第17話 〜着替〜
それから約4日分の衣類などが詰まった旅行ケースを引き、僕らは旅館ともホテルともとれる宿に向かった。
そうだな……今言える事は、そう、だだ暑い。
溶ける。間違い無く溶ける。頭が日光を受けて熱い。
まぁ、夏だから仕方ないんだけどね……。
それでも暑いものは暑いのだ。これでは旅館(もう旅館て呼ぼう。)に着く前に熱中症になるぞ……。
「陵……おい陵!」
「はぇ!? な、なんだ!?」
いきなり悠に呼ばれて奇っ怪な返事をしてしまった。
くそっ。悠のくせに僕に恥をかかせやがったな……後でシメる。
「どこまで歩く気だ? 旅館の入口ここだぜ」
悠は親指で旅館の入口を指しながら言う。
……暑さで脳がやられたか? なんか恥ずかしい……。
よし。悠は後で二度シメよう。
「早く入らないか? いい加減私も限界だ。陵もだろう?」
「ああ。悪いな。」
悠、小夜、鈴、シフォンの後に続いて旅館の扉(のれん?)をくぐって受付に向かった。
旅館の中は、冷房を効かせてるらしく、外とはうってかわって涼しい。……少し肌寒いかな?
「よし。部屋に向かおう。私たちが泊まるのは二階だ」
「よし! とっとと荷物置いて海行こう! 海!」
「悠暑苦しいから少し黙れ。海は逃げない」
「……陵、お前最近俺に冷たくね?」
「……前からこんなんだろ?」
「……そうだったか?」
「陵がそういうんだからそうなんじゃないのか? ちなみに私も同意見だ」
「……二人がそう言うならそうなのか……?」
「ほら部屋にいくぞ?」
「あっ! 待て! 置いてかないでくれ!」
慌てて旅行ケースを持ち直し、こっちに走ってくる悠を視界の隅で確認して、自分の部屋に向かって歩いていった。
○○○
「……マジか」
「ああ。残念ながらな」
「なぜ大部屋一つだけしかとれなかった……?」
「二部屋借りると予算を大幅に上回るからな。出来るだけ安く抑えるために一部屋だけにしてもらったのだ」
「いや、小夜は金あるだろ。わざわざ一部屋にする意味が分からないんだが」
「親の脛はかじらん。船と飛行機以外は自腹だぞ?」
「いや、そこは確に称賛に値するよ。でもさよく考えてくれよ。曲がりなりにも男と女だぞ?」
「大丈夫だよ陵。よく考えてみてくれ。悠は確に救いようの無いほどの馬鹿だ。」
「オイ!?」
「まぁ悠、事実だから仕方なかろう。……だが、一応モラルは心得ているだろうから犯罪には手を出さんはずだよ」
「まぁ、確にな」
「私に手を出したところで悠が社会的に抹殺されるのは間違いないがな」
「……そいつも心得てるよ」
「僕が手を出すかも知れないぞ?」
「ん? あぁ陵は論外だ」
「ろっ、ろんが……」
「可愛らしい同年代の義妹と一つ屋根の下に住んでいながらどうせ覗きも出来んのだろ?」
「どうせって何だ、どうせって……」
確に出来ないけどさ。
「さらに言えば私は陵を信じているからな。うん」
小夜はそう言って、にやり、と口の端を歪めた。
……なんとも悪どい笑い方だな……。
「……まぁ、今更いろいろ言っても仕方ない。早く荷物を置こう」
「ふふっ」
「何だよ?」
「いいや? 特に意味は無いぞ」
「……? ん! 結構広いな」
「そうだろう。この島唯一の宿泊施設だ。設計者も少しは豪華にしたかったんだろう」
「しかも景色もいいぜ!」
「おっ、海が一望出来るのか……」
目の前にはサファイアのような碧の海が一面に広がっている。
近代の海水浴場のような濁った青ではなく、まさしくマリンブルーという表現がしっくり来るだろう。
「そういや着替えるのはどうするんだ? さすがにここでみんな着替える訳にはいかないだろ?」
「まぁ俺は構わないけど?」
「…悠さん最低」
「えっ……」
「見損ないましたっ」
「えぇっ!?」
「…………」
「何も言わないで肩を叩くなよ! オイ! 陵! こっち向けオイ!」
「まぁ恥も何もない悠は置いといて……どうするんだ?」
「ここはまぁ、セオリーとしては男に出てってもらおうか?」
「そうなるよな……」
「じゃあ僕らは出てってるから着替えたら呼んでくれ」
「……覗くなよ? あ、陵にはそんな度胸はないか」
「……覗くなと言っているのに覗きを促すような事を言うなよ」
「ふふっ。それもそうだ。悠にはしっかり釘を刺しておいてくれよ?」
「五寸釘でいいか?」
「出来るだけ大きいので頼む」
「おい!? 比喩表現だろ!? なぁそうだろ!? オイ! こっち向け陵!」
「じゃあ頼んだぞ」
「頼まれた」
小夜は僕に頼んだ後部屋のドアを閉めた。
……覗かれたくないのなら鍵を閉めればいいんじゃないのか?
気付いたのは数分経ってからだった。
「……おい、陵」
「どうした悠。五寸釘を刺される気になったか?」
「それは限りなく遠慮したいな。……それより、ちょっとだけ覗かない?」
「…………」
「待て! どっから出した!? その釘!? おい! しまえ! しまってください!」
「お前はさっき言われた事をもう忘れたのか? ちなみに僕はお前が覗いた瞬間この釘を刺す」
「……冗談だよな? いやだからその釘をしまえっておいまてまてだからおい動けないってってまて目に近付けるなまだ除いてないだろあーっ先端当たった! いてぇぇぇぇえっ!!」
ちょっとだけ先端を当ててみた。……あー結構痛そうだな。うん。なんかオーバーリアクションな気がするけど、そこまで悶えられるとちょっと心が痛む。
「これで当分は安全だな」
○○○
「……ふむ。結局陵の奴覗きに来ないのか……つまらんな」
悪魔(悠)の囁きに負けて覗きに来るかとわざわざ鍵を開けたままにしたのに。
もしかすると陵はアッチの人か? 最近流行りの、あー、なんと言ったか……びー、びー……何だったかな。
「…BLでは?」
「おぉぅ!? ……シフォンさんだったか?」
「…呼び捨てていいよ」
「む。そうか。ならば私も小夜と呼び捨てにしてくれて構わんよ。 ……ところで、何で私の考えてる事が分かったのだ?」
「…なんとなく?」
「そ、そうか……。うむ。そうそう、BLだったな」
「…そう。……早く着替えないと陵が待ってるかも」
「あぁ。そうだなシフォン。着替えよう」
「あーっ! そこ二人だけで何してるですか!? ボクもいれてくださいですっ」
「おぉう!? えーと、鈴さん?」
「さん付けなんてよそよそしいですっ! 呼び捨てでお願いしますっ」
「あ、ああ。鈴も着替えよう」
「分かりましたっ」
鈴はパッと自分の荷物の所に戻って服を脱ぎ始める。
「む……?」
そろりそろりと私は鈴の背後に近付きーーー
「うひゃうっ!?」
「ふむふむ……なかなかでかいではないか? んん?」
「さっ、小夜っ!? なにするですかっ!?」
「ほほぉう。これはB……いやそれ以上……Cはあるか? なかなかいい乳してるじゃないか」
「ちょっ、小夜っ!? エロい! 触り方がエロいですっ」
「ふふふふふっ! おらおら上上下下右右左左上下右左BAっ!」
小さな体格の割に大きな鈴の乳を揉みしだく。
ほほぅ。これはまた触り心地も良いではないか。
「最後のBAって何ですかっ!? んっ! ちょっ、あっ! そこは駄目ですっ! はんっ! んぁあっ」
「へへへっ。ねぇちゃんいい体してるじゃないか」
「やぁっ! らめぇっ」
あ、そろそろヤバイかな? ホントはもう少し触ってたいけど、仕方ない。
「……はぁ、……はぁ」
「ふむ。ロリ顔巨乳か……流行るな」
「…着替えないと」
「む? おぉ。……シフォンよ……大丈夫だ。きっと需要はある。日本男子が全員巨乳好きでは無いからな」
「…なんか、すごいけなされたような……」
「気のせいだ。さ、着替えてしまおう」
私はシフォンに着替えるのを促したあと、自分も服を脱ぐ。
「…………」
「…………」
「ど、どうしたんだ二人とも? 私をじっと見て……」
「…………」
「…………」
「お、おい!? じりじりと寄って来るんじゃない!」
「…うらめしや」
「何ですかその乳は……」
「うっ……や、やめろ! 来るんじゃない!」
「…その乳を私に……」
「けしからん乳ですね……」
「うぉぉっ!? やっ、やめっ」
「なんですかぁっ! この乳は! Dは確実にあるでしょうっ!けしからん! 実にけしからんですよ!」
「…私の……何倍……」
「ぁんっ! こっ、こらっ! 止めんか! 手付きがエロいぞ!?」
「ふふふ……ひとつ揉んではボクのため……」
「…ひとつ揉んでは私のため……」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁあっ!」
「あははははははっ!」
「…ふふふふふふふ」
「はーなーしーてーっ!!」
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