第7話 〜再〜
「・・・リョウ、朝だよ?」
「ほらっ! お兄ちゃんっ! 起きて下さいっ」
目をくらませる光からして、恐らくもう朝なんだろう。
僕は主に下腹部にかかる重みで目を覚ました。
んん・・・?
一体、なんなんだ?
うぅっ・・・、下腹部が重くなって、気持悪い・・・
なんだ? これが世に聞く金縛りってやつなのか!?
「・・・って、んな訳あるかっ」
僕は下腹部にかかる重みをどかすため、勢いよく起き上がる。
起き上がった時に、なんか可愛らしい悲鳴が聞こえた。
「きゃっ」
「うわっ」
お?ずいぶん軽くなったぞ?
「・・・って、君たちが乗ってたからか・・・」
そう。昨日の様に馬乗りになっていたんだ。
・・・二人して。
うん。そりゃあ重いね。
二人も僕の上に乗ってるんだから。
「起こしてくれるのはありがたいんだけど、もうちょっと普通に起こしてくれないかなぁ・・・」
昨日の朝もこんなんだったし、毎朝やられていたら僕の下腹部の内臓はその内いかれるね。うん。
「・・・ごめんね」
「がっ、頑張りますっ」
「・・・リン、もしかするとそれは親父の入れ知恵?」
「なっ、なんで分かったんですか!?兄ちゃんはエスパーですかっ!?」
やはりか・・・
あんチクショウ、帰ってきたら必ず私刑〈リンチ〉だ。
考えうる限りの苦痛を与えてくれる・・・
「・・・リョウ、ご飯食べないの?」
「早く食べないと遅刻しちゃいますよっ」
「え?あ、うん。じゃあご飯用意するね・・・って、もう用意してある!?」
朝ごはんを作ろうか、と、リビングに目を向けると、既に朝ごはんは作られていた。
僕の仕事がっ・・・
「どうでしょうっ! 私が作ってみたんですっ」
すごい。純和食だ。
焼き鮭、味噌汁、ご飯に味海苔。
こんなにしっかりした朝ごはんは久しぶりだ。
ふむ。もしかしたら母親よりも凄いかもしれないな。
「リンは日本人なの?」
「いえっ、ハーフですよ!お父さんが中国人で、お母さんが日本人なんですっ! だから名前は日本語で〈鈴〉って書くんですっ」
そうなのか・・・
そういや親父が「色々あった」って、何があったんだろう。
ここは敢えて聞かない方がいいかな・・・
今の話をしている時、リンの顔が曇っているように見えたから・・・
「ほらっ! ご飯食べましょうっ! 冷めちゃいますよっ」
「あ、うん。じゃ、いただきます!」
「いただきますっ」
「・・・いただきます」
あ、そうそう。リンの作った朝ごはんは、文句のつけようもなく、美味しかった。
○○○
「ふぅ・・・」
なんでまた僕が洗濯してるのかなぁ・・・
シフォンのプラス、リンの、・・・その、ぱ、ぱんつ、とか、その他下着がある訳で・・・
・・・いっ、いや、やましい気持ちは無いぞ!?
うぅむ。しかし、こう言った事を直接彼女達に聞くわけにもいかないからなぁ・・・
・・・結局、僕がやるしかないのかなぁ
はっ!
もしや、また親父の入れ知恵かっ!?
・・・うん。絶対そうだ。間違いない。
やっぱり私刑じゃ許さねぇ・・・死刑だな。
「お兄ちゃんっ!早く行きましょうっ」
「・・・遅れちゃうよ?」
「あ、ごめん。すぐ行くよ」
シフォンとリンに急かされる。
どうやら彼女たちはもう、準備が終わったようだ。
・・・下着を干すのに手間取ってました、なんて口が裂けても言えない。
口裂け女に出会って、ハサミで口を裂かれても言えないよ。うん
○○○
「じゃ、さっちー。後はよろしくね」
「なんでまた増えてんのよ・・・」
再び職員室に来た。
リンが来たからまずは転入手続きしなきゃだからね。
「えっと・・・迷惑でした?」
「いいえっ! そんな事ないわよ! 私が迷惑してるなはリョウ君だけよっ」
「僕がいつ迷惑かけたよ!?」
「常によっ」
「常にかよっ! 僕はもう存在が迷惑なのか!?」
「そうよ?」
「何その、さも「心外です」みたいな顔は!? さっちー相当失礼だよ!」
「大丈夫! 失礼なのはリョウ君だけに対してだから!」
「何が大丈夫!? あんたの頭が大丈夫!?」
「うっさいわよ! このハゲがっ」
「ハゲてねぇよ! ・・・って、あぶなっ! ちょっ、おいっ! ハサミ投げんなっ」
くるくる回転しながらじゃなくて、よくナイフ投げる人がやってる感じで、刃がこっちを向いて飛んで来た。
「うおっ! じゃ、じゃあ、僕もう行くからっ! あとよろしくねっ」
急いで職員室からでて扉を閉める。
閉めた扉に何か刺さった音がしたけど・・・ま、まぁ、気のせいって事にしておこう。
・・・そうじゃないとやってけないと思う。
「・・・早く行かないと授業に遅れちゃうよ?」
「あ、うん。じゃ、行こうか。」
・・・ん?
シフォンはまだ中にいたはずじゃあ・・・
「あ、あのさ、いつでてきたの?」
「・・・さっき?」
いや、疑問形で返されても。
「・・・ほら。行こう?」
「あ、あぁ。行こうか」
そうだ。授業始まる前に行かないと。
遅刻するとまた面倒だからなぁ・・・
まだ騒がしさの残る廊下を歩く。
廊下にいる皆さんの視線がこっちを向いているのは・・・まぁ、間違いなくシフォンがいるからだろう。
僕にも視線は向いているんだけど。・・・刺さるような視線が。
そう。主に羨望とか、嫉妬とか、まぁそこら辺の、悪意ある視線ばっかなんだけどね。 悪いのは、みんな親父なんだっ
くそぅ・・・絶対に生かしておかねぇ。
さて。また騒がしくなりそうだなぁ・・・
今日一日、僕の体力持つのかな?
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