第12話 〜帰宅〜
「うぅ・・・どうもすみませんでした・・・」
三十分程してお説教が終わり、やっと解放された。
僕は何もしてないのになぁ・・・。ま、仕方がない。
「・・・あれ? リンとシフォンはどこに・・・」
辺りを見回すが、どこにもいない。まさか迷子?
困ったな・・・。
二人ともケータイなんか持ってないし。
呼び出しでもしてもらおう。
《ーーー当店にお越し頂いて、毎度ありがとうこざいます。さて、迷子のお知らせです。日下部 綾様、日下部 綾様。迷子センターにて、妹さんがお待ちです。至急いらして下さいーーー》
「・・・なんでやねん!?」
なにゆえ僕が迷子扱いにされてるんだ?
逆だろ! 店員よ! お前の脳は何で出来てんだ!? 豆腐か!?
・・・ま、仕方ないから迎えに行こう。
・・・いや、迎えに行く前に買い物だけ済ませてしまおう。
リンとシフォンに任せておいてもロクな事にならないという事が分かったからね。
《日下部 綾様、日下部 綾様ーーー》
「うるせえよっ!」
○○○
「・・・っと。こんなものかな?」
リンとシフォンの部屋をちらっと見ただけなんだけど、必要なものはこのくらいだったはずだ。
買ったのは、カーテン、テーブル、棚とか。あ、ランプもリン欲しがっていたから無難なのを買っておいた。
・・・さすがに手に持って帰る訳にもいかないな。郵送してもらおう。
郵送の手続きをしたあと、迷子センターにリンとシフォンを迎えに行く。
相当待たせたから退屈してるだろうなぁ・・・。
「リンー、シフォンー、迎えにきたよー?」
「・・・くー」
「すー」
・・・寝てるよ・・・。
まぁ、仕方ないかな。結構はしゃいでたし、ここに来るまで歩いてきたし。
疲れるわけだ。
しかし、二人もおぶって帰れるわけがない。
タクシーでも呼ぼうかな?
と言っても、結局デパートの入り口まではおぶってかなきゃならないのか・・・。
・・・ふぅ。仕方ない。
そう思い、僕はどうやって運ぼうか考えを巡らせる。
・・・うん。二人いっぺんには運べない。どう考えても無理だ。
仕方ないから一人ずつ運ぼうか。
まずはリンから。
起こさないように、そっと、そっと。
○○○
「・・・ふぅ。しかし、案外軽かったな。身長のせいもあるだろうけど」
とりあえずタクシーにリンを乗せて、シフォンを迎えに行く。
○○○
「・・・くー」
「よし。もう一頑張りだな」
さっきと同じように、そっと、そっと。
・・・やっぱり軽いな・・・。
シフォンも、リンと身長が同じくらいなはずなのに、なぜかリンより軽い。
・・・何故だろうか。
「・・・ん? リョウ?」
「へ? あ・・・起こしちゃったかな?」
「・・・んーん」
「・・・そう。ならいいんだけど。リンがタクシーの中にいるから早く行こう」
そう言ってシフォンを降ろそうとする。
「・・・いかないの?」
「いや、おりてくれないの?」
そう。まだ張り付いたままで、いっこうに降りてくれない。
「・・・降りなきゃだめ?」
「い、いや、そんなことは無いんだけどね」
「・・・じゃ、いこ?」
そう言われて僕は歩き出す。
まったく・・・あんな泣きそうな声で言われたら断れないよ・・・。
そんな事を考えている内に、入り口にあるタクシーが見える所まで来た。
・・・やっとか。
「さ、シフォン。着いたよ。乗って・・・?」
「・・・くー」
また寝てるよ・・・。
確に背中にゆられてると眠くなって来るから、その気持ちは分かるけど・・・。
仕方ないから、起こさないようにゆっくりとシフォンを降ろし、タクシーに乗せる。
「えーと、北町の四丁目まで」
「はいよー。・・・いいねぇ、おにぃさん、ハーレムかい?」
「なに言ってるんですか・・・。って言うか、それ女の人が言う台詞じゃないような・・・」
そう。珍しいと言うか、意外と言うか、タクシーの運ちゃんは女の人だったのだ。
「はっは。細かい事は気にしないもんだ。ハゲるぞ?」
「ちょっ、止めてくださいよ! 髪の毛細いから、結構気にしてるんですよ?」
「おっと、そりゃ失礼。・・・っと、ここかい?」
窓の外を見ると、すでに家の近くまで来ていた。
「あ、あと二十メートルくらい進んで下さい」
「あいよー」
「リン、シフォン、起きてくれ。もう家に着いたぞ!」
「・・・む」
「んんー」
「起きねぇのかよ・・・」
仕方ない。家の中まで運んで行くしか無さそうだ。
「あ、ありがとうございましたー」
「ういよー。またよろしくなー」
「機会があれば、ですが」
「おうよー。じゃなー」
「あ、はい」
排気ガスを残してタクシーが走り去る。
タクシーが見えなくなった所で、リンとシフォンを家の中に入れる。
「うぅー。いくら軽いと言っても、二人はさすがにきついものが・・・」
ふぅ・・・。
やっとの思いで、リンとシフォンをソファーまで持ってくる事が出来た。
しかし、疲れたな・・・。でも、それ以上に、
ーーー楽しかった。
疲れたはずなのに、・・・いや、間違い無く疲れてる。
でも、それ以上に僕の中は、不思議な高揚感で満たされている。
ーーーこんな、平凡だけど、楽しい毎日が続けばいいな・・・。
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