第2話 〜始〜
「・・・はんま?」
「・・・そう」
・・・何ですか?それは?
はんま?・・・はんま。ハンマ。ハンマー。
「金槌か!泳げないのか!」
さすが外国人。
英語で伝えて来るなんて、なかなかやるじゃないか。
・・・あれ?でもイギリス人な筈だし・・・?
・・・って、あれ?イギリス人って、髪の毛黒いのか?目の色は紅い色なのか?
「・・・泳げる。ばかにするな。」
あ、すみません。
・・・でも、「はんま」って何?
「・・・私は、半分にんげん。でも、もう半分はあくま。だから、半魔。」
「・・・へ?」
半分は人間で、半分は悪魔?
・・・うーん、いまいち信じられないな。
「シフォンちゃん?・・・えーと、いまいち信じられないんだけど。」
「・・・じゃあ、みてて」
そう言ってシフォンちゃんは窓を開ける。
夏がもう近いとは言え、さすがに夜風は冷たい。
寒いから閉めてーーーと、言おうとして、シフォンちゃんの方を見る。
風になびく黒い髪。
改めて見ると、結構可愛い。
・・・ロリコンじゃ無いぞ?
「・・・リョウ。みてて。これが、私。」
「へ?」
間抜けな声を出してしまった。
みてて?
じゃあ、と思い、顔を上げ、シフォンちゃんを見据える。
「・・・これが、私。・・・夜の、私。」
シフォンちゃんがそう言った瞬間に、窓から強めの風が吹き込んできた。
そしてーーー、
シフォンちゃんの髪が、みるみるうちに白銀へと変わっていく。
・・・これは、一体?
「・・・これが、『覚醒』状態の私。・・・こんなの、変だよね・・・」
「・・・。」
「・・・リョウ?」
「へ?あ、あぁ、わりぃ。ちょっとぼーとしてた。」
「・・・やっぱり、おかしい?」
「んー、おかしいっていうか・・・」
「・・・?」
「かっこいい。」
「・・・。」
「・・・なんだよ?」
「・・・まだ、信じてない?」
「まぁ、姿が変わった事に対しては驚いたが、半分は悪魔ってのはどうもな。・・・なんか力とかあるんじゃないのか?」
だって、悪魔でしょ?なんか、ほら、翼が生えたり、魔法使えたりさ!そんな事出来ないかな?
「・・・できるのは、『邪眼』だけ。」
「・・・邪眼?って、もしかして、メデューサだかなんだかの、人を石にするやつ?」
確かそんなんだったよね。
「・・・やってみる?」
「いや、いいよ。うん。だって僕だって命は惜しい訳だし、実際の所まだまだこれからの人生に希望を抱いてるからまだ生きていたいって言うか、悪魔とかそういうのは信じてなくてもやっぱり怖いーーー」
「『邪眼』発動。」
ぴきっ
あ、あれ?
体が・・・動かない?おかしいなぁ・・・
「・・・大丈夫。私は半魔。だから、力も弱いし、私の『邪眼』は、少しの間動けなくするだけ。・・・もう切れる。」
かくんっ
「おうっ」
いきなり動けるようになったから変な声がでちゃったな。
「・・・リョウ」
「ん?」
「やっぱり、嫌?私の事、嫌いになった?」
さっきから表情が暗いと思ったら、そんな事思ってたのか。
別に、気にしなくてもいいのにね。
「なーに言ってんだ?嫌いになんかなる筈ないだろ?むしろかっこいい。」
「・・・え?」
「って言うか、現代社会に半魔とかそういう人間?がいたことに僕は感動したよ。」
「嫌いじゃ、ないの?」
「とーぜん。むしろその髪の毛、綺麗だね。白くなくて、銀色なんだよね。」
「綺麗・・・?」
「うん。・・・そう言えばシフォンちゃんって、何才なの?」
これは気になるよね。
日本に来たわけだし、学校に行かないんじゃどうしようもないし。
「・・・16才」
「・・・僕とおんなじじゃん。」
てっきり僕より年下かと思ってたよ。
・・・いや、見た目がね。
だって身長が140位なんだもん。そう見えるでしょ?
「じゃあ明日にでも学校に行く手続きしに行こうか?」
家に一人で置いとくのは心配だからね。
「・・・がっこう?」
・・・もしかして学校に言ったこと無いとか?
・・・あ、そっか。孤児院にいたんだもんね。
「そう。学校。いろんな人と、いろんな事を勉強するところなんだよ。」
「・・・がっこう・・・」
興味がわいたのかな?
クソ親父に押し付けられたとは言え、もう仕方が無いから責任もって面倒みなきゃ。
・・・流されてる?
・・・なんか親父が「優男」っていってたの、分かったような・・・
「じゃあ、これからよろしく。僕の妹。」
「・・・よろしく。お兄ちゃん。」
こうして、半魔な妹との生活が始まった。
さて。明日から忙しくなるな。
・・・って言うか、お兄ちゃんか・・・
・・・いい響きだ。うん。
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