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掌編小説集9 (401話~450話)

消える火

作者: 蹴沢缶九郎

外では蝉の鳴く声以外、ほぼ何も聞こえない。うだる暑さに、人々は活動を止めてしまったようでもある。

主不在の、カーテンの閉ざされた薄暗いアパートのその部屋には、何故かエアコンや扇風機といった電化製品の類いの一切がなかった。


閉め忘れたのだろうか、少し開けられた窓の隙間から吹き込んだ風が、部屋一面に敷き詰められた蝋燭(ろうそく)の、数本の火を消した。


それからしばらくして、帰宅した部屋の主は、火が消えた蝋燭を認めると言った。


「おや、どうやら窓を閉め忘れていたようだ。吹き込んだ風が、命の蝋燭の火を消してしまったか。悪い事をしたな。だが、遅かれ早かれ、いずれ人は死ぬのだ」


付けっぱなしにされていた部屋のテレビは、連日続く猛暑のニュースを伝えていた。


「今日も猛暑日です。各地では熱中症で亡くなる人々が増えています。皆さん、こまめな水分補給を…」

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