなよ!』って言ったら真顔で首を横に振ってるし、絶対そうだろ!」
「いや、それはブーイングのサインを否定するために首を振った…」

クククククク…
篠谷と仲山が寄り添って笑いをこらえている。

「な、なんだよ、二人して!」
「金崎、おもしろいよ。」

どこがだよ!篠谷!
俺がまるでチキン扱いじゃねえか!

「………」
(これ以上説明しても逆効果になるだけだな…)
俺には現在、選択肢が3つ浮かんでいる。

1.チキン扱いされる
2.チキン扱いされる
3.チキン扱いされる

…どれも一緒だ。

俺はどの番号を選ぶか、
逆の意味で迷った挙げ句、
2番を選んだ。

「はいはい、嘘ついてました。ごめ~んチャイっ!」

アハハハハハ…!
みんな爆笑。
仲山も目は赤いが、笑っている。

まあ、仲山が泣きやんでるし、
今回は我慢しよう。

「ハハハ…ハァ~。
ところで、田中君と袴田君は金崎と一緒にいたんだよね?」
篠谷が問うと、すかさず田中が喋る。
「ああ、金崎が無謀にも女の子を助けに行っちまうから、
もう、冷や冷やもんだよ!」
「かくいう田中、お前こそ無謀にも金崎を連れ戻そうとしてただろ。」
袴田が口を挟む。
「そうだけどよ~、結果的に俺は行ってないじゃん。」
「お前を引き留めたのは誰だ?」「あ…」
「そんなこと言える立場じゃないってわかったろ?」

「でさ、金崎がどんな風に助けたのか知りたいんだけど。」
篠谷は脱線した話を元に戻す。

「そうそう、金崎ヤバかったよな!?」
田中が盛り上がる。
「ああ!なにせ、爆炎が金崎の所だけ行かなかったんだからな。」
「そうそう!ふつう、あり得ないって!しかも火の海の中を子供抱えて歩いてきたしさ!」
「しかも子供を親に返した直後に倒れちまったんだから!ビックリだよ!
酔っぱらい以外の人が倒れる光景は初めて見たし!」

…おい、喋りすぎだ。
仲山に大したことなかったって言ったのが、
嘘だってばれちまったじゃねえかよ!

「あんたスゴイねぇ!
ナカちゃん、トモちゃんだっけ?
奇跡的に生き延びたんだから、そのことしっかりと覚えておくのよ!」
「金崎君、ホントにごめんね…」
篠谷の言葉もそっちのけで、俺に謝る仲山。
「謝んなくていいって!大した怪我してないんだし。」

「あ、もうそろそろ四時だ。ちょっとオレ家遠いから、そろそろ帰るよ。」
田中が宣言すると、袴田も同様に帰宅宣言をした。
「じゃぁな!二人とも事故に気をつけろよ!」
「おう!」「バイビー!」
ドアがゆっくりと閉まる。
「何よ『バイビー』って…」
篠谷は田中の言い放った言葉の理解に苦しんでいる。
「サッちゃん、『バイビー』ってのはね、死語で、『バイバイ』っていう意味なんだよ。」
仲山がそっと教えた。
「ああ、そうなんだ。」

ガラ‥
ドアが開いた。
顔を出したのは田中の親父の田中医師。
ややこしいな…
「金崎君、体調はどうかい?」
診に来てくれたらしい。
「あ、はい。もうほとんど。」
「ちょっと喉診るよ。」
田中医師は懐中電灯とアイスの棒的なものを取り出した。

「うん、治ってるね。大丈夫だ!今日退院できるよ。」
「あぁ、ありがとうございます。」
「それと金崎君、それからササタニさんにも言わなくちゃいけないんだけど…」
「私が篠谷です。」
「なら話は簡単。四時半になったら病院を出て、正面玄関に来てほしい、と伝言を預かってたから、言っておくよ。
金崎君は、体調が優れなかったら来なくていいそうだよ。」
「はい、わかりました。ありがとうございます。」
俺がお礼を言うと、またね、と言って部屋から出ていった。

「…それじゃあ私も…帰っていい?」
仲山が聞く。
《帰るね》じゃなくて、《帰っていい?》と言う
言いまわし方はやっぱり性格に関係があるだな。

「ナカちゃん帰ってもいいよね?」
「いいよ。あまり遅いと親も心配するだろうしな。」

「ありがとう…バイバイ…」
仲山も帰っていってしまった。

残すは、俺と篠谷の二人。

俺は、病院を出る準備を始めた。

(俺、こんなの要らないんだけど…)

俺の私物の中に、チャッカリクマのぬいぐるみ入っていた。


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