被害者
生まれたときから被害者だった。
幼稚園のころからいじめにあい、
それは高校まで続いた。
上履きなんてないものとして登校した。
痛くない殴られ方を身につけた。
誰とも目を合わせないよういつもうつむいていた。
それでも、
いじめは続いた。
いじめる側は口々に言った。
お前を見ているとイライラする。
何かむかつく。
早く死ね。
おそらく、それが本音だっただろう。
いろいろな人に相談したが、みな一様にイライラしていたのだから。
多分、彼らも同じ気持ちだったのだと思う。
先生はいじめられるほうに原因があるといい、
親はお前の行動に問題があるといっていた。
ある日、高校に入ってすぐ不登校していると、親からこう言われた。
「お前を見ていると本当にイライラする、それはほぼ才能だよ。人をイライラさせる天才だ」
そして、ただ一言。
「出てけ」
今となってはあの形だけの両親にも感謝している。
そうだ、これは才能だ。
この能力があれば、一生食うに困らない。
今日も僕はいじめにあっている。
道端で、絡まれている。
どうやらそいつは僕がガンをつけていたといいたいらしい。
そいつは、やがて俺のそぶり、弁解の仕方までイライラすると言い出した。
人々は見てみぬ振り。
やがて、そいつは公衆の面前で刃物を取り出した。
よかった。フラグはたった、ありがとう。
そいつは刃物を振り上げると・・・
その刃物が自分の首に当たり絶命した。
僕はだらしなく悲鳴を上げ、尻餅をつく。
そして、四つの足を必死でばたばたさせてその場を離れる。
あの早業に気づいた奴はいなかっただろう。
たまたまかざした手にたまたま刃物が当たり、軌道が逸れた。
そう見えるよう死ぬ気で努力したんだから、
どちらにしろ、先に刃物を出したのはあいつだ。
僕は完璧な殺し屋、正当防衛で、人を殺す。
ホント、馬鹿とハサミは、使いよう。
なんか書いていたらジャンルがよくわからなくなってしまいました。
しかもハッピーエンドとバットエンドが混同してしまいましたし、
皆さんは、ハッピーエンドとバットエンド。
どちらだと思いますか?